#177「おめーの席ねぇから!」王女エリザベス、母親の処刑で庶子転落

【今回の内容】
不幸の中、人に恵まれたエリザベス/ヘンリー8世待望の男子の誕生/6歳で身につけた宮廷作法/結婚と離婚を繰り返すヘンリー8世/聡明なキャサリン・パーとの出会い/メアリーとエリザベスの王位継承権の回復/ヘンリー8世の死と摂政エドワード・シーモアの台頭/エリザベス1世が受けた英才教育/トマス・シーモアとエリザベス1世の事件?/キャサリン・パーの死とトマス・シーモアの処刑/波乱万丈な

樋口:はい、ええ、前回まではアン・ブーリンの処刑されたところの話までをお聞きしたんですけども、続きでございます。

深井:前回アン・ブーリンが処刑されてこの時エリザベスまだ2歳8ヶ月でしかなかった。王女から庶民の子供と書いて庶子になっちゃう、エリザベスが。庶子になるとレディエリザベスと呼ばれる。エリザベス家臣がたくさんいたんだけどその人たちも次々と辞めていってしまって、残った人たちの規律とか道徳とかもどんどん乱れていったと書いてありました。そういう状態で生まれて3ヶ月でアン・ブーリンとも離されてますし、かわいそうな状態であるなと思うけど、彼女はすごくしっかりとした教育を受ける。

楊:人に恵まれた。

深井:人に恵まれてるよね。

楊:不幸の中で。

樋口:うんうん。

深井:一時着るものも不足して古い衣装を縫い直して凌がないといけない、庶民からしたら当たり前なんでしょうけど王族の中では辛いみたいなイベントが、イベントというか辛い状態とかがあったりとかして。このころのエリザベスの記録ってめちゃくちゃたくさん残ってるわけじゃないんですけど。4歳の時に、エリザベスが、ヘンリー8世と会う機会があったみたいです。このころには3番目の奥さんのジェーン・シーモアがついに男の子を産んで。

樋口:ついに、生まれるんだ。

深井:盛大な洗礼式が行われる。この洗礼式の時にキャサリン・オブ・アラゴンの腹違いのお姉さんであるメアリー1世、そしてエリザベス1世、とともにこの男の子、これがエドワード6世なんですけど、このエドワード6世の洗礼式の儀式に参加をするというところでヘンリー8世と接点があったりとか。それ以外にはいろんな違うお城とか宮殿とかぐるぐるぐるぐる移り住んでるんです、この当時の貴族って。一つのところでずっと暮らしてるわけじゃなくて。汚くなって住めなくなるらしいね。

楊:掃除しないのかな。

深井:するけど、汚くなって住めなくなって、新しい家に行って、みたいな。不衛生すぎて病気が蔓延するからぐるぐる回るみたいな話みたい。

樋口:誰に育てられてるんですか、エリザベス1世は。

深井:教育係りがいるんです。

樋口:いるんですね。はあ、貴族としては一応育てられてるってことですね。

深井:ヘンリー8世も別にめちゃくちゃ愛情注いでないわけでもなくて、メアリーにもエリザベスにもプレゼント、クリスマスプレゼント贈ったりだとか、完全無視してるわけでもない。普通にちゃんといい教育が受けれるようにしたりとかしてる。6歳の時点で40歳の貴婦人かのような厳かな態度でお礼が言えたりだとか挙動がそんなレベルだったらしい。宮廷作法完璧に身につけてたらしい。

楊:お利口さんだったんです。

樋口:お利口だしいい教育受けてたし。

深井:お姉さんのメアリー1世と一緒に住んでたりもしてたらしくて、すごい可愛がってもらってたみたいですよ、腹違いのお姉さん。こんな感じでちょっとずつ成長しながらヘンリー8世がどんどん奥さんを変えていくわけです。まず3番目の妻であるジェーン・シーモアがどうなったかというと、さっき3番目の奥さんが待望の男子を産んだという話をした。けどこの出産を機に、きっかけに亡くなってしまうんです。ジェーン・シーモアさんが。

