#183 闘う処女王 大国スペインが誇る無敵艦隊を撃破!

【今回の内容】
海賊についてはサポーター特典にて/スペインとの戦争勃発/超強いスペイン/エリザベス暗殺計画!?/メアリー・スチュアートの結婚よもやま話/メアリーの処刑/圧倒的戦力差!アルマダの海戦/戦術解説/スペイン無敵艦隊の攻略/スペインの衰退/エリザベスの勝因

樋口:はい、とうことで、我々はちょっと海賊について先ほどサポーター特典入りをお話ししましたけども。

深井:そうですね。

樋口:面白かったです。

深井:僕、これ今回10回に収まるようなボリュームのつもりでやってたけど、結果10回を完全に超える感じなんで。本編とそんな関係ないやつはサポーター特典の方に回させてもらいました。前回第一次世界大戦シリーズが14回くらい。長すぎたと思った。今回10回でさえ長いと思ってるから8回くらいにしたい。本当は。ちょっと削れるやつはサポーターの方に回す。

楊:でもサポーターのやつも聞いたら解像度が上がるので是非おすすめです。

樋口:そうですね。

深井:是非、サポーターみなさんお願いします。

樋口:10回で終わると思ってこの台本書いてきたんですか、これ、この量で。

深井:そうなんです。

樋口:終わるわけないじゃないですか、これ。

深井:意外と省くところなかった。どんどん省いてもいいんだけどね。

楊:そういうエンジンがかからないというか。

樋口:まあ、いいんじゃないですか。完全にディレクターズカット版はサポーター特典ということで。ということで、今回はアルマダの海戦てことですかね。

深井:これクライマックスですね。ついに、スペインとの戦争が勃発してきます。

樋口:おお。

深井:エリザベスはネーデルランドとの間に条約を結んで戦争が続く限りは、スペインとネーデルランドとの、本格的な軍事援助をしますよと約束します。さらに海賊であるフランシス・ドレイクに対してスペインに対していつでも攻撃していいよというんです。

樋口:はっきりという。

深井:海賊って強いからね、海の上で。そもそも。

楊:そうなんです。最新の最先端の戦場で戦える技術を持ってる。

深井:フランシス・ドレイクってその中でも有名な人だからその人にもういつでもスペインぶっつぶしてもいいよというわけです。ネーデルランドにも援軍を派遣する。完全に対立状態に陥っていくわけです。しかしながら戦況はずっと連戦連敗でスペインに負け続ける。

樋口:スペイン強いな、やっぱり。

深井:実はスペインめっちゃ強い。まず陸軍の練度のレベルが全然違う。軍人がちょう優秀。

楊:それだけずっと戦争してた。

深井:ずっと戦争してるし新大陸にいって制圧とかもしてるし、単純に軍人が優秀。スペインはこの当時。戦闘能力が半端ない。この戦闘能力の差が半端ない中でイギリスは戦っちゃうことになるわけです。スペインとしてはいろんな策をとります。まず謀略としてイギリス国内の撹乱を狙っていきます。そのためには長い間メアリー・ステュアートが幽閉状態に置かれてる。スコットランド女王ですよね。このスコットランド女王はこのあと説明しますけどイングランドに実は逃げて来てて、スコットランド女王の位を追い出されて、嫌われてね、スコットランドで。逃げて来て、逃げて来た後にずっと軟禁状態にされてる。

楊:19年くらいかな。

樋口:え、

深井:まじで19年くらい軟禁状態にされてる。

樋口:19年。

深井:このメアリー・ステュアートを焚きつけて国内を撹乱してやろうという作戦をフェリペ2世は考えるわけです。

楊:メアリー・ステュアートはそもそもカトリックだったっけ。

深井:カトリック。フェリペ2世側にも実は懸念点があって、徐々にアメリカ大陸からの収入が減っていってたんです、この時期。しかもネーデルランドでは内乱が起こってる。だからイングランドのエリザベスからしてもこれは決断の時で対立姿勢に移るというふうにしてた。フェリペ2世からしても決断の時だった、実は。でっかいアクションを起こさないといけないという局面に来ていた。まずはエリザベスの暗殺計画を立てていく。これはフェリペ2世があれしたわけじゃないけど、暗殺計画が立ち上がる、撹乱しようとする中で。

