【今回の内容】
流れとプロットが分かればOKです/アガディール事件/各国が不満を抱えた状態/オスマンの衰退と列強への影響/これまでのおさらい/「火薬庫」と呼ばれる状態/サライェボ事件/フランツ・フェルディナント皇太子の暗殺/戦争になると思っていなかったヴィルヘルム/連鎖するボタンのかけ違い/宣戦布告/ナショナリズムという背景/まるで切ない恋愛ドラマ!?/未来は読めない/愛の力は世代を超える/皆で経験して皆で学ぶ/愛偏差値/あともちっとだけ続くんじゃあ!
樋口:はい、ええ、前回まではタンジール事件、そしてボスニア危機の話をお聞きしたんですけど、その続きでございます。
深井:はい。ちょっとね、いろんな名詞、国の名前バンバンでてきますけど、別に覚えなくていい、大事なのはプロットを掴むことですね。
樋口:はい。
深井:今回もちょっとアガディール事件、覚えなくていいです、名前は。こういうことがコンボで連なって戦争に繋がっていったんだなってことだけ覚えてればたぶん人生の役に立つかどうかわからないですけど歴史の勉強になってる。だから今回の回、敢えて、図で説明できないのに詳しくやってますけど、そこは留意してもらったほうがいい。
樋口:そうですね。けっこう立場も変わりますからね。一時期まではこことここの国が組んでたけど、ここが対立してこうなってとかってのがもう。ぶわって変わっていくから。
深井:そうそうそう。この音声コンテンツでそんなことを暗記しなくていい。そうじゃなくて流れとプロットをちゃんと大局的に理解するということをしてもらえれば価値があると思いますね。
楊:そうですね。
樋口:はい。安心した。よかった。それでいいんだ。
楊:あと、ぼくらが頑張ってるんだなというのがわかればいい。
樋口:そうですね。
深井:まじ、大変だったよ。本当。
樋口:ね、いやいやいや。
深井:それは、好きだからいいんですけど。今回はちょっとスピードあげます。終わらない。タンジール事件の時にフランスがモロッコに云々みたいな話した。
樋口:うん。
深井:それはドイツが、フランスの方がどっちかというと国際法破ってるのにドイツの方が逆に孤立しちゃった。それにドイツが初めて気づいたよってはなし。アガディール事件もいってしまえば、その二発目みたいな感じなんで、あんまり概要としては変わらないです。そんなにこれ詳しく言わなくていいかなと思う。アガディール事件てのが起こったことによってですね、アガディール事件もさっき言ったタンジールと同じような話、同じモロッコの話。
樋口:はい。
深井:なんですけど。これが二発目が起こったことによって、どういうことが起こったかということをみんなには覚えてて欲しい。イギリス、フランス、ドイツのすべての国民が不満を持って終わったんです。だれも勝たなかったし完全に負けなかった。中途半端な着地というかもやっとしたってこと。これが、このことがそれぞれの国のメディアが軍備拡大を狙うにあたってナショナリズムを盛り上げて国民の間の敵愾心を刺激させて、軍備拡大の予算確保につなげていく材料になってしまうんです、これ。ようはメディアと軍部に国民を煽る材料として提供しちゃうことになる、アガディールが。
楊:勝てなかったからということ。
深井:勝てなかったというか不満が残ったから、それぞれに。それぞれの国に不満が残る形になってしまったので、それぞれの国に煽る余地が残ってて、煽りまくったってこと。だね。
樋口:なるほど。
深井:そうすることによって軍部は軍備拡張できるから。
樋口:ええ、ええ。
深井:フランスとロシアの関係はさらに強化されて、シベリア鉄道の鉄道インフラに無利子でフランスがお金貸したりだとか。フランスとドイツが戦いになったらロシアは二週間以内にドイツを攻撃しますよという約束をしたりとか。そういうより強化されていくということにもなりますし。フランスの中で普仏戦争という、プロイセンとフランスが戦った時に負けてる、フランスって一回。だいぶ前の話だよこれ、けどずっとそのドイツってフランスって負けたよねって態度とってたらしい。それがよほど癪に触ったらしくて、フランスの。ずっとなんとかしてやりたいと思ってたみたい。
楊:国民感情としての深いところで復讐心がある。
樋口:なるほどね。
深井:復讐心があるところに、イギリスとフランスがくっついた、利害を調整して。このモロッコの事件のせいで。タンジールとアガディールで。だからよりそこが、ドイツが孤立されていくことによって強化されていくんです、フランスの中でもドイツはさらにそれを感じるんです、自分たちが孤立していること。同時にオスマントルコの話全然してないから出すけど。オスマン帝国はスレイマン1世の時代の、この前の宗教改革の時にウイーンを脅かしたスレイマン1世の時に全盛期を迎えたオスマン帝国は、その後大航海時代を迎えるヨーロッパの経済力についていけずに衰退していく。ロシアがどんどんどんどん拡大していって、どんどんどんどん南に領土を広げていく。その中でロシアとオスマンは戦っていくけど、ちょっとずつ負けていく、ちょっとずつ領土を失いながら、かつ、ギリシャとか、ブルガリアとかさっきのセルビアとかボスニアとかがどんどんどんどん独立していく動きをしていってしまうので、けっこうぼろぼろの状態になっていく中で頑張って近代化を推し進めようとする。じゃないと対抗できないですから。だけど#4でいったように非常にやりづらいスタイルをとってるわけです、もともと。国民国家モデルを導入しずらい。国家破産するんです、それで。うまくいかずに。