樋口:お母さんが。

深井:お母さんがね。

樋口:あら。

深井:だから、待望の男子でエドワード6世になる男の子が生まれるんだけれども奥さんは亡くなってしまって。その次にヘンリー8世は新しい妃を探すわけです。ドイツのユーリヒ=クレーフェ=ベルク公家っていう家があるんですが、ここでまたアンさんなんですけど、これ。アン・オブ・クレーヴさんですね。クレーフェと同じなのかな、これ。アン・オブ・クレーヴさんという人と結婚をすることになります。これ、どういう経緯で結婚したかというと、プロテスタントとの協力関係を模索してた、この時は。

楊:力を持ってきてるから。

深井:そうそう。プロテスタントと結ぶことによってイギリス国教会の立場を維持したりとか、そういうことしていきたいなと思っていたので、このドイツ系の奥さんを探すことになる。肖像画をみてすごいこのアン・オブ・クレーブを気に入ったらしい。

樋口:ふうん。

楊:掃除の王族とか貴族の結婚って国の政治行為なので政略結婚でしかない。その結婚交渉っていう段階があるんです。臣下たちが結婚交渉する。その最初の一つが肖像画の交換なんです。お見合い写真じゃないですけど、肖像画を交換して今から結婚交渉始めますというのがルールだった。

樋口:写メ見せてって感じ。かわいいん、それ、写メ見せて。

深井:まあそう。これがね、肖像画を気に入ったんだけど本人全然違ったらしくて、見た目が。めっちゃ失望するんだって、ヘンリー8世が。

樋口:いいように描いてた。

深井:しかも、すごいいろいろ気に入らなかった、ヘンリー8世はこのアン・オブ・クレーヴのことを。このアン・オブ・クレーブは外国語が喋れなかったんだって、しかも。だからドイツから来てるからドイツ語を喋ってたと思う。教養も歌とか楽器とか、アン・ブーリンができてたこともアン・オブ・クレーヴは出来なかったらしくて。趣味が刺繍で、刺繍ができる普通の教養がないわけじゃないんでしょうけど、今までの妻ほど教養がない。で、タイプでもない、となって、全然ベッドイン出来なかったらしい。ヘンリー8世。たった半年で離婚するんです、これ。離婚を求められる、アン・オブ・クレーヴが。

樋口:また離婚か。

深井:はい。離婚を求められるんだけれども前の妻たちが処刑されたりなんとかしてるわけだから、怖いじゃないですか。

楊:処刑されたり、幽閉されたり。

深井:どう考えたって逆らえないわけです。なので、逆らわずにすごい相当ショックだったらしいですけど、逆らわずに王の妹という称号をもらってそのあとは年金暮らしで不自由ない暮らしをしたそうです。

楊:生涯イングランドで暮らしたという。

樋口:そうかそうか。まあまあまあ、処刑はされてないからまあよかったのかな。

深井:この後に、アン・オブ・クレーヴにがっかりしたヘンリー8世は彼女の侍女である、またキャサリンなんですけど、キャサリン・ハワードという人ですね。このキャサリン・ハワードという人と今度は結婚することにします。このキャサリン・ハワードはカトリックなんだよね。これね、今度逆にプロテスタントに寄りすぎてプロテスタント系がすごく盛り上がりすぎたから、カトリックにもう少し寄せないといけないとなった。

楊:バランスを取ろうと。

深井:そうそうそう。なんでそうなるかというと、あくまで教義の問題じゃない、ヘンリー8世からすると。権力のローマ教会からの脱出を意味するだけであって。

楊:彼自身はプロテスタントの教義に対してそこまでの思い入れはないです。

深井:思い入れもないし、そこであんまり湧きたてられて変な方向にいかれても困るわけだし、そもそも彼自身がカトリック教徒なんです。全然プロテスタントじゃない。カトリック教徒なんでそれを含めてカトリック方面にもう一回舵をとるためにも今度はカトリック教徒の奥さんのキャサリン・ハワードと結婚する。王の宝石というくらい溺愛してたらしい、このキャサリン・ハワードのこと。