樋口:エリザベスを暗殺。

深井:エリザベス1世を暗殺しようとする。メアリー・ステュアートを奉戴して暗殺反乱をしようとする。しかしエリザベスには部下にすごく優秀なスパイがいた。

樋口:いました。

深井:スパイというかスパイの親玉がいて。

楊:スパイマスターがいる。

樋口:スパイマスター。

深井:かっこいい。

樋口:そういう雑誌あった。

深井:あの人が防ぐ、それを。

楊:ウォルシンガムがね。

深井:うん。ウォルシンガムが防いで事前に察知してメアリー・ステュアートをこの陰謀の加担者として処刑するんです。

樋口:おお。

深井:メアリー・ステュアートは処刑されたところから遡っていくと、メアリー・ステュアートはもともとフランスの王太子と婚約してて、フランスで生まれ育ってる。フランソア2世という人がそのまま旦那さんになる。その人と結婚してたけどすぐ死んじゃう、フランソワ2世が。スコットランドに帰国しないといけなくなる。帰国してから実権を握ってたのは、当時の、プロテスタント派のイングランドと仲のいい貴族たちが実権を握っていた。だからあんまり文句言わないようにしていた。だけれども、しかも本人も若かった20歳過ぎたくらいだった。まだ若いからメアリー・ステュアートに再婚の話が持ち上がる。いろんな人をそれこそ貴族が勧めてくるけど、メアリー・ステュアート自分の好みで人を選ぶ。名門貴族のダーンリー卿ヘンリーという人がいるんだけど、この人と結婚するんです。これがまた結構ひどい旦那さんだった。めちゃくちゃ嫉妬心が強くてメアリー・ステュアートの音楽教師でイタリア人のリッチオという人がいるけど、この人と親しかった、メアリー・スチュアートが。嫉妬してメアリー・スチュアートの目の前で滅多刺しで殺す。

樋口:うわ。最悪。

深井:メアリー・ステュアートはこれで完全にダーンリーへの気持ち冷めて決裂するんです。

樋口:しんど。

深井:その後ダーンリー卿が爆発で殺害されるんです。爆弾で殺されるんです。

樋口:へえ。

深井:メアリー・ステュアートは旦那さんがいなくなった後に三度目の結婚でその爆弾で殺した首謀者じゃないかと言われているボスウェル伯、これ名前覚えなくて全然いいですけど、その首謀者だと思われてる人と三度目の結婚をしちゃう。ここら辺からスコットランドの貴族全員から嫌われ始める。

樋口:メアリーが。

深井:メアリー・スチュアートが。

樋口:なるほど。

深井:プロテスタントからも嫌われるし、カトリックからも嫌われるんです。追い出されちゃう。追い出されて本当はフランスに逃げたかった。けど手勢が少なすぎたんでしょうがなくイングランド北部に逃げる。イングランド北部ってカトリックがまだ強かったんです。このイングランド北部に逃げ帰っていったんだけど、彼女の存在はエリザベスからすると非常に危険ですよね。

楊:王位継承者なんです、イングランドの。

樋口:はいはい。

深井:王位継承権を持っていると過去主張した人です。

樋口:しかもカトリック側か。

楊:カトリック側なんでカトリック復興のシンボルとして容易に利用される。

樋口:そういうことか。

深井:実際フェリペとかにそうやって利用しようと思われてたりして、実際フェリペではないけど他の人の暗殺計画に乗せられてしまって。暗殺計画自分はそんな関与してないよというんだけど、結果的にエリザベスに処刑されるに至るわけです。

楊:手紙がウォルシンガムによって見つかるんです。

樋口:あらら、すげえな。

楊:わざと、ウォルシンガムは手紙を交換してたことは多分情報として掴んでた。メアリー・ステュアートと反乱を起こす人達が。それをわざと泳がせた。タイミングがいい時にメアリー・ステュアートの直筆の手紙を手紙を運ぶルートから抜き取って不動の証拠を突きつけて逮捕まで持って行った。

深井:映画にもなってます、まだ見てない。二人の女王だったかな。映画で見て見たらいいんじゃないかと思います。こうやってメアリー・ステュアートが処刑される。これがフェリペ2世からすると唯一イングランドに対して干渉方法として戦争ではない方法で残っていたものが無くなってしまった。もうあと残る方法が戦争しかないんです。

