【今回の内容】
求婚/フランス・スペインの戦争終結/スコットランドとの関係回復/カルヴァンの台頭とフランス弱体化/エリザベスとダドリー/エリザベスの部下紹介/優秀!ウィリアム・セシル/暗殺阻止!フランシス・ウォルシンガム/羊ちゃん、水、、/悪貨は良貨を駆逐する/貧乏対策/1人を重用しない、バランス政治
樋口:はい、ええ前回まではエリザベスがフェリペ2世からの求婚を断ったってところの話をお聞きしたんですけども、続きでございます。
深井:はい。フェリペ2世からの求婚断られたのはデメリットもあるんだけれども断ります。断った中で、というか断ります。断ってから外国から他にあらゆる結婚申し込みがくるわけです。常時10人から12人くらいの外国特使がエリザベスに結婚の話を持ってきてたみたい。その中でもやっぱりエリザベスとの結婚に意欲的だったのはハプスブルク家。これはオーストリアの方のハプスブルク家だからこれは神聖ローマ帝国の方ですね。神聖ローマ皇帝の息子たちもエリザベスには結婚の話をいっぱいもってきてたみたいだけど。全部軽くあしらう感じだったらしい。
樋口:もうしないと決めたから、結婚を。
深井:そうそうそう。
楊:もう結婚するとその辺の権利の網の目にからみとられますから。
樋口:ということですね。
深井:この中で国際情勢というのがちょっとずつ変わっていきます。結婚話とかしてる間に。まずイギリスとフランスは戦争してた。だけれどもこれが終結していく。なんでかと言ったらスペインとフランスが戦うのをやめたから。
樋口:ふうん。二大巨頭ですよね。
深井:二大巨頭であるハプスブルク家スペインとバロア家フランスが戦ってたんだけど。それにイングランドを巻き込んで一緒にイギリスとフランス、イングランドとフランス。言い換えますと。戦ってたんだけど、それでカレーという場所を失うほど大敗してて泥沼化してたんだけども、フランスとスペインが講和を結ぶんです。だから自動的にイングランドも戦争する理由がなくなる。
樋口:ヨーロッパ中が平和になる。
深井:まあ、うん。
樋口:なるほど。
深井:色々小競り合いありますけどそうですね。フランスとスペインが講和を結ぶことになる。なんでかというとフランスもスペインも戦争しすぎて財政が困窮してるからです。なので、フェリペ2世はエリザベスの結婚を断られてからフランス王アンリ2世という人がいるんですけど、この人の娘と再婚します。この娘の名前がエリザベート。いわゆるエリザベス。
樋口:発音が違うだけ。
樋口:ちょっと似てます。
深井:これに関してはすぐ他の人と結婚したからエリザベスは皮肉言ったぽい。
樋口:それはそれでやっぱり言うんだ。
深井:陛下は私をあまりお好きではなかったみたいですね。たった2ヶ月もお待ちになかったのですから、はは。と言ったらしい。
樋口:なんともいえんな、これ。
深井:あとはスコットランドとの関係も改善していきます。これなんでかというとスコットランドが新教派がいて、スコットランドにも。
楊:プロテスタント。
深井:プロテスタントがね。フランスとカトリックの支配があったんだけど、スコットランドには。スコットランドってフランスと仲がいいメアリー・スチュアートがいるよって話をしましたけど。そこはフランスはカトリックですからね。このフランスとカトリック派の支配をはねのけたいというプロテスタント側の人たちが出てきて、イングランド、イギリスもそれを支援して。ついにこのフランスとカトリック勢力を打倒することになるんです。カトリック教徒であるメアリー・スチュアートという女王は貴族による国務会議みたいなもので統治されるという状態になる。これすごく大きいんだけど、メアリー・スチュアートがエリザベスの王位継承権をついに認める。これ認めずにイングランド、イギリスの王位継承権を主張してたんだけど、メアリー・スチュアートは。エリザベスが王様で女王でいいよという話をする。
樋口:はい。
深井:こん中で大国フランスが弱体化していきます。
樋口:ほええ。
深井:何が起こるかというと当時アンリ2世という人が王様だったんですけど40歳の若さで亡くなってしまいます。
楊:事故でね。
深井:イベントで馬上試合、馬に乗って槍を突き合うみたいなのやってたらマジで刺さって死ぬ。で、10代半ばのフランソア2世というのが即位する。こういう不安定な政権の中でカトリックとプロテスタントの対立がちょう激化していく。カルバンがいたから。