楊:タイプだったんだろうね。

深井:でもこのキャサリン・ハワードはどうやら本当に浮気をしてしまったみたいで、それでぶちぎれて、ヘンリー8世が、処刑します。

樋口:うわああ。

楊:昔の恋人とずっとそういう関係だったみたいです。

樋口:それはショックだな。

深井:このころエリザベスはエドワード6世、ジェーン・シーモアとの間に生まれた。

楊:腹違いの弟。

深井:腹違いの弟と暮らしてたりしてるみたいです。最後の奥さん、これはまたキャサリンさんなんです。

樋口:またキャサリン。

深井:キャサリン・パーですね。

樋口:パー。

楊:この人はキーパーソンです。

深井:キーパーソン。これ最後の王妃なんですけど、キャサリン・ハワード処刑から1年半後。ヘンリーはどうやら若い初婚の女性を探してたらしいですけども、結果的に二度の離婚歴のあるキャサリン・パーと結婚することになります。このキャサリン・パーが非常に立派な人だった。これ、義理の母なんですけど、エリザベスとかエドワードとか、あとメアリー1世からすると義理の母になるんですけど、非常に愛情を注いで育ててくれたらしくて。

楊:そう、血つながってないのに。まるで我が子のように愛情をそそいで、しかも王位継承権を回復した。メアリーとエリザベスの。

樋口:ふうん。

深井:そう。あとでその話もします。結婚式。このキャサリン・パーとヘンリー8世の結婚式の時にエリザベスのお姉さんメアリー1世は28歳。エリザベス1世は9歳。

樋口:けっこう離れてるんですね。

深井:エドワード6世は5歳だったんです。キャサリン・パーは二度の結婚歴があって、最初の夫は19歳の時に死別してしまってる。二人目の夫には連れ子がいたんですけど、その連れ子も非常に愛情をもって育てているんだけれども、その夫も死別してしまう。三人目の夫になる人ってのが心の中で決まっていて、その人と結婚しようという話をしてたんです。してたんだけれども、ヘンリー8世に見初められてしまった。この人との結婚を断るを相当やばいことが起こりそうなのでしょうがなく結婚します。

樋口:うううん。なるほど。

深井:貴族ではなかったんですけど有力な家系でキャサリン・パーはプロテスタントですね。よく教育を受けた上流階級の人だったみたいです。彼女本当に賢い人で教養があるだけじゃなくて本当に賢しこかったみたいで、変な宮廷争いみたいなものにもうまく距離をとって。彼女に取り入って権威を借りるものもいない状態を作っていたし、彼女自身もそういうことをしなかったらしいです。

樋口:いいですね。

楊:そういう欲がなかったかもしれない。

樋口:いいねいいね。

深井:まず、モットーがあって、できるだけ人の役に立つというモットー。

樋口:いいね。

深井:美人ではなかったって書いてあった。美人ではなかったけど表情が豊かですごい生き生きとしていて優しくて親切な人だった。優雅で教養があってみたいな感じで、ヘンリー8世もすごいキャサリン・パーはよかったみたい。

楊:本当に相当な信頼をよせてたみたいですよ。

深井:すごい賢いからヘンリー8世が遠征に行ってるあいだとか代わりに政治やってもらったりしてて。

樋口:そんな。

深井:政治能力もあるくらい本当に。

楊:人生経験豊かなのかもしれない。その前にいろいろ辛いことが。

深井:そう。そこがすごく良くて、キャサリン・パーは義理の娘、息子が、メアリー1世とエリザベス1世とエドワード6世、この子たちが今まで両親が全員殺されるとか追放されるとか産褥で死ぬとかしてる。メアリー1世なんかは本当に受けた屈辱がすごすぎ、成長してから一番最初にキャサリン・オブ・アラゴンが離婚させられて自分が庶子に落とされるみたいなことになってたから、すごく精神的に病んでたんだって。それをすごく可哀想に思って、キャサリン・パーが。できるだけ愛情を注いであげて、彼、彼女らに最適な環境を整えてあげようとして、ヘンリー8世が変なことをしないようにいろいろと間を取り持ってあげて、さっきヤンヤンが言ったみたいに、一回王位継承権取り上げられてたんです、庶子になってたから。

楊:メアリーとエリザベス。

深井:そう。メアリーとエリザベスに関しては。そのメアリー1世とエリザベス1世の王位継承権を回復するってのもこのキャサリン・パーがヘンリー8世を説得して実現する。

樋口:いい人だね。

深井:これによってイングランドのエリザベス1世期が誕生することになるんです。

樋口:そうか、ここでちゃんと前捌きしてなかったら生まれてなかったかもしれない。

深井:そうなんです。なんで、この三人の子供が一緒になるという機会も作ってあげたし。子供たちが父からも愛されていることがわかるようにいろんなメッセージを送らせたりもしてるし。普通にいいお母さんなんです。

