#171 ドイツ帝国の末路 〜休戦後も続く各国からの報復〜

【今回の内容】
崩壊し始めるドイツ/休戦交渉の開始/ドイツ兵反乱の波及/1919ヴェルサイユ条約/莫大な賠償金、そして第二次世界大戦へ続く遺恨/次回・各国のその後

樋口:はい、ええ、前回まではアメリカ参戦そしてロシア革命についてお話しをお聞きしました、続きでございます。

深井:はい。

樋口:うん。

深井:ちょっとね。

樋口:深井さん。

深井:ちょっと疲れてきた。

樋口:120ページ分の71ページまできましたよ。

深井:なにまじ。

樋口:ちょっと待ってください、ヘビーですね、後半、話の内容が。

深井:それもあるよね。疲れるの。ヒトラーの時もそうだった。

樋口:そうそうそう。

深井:あれよりだいぶまだマシでしたけど。

楊:おれなんかちょっとメンタルやられすぎて言葉が出ない。

深井:出して、出して。

樋口:出して出してそれは。

深井:出して。

樋口:それは出して。

深井:大丈夫だからね

樋口:でもね、もう直ぐ、もうかなり終盤なんで。

深井:あと一息、一息っていったらあれですけど、終盤になってきました、戦争。

楊:みなさんで突撃しましょう。

樋口:だめだめだめ。

深井:不謹慎。

樋口:はい。

深井:春からの大攻勢やってたんだけど、ドイツは。最初はよかったけどやっぱり物量と軍事資源の限界がきた。芳しくない成果が帰ってきた、夏になると。そしてアメリカも参戦してきたという段階においてドイツでついに大衆運動が起こります。軍部に対して兵士の中で批判が巻き起こって命令を聞かない人たちが出てくる。軍も崩壊してきたし兵士たちも死にたくない、もう、もはや。これ負けてるからもう。

楊:意味はない。

深井:そう。だから生き残ることを重視し始めることによってさらにドイツ軍は弱くなっていく。時期を同じくしてルーデンドルフはいろいろヒンデンブルクとセットになって動いてる、ずっと。ルーデンドルフ色々考えてる、副参謀総長なんですけど、彼の方が。彼はね、精神的におかしくなっていって、泡吹いて倒れるんです。

樋口:うわああ。けっこうドイツ側も精神的におかしくなる人が増えてる。

深井:おかしくなる、この状況で飢餓は発生してるは戦線は思わしくないわもう将来のこと考えたら絶望しかない、当時の人たちからしたら。で、アメリカはくるわ、みたいにして本当に泡吹いて倒れるみたいなことが起こってる。9月の終わりになってもヴィルヘルム2世は、ちょっとここよくわからないけど、実際書いてあったんだけど、負けるとは思ってなかったらしい。

楊:ちょっと精神的に。

深井:おかしいのかなと思う。

楊:ロジカルに考えられてないから。

深井:一回鬱的になって和平交渉にいくけど逆ギレした。あれ以降変な方に振ってるのかなと思う。負けるとは思ってないのと戦況をたぶんちゃんと教えてもらってない可能性はある。そういう記述も見た気がする。

楊:たしかにそれはある。そもそも軽視されてるし誰からも見向きもされてないんじゃないの。そういう余裕もないかもしれない、報告する余裕も。

深井:だけどいよいよ1918年の9月29日ヒンデンブルクとルーデンドルフがついにヴィルヘルム2世に伝えないといけない、これ。即時の休戦が必要だと。アメリカと休戦交渉すすめるんだけどアメリカが仲介者的立場として一番適してる。休戦交渉すすめる、参戦してるんだけど彼らは。彼らと休戦交渉すすめたら民主主義の国家だから絶対に自由主義的な政府を要求されるという話もするわけ。そういう話をし始めないといけない状態になってる。ルーデンドルフとしては戦争に負けたということをやっと言い始める。本当はその前から負けてたんだけどなかなか言わなかったけどもう言うしかなくなっていくわけです。