樋口:ああ。
深井:カルバンの影響で新教、プロテスタントが勃興していってユグノー戦争と呼ばれる血みどろの戦いに発展していきます。
楊:ユグノーというのはフランスにいるカルバン派のプロテスタントたちのことを言います。
深井:こうやって内戦に突入してしまったことによって強国バロア家のフランスが弱体化していくんです、一時的に。これによって国際情勢が本当刻一刻と変わっていく。状況が変わってくるんです。そんな中でそうやって求婚されたりとかしてるんだけど。エリザベスは天然痘にかかったりとかして一時危篤とかになったりする。天然痘ってイボ、アバタが残る、当時の医療技術だと。29歳でアバタが残ったりします。一応幸い回復して本当死にかけたんだけど幸い回復した時にやっぱり女王に子供がいないというのは相当危ないということでみんなが結婚してくれ結婚してくれていうんです。だけど結婚しない。
樋口:意思は強い。
深井:そこの意思がすごく強い。全然負けない。一方で愛人がいる。愛人というか恋人はいる。
楊:ちゃんと恋愛はしてます。
樋口:恋愛はしてる。
楊:いろんな人とね。
深井:その一人が有名なのがロバート・ダドリーという人。ロバート・ダドリーという人はすごくイケメンで背が高い。
樋口:イケメン好きだった。面食い。
深井:常に女王の身辺で過ごすようになって結婚さえ囁かれていたんだけど、これもエリザベスの性格を表すなと思うけど、ダドリーにはもともと妻がいた。この妻がある意味邪魔なわけじゃないですか、ダドリーからすると。だって女王と恋愛してるから、結婚したらそっちの方がいいよねとダドリーは思ってる。エリザベスもたぶんまんざらではないところはあったと思うけど、本当に結構好きだったと思う。ダドリーの妻がある日階段から落ちて死んでるのが見つかるんです。
樋口:あら、事故。
深井:これ、事故じゃなくて暗殺だろうとみんな思った。だってダドリーの妻が死ねば結婚できる、エリザベスと。エリザベスが関与してると言った人はあまりいないけど、ダドリーが殺したんじゃないかって言われた。当時。
楊:自殺の説もあります。ダドリーの妻は精神を病んでた、精神病を患っててそれで自殺したとう説も一方ではあります。
樋口:はい。
深井:公然の秘密だった、エリザベスとできてるのって。だから妻も知ってた。それが辛かったという意見もある。
樋口:不倫相手女王だったらきついな。
深井:文句言えんよね。これの時のエリザベスの処置というのはロバート・ダドリーと距離を置くことにするんです。暗殺したかもしれないという噂は受け入れられないというか危ないんです。
楊:つつかれるかもしれない。
深井:そうそう。つつかれるかもしれないからダドリーは距離を置くんだけど殺したりはしない。ダドリーは寵臣として地位は維持させるんだけども恋愛に関しては一歩距離を置くということできる、この人。
楊:政治的なことを考えて距離をとるのバランス感覚がすごくあったと思います。自分の感情を優先するよりも。
深井:このロバート・ダドリーは長い間寵臣としてやっていきます。エリザベスは面白くて気に入った部下にあだ名をつけるんです。ロバート・ダドリーはザトゥーアイズというあだ名をつけます。
樋口:二つの目。
深井:目がすごい綺麗だったらしくて、トゥーアイズって全員トゥーアイズ。
樋口:おれも。
深井:目が綺麗だからトゥーアイズ。目が印象的だねという意味で呼んだりとか。あと部下を主要な部下だけばあと紹介しようかなと思う。ウイリアム・セシルという人がいます。
楊:重要な人物です。
深井:この人すごく重要な人でザスピリットと呼ばれてる。
楊:精霊。
樋口:精霊。なにそれ。
深井:この人は40年にも渡ってエリザベスを補佐する。
楊:番頭さんみたいな人、宰相といっていい。
深井:宰相みたいな感じで国務長官なんです。
楊:孔明みたいな人です。
深井:めちゃくちゃ本当に優秀だったみたいなんですけど。この人の逸話が何個か残ってます。まずメモ魔として有名だったらしい。問題が起こると何から何まで全部書いて欠点と利点を書き並べて分析をして入念に検討してそこに感想まで書き留めてそれを熟考してから意見を表明するみたいな。考える系の人でしかも天才的な記憶力の持ち主だったらしくて。しかもめっちゃ働くらしい。
楊:勤勉。
