#194 天下人 織田信長の政治力 〜実はオリジナル政策じゃなかったアレやコレ〜

【今回の内容】
長篠の戦い、武田家と織田の激突/三段構えの謎/朝廷にも認められる天下人信長/中央集権化/新たな火種/義昭の新たな信長包囲網/安土に大きな城を建てた理由/意外と手堅い?信長の政策/楽市楽座

樋口:はい、ええ前回までは信長がいよいよ天下人への道を歩み始めたというところからですかね。

深井:そうですね。将軍を追放したことによってその代行者として天下を取り仕切り始めます。義昭を帰すという計画も実はあったんだけど、決裂したみたいです。だから最初から全部奪って取ってやろうと思ってたわけじゃないぽい。結果的に義昭追放したし俺が取り仕切るかという感じなんじゃないかなと思います。一旦信長包囲網なんとかしたって話した、信玄が亡くなって。すぐに復活する、また。まずは大阪本願寺、石山本願寺とも呼ばれる一向宗の勢力がすぐに講和を破棄して再び放棄します。これなんでかといったら追放された義昭からの働きかけを受けてです。一応まだ将軍、追放されても、だから謀反人である信長を討ってくれということでそれに応じた本願寺が蜂起を起こす。さらに甲斐武田氏である信玄の息子武田勝頼という人がいるんですけど、この武田勝頼、当然攻めてる途中で父親亡くなっちゃったけど、別に父親が亡くなっちゃったからそれをやめるわけじゃなくて、また同じ路線で徳川家康の領国に侵攻してきます。また家康の領国に侵攻してきた武田軍と織田、徳川軍の戦いが長篠の戦いってやつなんです。

樋口:きたきた。

深井:有名なやつですね。当初信長は本願寺との戦いを優先したかったらしい。同時多発的に武田が家康のところを攻め初めて、本願寺がまた謀反を起こして戦うっていう状況になってたんだけど家康から助けてってずっときてた。けど信長としては本願寺をなんとかしたかった。だけど家康が助けて助けてってい言うのでしょうがないのでしぶしぶ助けに行く。

樋口:いいやつじゃないですか。

楊:だから長篠の戦いは武田と徳川、織田は援軍という位置付けです。

深井:武田軍と織田、徳川軍の戦いは、これ僕それこそ教科書で中学校の社会で習った時は集団戦法による勝利みたいなこと言われてた。武田の騎馬隊、彼らは騎馬軍が強いと言われていた。織田軍というのは鉄砲をたくさん持っていて、火縄銃を、それを三段構えっていって三列に並んで順番に撃って行く。火縄銃ってのは弾込めに時間がかかります。

楊:そう、だいたい15秒から20秒くらいかかります。

深井:そうそう。なので弾込めして撃つみたいなことを順番にやることによって勝ったんだと言われてたんだけど。

樋口:おれもそう聞いてました。

深井:違うらしいです。

樋口:え、本当に。

深井:だからめっちゃ諸説があるのと、最新の研究だとだいたい変わってきちゃってる、そういうところが。まず武田軍に鉄砲隊がいなかったかというといたらしい。

樋口:え。

楊:別に鉄砲は織田軍だけ使ってたものじゃない、みんな使ってます。

深井:だし、騎馬隊だけが強いみたいな編成もしてない。

楊:歩兵もいるよね。

樋口:へえ。

深井:順番に銃を撃つみたいなものも機能するかどうかも眉唾だという説もある。だからみんなが一斉に撃って意味があるかというのがある。一列に並んだ人たちが全員で撃ったやつが全部が当たるわけじゃないですか。当たるわけじゃないとうのは、敵の軍が攻めてきてる時に横一列で来るわけじゃないから。

樋口:そうですね。

深井:距離としてはばらばらなはず。ということは鉄砲を撃つ時に敵との距離を測って届く時に撃たないと意味がないはずなんです。それを一斉に射ったってのに本当に意味があるのかという研究があるんです。

樋口:確かに。

深井:確かにって感じです。

楊:あと弾込めも時間がかかるので、人それぞれによって時間がかかったりすぐ短く済ませたりする人がいる。だから一斉に射撃できる準備ができるってのはなかなか難しいんじゃないかという説もある。結局一斉に準備するのは一番弾込めの遅い人に合わせてみんな待たないといけない。