樋口:うわあ。

楊:この処刑もエリザベスも相当渋ったみたい。

深井:渋った。本当処刑したくなかったけどせざるを得なくなっていく。

楊:処刑、なんだかんだいってイングランドの王位承継権持ってるんで、それ処刑するのは自分のブランドというか自分の信用力にも関わってくるかもしれないし、評判に関わってしまうかもしれないし、なんせ王族を処刑するのって大変なこと。

樋口:確かに。

深井:カトリックの人なんでカトリック世界の人達が衝撃が走るんです、メアリー・ステュアート処刑て。なにしとんねんとなって。フェリペもここでさっきも言ったけどエリザベスなんとかして殺さないといけないと思い始めるわけです。それまでお互いそんな戦争したくなかった、お金ないし。なんだけどもエリザベス側からしてもネーデルランド支援するしかなくて支援してるし、あと、フランシス・ドレイクにスペイン船襲い放題だよみたいなことを言い始める。フェリペ2世側からしてもメアリー・ステュアートが処刑されるし、自分たちの収入もアメリカ大陸からどんどんなくなって、これはイングランドに干渉してイングランドをなんとかするしかない。じゃないと自分たちの力が弱まっていってフランスと対抗できなくなってしまう日が来るんじゃないかという恐怖があるわけです。こういう形でお互いが戦争の方に走っていくという状態になって。そしてそこで起こったのがアルマダの海戦です。

樋口:むう。海戦というのは海の方。

深井:海。もともとこのスペインは海で戦うというよりは、巨大な陸軍を海運する、海で運ぶという戦略を立ててる。

楊:陸上で侵略するというのが彼らの最終的にやりたかったことです。

樋口:ふむふむ。

深井:ちょっとアルマダの海戦の話に入るね。アルマダの海戦なんですけど、これは本当にこの時代までの想像されたこともないほどの大規模な陸海両軍による上陸作戦なんです。すごい大規模だったわけです。スペインにサンタ・クルーズ公という人がいる。このサンタ・クルーズ公という人がリスボンに150隻の大型艦船を集結させてイベリア半島から直接イングランド本土へ3万の陸軍部隊を運んで行こうと。その中には砲兵隊とか工兵隊とか兵站部隊とかもそういうの全部含んで3万を送ってやろうという作戦を立てる。その艦隊は洋上に出たら海に出たら緊密な防衛陣形を保ってそれによって150隻て相当やばい、当時で言ったら。その150隻の防衛陣形をとって進んでいく。そういう作戦です。ざっくりいうとそういう作戦を立てる。一方でもう一人パルマ公爵という人がいるんですけど。この人も作戦を立てます。このパルマ公爵のアレスサンドロ・ファルネーゼという人がいる。このパルマ公爵はフェリペ2世の甥でもあるんですが、この人も3万の歩兵、これをイングランドに向けて橋をかけて、一時的な、それで運んでやろう。そういう作戦を立てる。

樋口:これもスペインの人。

深井:これもスペインの人。橋をかけて渡ってやろう。半日、12時間くらいで渡れると思ってたらしい。これの折衷案をとります。二つの作戦をどっちともやろうという話になる。スペイン側としては。これあんまり良くない、どっちもやるってのは。このスペインがこの作戦の準備をしている頃、あのフランシス・ドレイクがスペインに何してもいいと言われてた。