樋口:いいですね。

深井:でもヘンリー8世の子供は産んでないです。

楊:すごいよね。

樋口:すごいよね。どういう心境なんかな。

深井:エドワード6世、エドワード王子のために良い家庭教師団を揃えたりして、その恩恵にエリザベスとかも預かってて、一緒に学んだりしてたんで、すごく良い環境を作っていきます。みんな子供たちもこのキャサリン・パーはすごく慕ってたみたいです。手紙が残ってる。

楊:エリザベスのだったっけ。

深井:エリザベスからこのキャサリン・パーにすごい手紙が残ってたりしてて、これ結構長いので読んだりはしないですけども。会いたいです、みたいな。早くお会いしたいよみたいな手紙を残したりします。こういう苦労しながらもいい継母に出会ったりして良い教育を受けながら育っていくエリザベスなんですが13、14歳くらいのころに今度はヘンリー8世が亡くなります。ヘンリー8世が足の腫れ物ができて、骨髄炎、糖尿病の可能性がある。

楊:暴飲暴食をしてたんで肥満体なんです。ウエスト135cmあったみたいです。晩年は健康体じゃなかったと言われてます。

深井:ついに亡くなっちゃうんです。最後車椅子生活してたらしいですけど。亡くなってしまって、遺言でエドワードがまだ小さい、エドワードが小さいから王子が。この子が成人するまでの間は枢密院、つまり内閣みたいなの、この枢密院を構成するメンバー全員が誰か一人が権力を握るということがないようにまずしてくれと。みんなエドワード6世を補佐してねという話をした。したにもかかわらず結局ヘンリー8世が亡くなった後ある一人の人間がこの中で突出して権力を握って政治を仕切っちゃうんです。これが誰かというと、これまた同じエドワードさん。エドワード・シーモアという人です。大丈夫ですか、同じ名前死ぬほど出ます。

樋口:いっぱいいますね、6世とか8世とか。1世とか。もう。はい。

深井:これ頑張るしかない。

楊:繰り返し聞きましょう。

樋口:このエドワードさんはなんですか。

深井:このエドワード・シーモアは親戚筋みたいですね、エドワード6世の。

樋口:はいはいはい。

深井:伯爵なんですけど、この伯爵であるエドワード・シーモアが他の枢密院の委員を制して幼いエドワード6世の摂政として最高権力を握るとう状態になる。ヘンリー8世はこれを避けたかったんだけどこうなっちゃう。

樋口:いろんな国でこういうこと起こる。

深井:そうですね。同時期の日本でも起こってる。同時期というかほぼ同時期の。エドワード6世の戴冠式とかも彼が取り仕切っている、エドワード・シーモアが取り仕切ってる。一方でキャサリン・パーですね、ヘンリー8世の最後の妻のキャサリン・パーはヘンリー8世が先に、自分よりも先に亡くなってしまいました。もともと結婚しようとしてた人がいたって話した。

樋口:そうだった。

深井:その人がトマス・シーモアという人なんです。さっきのエドワード・シーモアの弟なんです、これ。

樋口:へえ。

深井:このトマス・シーモアと密かに結婚したんです。

樋口:へえ、密かに。

深井:なんで密かかというと、貴族の結婚ていうのはみんなから認めてもらわないといけない、枢密院とかからちゃんと。

楊:政治行為なんで。

樋口:そうか。

楊:だって、把握されてない結婚てのは危ない、パワーバランス的に。結婚によってパワーバランスが急に変わったりする。

樋口:そうか。

楊:全部コントロールしないとだめなんです。

樋口:そうかそうか。なるほど。

深井:そういう状態、そういうものなんですけど、好きだったんでしょうね。すぐ結婚したくなって我慢できなくなって結婚したけど、ヘンリー8世が亡くなって直後なんでそれ難しいんですよね。それをするのも難しいけどやりたかったからやっちゃったんだと思います、これに関しては。なんでこの話出したかというと、これエリザベスに関係してくる。このキャサリン・パーの新しい夫であるトマス・シーモアが関係してきます。