楊:立場的にもこの状況になったら逆に言いずらい。

深井:でもこのだんにおいてもヒンデンブルクとルーデンドルフというのは休戦協定を結んでなんとかしようと思ってたんだけど、ウィルソン大統領アメリカの、が出してきた休戦協定が思ったよりも厳しいからやっぱ戦争するとか言い始めて。ヴィルヘルム2世もいよいよ切れて、さっき休戦するといってまたやるといってどっちなんだみたいな。で、ルーデンドルフを解任します。ヒンデンブルクは残す、でも。それにまたルーデンドルフがヒンデンブルクだけ残されたことに切れたりする。そういう負けるだんにおいて仲間内でぐっちゃぐちゃになっていくわけです。

樋口:そうですね、全てがぐちゃぐちゃに見えてきた。本当に。

深井:この休戦の交渉をしている間にドイツにあるキール港という港があるけど、ここで海軍の将校が無謀な出撃命令を出す、水兵に対して、このだんにおいて、休戦交渉レベルの段階において、海軍の方で無謀な作戦で行ってこいというわけ、そしたらいよいよ兵士がきれる、これに。反乱が起こります、これで。

樋口:うわうわうわ。

深井:この反乱がドイツ国内にばああって広がっていって、この当時のドイツという帝国だから、もともといろんな国の王様を束ねてプロイセン王が皇帝に即位してるから、ヴィルヘルム1世が。今その次の代の2世になってる。各地にまだ諸王が残ってる、いろんな王様とか貴族が。

楊:連邦的な体制になってる、当時はまだ。

樋口:うん。

楊:今もそうだけど。

深井:その人たちも退位させられることになるわけで、ザクセン王とか。前宗教改革の時にも出てきたザクセン選帝侯、ザクセン王とかヴィッテルスバッハ、発音あってるかどうかわからないけど、こういう人たちが退位をさせられるということが起こって、ついにヴィルヘルム2世もオランダに亡命します。つまりいよいよ民衆がきれちゃった、ドイツに。

樋口:よく我慢したなという感覚に。

楊:そして、これもうロシア帝国に続いてドイツ帝国も終わり。ということです。

深井:戦争中というか休戦協定を結んでる最中にドイツ帝国も内部から崩壊してしまう。ぐらいまで逆にいうと走り続けた。内部から崩壊をして。

楊:共和制になる。

深井:臨時政府を作る。ロシアでいうところの本当、さっきいったロシア共和国みたいなのを作るんです。ヴァイマール共和国っていう。そこの大統領が後々にヒンデンブルクになるという話。

樋口:うんうんうん。

深井:で、ヒトラーに繋がっていくという話は前した。そういう状況になっていくんだけど、もともともちろんヴィルヘルム2世を退位させるつもりはあったけど、その当時の政権を担った人。ちょっとここ詳しく説明すると長いから省くけど、エーベルトという人が大統領になるんです。この人は立憲君主制にするつもりだった、つまり王様を残したかった、皇帝を、イギリスみたいな感じで。したけど、このエーベルトのナンバー2のシャイデマンという人がいて、この人がデモ行進してた労働者階級の人たちに勝手に共和国の設立を宣言する、王様がいない国を作ることにしたと言っちゃう。これでドイツは共和国になる。