深井:それも書いてあった。

楊:それって本当に合理的な判断なのかな。

樋口:ふうん。

深井:だからそういうのがなんで意見が分かれるかというと元々の三段構えが、三段構えをこのようにしたっていうディテールで書いてあるわけじゃなくて、一行とかでそれっぽいことが書いてある。それを拡大解釈して三段構えだったんじゃないか、みたいなことを言ってたんだけど、よくよく考えたらそうじゃないってのが最新の研究だってこと。

楊:江戸時代の小説とかでも三段構えが小説に盛り込まれて、明治時代に日本の帝国陸軍が自分の戦史、戦争の歴史の書物を編纂している時に三段撃ちっていうふうに書物の中に書いてしまった。それが流布したと言われてます。。

深井:これ、まじで諸説ある。さっき言った騎馬隊だけじゃなくて武田軍がいろんな兵士の軍隊を編成していたってのも人によっては違うっていう人もいる。そんなことできないんじゃないかと言ってる人もいるし、ディテールは実はわからない解釈だし。新しい説が正しいとも限らない。古い方が正しいかもしれない。

楊:おれが面白いと思ったのは鉄砲って新しいテクノロジー。新しいテクノロジーが来た時にみんな使えるってのが本当にすごいなと思った。なんでかというと普通だったら中央集権国家だったら新しいテクノロジーは全部自分たちで独占して生産管理したりとか誰にどれを渡すのかってたぶんちゃんと決めて行くと思う。でもこれが伝わって来て翌年くらいに国産化に成功しているはずなんです。

樋口:国産でやってた。

楊:そうそう、国産、真似して、堺とかでも再現できるようになったので、それがいろんな大名のところで伝わったってことはこういう権力が統一できてない時代に伝わったと思いました。

樋口:はあ、技術力もすごい。

深井:ハードウェアは強いですよ。

樋口:面白い。

深井:そういう形で戦って勝つんです、この戦いに。でもなんで勝ったかわからないけど勝つんです、武田軍には。これによって武田はめちゃくちゃ失墜していって、この時に滅びたわけじゃないですけど、この後段階的に滅ぶ方にいってこの後実際に滅びます、勝頼。武田を倒すというのはでっかいことなんです。武田を倒したことによって天下というのを治めるというのが近くなる。朝廷の中でも義昭も追放された、武田も倒した。だから実質的に本当に信長って権力を握ってる状態だよねということが認められるようになって来ます。実際に信長も公家に近づいていくようになります。ついに朝廷から官位についてくれという要請がくる。これでもらった役職名がすごい名前です。従三位権大納言兼右近衛大将。

樋口:絶対すごいいい。絶対すごいいいですね、これ。

深井:そうですね。

楊:長いからね。

深井:三位だからね、三番目ってことなのかな。これは将軍義昭と同位らしい、同じ位。

樋口:相当高い。

深井:右近衛大将てのは頼朝以来朝廷の庇護者にある武家の棟梁に渡す民間職、征夷大将軍と同等になってるということになります。

楊:これもシンボリックな官位だよね。

深井:征夷大将軍はまだ義昭さんが征夷大将軍だからね。武家の棟梁になっていったってことですね、信長が新しい。ただし実質的に天下人になってから右近衛大将ってのをもらっている。だから先に実はあってそれに名前が後できたってことです。さらにこの後すぐに昇進して正二位右大臣兼右近衛大将になります。

樋口:ふうん。

深井:これ同時期に武家としては最高位。

樋口:すげえ。

深井:だから将軍より上に行っちゃったってことです。

樋口:名実ともにトップ。

楊:一年後に辞めちゃう。

深井:辞任する。

樋口:じぶんで。

楊:もういい、みたいな。

樋口:なんで。

深井:これは息子に家督を継がせて息子に移官して官位を渡してもらうために自分は降りたって説があります。

楊:とか、朝廷のシステムに組み込まれたくないという説もあります。

樋口:へえ。

深井:あるね、そういう説も。

樋口:なんか信長ぽいですけどね。

深井:最近は前者の方を言われてる感じ。この時点での織田信長による権力の特徴てのは天下人といわゆる将軍的な立ち位置的な人と畿内の有力権力者というのが今までは連立政権を築いているというのが室町幕府の特徴だった。将軍が専制をするだけど連立政権に揺り戻される、みたないのが何回かあって、最終的には将軍権力が失墜していって応仁の乱が起こるという立ち位置だったですよね。その失墜している最中はずっと側近の有力権力者の人たち、有力守護の人たちが連合的に権力を握ってたりだとかある程度独占して権力を握ってるということが起こっていた。