深井:いつ寝てるのかわからないみたいな。ちょう働いてたらしくて。いろんな嘆願書が100通近く1日届く。夜帰ってからそれを片付けて朝には返事が全部出来上がってる。
樋口:はあ。夜中にメール返信んしてる。
深井:本当そうです。
楊:政府の隅々まで目が届いてますし情報収集にすごく時間をかけてやって、それを元にして考えて女王にいろいろ掛け合っていくというのはやってます。
樋口:ふうん。
深井:仕事が終わるまで食事も睡眠もとらないし休息もしない人だったらしい。
樋口:それは休み。
深井:これは部下の言葉なんですけど、ウイリアム・セシルの部下です、が、このお仕えした24年間の間で半時間、30分でさえ休んでるのを見たことがない。
樋口:へえ。
深井:寝床に横になってもずっと何か考えてるか本を読んでた。
楊:エリザベスは人に恵まれたのもある。
深井:恵まれたのもあるけどやっぱり単純に彼らの力を生かすのがうまいです。
楊:いかす前の前提として舐められなかった、エリザベスは。いろんな記述があって部下の人ってエリザベスに報告したり相談したりする。それを相談した本人よりもそのことをエリザベス女王はもっとよく知ってると言う記述が残ってる。だからエリザベスの方が知ってる、部下が考えてることよりも。それを前にすると、それは女王ではあるけれども女性ではあるけれども、ね。なんか、もう服するしかない。
深井:バカにされないようにしてたと思うし頭がいいから、エリザベス自身も。ウイリアム・セシルとかもすごく賢い人なんだけど。すごく対等以上に話をしてるから、そういう意味でも舐められなかったでしょうね。メアリー1世の時とは全然違ったと思います。
樋口:いい関係性だな。
深井:ウイリアム・セシルがどういうこと言ってるかというのを紹介すると、女王に助言が許される場合は反対されても自分の考えを変えることはない。それは神を冒涜することになるからだ。私は第一にまず神に至誠を尽くさねばならない。そういうポリシーを持った人です。だからこの人すごく真面目に国のために神というかイングランドのためにってことになる。それを義務としてやっていて休みなく働きまくっていてエリザベスからもめちゃくちゃ信頼されているって人です。
楊:まじ孔明だね。
樋口:孔明ですね。
深井:だからイエスマンじゃないってこと。かれは息子がロバート・セシルという息子がいて、このロバート・セシルは体に障害を持っていたけどこのロバート・セシルもめっちゃ優秀なんです。だからお父さんより優秀だったとんじゃないかと言われてる。当時障害があるとけっこう忌避される。
樋口:差別を受ける。
深井:差別を受ける、バカにされるわけです。かつ、見た目があんまよくなかったみたい、ロバート・セシルは腰が曲がってたんだって、身体障害で。その腰が曲がってるってエリザベスからしたら。
楊:美しくない。今だととんでもないけどね。
深井:そう。美しくないから入れられなかったけど、ロバート・セシルに関してはあまりにも優秀なので入れたらしい、側近の中に。それくらい優秀な息子がいます。この人も有名な部下のうちの一人です。あともう一人が、あと何人か紹介します。フランシス・ウォルシンガム。これザムーアと呼ばれてる。ムーア人のように肌が黒かった。
樋口:なんやその付け方。
深井:この人はダブルオーセブンのMみたいな人です。
樋口:へえ。
深井:スパイ機関の長官みたいな人で、諜報機関の人です。
楊:国内外にスパイ網を張り巡らして、エリザベス女王に対する陰謀を潰してきてる。
深井:暗殺計画とかを全部潰していく。このフランシス・ウォルシンガムです。
樋口:かっこいい。
楊:むちゃくちゃ情報収集、あとは外交の専門家です。
深井:もう一人がクリストファー・ハットン。これはザリッズと呼ばれたりしてる。まぶたという意味、ザリッズ。
樋口:そう言うの多いな。
深井:あとはマトン。羊ちゃん。すずき羊ちゃんと言われてる。
樋口:なんでそんな可愛いんだ。
楊:エリザベスちょっと楽しんでる。
深井:たぶん文学的表現なんだと思う、彼女の中では、これは。
楊:そうかそうか。
深井:そうそう。彼はジェントリー出身でオックスフォード大学で学んで、すごく優秀な人だそうです。という人がいたりとか。あと、ウォルター・ローリーていう女王護衛隊長、ザウオーターと呼ばれてる。
樋口:水。
深井:はい。
