#167「ヨーロッパの火薬庫」が爆発!サライェボ事件で鳴り響く開戦の鼓笛

【今回の内容】 
流れとプロットが分かればOKです/アガディール事件/各国が不満を抱えた状態/オスマンの衰退と列強への影響/これまでのおさらい/「火薬庫」と呼ばれる状態/サライェボ事件/フランツ・フェルディナント皇太子の暗殺/戦争になると思っていなかったヴィルヘルム/連鎖するボタンのかけ違い/宣戦布告/ナショナリズムという背景/まるで切ない恋愛ドラマ!?/未来は読めない/愛の力は世代を超える/皆で経験して皆で学ぶ/愛偏差値/あともちっとだけ続くんじゃあ!

樋口:はい、ええ前回までは三国同盟vs三国協商という話をしたんですけど、その続きでございます。

深井:こっから実際大戦が起こるまでということろですね。と、一旦今日は煩雑だから流れをまず最初に言っちゃう。前回の最後にも言ったんだけど、この時点では誰も戦争は得にならないので起こるはずがないと思ってる、世界大戦なんて。その状態から例え悪いけど、わかりやすいからいうと、コンボみたいなのが決まる。コンボみたいな感じでいろんなトラブルがぼぼぼぼぼんと起こって、最後サラエボ事件というので一気に大戦のきっかけになる。

樋口:なるほど、一個じゃないってことですね。

深井:一個じゃない。教科書とかだとサラエボ事件で起こったみたいな書き方してるけど、今回僕が伝えたいのは、サラエボ事件は確かにきっかけにはなってるけど、その前段階としての今までのナポレオン戦争以後の政治の流れと、あと、これから説明するコンボですね。いろんな事件とか危機といわれるやつが起こる。今、先にいっちゃうとタンジール事件、ボスニア危機、アガディール事件てやつと、第一次二次バルカン戦争というやつが起こって、サラエボ事件てのが起こって、第一次世界大戦が勃発する。逆にいうとサラエボ事件が起こるまでタンジール事件てのが1905年に起こるんだけど、およそ9年間、サラエボ事件までにタンジール事件、ボスニア危機、アガディール事件、第一次と二次のバルカン戦争という、この5つの現象が起こらない限り世界大戦までいかなかったんだけど、これがぼぼぼぼぼんて起こることによって、段階的にビスマルクの体制てのが崩壊していく。ビスマルクが作っていた秩序体制てのが最終的には完膚なきまでに破壊されてしまう。今までちょっとずつ壊されてた、今までの話でも。この最後の10年間の日露戦争以降1905年からサラエボ事件までの5つの事件のコンボによって完全に粉々になる。

楊:一つのプロセスなんだよね。急にサラエボでなったわけじゃなくて。

樋口:なるほどな。

深井:そう。サラエボがそのトドメだったんです。これで世界大戦てのが勃発する。だけど、それはだれも直前まで想像してなかった。それがどういうものだったのかを紹介していけたら。

樋口:これはちょっと興味深いですよ。

深井:まず、1905年にね、前提としてはヴィルヘルム2世のドイツ帝国ってのが拡張路線に走ってるよ、それに対して三国協商という体制ができて、三国同盟という体制があるよという前提を覚えておいてください。この前提の上にタンジール事件ていう事件が起こります。これはどういう事件だったかというと、ドイツとフランスとの対立なんです。

樋口:三国同盟のドイツと三国協商のフランスの対立。

楊:そうですね。

深井:そうそうそう。ちょっと本当にややこしくして申し訳ないけど、タンジール事件とかが起こったから三国協商ができてるんで、時系列でいうとこっちの方が前だったりする。これで段階的に三国協商体制ができていって、さっきの体制が出来上がって、ていうのと、同時期とかちょっと前だったりするけど、そこは、

樋口:なんとなくね、

深井:なんとなくでおっけー

樋口:了解です。

深井:これは、タンジール事件てのはドイツとフランスの対立なんだけど、一言でいうと何がポイントだったかというと、これ結構受験生の役にたつと思うけど、何かというと、ドイツってのが誠実な仲介者という立場から降りて、欧州の中に仲介する人がいなくなるという状態をつくっちゃう、このタンジール事件とういので。これがコンボ一発目。