樋口:それ、採用されるんだ。

深井:みんなの前で言っちゃって今更君主制に立憲君主制にしますと言えなくなった、みんなきれてるし。

楊:そういう世論になったし。

樋口:はあ。

深井:世論的にもそっちにいってて、シャイデマンが勝手に言っちゃったから。すごいよね、こんな決まり方するみたいな。

樋口:すげえ、言ったもん勝ちみたいな。

深井:そうそうそう。

樋口:へえ。

深井:という状態になって、これでドイツ革命でこの後ドイツがどうなったかという話します。ドイツはこの後パリ講和会議というのに行ってヴェルサイユ条約ってのを結びます。これはあの時も言った、ヒトラーの回でも言ってるやつと一緒、これ被りますけど、1919年1月パリ講和会議が開かれる。フランスとアメリカとイギリスが議論を主導して、一応イタリアもここに一応入ってたらしい。いろんなこと決めるんだけど、当然一番の問題はドイツをどうするかという問題。国際連盟とかもここで作られたりする。ドイツをどうするかという話だった。この時はドイツにまずフランスがめちゃくちゃ切れてるし、戦争責任はドイツにあるんだという話をみんなする。ドイツに莫大な本当に過酷な賠償を負わせるわけです、再起不能にしようとするために。そのぼっこぼこにされたドイツからヒトラーが出てくるのが第二次世界大戦の流れでした、そこに繋がってきます。

楊:もともと前の回でもいったけど普仏戦争でフランスはもう国民感情の一番底にドイツにたいして復讐心みたいなのが静かに流れるんです。今回でまたドイツと戦う、フランスと。戦ったけれどもフランスもめちゃくちゃ損害を被ってるんです。ドイツはだいたい国の富の55%くらい吹き飛んでるんです。逆にフランス側はフランスは勝った側なんですけどフランス側も同じくらい富が吹っ飛んでて国土がめちゃくちゃにされてる、ブチギレです。政府もぶちギレてるし民衆もさらにぶちギレてるので絶対にドイツという国をたたきつぶして二度と戦えなくしてやるという感情に支配されてる状態なんです。

深井:ドイツは領土も失うし、13%くらい、それによって人口も10分の1を失ってしまうし、当然普仏戦争でフランスからとってたアルザスロレーヌ地方をフランスに返還することになるうえにベルギーにも渡さないといけないし、ポーランドにもポーランド王国にも一部を渡さないといけない、これがのちのちヒトラーがポーランド侵攻に繋がっていくところでもある。植民地は当然全部没収されて戦勝国に分配されるわけです。さっきヤンヤンが言ったみたいにドイツの国富も吹っ飛んでるにもかかわらずフランスも国富吹き飛んでるし、ある意味イギリスもそう。だから経済復興させたいというのもあって、彼らの戦勝国がドイツがどうなろうがお金を取りたい、特にフランスが思ってる。

樋口:そうです。

深井:だけど、アメリカからするとさすがにそこまでやっちゃうと逆に賠償金とれないから、

楊:そうだよね、賠償金とれるためにはドイツの経済を復興させないといけない。だからそこが面白いジレンマだよね。

深井:そう。そこがあったからアメリカはそこまで感情の確執がないからそこのバランスはある程度取れる。感情の確執も国民国家だからだよね。

楊:そうだよね。

深井:昔はここをうまい貴族とかがいたらうまくさばけてた、そんな感情で決めちゃだめだよ、ちゃんと将来の国の利益のことを考えて決定しようねということができる人もいたし、全く完全に感情で決める個人もいたと思うけど、大衆を難しいよね、これ説得するの、フランスのこの時の。実害が、だって家族とかが亡くなってるから、すごい難しいと思う。

楊:だから政治決断、政治の意思決定の中に大衆の方ががしがしと参加してきたわけですよね。

樋口:なるほど。

深井:賠償金を支払額をすごく減少させたにもかかわらずですけど、のちのちに確定した賠償金額は1320億マルク。

樋口:ちょっとわからないですね。

深井:僕もわからないです。

樋口:ええ。

深井:やばいってことだけわかります。

樋口:半端ない。

深井:あの時、ヒトラーの時に何かに例えて言ってた記憶があります。

楊:これ、確かつい最近までずっと返還してましたよ、その賠償金を。2010年くらいまでずっと払い続けてたと思います。

樋口:そうなんだ。

深井:ドイツの戦闘能力を削ぐために軍部の大部分てのは押収しちゃうし、陸軍というのは制限がかかる、これ以上大きくしちゃダメです、これ作っちゃだめです、これ持っちゃだめです、みたいな。制限がかかるし、戦争責任、開戦した責任はドイツとその同盟国にあるんだという話を完全に決めきってしまう。