樋口:はい。

深井:この人が23隻を率いてスペイン艦隊を奇襲するんです。この準備中に。

樋口:ええ。

楊:先制攻撃だ。

深井:先制攻撃で24隻撃沈させてね。これで出鼻挫くんです、まず。これによって数ヶ月間準備が遅れるんです。でも止めることはできなかった。

樋口:150隻中の24隻。

深井:そうそう。すごいけどね、24隻も沈めたら。

樋口:けっこうでかいですよね。

深井:これはどういうことかというと、イングランド、イギリスからするとスペインが攻めてくるのスーパー怖い。

樋口:スーパー怖い。

深井:当時の最強国が150隻とか後で戦力差言いますけど、圧倒的戦力差がある中で本気出して攻めて来るみたいな話をし始めてるのは、めちゃめちゃ怖い。

樋口:怖い。 

深井:だから先制攻撃で戦争をなくそうとしたんだけどなくならなかった。数ヶ月間準備が遅れはしたんだけれども無くならなかった。そんな中で今度はスペイン艦隊の司令長官であるサンタ・クルーズ、さっきの作戦を立てた人。この人が亡くなっちゃうんです。これは運がいい、イングランドは。亡くなっちゃって後任の司令長官として任じられた人がシドニア公という人ですね。このサンタ・クルーズてのはすごい優秀な人だった。この人が艦隊を率いていたら結果は違ったと言われてる。このシドニア公は軍事経験がない。

楊:海軍の経験がない素人。

樋口:あら。

深井:素人。本人も断った、私素人なんで。けれども彼はすごくいうことを聞く人だったらしいし、あとは貴族の筆頭だったらしいのでフェリペ2世としても彼になってほしいと思った。彼を任じて彼に作戦指揮をさせることにするわけです。

楊:面白いよね。フェリペ2世とエリザベス1世の人材采配のロジックで全然違います。血筋か実力か。

樋口:なるほどね。あということ聞く。

深井:そう、エリザベスはいうことを聞かなくてイエスマンじゃない人達をそろえつつ、それの均衡を保ちつつ、海賊みたいな人も雇ってその人が成果をあげてる状態。フェリペ2世はすごい貴族ぽい。

楊:伝統的な価値観に則ってやってる。

樋口:なるほど。

深井:このスペインの無敵艦隊の準備を遅らせたもののいよいよ出陣してくるわけです。これをアルマダと呼ぶ。戦力は1000トン以上の船が7隻。800トン以上の船が17隻、500トン以上の船が32隻、それ以下の船が19隻。これらを主力としてあとは輸送船とかを合わせて130隻くらい。大砲でいくと2430門、乗組員は24000、と陸兵6000という30000人くらい。

樋口:すご。

深井:はい。さらにこれと別にということだと思うけど、ネーデルランドに進駐させてる歩兵部隊が、これさっき作戦が二つあるという話をした。二つ目の作戦の人たちが歩兵が30000万、騎兵が4000、この人達がイギリスの上陸を狙ってる。

樋口:やばう、やばい、大ピンチじゃないですか。

深井:大ピンチ。

楊:国力すごいね。食いもんとかも資材とかも用意しないといけない。

樋口:こいつらを遠征させるわけですから。

深井:すごい遠征ですよね。海を隔てるというのはすごい大変です。一方でイギリスの戦力ですね。もう一回繰り返すけど、スペインの1000トン以上が7隻あった。これが2隻しかない。800トン以上がスペインは17隻あった、これが3隻しかない。500トン以上が32隻ありましたよね、スペインが、これ24隻しかない。ただ、他の小型艦は153隻も持ってる。

樋口:数でいうとけっこうある。

深井:小さいのがいっぱいある。ただしイングランド、イギリスには熟練の兵士があまりにも少なくて。しかも防衛しないといけない土地がたくさんある。どこにくるかわからない、スペインが。着陸したとこ守らないといけないけどどこにくるかわからない。

樋口:島だから。

深井:イギリスって常備軍ないから軍隊招集も弱い。だから上陸した場所の兵士を集めないといけない。上陸した場所の兵士がどこかわからないから、どうするみたいになってる、イングランドとしては。

楊:幸いだったのはヘンリー8世、エリザベスのお父さんが生きていた時はヘンリー8世自身が国防大事になるよねと思ってて、海軍にわりかしお金をかけてたんです。だから軍艦製造もその時に130隻くらい作ってたし、あとは沿岸に要塞とかを要所要所に一応築いてた。だから不幸中の幸いというか、一応そういうお父さんからの遺産というのが活かされた部分はあります。もしそれすらなかったら結構苦労した。

深井:そうですね。それがなかったらしんどかった。

樋口:どうなるんだ、これ。

深井:はい、これがどうなるかですね。これほどの戦力差を持ちながら戦々恐々としていて、もっかいちょっとフランシス・ドレイクの先制攻撃成功したからもう一回やろうやという話もでるんだけど、天候が悪くて中止とかになって、そうこうするうちに本当にスペインの無敵艦隊が150隻来ちゃうんです。