樋口:うん。

深井:織田信長権力の中でやっぱ起こったことってのは畿内の有力者である織田信長と天下人である織田信長が同じ人だったってのがすごいでっかい。他に畿内に有力者がいない状態。本当はいるんだけど、圧倒的にこの人が有力なんです。だから権威も軍事力もどっちも自分が持ってる状態。実力も権威も持ってる状態。

樋口:はいはい。

楊:なかなか珍しい状況。

深井:一番はじめに幕府が出来た時、でも幕府が出来た時でさえ出来てない、室町とかだと。だからかなり中央集権型になってきてるということ。

樋口:アップルポッドキャスト一位とスポティファイ賞。

深井:おれら。

樋口:ジャパンポッドキャストアワード。

深井:もう2年前だけどね。過去の栄光にね、しがみついて。

楊:そうです、しがみついて飯を食って行く。

深井:ということでこういうような畿内の有力者として信長は台頭していくわけなんですけど、一方で彼は本領地というのがあって、それは尾張なんだよね。美濃、尾張、この二つを平定したわけだけだから、彼は元々。この二つの国なんです、彼がもってる国ってのは。この国は息子の信忠に譲っちゃう、この時点で。さっきいった信忠に官位を渡して欲しいというのはこういうことです。そろそろ次の世代を意識し始めてるわけです、信長は。なので織田家ってのは天下人である最高指導者の信長を中核としてその下に織田家当主の信忠というのを配置して新しい体制を築いていこうというのをここでし始める。

楊:事業承継を。

深井:簡単なんだけどね、家督継がせるだけだから、この時の事業承継は。一方で将軍義昭ってのはまだいるわけです。この将軍義昭は地方有力者である毛利氏に協力を求めます。でも毛利は信長と昔から同盟関係をキープしてる。だからちょっと煙たい、こんでみたいな、こんでいいよみたな感じなんですけど。尼子氏って人といつも戦ってる、毛利氏は。戦ってるから、その尼子氏と敵対してるところにまた織田信長とかと敵対すると大変なんでやめてといってる。やめてっていう態度だけどないがしろにできない、将軍だから、征夷大将軍だから、一応。ないがしろに出来ないけど、織田信長がこのあと何が起こるかというと、信長が畿内を抑えた。で、美濃と尾張も抑えてる。そうすると広範囲を抑えてる。こんなに広範囲を抑えた大名ってのは出て来てなかった、今まで。この広範囲を抑えたことによって何が起こるかというと、たくさんの国と接することになる。接すると利害が対立する。だから戦争が起こる。この戦争が起こるのが今まで接してなかった人たちと接することによって今度は畿内から遠い人たちと戦い始める。それが毛利とか上杉とかなんです。この後毛利とか上杉とかいうちょう弩級に強い人たちがいるけど、この人たちとの戦争に突入する。この戦争の途中で本能寺の変で殺されちゃうんです、信長が。

楊:戦いはなかなかね、まだ終わるのに先だよね。これも。戦えば戦うほど戦う敵がもってでてくる。

樋口:戦って勝って領土を増やして、領土がまた接地面が出来てそこと戦って増やしていって、ずっと続く。

深井:利害が対立しちゃう構造になってるってことが戦争に対してはすごく機能しちゃうよね。

樋口:なるほどね。

深井:一致する構造だったらいいけど対立しちゃう。陣地取りだから、有限資源を取り合ってるから。

楊:オセロみたいなものですね。

樋口:いまいいこと言ったですね。陣地取りってオセロなんですね。

楊:オセロです。どっちかしかないんです。白か黒しかない。

樋口:そうか、しかも有限、マスは決まってる。

深井:決まってなかったら新しいところに行けばいいんだけど。決まってるから戦争になるんです。

樋口:そうだ。

深井:これでですね、毛利とも対立し始めちゃうんで毛利と義昭が組むという状態が起きます。義昭はずっと京都から外れて毛利の近くにいながらいろんな人たちに信長倒してとお願いしてるような状態。一方で信長は天下人に専念していく。今度は安土城って聞いたことありますか。