楊:競争者の一人になってしまう。

樋口:なるほど。

深井:そうなんです、競争プレイヤーの一人になっちゃうんです。これはもともとフランスがアルジェリアというところを植民地化した。北西アフリカってのに植民地を拡大していこうという野心があった、フランスは。それはオスマン帝国の影響力が低下したからそういうことが始まってるわけです。何度もいうけどこういう利害をイギリスと対立させたりして調整させてたのがビスマルクね。

樋口:はいはい。

深井:ま、フランスはそういうベクトルでまず進んでいった。ここにモロッコって国がある、北西アフリカの方に。ここはですね、当時独立国だった。さっきいった国民国家モデルみたいな影響もうけてて、列強の圧力に抵抗しようとしてる。そこにイギリスとしてはモロッコにマーケットを作りたかったんです。そういう利害がある。だからイギリスはモロッコにマーケットを作りたい、フランスとしてはなんていうかアルジェリア植民地化してさらに植民地獲得を増やしていきたいです。モロッコはモロッコで独立したいですと思ってる。この状況の時にドイツが出てくるわけ。さっき前の回でいったやつ。ドイツがいきなり出てきたってやつ。ドイツが出てきていきなりヴィルヘルム2世がタンジールっていうモロッコのところに出てきて、モロッコの保護者を自称するんです。モロッコの人たちってのはドイツをどういう風に捉えてるかというと、自分の独立を助けてくれる人だと思ってるわけ。だから明治維新の時のイギリスみたいな感じになるのかな。

樋口:仲だち人というか仲介人みたいな。

深井:そうそうそうそう。別に自分たちは植民地化しようとしたりしてる人ではなくて、独立を助けてくれるんだったら、じゃあドイツと結ぼうと。第三勢力として出てきちゃう。

楊:これはイギリスとかはきれるね。

深井:これに対してイギリスとフランスがさっき言ったみたいに利害調整に走っちゃう。もともとイギリスとフランスは対立していたかのように感じていたけど、よくよく考えたらイギリスはマーケットが欲しいだけだと、別に植民地化したいと思ってるわけじゃない。これで利害を調整してうまいことやろうぜってのをドイツが出てきたからそういう話になっちゃう。

樋口:なるほど。

深井:だからタンジール事件で起こったことはいわゆるドイツが1プレイヤーとなって仲介者から降りたことによって、イギリスとフランスが利害調整をし始めてしまったってことが起こる。で、ヴィルヘルム2世ってのはがんがんがんがんこうやって拡張路線をやってるわけ。だけれども、彼自身はイギリスのジョージ5世だったかな、その皇帝とも親戚だし、ロシアのニコライ2世とも親戚なんだよね。

樋口:はいはい。

深井:みんなけっこう仲間だと思ってる、彼。ちょっと語弊あるかもしれないけど、ドイツが孤立してることに気づかない。

樋口:まあまあ。

深井:だから、ドイツ皇帝ってのは、ヴィルヘルム2世はロシアのニコライ2世と個人的に同盟を結んでロシアとフランスを離間させよう。元々の結んだらやばい二カ国だから。

樋口:ありましたね。

深井:それをやってなんとかなるだとうと思ってた、実は、ヴィルヘルム2世てのは。なんならロシア皇帝ニコライ2世てのはなんていうかな強く言ったらいうことを聞いてくれるすげえ気が弱いやつだと思ってた。事実その通りだった。強く言っていうこと聞いてくれたんだけど、ニコライ2世がおっけーいっても周りの人はオッケーじゃない、首脳部が。

楊:時代が違うんです。昔の時代は皇帝が鶴の一声で発すれば全部が決まってるんですけども、今はそういう時代じゃない、もう。

樋口:そうか。国民国家だから。

深井:そう。

楊:国民国家だったりとか、或いは皇帝をいただいてる国でも民衆の力とか政府組織の力がかなり発言力が力が強くなってくるんです。だから皇帝の、一人の個人の力だけではどうにもならない時代なんだけどもヴィルヘルム2世はまだどうにかなってるというふうに頭の中で思ってる。

樋口:なるほど。

深井:この、タンジール事件てのはどっちかというとドイツが正しい。本当は正しい悪いとかないんだけど、ドイツは独立を助けてる、国民国家の。だから国際的にはフランスが糾弾されるはずなのに、と思った、ヴィルヘルム2世も。