樋口:怖い。

深井:見える。

楊:岬から。

深井:やばい数の人達がきてる、でかい。戦力差があってでかい船が多い、むこうは。でっかい船が向こうから来る。相手はアメリカ大陸とかも制圧してるめちゃくちゃ熟練した兵士たち。いや、これはちょっとやばいねとなる、頑張るイギリスが。イギリスの戦術とスペインの戦術を説明します。スペインの戦術は非常にシンプル。当時のスタンダードな戦術なんですけど、砲台はあるもののそんな強くはない。だから一回だけ砲台でぼんと撹乱させた後に近づいて乗り込んで制圧するという戦術、船の戦い方が。

楊:白兵戦だよね。白兵戦か。

深井:白兵戦。船に搭載された大砲はあくまで補助的な立ち位置なんです。これがスタンダード。スペインは陸軍がめちゃくちゃ強いので兵士はそもそもさっきいった熟練度が高いから、自分の強みで闘おうという考え方になると乗り込んで戦って勝つというのが自然と思いつく、彼らは。その強みに依拠した戦略を描いていた訳です。オスマンとの戦いであるレパントの海戦でもこの戦術を用いて勝ってるし、成功体験も持ってる訳です。これに対してイギリスの戦略というのはそれが強いということはわかってるので乗り込ませてはいけないという戦略なんです。なので速度の速い船を使ってヒットアンドランという戦略をとる。とにかく相手が近づいたら逃げる、そして撃つ。というのが彼らの戦略。

楊:小型船がイングランド側は多いのでそのスピードも大型船よりも出せた。

樋口:小回りがきく。

深井:そう。この戦略が功を奏すことになります。

樋口:おお。

深井:まず戦闘経緯ですけど、最初プリマスとかダートマスというところの近くの沖の方で戦闘が繰り広げられますが、大勢は決まらずなんともなりません。そのあとポートランド沖ってところでまたもや砲撃戦が繰り広げられるんですけど、ここでもさっきのイングランドの戦略はスペインに切り込ませない、乗り込ませないという戦略をとって距離をとるので何も起こらない、結構死傷者はもちろん出るけど、でかい大局がきまらないという状態が来ます。この後ワイト島沖というところでも同じように決着がしない。なんだけれども、カレーというところの沖のところに来た時に、ここででかい動きがある。

樋口:なんだ。

深井:これはスペイン艦隊はもう一つ歩兵部隊を陸に置いといた。この人達と合流したかった。合流するためにカレー沖で停泊してた。このカレー沖で停泊してる人たちに対してイングランドは焼き討ちの作戦をとる。

楊:火攻めをする。

樋口:火。

楊:赤壁の戦いだよね。

深井:赤壁の戦いと同じ戦略ですね。

樋口:はいはいはい。

深井:古い布と帆の布とかロープとかタールとか可燃物をいっぱい詰め込んで、船体にも油を染み込ませて大砲が暴発するようにしておいて、志願者を募ってこの焼き討ち船を操縦させて船尾にロングボートつけてこれで逃げようぜとかいいなが突っ込んでいく。

樋口:ええ、突っ込んでいくんですか。

深井:そうそう。火をつけて突っ込んでいく。この焼き討ち船が近づいて来た時に過去スペインはこの焼き討ち船で苦労したことがあるんです。なので、やべってなった、一回。やべ、あれ焼き討ち船だ、前すごい痛い目に見せられてやつで爆発するやつじゃない、みたいな。昔海戦でスペインが経験したのはいきなり船がぼんと爆発してうわっとなるやつを見てた。あれも爆発するんじゃねって一瞬パニックになるんですけど、意外と冷静。スペインは練度が高いので逃げればいい。逃げようやということで碇を切って、切り落として逃げることに成功するんです。全然大して焼き討ちできない。けど碇を切っちゃったことが流れの強いこの後の海戦の中で彼らが一つのところに留まれなくて、兵士と合流できないとか、そういうことを引き起こすようになります。