楊:そう。条文の中にそれも盛り込む。

樋口:なるほど。

深井:ヴァイマール共和国としてはこれを飲むしかない、これで戦争継続できるわけない、飲むしかない、ここで戦争責任、この戦争、ヴェルサイユ条約を飲んだヴァイマール共和国を批判する形で出てきたヒトラーに民衆の支持が集まっていく。なんでこんな条約結んだんだ。こういう構図。

楊:だから一次大戦と二次大戦は本質的に繋がってるんです。

樋口:なるほどね、そういうことだったんだな。

楊:一次大戦ですぱっと全部いろんなしがらみとかを断ち切られたわけじゃないんです。

樋口:残ってるんですね、遺恨が、ものすごいな、これ。一応これで戦争は終わったと思っていいんですか。

深井:一回終わりましたけど。この後ラストに各国の末路についてまとめあげたいと思います。今、ドイツに関してはこういう風に、各国の末路って言ったらなんか、

楊:かわいそう。

深井:かわいそう。

楊:その後ですね、

深井:その後ですね。各国のその後に関してそれぞれの国がどうなったかという話を改めて整理したいと思う。キリがいいので今回はドイツがどうなったか、そしてこれがヒトラーにつながっていくドイツの第三帝国に繋がっていきます、ここから。ヴァイマール共和国をクーデターでどうのしてみたいなことが起こっていくというところにつながっていく前段階まではこんな感じでした。

樋口:なるほど。いやあ、ちょっと、でもやっと終わったって感覚ですね、僕ずっと話聞いてたので。

深井:みんな限界までやったよね、本当の本当の限界まで。

樋口:本当の限界だな。

深井:各国、そこまで終わらなかったってのがここの味噌ですよね。学ぶべきポイントですね。

楊:おれが思ったのは列強たちって今まで戦争してないわけじゃなくて、第一次世界大戦までちょちちょいいろんな形で戦争してたんです。ただ彼らがそこで得た戦争経験ていうのは植民地になる、弱い国との戦争なんです。だから彼らは常に勝ってたんです。というか常に彼らは戦争に勝った経験が蓄積されてるので、今回の戦争でずっと頑張ってがんがんやってれば勝つんだろうなという概念あったんじゃないかなと思ってます。だから引き際が全く発想が出てこない。

深井:でもナショナリズムは負けるという概念と結びつき辛いというのがすごいあって。どの国も負けると思ってない。

楊:そうだね、確かに。

深井:僕たちはナショナリズムはこの後ヒトラーの時にも言ったけど優生学とか出てきたりする、この後。ようは自分たちはいかに優れた民族で他のひとたちは劣っているていう考え方の種にもなったりする段階、この時期のナショナリズム。今でもそういうこと考えてる人いますけど、この時期は大多数がそのタネを持ってる状態だったわけです。だからこの時のナショナリズムはまさか優れた自分たちがお互いドイツに負けるとかイギリスに負けるとかは思ってない。それが一つナショナリズムでくくってしまっていいのかわからないけど、この時期ってそういう雰囲気があった。

樋口:てことですね。

楊:あります。

深井:その雰囲気の中で喜び勇んで戦争に行くんだけど、向かう途中で真顔になっていくというインタビューが残ってますけど、笑顔で出兵するんだけど、ちょっと軽い気持ちで。実際戦場に近づいて行くにつれて廃墟とかボロボロの砲弾でボロボロになった戦場みると血の気が引いて行くわけです。そういう時代。

樋口:そうね。なんかイメージとしては勝つよりももしかしたら大事なことがあって戦場に向かってたのかもしれない。うまく勝つとか自分が生きて帰るよりも何か大事なもののために命を失っていってもいい、よく言葉にできないですけども。そんな感じですかね、今回は。

深井:そんな感じですね。

樋口:はい

深井:はい

樋口:はい。今日もありがとうございました。

深井:ありがとうございます。

楊:ありがとうございます。

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