樋口:ふうん。

深井:このころのエリザベスがどういう教育受けたかをもう少し詳しく伝えていきたいなと思う。ばちばちですごい教育を受けてる。ちょう最先端の英才教育で、今でいったら本当にハーバード大学みたいな感じのことになってる。単純に賢いです、エリザベス1世が。

楊:教えられたことは身につけるという賢しこさはありましたね。

深井:非常に多忙だったそうです、勉強で。

楊:本人も好きだったんだろうね、勉強が。

深井:まず当時ルネッサンスの時代でもあったので人文教育という原点回帰みたいな感じで古代のこともちゃんと勉強しようぜ、神様が出てくる前、キリスト教化する前の勉強もしようぜ的な。

楊:ギリシャ哲学とか。

深井:そうそう、それこそローマの歴史とかね。そういうのも勉強し始めてた時代なんです。そこの権威の人たちから教えてもらうことになる。10歳のころにはフランス語とイタリア語とラテン語を流暢に喋ることができてたらしい。

樋口:すごいね。

深井:すごいでしょ。4ヶ国語。英語フランス語イタリア語ラテン語だから。10歳だよ。

樋口:すごい。すごいな。

深井:家庭教師にロジャ・アスカムという有名な人をつけて、このアスカムがすごいいい家庭教師だった。この人は当時こういうスタイルの人どれくらいいたのかわからないですけど、罰するよりも褒めるということ重点において、疑問があったら臆せずなんでも絶対に聞きなさい。自分を表現して話すということを奨励するという、今の時代でも新しい感じの学問の仕方をしていって。学問を極めるためには正しい生き方もしないよみたいな倫理観も伝えながらしかも学問てのは楽しくないとだめなんだみたいなモットーを持って、めちゃくちゃがんがん教えていくんですけど、このアスカムからみてもエリザベスは本当に優秀だったみたいで、手紙の中でこういうふうに書いてます。王女様ほど理解力のある人を知りませんし、記憶力もだれにも負けません。フランス語とイタリア語を英語と同じくらい流暢に話し、美しく正確なラテン語も話されます。ギリシャ語もできたみたいですね。

樋口:ええ。すげえ。

深井:ギリシャ語であれラテン語であれ王女様より美しく書く人はいないでしょう。キケロのあれ、論説とかも読んでたみたい。キケロってカエサルの時に出てきた、一瞬。

楊:数学とか物理とか天文とか。

深井:数学物理天文学、あと音楽、乗馬、弓射、弓ですよね。あとは論理学と修辞学、こういうの全部勉強してる。

樋口:すげえな。

深井:ずうっと勉強してる。

樋口:はあ。

楊:今の時代だと本当に世界のハーバード大学とかマサチューセッツとかもいけるくらいの方かもしれない。

深井:ソポクレス、デモステネス、キケロ、リビウスのごとき古典作家も講読するとかいって。この時にやってる勉強がすごい面白くて、二重翻訳法てのを使ってる。

樋口:何、それは。

深井:つまり、まずギリシャ語あるいはラテン語を英語に訳します。さらにそれをもう一回ギリシャ語とラテン語に訳し直します。この勉強方法がすごいいいらしい。

樋口:へえ。

楊:それでやってできたってことだろうね。

樋口:優秀だ。

楊:彼女が受けたキリスト教以前の古典とかの学問てだいたい人文主義というんですけど、いろんな特徴があってその中でも面白いと思ったのがギリシャ哲学とかはロジカルシンキングとクリティカルシンキングなんです。それ以前の教育はエリザベスというかこのルネサンス以前の教育ってキリスト教がベースなんです。基本的に世の中のものってのは神が作ったものって前提あるんですけど。ギリシャ哲学とかは例えばソクラテスとかだったら質問しまくって真理に達するみたいな。そういったアプローチの仕方なんで、こういう人文主義的な合理的な思考法とかロジカルシンキングとかクリティカルシンキングをエリザベスがここで身につけたんじゃないかなと思ってます。だから視点が。

深井:後々生きていく。

楊:そうそう、のちのち生きていくんです。もちろん他の貴族とかもこういう教育を受けてたと思う。ただ同じ教育を受けたからってね、身につけるレベルってのはそれぞれ人が違うと思うので、エリザベスがここでガシッと見方を身につけて今までのクリスチャンとは違う思考、ファクト解釈の方法を身につけたと思う。