楊:肖像画の中で僕個人的に一番イケメンだと思ってる人です。かっこいいです。
深井:見たい人は是非。あとはね、面白いんだけど、海賊も部下にいるんです。フランシス・ドレイク。これ海賊ね。あとでもう少し詳しく話すからその時に話すね。ジョン・ホーキンス。これも海賊です。海賊とかも部下に入れた、こういうちょう優秀な家臣団に支えられてイングランドというのは栄達していったわけじゃないけど礎を築いていくんです。
樋口:ちょっとわくわくしますね。だって最初は田舎者扱いだったわけですよね、ヨーロッパの中で。
深井:イングランドがね。
楊:逆にそうだったかもしれない。本土のフランスとかだと実際の本人の能力よりも生まれだとか血統だとかにものすごくウエートが置かれてたと思う。イングランドは辺境だし貧しいし。だからそういう血統とかというよりも能力だったりとか実際なんぼの金もってる、そういったことがすごく価値観としてエリザベスが時代として大事にされてきた部分もあるし、エリザベスもそれを大事にしてそれをもとにして自分の政権を作っていくという部分はあると思う。
樋口:いいね。
深井:こういう家臣団に支えられながらいろんな課題がある話をしました。彼女が女王になった瞬間は、まず物価がインフレを起こしてむちゃくちゃ上がっているのはヘンリー8世の時に質の悪い通貨、コインをたくさん作って、それによって物価が安定しない、上がっていく。それによって輸入品が高騰して輸入ができなくなって国民生活に支障が出ているという話をしました。まずこれを改善しないといけない。なので、ここはトマス・グレシャムというすごい有名な人がいる。これ経済学部の人とかはたぶん習ってると思う。悪貨は良貨を駆逐するという言葉で有名なトマス・グレシャム。
楊:この人なんだね。
樋口:聞いたことがある、この言葉だけは。
深井:これどう言う意味かというとね、これ経済学部だとたぶん学んでる。金保有率が高いコインと低いコインが同じ価値として認定されていると、みんな金保有率が高い貨幣は貯金するんです。悪い方を使う、まず最初に。非常に流通するのは悪貨の方が流通する。だからどっちもあっちゃだめだし悪貨の方が流通すると価値が安定しなくなるのでやめれという話。
樋口:なるほど、確かにいわれてみたら絶対そうする。
深井:この時は銀貨だった。銀貨の改鋳をすすめて作り直してポンドの評価を安定させるという施策を打ちます。もう一つエリザベスがやった法律の中で有名なのが救貧法というのがある。貧しいを救う法と書いて救貧法という。これはイギリスに置ける社会保証の一番最初だと言われてる。正直そんな感じじゃないけど。これどういうことかというと、これはお金の歴史の時とかでもちょっと触れたかなと思う。毛織り物が輸出が多くなっていったという話を、このシリーズの中でもした。ポンドの価値、自分たちの通貨価値が下がって言って、輸出すると儲かるということになった。輸出すると儲かるから毛織り物が輸出ができる。とすると農業するよりも毛織り物をする方が儲かるぞとなってきた。そうすると農耕をしてた人たちがどんどん牧畜に転換させていった。そうすると農耕よりも牧畜の方が人がいらないんです。羊は放牧しとけばいい。農耕ってのはみんなでやらないといけないから。もちろん牧畜も大変だと思いますけど、面積当たりの人間の数はいらない、牧畜。失業者が大量に出る、これで。農耕地を牧畜地に変えていっちゃったんです。ジェントリー、お金持ちの人たちが。それによって大量の失業者が出てきて、その人たちが都市に流入してくる。仕事がないので。この人たちをなんとかしないと国がやばいねとなったので救貧法で働ける奴はちゃんと働きなさいということを定めたりだとか、あとは元々カトリック、これ宗教改革の時いったけど、こういうセーフティネットは元々カトリック教会がやってた。カトリック教会がやってたにも関わらずその人たちが土地を没収し、そんなに倫理観がない金持ち、ただ金を儲けた人たちにその土地が回ってしまった。その結果セーフティネットを敷く人が誰もいなくなってしまった。だけれどもエリザベスはこの時にもともと教会が社会保障してたわけだからあなた方が引き続きやりなさいという話をするんです。
樋口:ジェントリーが持ってるんでしたっけ。
深井:土地はね。