樋口:安土桃山とかの安土。

深井:そう、安土城てのを作る。

楊:琵琶湖のそばに。

深井:これは近江という当時近江と呼ばれていたところに作って、この安土というところ、近江というところは、なんでここに作ったかというと、京都に対して物流を運んで行く要所なんです。かつ自分の領国である美濃、尾張とも遠くないんです。なんで京都も抑えられるし自分の領国である美濃、尾張のところも睨みを利かせられるというのもあって。それで安土に城を築城することになります。

楊:やばい城ですよ。みなさんも是非検索してみて欲しい。ぼく初めてこの、城は今はない、石垣しか残ってないけど復元されてて、すごいです。

樋口:何がすごいんですか。

楊:初めて見た時に魔改造した暴走族のバイクみたい。

樋口:どんなんだ。

深井:それ、ハードル上げすぎ。

樋口:ぶっちぎりとか書いてる。

楊:そんな感じ。とにかく派手なんです。いろんな説はあるんですけど、今深井くんが言ったのも加えてどっちかというと城って普通は軍事拠点なんです、めちゃくちゃ防御力を高めた拠点として作るけど、安土城はあんまり防御力はそんなになかった。でもそのかわりに軍事拠点としての機能性とかコスパとか全無視してとにかく目立つことに全振りした城という説もあります。

樋口:へえ。

楊:今までに自分は今までの大名とは違う存在になったから、その存在とか権威、権力を見える化したかったんじゃないかなという説があって、10階建ビルに相当する高層建築、高く建てられてるし外壁は金、青、赤、白、黒に塗り分けられる極彩色の城だって。瓦一枚一枚に全部緊迫を貼って行く。

深井:趣味悪い。

樋口:なんかね、そういうデザインセンスちょいちょい出ますね、服とか、城とかに。

楊:本人そういうの作りたかったんじゃないですかね。当時の一流の職人たちに金に糸目をつけずに作るっていうのをやってる。

深井:そうだよね。

楊:そうそうそう。

樋口:なんで、この安土城が出来上がるのはかなり転換点で、今まで在地領主として領国経営に専念するといのが戦国大名のスタンダードだった。防御的な観点から自分たちを守るという意味合いで戦ってた。みんなそうだったんです。でも信長だけがこの時その視点から外れてきてる。天下を運営するために自分がどこに城を持つべきかと考えて安土を選んでるんで、これは他の大名にはない視点というかそこまで誰もいってない。

楊:そこに城下町を作って経済圏を作ろう。経済圏を作れば人、物の流れができますしそこから税金もとれますし物資調達も簡単になります。

樋口:一個視座が上がってる感じがしますね。

深井:一人だけそういう状況になったから。視座が高いからそうなったって感じではない。

楊:できる状況になったから。

樋口:はい。

深井:上洛するという決断をしたからだよね、彼が。他のみんなが自分たちが大変すぎてそこまでリスクを侵さずに上洛しなかったのに彼は上洛することを選んだからここまでいってる。それは永禄の政変という上洛をするチャンスを偶発的に渡されたことによってそういうことがおこってるというのが僕の勉強しての感想なんです。

樋口:そこでちゃんと行くという決断をしたから。

深井:そうです。そこらへんが他の大名と違うねと思う。

楊:あと、おれも一個気になったのが織田信長と信秀、親父。ちょいちょい3、4回城を移ってる。それも他の大名にはみられない挙動なんです。城に対するこだわり、この城にずっといて領国経営したり出陣したりする感覚が薄いかもしれない。どっちかというとノマド系じゃないけど。

深井:土地貴族意識薄い。

楊:という説もある。

樋口:持ち家より賃貸派。

深井:かもしれない。持ち家だけどね。

樋口:だけど、なんか。

楊:合理的に自分たちが一番ボジションが取れる場所に移動していくという選択肢がとりやすい人たちだったかもしれない。

深井:他の人たちは土地に対する執着すごいから、自分の土地に対して。ということで、天下人視点で信長が進んでいくわけです。安土城とかも作って行くわけです。天下人信長がどんな政治をしたのかを軽く紹介したいなと思います。

樋口:面白そう、はい。

深井:一言でまず彼の政治というのを勉強した、そういうふうに書いてあったわけじゃないけど、勉強してこういう感じなんだなと思ったのは手堅く他の大名がやってるいい政策を取り入れてちゃんとやった。