深井:エリザベスはどうやら辛い幼少期を過ごしてるじゃないですか。勉強で解消してたぽい、ストレスを。勉強に没頭することによってこのつらい状況を脱するみたいなくらい勉強が好きだったみたい。だからすごく教養がある状態に突入していきます、彼女が。

樋口:いいな、ストレス解消のはけ口が勉強ってめっちゃいいですね。効率が。

楊:こういう勉強を身につけたってことは頭がキレるわけじゃないですか。これ面白い本を読んであと思ったのはさっき深井くんも言ったようにすごい苦労してる、宮廷の中で。彼女はものすごく宮廷の中の人間をすごく観察をしてたんじゃないかと思います。幼いながらに。頭きれてたので人の顔色だとか、この人とこの人の関係性だとか。そういった宮廷内の独特な権力社会の中で彼女は彼女なりにいろんな密かに学んだんじゃないかなと思います。それが後々生きてくるんじゃないかな。

深井:まあ勉強が好きだというのが一つの特徴ですね。そうやって勉強してたんですけど、ちょっと一つ事件が起こるんです。若い時に。

樋口:なんだろう。

深井:さっきキャサリン・パー、継母であるキャサリン・パーの新しい夫のトマス・シーモア、これはその当時権勢を誇っているエドワード・シーモアの弟だって話をしたよね。このエドワード・シーモアの弟であるトマス・シーモアがどんな人かというと、海軍卿なんです。海軍を司る人で、声がでかくて騒ぎが大好きな人で粗野だと。粗野なタイプ。それまですごいキャサリン・パーがいた宮殿は静寂に包まれているところだったんだけども、このトマス・シーモアが来てからめちゃくちゃ空気が変わったんだって。よく言えば賑やかで陽気、悪くいったら粗野な感じ。その中でエリザベスは黙々と勉強してる、そういう構図。だから優等生のところにすごい粗野なおじちゃんきた、というかお兄さんが来た、みたいな感じなんです。このトマス・シーモアはかっこよかったらしくて、エリザベスちょっと好きになる、このトマス・シーモアのこと。

樋口:あらら。

楊:年上のかっこいいお兄ちゃんだからね。

深井:どうやら、ちょっと悪そうなやつ好きになったりする。なんか500年前でも400年前か、でも同じようなことが起こっていて、仲がよかったんだってトマス・シーモアとエリザベスも。どっちも。それをキャサリンも最初の頃は二人の仲の良さをよろこんで目を細めてみてたんだって。でのそのうちトマス・シーモアがまた限度を知らない人で、エリザベスの寝室にやって来て腰とか背中とかぶっ叩きながらふざけるみたいのことし始めたりとか。

樋口:エスエムプレイ。

深井:いえいとか言って。

楊:スキンシップが過ぎる。

深井:抱きついて来たりとかね。あとキスしてきたりして。してきてたんだって。ちょっと一線こえてるんです、それ。その、高貴な社会の中で。一線超えてるから変な噂が立つ。エリザベスもまだ子供だけど当時若い時から結婚とかもできるわけだから。

楊:王位継承者だからね。

深井:そうそう。やっぱそういう変な噂が立ち始める、この子たちできてるんじゃないか、トマスとエリザベスできてるんじゃない、みたいな話が噂が立ち始めてキャサリン・パーもそういうの聞かないようにしてるんだけど、ある日トマス・シーモアとエリザベスが抱きついてるの見つけちゃったんだって。キャサリン・パーが。

樋口:あらら。

深井:こうやって。こうくっついて。

樋口:ショックだそれは。

深井:キャサリン・パーさすがにムカついたらしくて、何してるのみたいなことになったみたいで。このままだと、キャサリン・パー賢いと思う、これはエリザベスのためにならない。別に嫉妬に狂うわけじゃなくて、これはエリザベスのためにならない。変な噂も立つし、これは離した方がいい。ということでエリザベスを別の家に移住させるんです。で、エリザベスはキャサリン・パーのこと好きですから、トマスのことも好きですから。悲しいんですけど、離した方がいい。エリザベスはエリザベスで困ってたから、好きとは言えそういう噂がたったら嫌だなと思ってた。エリザベスのことを手塩にかけてある意味キャサリン・パーが育ててたわけなんですけど、手放さざるを得なくなって信頼できる家臣に託した、エリザベスを。