樋口:フランスは植民地化しようとしてるからですね。

深井:そうそうそう。

樋口:だから、ドイツは国際会議みたいなのを開いて、フランスを糾弾させようとした。そういう思惑があった、ヴィルヘルム2世は。それにみんな賛同してくれると思ってた。したら、裏でイギリスとフランスが結んでるから、逆にドイツが孤立したんです、この時。そこで気づく、あれ。みたいな。おれ孤立してるの、みたいな。

樋口:あれ。

楊:これは単純に政治力が足りなかった。

深井:足りない。

樋口:おれ、抜きでライングループ作られてるぞ。みたいな。

深井:ロシアとも同盟結べなかったし、さっきいった皇帝同士でなんとかできると思ってたのできなかったし。国際的な一般常識からするとフランスをおかしいだろとなりそうなことが結局むしろドイツだけがおかしいみたいなこと言われるし、みたいな感じで、え、みたいなのになったのがこのタンジール事件。

樋口:はあ。なるほどね。なんとも言えないですね。

深井:なんとも言えない。

樋口:なんとも言えないですね。

深井:これ、戦争の勉強していきますと、よく今の二次世界大戦とかだと誰が正しくてドイツと日本が悪役でとなる。それもあると思う、おれもそれはあると思うけど、一方でみんな悪役だよね。

樋口:まあね。

深井:全員悪役。

樋口:アウトレイジだ。

深井:アウトレイジ。

樋口:アウトレイジ、馬鹿野郎。

深井:完全に全員悪役だなという感じです。

楊:僕もそれ、深井くんの意見に賛成で、今話の中で登場しているプレイヤー、日本を除くと、みんな列強なんです。ようは一回成功してるんです。成功してそれなりの世界の中で高い地位に登っちゃってる国なんです。そういう国の持ってるマインドはどういうものになると、ここから落ちたくないんです。落ちたら負けだし、落ちたらぼこぼこにされるという危機感がある。だから一生懸命なんです。一生懸命自分の国が崩れないように落ちないようになんとか頑張るんですよね。

深井:今の日本がそう。落ちないように頑張ろうというふうになってる。

楊:だから国同士の利害関係の調整とかあるいは国同士のコミュニケーションで辛抱強さが必要な時になんていうか、なんだろ、敏感になってるというかびくびくしてるので、ぼくらからみるともうちょっとロジカルに落ち着いて話しあえばいいところをもうちょっとがあっといっちゃうところがありますね、僕からみると。

樋口:すげえ、今のでイメージわくな。

深井:ていうね、それがタンジール事件、これ1905年。その3年後1908年にボスニア危機というのが起こります。これはオーストリアが一言でどういうやつだったかというと、オーストリアがボスニアを併合するっていうことによって起きたいざこざなんだけど。オーストリアがベルリン会議っていってビスマルクが作った秩序がある。一つベルリン会議っていう会議、国際会議で決められたことがあって、その中でオスマン帝国領を列強が牽制しあってバランスをとるという戦略をとるという話をしていたんだけども、そのバランスを崩すという、ある意味その決定事項を破ってしまうというのがこのボスニア危機で起こったことです。オーストリアが破ってしまう。

樋口:ずるい。

深井:ということ。ずるいっていったら、みんなやってるから。でもこれはすごい均衡を崩してしまった。この時はオスマントルコ帝国ってのはどんどん力が落ちています。もともとボスニアは宗主国としてオスマントルコがいるんだけど、オスマントルコの統治権みたいなものをオーストリアがもらってたみたい。

楊:そうだね。

深井:その前段階で。

楊:うん。

深井:だけど、それを併合するっていって、中に入れちゃおうとした、オーストリアが。オーストリアがなぜそっちの方面に伸びて行くかというと、これはすでに何回かいったと思うけど、オーストリアはオスマントルコ方面しか伸びる方向がない。さっきヤンヤンがいってたみたいに列強としてどんどんどんどん伸長していかないといけない、伸びていかないといけない。伸びていけないといけないけど、方向がここしかない。頑張っていくしかない、彼らとしては。別に戦争がしたいわけじゃなかったとは思うけど、生き残りをかけて伸びるしかなかった。やっぱり。伸びるしかなくてそっちの方向に進んでいくわけになります。戦争がしたかったかどうかの議論は未だにずっとしてる、ちなみに。まじで、ずっとやってる、その議論。本当はどうだったかみたいな。究極わからないと思う、そんなこと。