樋口:ちょっとイメージと違う。

楊:ちゃんと定石を抑えるかんじだよね。

深井:定石、ちょっと最新のやつをちゃんと入れてるという感じ。だからなんでしょうね、今のチームの作り方で心理的安全性とか、そういうのをちゃんとやっていってるって感じ。けど自分が心理的安全性を初めて提唱したわけじゃない。て感じ。

樋口:しっかり勉強してる。

深井:勉強してるほどじゃないです。単純に取り入れてる。勉強というか他の大名がやってるなってのをちゃんとやってる。他の人たちも知ってると思いますよ。

樋口:ふうん。

楊:それをやれる状況にある。

深井:畿内に移動してるんで畿内の人たちがどうしてるというのが見れる。それを見て学んでそれでいいなと思ったことをやってるというイメージがあります。代表的なのが楽市楽座。この楽市楽座も通説では従来の理解では市場における自由商売であるとか交易促進を進める制度であって、これは商工業者の人たちの自由主義経済みたいなものを進行させて都市の発展をさせるんだけどそこから支配搾取を進めていって税収をたくさんとっていくみたいな革新的な施策である。ただ非常にトップダウン式の搾取構造である、みたいな言われ方をしてるんです。これがちょっと今視点が変わってきてるんです。まず楽市楽座が何かという話からしないといけないけど、その前に楽市楽座ってのは信長が始めてるわけじゃない。

樋口:そうなんですね。

深井:これは信長が始めたみたいなことを教科書にも書いてあるんだけど、教科書にも書いてはないけどそのように習った覚えがしてるけどそういうわけではなくて、他の大名もやってます。さっき出てきた六角さんとかもやってる。楽市楽座ってのが何かという話なんですけど、まずいろんな人がやってるけど全く同じ楽市楽座ってのはないんです。地域地域に合わせてカスタマイズされているんです。座って書いて、座ると書いて楽市楽座の座ですよね。この座ってのが何かというと、一言でいうと商工業者のギルドなんです。だから相互扶助組合なんです。相互扶助なんですけど非常に排他的なんです。だから自分の商業権を守るために他所からきた商人とか介入できないようにシャットダウンするという自由経済を阻害することによる排他的な自助組合なんです。

楊:独占権を持っていた。

深井:だから、簡単に言うと他所からもっと安い品物を同じ様な品質ないしはもっといい品質で安い品物を持ってきた商人がいたとしても、その人は売ることができない、もしくは売ってたらそれを取り上げてもいいっていう法律を作ってて。それで支配してるという状態です。そういう座と呼ばれるギルドが市場というのは市場ですね、市を開いてる、マーケット、マーケットと言うよりはデパートと言った方がわかりやすいですね。デパート開いてるわけです、それを支配してるんです。だから市場でものを販売できるのはギルドメンバーだけだったわけです。楽市楽座ってのはこれをまず座を解体するわけです。ギルドを解体させて市場をもう少し解放しましょう。

楊:誰でも商売できるようにしよう。

樋口:はい。

深井:これはなんでこれをやったかというと、本当いろんな事書いてあったりするしすごい複雑だった、本読んだら、簡単にいうとどうやら戦争に行って荒廃した土地が出てくる。その荒廃した土地に人を呼ぶためにこれをやってる、人口を増やしたい、そういう意味合いもあるみたいです。

樋口:へえ、面白い。

楊:都市形成だよね。

深井:そうそうそう。

樋口:はあ、なるほど。制限を緩めて住みやすくして人口を増やすってこと。

深井:そうです。人口を増やして税収も増える。都市として成り立たせる、みたいなことをやってる。そのために楽市楽座を他の大名がやってるやつをうまく真似をしてやったんです。

楊:安土でもね。

深井:だから六角以外にも今川とか徳川とか上杉とか、そういうのもやってたらしいです。トップダウンと言われてるのもどうやらトップダウンじゃなくてかなり地域住民の要望みたいなものを聴きながらカスタマイズして作ってるんだよというのも書いてありました。

楊:自分が読んだのは座を否定したりとか、独占をとっぱらうみたいな、それを出した命令てのは信長によってよくよく調べると3つしかない。他は京都とか界などすでに発展してる商業都市の座はそのままにした。というのもある。