楊:兵力が分散してしまう。

樋口:あら。

深井:陣形を取れなくなる、碇を切ったことによって。結果的にめちゃくちゃ撹乱できるようになった。

樋口:なんか、それだけでって感じがする。

深井:それだけで。焼き討ちをしようとした。焼き討ちはそんなできなかったけど、碇を切らせることができた。碇を切ることによって陣形を保てなくなったりとか、一つのところに留まれなくなったスペイン艦隊は帰らざるを得なくなるという謎の負け方をする。

樋口:ええ。碇、なんか、結んだりできなかったのかな、なるほど。

深井:そうなんです。この後、カレーではこういう形で戦力が陣形が作れないようにさせて、そのあとクラブリーヌというところの沖のところでもう一回戦闘がある。この時スペインとイングランドがめちゃくちゃ血みどろの戦いになる、ここでは。めちゃくちゃお互い撃ち合ってばんばん人が死ぬわけ。ばんばん人が死んでついにイングランドの砲弾が切れる。切れるんだけど風が吹く。

楊:神風が吹く。

樋口:へえ。

深井:この風が吹いちゃうと碇が切られてるから留まれないからイングランド艦隊に近づけない、スペインが。船もぼろぼろになってきたし、スペインも近づけないからしょうがないから帰らないとってなっちゃう。戦えなくなっちゃう。

楊:スペインの艦隊の主力艦が操作を誤って航行不能になってドレイクに拿捕、捕まえられたりとか。あとはスペインの艦隊で火薬をめちゃくちゃ多く運んでる船があった。火薬庫替わりの船。それも事故で爆発して航行できなくなった。そういう運が悪いところもありました。

深井:それで戦意も喪失してしまって、スペインが帰ることになるんです。船がだいぶボロボロになってた、その銃撃戦というか砲弾戦と銃撃戦で。もう穴とか開きまくって水とか入って来るし、みたいな感じで。決着つけたいけどつけれない。多分決着つけれたらついたと思うけど、どんどんイングランド艦隊から離れていっちゃうのを避けられなかったからどうにもならないという状態となってしまうということが起こります。これは一回帰国しようということで帰国することにするけど、帰国する途中で船がもたなくなってどんどん沈没していく。傷ついてるから。沈没していくし、沈没しそうだからアイルランドに難破してアイルランド沖に停泊させたりするけど、そこにまたイングランド兵が待ち受けてたりして、そこで虐殺されたりする。ぼこぼこにされたりして、命からがら逃げたのが3分の2くらいかな、3分の1くらいが死んじゃったのかな、この時。

楊:生き延びたのが3分の1。

樋口:はいはいはい。

深井:生き延びたのが10000人だけだったと。30000万人動員したうちの20000人がこれで亡くなっちゃう。ぼろ負けするんです。

樋口:すげえ。

楊:だからアルマダ海戦で死んだ人とか沈んだ船よりも帰り道で死んだ人、沈んだ船の方が多い。

樋口:へえ。

深井:最短ルートで帰れずにグルっと回って帰らなくちゃいけなくなって、ぐるっと回って帰ってる途中の航行に耐えらなくてどんどん沈没したりとか、途中で立ち寄ったところでぼこぼこにされるということでどんどん人が死んで、それでぼろ負けするというすごい負け方する。

樋口:はあ、なんか神風とか碇とか、運が相当。

深井:こういう戦いって世界史中で何回かある。日露戦争もそう。負けない準備ちゃんとしてた人たちが最後運でかつ。

楊:あと日本の元寇とか。

樋口:元寇もそうですね。

深井:面白いよね。

樋口:揺らぎですね、この辺が面白い。

楊:特に海の上ってもろ天候に左右されるからね。そこを読み切れる人がそんなに多くはないので、それは不確定要素として大きい、天候が。

深井:これはフェリペ2世はすごくショックだった。

樋口:でしょうね、これは。

深井:最強国である自分がイングランドにぼろ負けするということが起こって、すごくショックだったけど、僕フェリペ2世立派だなと思うのが。

楊:乱れない。

深井:乱れなかったんです、彼。

樋口:へえ。

深井:指揮官も罰しないんです。この後ちゃんと立て直す。スペインの艦隊を。立て直したりするんですけど、やっぱりずっと財政難があってスペインというのはやっぱり金銀をとりすぎててインフレを起こして経済的に破綻して財政状況が逼迫していてそれでダメになっていく、その後。勢いってある。スポーツでも流れが変わるってある。