楊:そうだよね。今の僕らが当時の戦争という現象を理解できてないから、当時の人たちはなおさらわからない。

深井:わからんしね、今もわからんし、最後までわからないと思う、結局どうだったか。ただそういう状況の中で追い込まれてたのは間違いないと思う、オーストリアが。で、ボスニアを併合する、でもボスニアの中には40%以上がセルビア人なんです。これ意味わかんなくなっちゃうかもしれないけど、セルビアという国はまた別個にある、ボスニアと別に。そこにはセルビア人が住んでる。国民国家の概念で説明すると、セルビア人はセルビアでまとまりたい。

樋口:そりゃそうだ。

深井:ボスニアにいるセルビア人も一緒にセルビア人としてまとまって一つの国を作りたい、なんなら。だからオーストリアにボスニアが併合されるのはセルビア人としてはちょう嫌だ。

樋口:そりゃそうだ。

楊:逆にオーストリアにとってはセルビア人ていうのはめちゃくちゃリスクなんです。国家分裂の危機なんです。

深井:ボスニアにいるセルビア人もオーストリアに併合されたくないから。

楊:そうそう、自分たちの国を持ちたいから。

深井:だけど、オーストリアは併合して、もっと強いガバナンスをきかせてないとオスマン帝国の影響力を完全排除できないから。オスマンに対する牽制として併合したいわけ。この力関係伝わりますかね。

樋口:なるほどなるほど、わかります。

深井:だから併合するんだけど、それは内部に爆弾を抱えることになる、オーストリアとしては。

樋口:そうね。嫌ってことですね、セルビア人は。

楊:そうです。これによってセルビア人たちのナショナリズムが一気に刺激されます。

深井:エスカレートしていく。ナショナリストがどんどんどんどんエスカレートしていく。これが実際第一次世界大戦のサラエボ事件につながって行く、そして。

楊:そうですね。この刺激されたセルビア人のナショナリズムによって、その流れの中で統一か死かという秘密結社が生まれて、その秘密結社の一つの一人の若者のメンバーがサラエボ事件を起こすんです。

樋口:統一か死かっていう名前の。

楊:ていう名前の秘密結社です。ようはテロ組織ですね。

樋口:怖い。

深井:でもフランス革命のときにほら、あった、革命か死かだったっけ。ああいう、なんとかor diていうのそれ以降ずっとね。今でもdeploy or die言われるエンジニアのdeploy or dieと言われる。

楊:戦争してる。

樋口:deployね。Lounchね。

深井:まあまあ。で、東にオーストリアにが伸長していくってのは南下するロシアからするとぶつかるよね。これ、地図見ながらじゃないとわからないかもしれないけど、地理的にぶつかるわけ。下に南に南に行こうとしているロシア、そして東に東に行こうとしているオーストリアはぶつかるわけです。その東に行こうとするオーストリアがボスニアを併合するっていうのは、ロシアからしても好ましくない、あまり。で、セルビア人てのはスラブ系なんです。ロシアと同じ系統なんです、民族として。だからセルビア人はどうせだったらロシアに味方してほしい。ここでセルビア系、セルビア人の人たちってのはロシアの方に泣きつくじゃないけど、助けてみたいに言って行く。泣きつかれたロシアは一応メンツがあるんだよね、ロシアはスラブを統べるボスとしてのメンツがある。ここで日和ると頼りない国家として国際競争力を失っちゃうわけ。だから頼られたらある程度強気を見せないといけない。戦争したくないよ、したくないし、もしかしたらオーストリアと協調路線を歩みたいという説もあったんだけど、泣きつかれたから対立路線に行くことになるんです。

樋口:うわあ、なんかこれも、なんとも言えない。

楊:そう。ロシアの中でもスラブ民族のナショナリズムというエネルギーが出てきて、それが国の政策決定を後押ししたんですよね。だからスラブ民族の統合とかに反するような言論がものすごくしにくくなったんです。

深井:これは本当に何度も言うように、これが起こらないようにビスマルクはオスマン帝国領をだれにも渡さなかった。オスマン帝国領をっていろんな語弊がある。いわゆるボスニア併合させなかった。そういうことするとロシア、何が起こるかというと、ボスニアにオーストリア軍が進駐できる。併合してるわけだから。ロシアはセルビアと組んだらその隣のセルビアのところまで軍をまた進駐できる。そうしたらいつでも軍事衝突が起こせる。