深井:楽市楽座を使ったところを使わないところもあった。

樋口:へえ。

楊:ちゃんとそのまま座を認めて商売させた方がそっちの方がプラスだったらそのままにしたんです。むしろそっちの方が多いと言われてるくらい。

樋口:なるほど、地方創生の政策の一つ。

深井:人を呼ぶための地方創生で戦争で荒廃した土地に人をちゃんとまた呼び戻していったりとかもっと人口を増やすための復興のための策として楽市楽座というのをひいて、それの阻害要因になる座をある程度解体して、楽市ってのは市場に実は税金がかかってたりした。あと労役とかもかかってた、そういうのを軽減していくことによって市場を開きやすくする。それによって人が集まる、デパートを作るということは。それで人を集めていくということもしましたし、あとは関所の撤廃とか道路とか橋をちゃんと整備していくみたいなこともやってます。これも別に信長の独創ではないんです。ただ、すぐに同時代でこれはいいことをしたねと評価されてるらしいです。

樋口:へえ、いいですね。

深井:元々この中世の日本で関所ってのがあって、それは朝廷とか幕府とか寺社ですよね、保護のために税金的な感じでここを通ったら関銭といってお金とられるみたいなのがあった。それっていろんなところにあった。当然ですけど通るだけでお金取られるから自由に通れなくなっていく。コストがかかっちゃうから。

楊:特に商人もそれを通ろうとしたら通るたびにお金を払わないといけないから結局そこのものをどっかにもっていって商売するのをやめたくなります。

深井:それかものの値段が上がる。実際物価が高騰していくんです。そういうことを改善するために関所の撤廃をしたりだとか、をやってた。これも他の大名が先に始めてるのを真似したと言われてます。

楊:あと、関所の使い方としては戦争をしてる時に物流を止めるという使い方もします。経済封鎖です。米を止めたりとか火薬の材料を止めたりとか、鉄砲の取引を関所で全部止めたりとか。それで相手国の物資の物流を止めて弱らす。

深井:そうね、ちなみにチップスだけど、火薬ってのは日本で作れなかったみたいで。

楊:硝石という成分。

深井:貿易で入手するんです。信長って南蛮人と仲がいいと言われてる描写が多い。あれなんで仲がいいかというと火薬とかを仕入れるための貿易相手として重宝してる。キリスト教を保護してるのも貿易相手として保護してる。

樋口:なるほどね。

深井:それがなくなったら硝石を仕入れられなくなる。

樋口:鉄砲が使えない。

楊:実際武田とかも確か内陸だったよね、内陸で港を持ってなかったんです。それで硝石とか鉄砲の調達に苦労したと言われてます。

深井:なんでかなり合理的判断をしてる。

楊:ちゃんと港を抑えて。

樋口:うまいですね、政治。

深井:まあ、当然思いつくことなんだろうけど。

楊:やれた、実現できたのがすごい。

深井:頭がいいとうよりは、それをちゃんとやってるってのがすごいって感じです。

樋口:なるほどなるほど。

深井:という感じで実は信長の政治は秀才ちっくな感じです。天才て感じじゃなくて。全然イメージと違います。ということで、次回は畿内を統一して天下人となった信長がそのさらに畿内の周縁地域とか地方の遠くにいた、元々畿内からだいぶ遠くにいた毛利とか上杉とかと戦い始める。あとは四国の長宗我部とかね。そういうのと戦い始めるんですけども、そこで方面軍と呼ばれる自分が信頼できる武将をリーダーにして派遣するという戦い方をするんです。

楊:全部自分が駆けつけるわけにはいかないからね。

深井:そう。自分一人で戦える範囲を完全に超えるわけじゃないですか。今まで戦国大名でそこまで手を広げた人いなかったけど、信長だけがそういう状況になったので新しいマネージメント方法をそこで実施するんです。その中で方面軍でいろんな人たちをいろんなところに派遣していくってのが、どういうものがあるのかを説明します。

樋口:なるほどですね。いやあ明らかにフェーズがぱっと変わった感じがします、この回から。信長の立ち位置というか。

楊:けっこう信長は忙しいんです。記録に残ってる時は合戦が続いてるときは週一で合戦に行ってた。

樋口:へえ。

楊:馬に乗りながら寝てたって記述もあります。寝てる寝てる。

樋口:営業車の中で寝てた。

楊:そうそう。

深井:

樋口:駐車場で。

深井:大変だよね。

樋口:大変ですね。いやあ、ということで今回ここまでですかね。

深井:はい。

樋口:ありがとうございました。

深井:はい。

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