楊:なかなか当時も産業革命が始まる前だったんで雇用を吸収する仕事の種類も貧弱だった。毛織り物とか農業とか。それくらいのものしかなかったんで。産業革命が起こるといろんな仕事が出てきて雇用が吸収できる器が大きくなる。この時はある種国としての限界もきてたと思います。雇用の、仕事の量。
樋口:そうか。
深井:あとは、職業頑張んないといけない、プロテスタント、特にカルバンの考え。宗教改革でもやりましたけど、あれが天命と言うか天職ですから。救貧であるというのはその義務を果たせてない、貧しいということはその義務が果たせてないという考え方があって、結構シビアになってた。カトリック時代よりも。
樋口:ありましたね、そういう考え。
深井:貧乏な人に対しての考え方が結構シビアになってたので。そこをてこ入れを国家がするということをします。資金の拠出を聖職者に呼びかけていって、その能力があるのに応じないものには処罰を規定して。資金を強制的に出させると言うことをやります。
楊:なかなかこれ効果ってあったっけ。
深井:あまりなかった。
楊:なかったよね。金がそもそもあまりないから。
深井:いろんな施策をとるんだけどうまくはいってなかった。そしてもう一つ政策としてやったのは重商主義と言われるんだけど、経済活動を重視するというやり方をやっていきます。貿易で儲かってたから。それを国家の厳重な管理のもとやっていってちゃんと儲けていこうねということをやっていきます。
樋口:前は国として経済活動を思いっきりブーストさせていく方向に向かったってことですね。
深井:そう言うことです。こういう形で商業を重視したりとか、あとは社会構造が変わったことによって出てきた問題を解決したりとかをさっきいったような優秀な部下たちとともにいろんな人の意見を聞いて、しかもエリザベスの偉いところは一人の人を重用しないんです、必ず。この人の話だけを聞くと言うことは絶対にしない。さっき言った、優秀な部下がいっぱい出てきた。あれ、わざとなんです。いろんな人たちを用意して、その人たちから満遍なく意見を聞いて判断して。誰か一人だけが権力を持つと言うことをしないようにして運営していくという体制をとった。
樋口:へえ。
楊:牽制しあうような体制をわざと作るんです。さっき出てきたウイリアム・セシルがいる。あとはロバート・ダドリー、この二人意見対立があるんです。ウォルシンガムもそうです。ウォルシンガムとロバート・ダドリーは対カトリック教皇派なんです。一方セシルは穏やかにいこうぜ、って穏健派なんです。そこでも政治的な意見の対立があるんですけど、そこはわざとエリザベスは全部入れてる。
樋口:偏らないようにしてる。
深井:偏らないとか、そうやって一人の人を重用しない。これは元々ヘンリー8世が亡くなる時にエドワード6世の遺言で言ったことがまさにそれなわけ。一人の家臣に偏らずに分散させて統治しなさいといった。結局ヘンリー8世はその遺言をちゃんとやりとげたのは娘だったってのは面白いなと思った。
樋口:ロマンチックですね。
楊:でもこれ、優秀な部下たちをバランスを保たせるというアレンジができるのもエリザベス本人が舐められてないとできないよね。
樋口:舐められてたらできない。
楊:あ、舐められてたらできない。
深井:そう。
楊:彼らよりもある種優秀じゃないとだれも求心力がないし言うことをきかせられないんで。
深井:ということで、この後またいろんなことが起こる。そういう状況の中でいろんな政治問題がある中でそれを一つ一つ今みたいな感じで解決していく。そのちょう綺麗に解決するわけじゃないけど、一応施策を打っていくんです。その中でスペインとの関係が悪化していきます。フェリペ2世と。
樋口:そこがまた持ち上がってくるんだな。色恋沙汰。
深井:ここからまた。色恋ではない、すごく政治的な話。どんどんどんどんまた状況が展開していくので、次はその話をしていきたいなと思います。
樋口:なるほどですね。結婚とあれがややこしいですね。国のあれが。なんか、普通に好きで結婚する以上の意味が出ちゃってるから、そこがすごい複雑。
深井:恋愛結婚なんてちょう最近ですから。
楊:基本的に政略結婚です。
深井:それはどの国でもそうです。
樋口:大変ですね、昔の人。
楊:今もね。
樋口:今もあるかな。
楊:皇族の方々は苦労されますね。
深井:未だに、生まれがいいと大変だよね。
樋口:ということですかね。ありがとうございました。
深井:はい。
楊:ありがとうございます。