楊:距離を取らせて。

樋口:距離をとって。

深井:エリザベスもちなみにこれに関してはすごい心労が大きくて、基本的に繊細、エリザベス1世。やっぱり人文学好きなだけあって繊細だなと思う。体壊したりする、ストレスで。この時は体にきてたみたいです。離されたんだけど、なんとキャサリン・パーは亡くなっちゃうんだって。

樋口:あらら。ええ。

深井:再婚してから妊娠して出産する時に亡くなっちゃうんです、この出産で。だから当時の出産て本当に大変だったなと思う。

樋口:リスクがめちゃあった。

深井:亡くなっちゃってエリザベスは悲しみに打ちひしがれて床に伏せてまた孤児みたいになっちゃったみたいな。

楊:せっかく母親ができたのに。

樋口:しかもめっちゃ優しい母親。

深井:めっちゃ泣いたらしいです。

樋口:これはしんどいね。

深井:ある意味自分のことちゃんと考えてくれる人があまりいない状態になっちゃいます。その時に時の権力者である摂政、摂政のエドワード・シーモア、この人はエリザベスに約束されてた年金とかそういうものちゃんと払ってないんだって。おざなりにされてるわけです。しかもトマス・シーモア、キャサリン・パーの夫だった、その奥さんが亡くなっちゃってる、今度はトマス・シーモアがエリザベスに求婚するみたいな噂が流れるわけです。わけわかんないことになっていく。この後また大事件が起こる。

楊:そうだよね。

深井:トマス・シーモアが処刑される。

樋口:え。もうなんか、そういうの多いな、処刑したり。

楊:当時は宮廷の中はそれだけ緊張感があるところですよ。噂を立つってことをキャサリン・パーがそれだけ警戒したかってこういうことが起きかねないからですね。

深井:彼女すごくうまくそういうことから距離をとって、誰の派閥にも属さないように、かつ誰からも嫌われないようにしながら本当にいい人だった。

樋口:へえ。

深井:いう状況の中でトマス・シーモアからちょっかい出されて困ってたエリザベスがこの後本当にトマス・シーモアのせいで迷惑を被ります。

樋口:はいはいはい。

深井:それが次回です。

樋口:なるほどね。なんか結構すげえいろいろあってますね。

楊:幼い時からいろいろ経験されてますよ。

樋口:まず、ヘンリー8世が再婚再婚再婚で。

深井:お母さん処刑されて。

樋口:そこから始まって。

深井:せっかくできた継母はすごいいい人だったけどその夫がわけわからん人で離されて。しかも亡くなっちゃって。

樋口:俺が、だって当時何歳でしたっけ、エリザベスは、まだ。

深井:当時ってどの時点かによりますけど。

樋口:えと。

深井:10代ですね。

樋口:キャサリン・パーが亡くなった時点でまだ10代ですよね。相当波乱万丈ですね。

楊:この時から自分の身の守り方を知らないとだめなんでしょうね。

深井:こういうことを見たりしながらこの宮廷で普通に生きていくのできないんだなというのをずっと学んでる。小さい頃から近しい人が処刑されたりとか冤罪着せられたりとかいろんなことしたりとか。こうやって変に興味持たれたりするとそれが逆に危険が及ぶんだとか、女としてですよ。

楊:なんなら自分の母親ぶっ殺されてますからね。

樋口:そうかそうか。

楊:一番身近な人が。

深井:ちなみにその母親のアン・ブーリンの絵をペンダントかなんか、指輪かペンダントに、指輪だ。

楊:指輪に入れてる。

深井:ずっと入れてたらしい。好きだったんだ。お母さんが。

樋口:当時2歳くらいでしたっけ。

楊:記憶多分ないと思うけど、やっぱり憧れというかあったんでしょうね、母というものに。

深井:母という。育てられてもないから、母から。ということでこの後また波乱万丈の人生ですよ。トマス・シーモアが処刑され、その処刑の箍がエリザベスにも及びます。

樋口:いやあ、波乱万丈の人生がここからどうなっていくのかって感じですかね。一旦今日はここまでですかね。ありがとうございます。

深井:はい。

楊:ありがとうございます。

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