楊:あるある。

深井:それがスペインの流れが変わっちゃう、これで。アルマダで負けることによって、スペイン大したことないんじゃないみたいなことになって。地位が落ちていくことによってその後ぐだぐだになっていく。それ以降スペインは落ちていってしまう。

楊:アルマダ海戦によってスペインがドン底に落ちたわけではないですけど、やっぱそれのスペインが没落していく過程の中での一つの大きなイベントだった。

深井:あとは海賊行為によってせっかくとった富がどんどん奪われるとかどんどん弱くなっていくのにもかかわらず出費はどんどん増えていく、インフレもしているし。それでずっとボディブローのようにきいてきていて、フェリペ2世の時代はまだよかった、彼は名君なので。でも彼の後を継いだフェリペ3世と4世という人がいるんですけど、彼らはすごい凡人でどんどんダメになっていった。これすごくわかりやすい。凡人がこういう辛い時を継ぐとダメになる。エリザベスみたいな名君が継ぐとなんとかなる。

楊:なんとかなる。いやあ、蜀だね。

樋口:魏呉蜀の。

深井:エリザベスはめちゃくちゃ良くはしてないんです。けれどダメにしてなかったんです。これは難しいことなんです。

楊:持たせるというのは、潰れる寸前の会社を持たせていく。

深井:持たせてめちゃくちゃ強い奴が攻めてくるけど、それに対してもなんとかする。

樋口:なるほどね。まあ当たり前ですけどね、すごい人がいたらなんとかなるってのは。それが歴史上で起こってる。

楊:エリザベスの支持ももこれで爆上げになります。

深井:爆上げ。爆上げ。

楊:本当に神に愛されてるんだこの人はってなる。

樋口:ですよね。

深井:それくらいスペインに勝つってことはすごいこと。難しい。

樋口:いいですね、これテンション上がりましたね、アルマダの海戦。

深井:今でも有名な戦いです。

楊:アルマダの海戦の前にエリザベスが演説とかしてる。それがエリザベス、ザゴールデンエイジという映画の中で再現されてて。

深井:あったね。

楊:そうそう。女王がケイトブランシェットがやってる。めっちゃかっこいい。

樋口:かっこいい。

深井:実際はあんな若くない。50代なんだけど、確か、エリザベスこの時。だけど本当かっこいいし、頑張ったね。

樋口:そうか。

深井:これはなかなか相当むずいと思います。なかなかスペインを追い返すとかできないし、僕はエリザベスの勝因は何にもまして内紛をさせなかったことにある。

楊:おれも思う。

樋口:いい話。

深井:中をまとめることができていたことがこの未曾有の状態に対して結果的に崩壊させないことができたことの一番の理由なんじゃないかな。家臣の扱いが上手い。女性リーダーて大変なんだろうけど、すごくうまかった。その中でも。そのディスアドバンテージを持ちながら。

樋口:なるほどね。

楊:いろいろ小さな失敗とか優柔不断とか言われてたりしてたけど、采配は間違えてない。人の采配は。

深井:すごい上手い。

樋口:優柔不断というのも裏を返せばちゃんと保留できたというのもある。

深井:あるし、部下から優柔不断だと見えることが本当に優柔不断とは限らないですからね。

樋口:そうですよね。

楊:だよね、結果的にイングランドをもたせたから。

深井:そう、持たせてるから。結果的に優柔不断なわけじゃなくて、単純にいい決断をしているとも言える。部下からすると自分の意見が採用されてなくてなんでやねん、いいなとかいってたくせになんで採用しなかったんだよという感じで思ってるんだろうけど。結果的に正しい判断をちゃんとしていたということだと思います。

樋口:よく考えたら50過ぎてる、この時点で。

深井:うん。

樋口:はあ。すごいね。50過ぎてこのアルマダの海戦を乗り切った。素晴らしい。爽快な回でしたね。という感じですかね。

深井:次回最後ですね。

樋口:あら、まじか。最後か。

深井:結構やったよ。

楊:今8時半です。

樋口:やばいやばい。じゃあ、僕らも腹減ってきたんでそろそろ次にいきましょうか。ありがとうございます。

楊:ありがとうございました。

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