樋口:そうか、近づく。

深井:近づく、地理的に。ということは緊張状態に陥るわけです。こういうことをビスマルクは起こしたくなかった。

樋口:なるほど。

深井:こういうことが起こっちゃう。オーストリアがフライングというかわけわからんことするんで。

樋口:なるほどね。いや、なんか、この民族のつながりというのと国のつながりというのが、二つあるからややこしいんですね、たぶん。

楊:そうですね。国境と民族の枠がずれてますから。

樋口:ずれてるから変なことになってる。

楊:今もそうですけどね。今もいろんなところで民族紛争起きてますけど、けっこうそれが背景にあるのが多い。

樋口:なるほどね。

深井:もう一つ重要なことがあって、オーストリアがやらかしてることがあって。元々オーストリアとロシアが秘密合意も結んでるんです。

樋口:おお。

深井:ロシアとオーストリアが秘密合意を結んでて、ある意味ボスニアを切り捨ててるんです。

樋口:ええ。

深井:ロシアが。

樋口:ロシアがボスニアを切り捨ててる。

深井:そうそう。同じスラブ系の民族がいる国なんだけど、なんかある意味いいよってなっちゃってる。

樋口:あらら。

深井:これは、さっき僕が自分で言ったことと矛盾してると思うけど、東に行くオーストリアとロシアが対立するんだって話をしましたけど。もう少し細かくいうと、確かに対立はするんだけど、ロシアとしてはダーダネルス海峡とボスポラス海峡という二つの海峡さへ抑えれればいいんです。それ以外にはあんまり興味ない、ロシアの南下政策。ロシアは海峡二つを抑えることが彼らの戦略なんです。そこに海軍を進駐させていくのが。

樋口:はい。

深井:陸が欲しいわけじゃない。そこは実はオーストリアと別に合意形成できるところなわけ。この海峡は抑えさせてね、その代わりここはあげるよみたいなことを言える範囲内の話なんです。そういうコミュニケーションをちゃんととってればね。そういうコミュニケーションをとってたらしい、秘密合意で。

樋口:おお、秘密裏。

深井:その代わりオーストリアはロシアに助けてもらって東側に行こうとしてたわけ。それがオーストリアが情勢的に自分の力でボスニア併合できるぞと思ったから今回してるんですけど。

樋口:はいはいはい。

深井:その、自分の力でできるぞと思った瞬間にロシアとこんな秘密合意結んでたよということをバラしちゃう、ボスニアに。

樋口:むちゃくちゃだ。

深井:これ、どういうことかというとね、これちょっと複雑だけど、ボスニアとかセルビアにいるセルビア人とかセルビアにいるセルビア人からすると、スラブのボスとしての、ごめんねいろんな名詞が出てきて、ボスとしてのロシアがいて助けてくれると思ってる。

樋口:そうだ。

深井:そのボスが元々自分たちを見捨ててたことがわかっちゃったわけ。

樋口:かあ、これはショックだ。

深井:うん。ロシアからするとオーストリアと秘密合意結んでたのに思いっきりメンツ潰されてるわけです。めっちゃむかつく、オーストリアのことが、ロシアが。オーストリアはセルビア人からも嫌われちゃったし、この時ね、ロシアからも恨みかっちゃったわけ。けど、この時ってのはまだロシアが日露戦争に負けたばっかりで軍備が整ってなくて対戦はおこらないんです。軍事戦争をこの時ロシアが起こしてもよかった。軍事衝突が起こってもおかしくなかった。けど、戦争は起こらなかった。なぜかと言うとロシアの軍備が整ってなかったからです。で、オーストリアがこういうスタンドプレーをしたことによってドイツはさらに孤立するんです。なんでかといったらドイツとオーストリアは同盟結んでて、この人たちが仲間だからどっちか一方がわけわからないことすると一緒に見られちゃうんで。

楊:そうそうそう。

深井:より孤立するんです。国際関係の中で。

樋口:はあ。

深井:オーストリアはオーストリアでロシアにも恨み買って、みたいになってるから。もうお互いしか信頼できる同盟相手が残らないという状態になってる。

樋口:うわあ。

深井:こうやって孤立していく、で、ディスコミュニケーションを起こしていくわけ。

樋口:なるほどね。なんでばらすんだろう。

深井:ね、それは、もっと詳しくはいろんな本に書いてあるよ。

楊:このバラしにはもしかして関係ないけども、当時この回、このシリーズの最初の方でもいった。当時スパイ活動が活発で暗号解読とかそういった取り組みをけっこういろんな国でされてるので、そこで情報漏洩がいろんな外交文書とかで出てきたりする場面があるんですね。

樋口:そうか、そもそも秘密ってのが難しい時代になってきてる、テクノロジーが発達してて。はあ。なるほど。

深井:という感じでですね、ボスニア危機まで今言ったんですけど、この次にまた間髪いれずにアガディール事件という事件が起こります。それはちょっと次回かな、時間的に。

樋口:なるほどですね。もう、なんかもうみんな仲良くすればいいのに。

深井:ね。けどさ、それぞれの国はそれぞれの国の利害で自分の国が滅びないようにナショナリズムをもって頑張ってるわけ。

樋口:まあね。

深井:その頑張りがこの対立を生んでる。そのナショナリズムを生んだ根幹は人権という概念と参政権が生んでる。だからもうすごい感慨深いことですよ、これは。

樋口:ねえ、なんかね、自由を手に入れたから。

深井:何がよくて悪いかってのは完全に見失うよね、本当に。

樋口:まじでわからない。自由を手にいれた、人権を手にいれたから国ごとのフォルダーができちゃったので。

楊:そうですね。

樋口:あれ、ちょっともう、一瞬ちょっとわからなくなってます、おれ。何がどれで。

深井:いやあ、本当にみんなわからなくなればいいと思ってる、これ喋りながら。

樋口:そりゃそうだ。

深井:一回常識完全に粉々にされればいいと思います。

楊:そうだそうだ。

樋口:そうですね。まあまあまあ。

楊:ただ単純にだれがいいのか悪いのかって正直そういう話じゃない。

深井:だって、これオーストリアの本読んだけど、これ自分が首脳部でもそうとうむずいよ。オーストリアを存続させながら国力増強させて、皇帝制とか維持しながらどうやってやっていくかって戦略立てろっていわれたら、めっちゃむずい。まじで。滅びるしかないってなって、滅びさせるみたいにしかならん。はっきりいって、どうするそれ、愛国心があったら、どうします愛国心があったら。

樋口:それはできないですよね。

深井:できないでしょ。むずいぞ。本当に。

楊:オーストリアって僕も今深井くんの話で思い出したけど、オーストリアって多民族国家なんです。多民族って一つのリスクなんですけど、いろんな民族がいて、ドイツ人とかクロアチア人とかイスラム系セルビア人、クロアチア人、めちゃくちゃいる。彼らは集まってなんとか国を回す、国会みたいな、議会みたいなのを開いたりとかするわけです。通訳があんまりいないんです。だから、通訳がいないから自分たちがいいたいことを言って、聞く人は何言ってるか全然わからない、ていう状態。けっこうやばい状況なんです。

樋口:悲しい、それは。

深井:昔ってそうだったんだろうね、中世とかも古代とかも。だってどうやってコミュニケーションとってたんだろうと思う。本当にシンプルなことしか伝えられないんだと思う。

楊:なんとかオーストリアが分裂せずにやってきたのは当時オーストリアは経済力がめちゃくちゃ伸びてた。経済力が伸びてて国が豊かになっていくうちは、多少は国の中でディスコミュニケーションが起こってもなんとかやっていけてたんです。ただ実際周りの状況が変化がそれを許さなくて国内での多民族というリスクがリスクとなって表に出て行くというのが流れかもしれないですよね。

樋口:なるほどね、いやいやいや、これはちょっと複雑だな。

深井:いやあ。感慨深い。

樋口:感慨深いですね、いろいろ。

深井:で、この次の回でやっとちょっとサラエボ事件までいけるかな、行きたい。はやくサラエボに行きたい。長い。戦争までが。まだ戦争始まらない。早く第一次世界大戦の、だって戦争の途中の話もしないといけないからね。

樋口:そうですね。ええと、一応今台本でいうと、120ページ中の47ページです。

深井:半分もいってない。

樋口:まあまあまあ、一旦今回はこんな感じですかね。

深井:はい。

樋口:ありがとうございました。

楊:ありがとうございます。

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