樋口:あら、あのオスマン帝国が。あらああ。
深井:それでさらに影響力がなくなっていくという。国家破産というのは財政的破産の話。それでまたどんどんどんどん力を失っていって、バルカン半島のブルガリアとかセルビアとかモンテネグロとかルーマニアが独立していくいう状態になって。それをビスマルクたちが調整弁として、列強の調整弁として使ってたという話してた。
樋口:はいはい。ケーキの話ね。
深井:オスマンの立場からみると明確なんだけど、敵はだれかというとロシアですよね。第一次世界大戦にオスマントルコ帝国も参加しますけど、ロシアと戦うためにドイツ側につきます。
樋口:なるほど。
深井:だから、この人たちはオスマンは、例えば受験生はそんな聞いてないと思うけど、結構受験で出るかと思うけど、オスマントルコどっちについてるかというとロシアと戦いたいと覚えておけばいい。ロシアの敵ですオスマン。彼ら南下してくるからです。そのあとにバルカン戦争というのが起こる、今度は。
楊:そうだよね。
深井:バルカン戦争というのが起こるんですけど、これはなにかというと、オスマンが完全にヨーロッパにおける影響力を失ってしまう。
樋口:あらら、ついに。
深井:バルカン半島諸国がオスマンから独立しようとする戦争ですこれ。で、ギリシャが独立して、セルビア・モンテネグロはもともと独立してて、ブルガリアとかルーマニアが半分独立して。さっきいったやつがバルカン戦争ってことです。
樋口:ばらばらになっていく。
深井:これはビスマルクがケーキとして扱ってたときと状況が違うんです。この説明しないと意味わからないと思う。オスマン帝国の影響下にとどめて列強のバランスをとるというのがビスマルクの根本戦略なんです。これはオスマン帝国の影響下にあってくれないと困る。これはオスマンが持ってないと列強を牽制することにならないからです。
樋口:そうですね。
深井:これが独立しちゃうと列強が切りとれるケーキになっちゃう。オスマンが持ってくれてて、オスマンがある程度睨みを聞かせてくれてるからこそ、他の列強は狙いたくても狙えないという中途半端な状況に止めることができたわけ。これをオスマンから独立されちゃうとね、まさにさっきのオーストリアみたいな感じで併合するみたいなことが起こっていく、どんどんどんどん。これちょっと時系列としてはバルカン戦争の方が後だけど。そういうことが決定的になってくる、ここで。第二次まである、バルカン戦争てのは。一次と二次が何かみたいな細かいことはちょっとあんま覚えなくていいです。そういうことを説明し始めるとみんな本当に意味わかんなくなってくるくらい複雑になっていくので、覚ることが増え過ぎて、プロットだけここで説明しますと。
樋口:はい。
深井:これによってビスマルク体制てののバランスが完全に終焉します。
樋口:この時ってビスマルクは何やってるんですか。
深井:この時はもう亡くなってます。
樋口:なるほど。
深井:政界からも引退したうえに亡くなってもいるんで、もうどうにもできない。
樋口:なるほど。
深井:状況の中でビスマルク体制はついにバルカン半島の戦争でオスマン帝国が完全に睨みをきかせられなくなることによって完全にビスマルク体制が消滅する。この消滅したところに起こったのがサラエボ事件ね。消滅したところに起こったのがサラエボ事件。
樋口:やっと出てきたよ、サラエボ。
深井:サラエボ事件で大戦が起こるんだけど。もう一回改めて、もう一回整理してよろしいか。
樋口:それは必要ですね、必要、必要。
深井:もう一回整理するね。タンジール事件以降何が起こったかというと、ビスマルクがいた、彼は勢力均衡体制を保っていた。三国同盟を作った。なんだこの説明。三国同盟を作ってた。オスマントルコの影響下にバルカン半島の諸民族ってのをおきつつ列強のバランスをとるという戦略で、かつフランスを孤立させてやってた。ヴィルヘルム2世が拡張路線をとることでその均衡が崩れ始めた、ということが起こって、そこにタンジール事件とボスニア危機とアガディール事件とバルカン戦争がコンボで入って、完全にビスマルク体制が崩れていく。タンジール事件で何が起こったかというと、もともとドイツが仲介者としての役割としていたのに、その仲介者という立場を降りてしまった。
樋口:重要。
深井:これによって三国協商がすすんでいきますよね。こんどボスニア危機というところでオーストリアがせっかくビスマルクが置き土産を残していたベルリン会議ていうところで決まった体制てのを崩してしまって、ロシアと対立するような状況を作ってしまった。
樋口:やっちゃった。
深井:これは避けるべき状況だった。戦争になるから。けど、そういう状況を作ってしまった。アガディール事件てのも似たようなものですね。タンジール事件とアガディール事件ていうのは実は第一次モロッコ事件、第二次モロッコ事件とも呼ばれる同じようなものだと覚えておいてください。気になったらググってください、アガディール、説明すると煩雑になるんでまとめてしまいます。これでドイツは自分が孤立しているということを理解してしまいます。タンジールとアガディールで。フランスは国際法やぶってモロッコに干渉しているのにイギリスとフランスが結んでしまったことによってそっちの暴論の方が通っちゃって暴れ得というかやったもん勝ちみたいになった、フランスが。こういう状況になります。一方オスマンの方の影響力がどんどん低下しちゃって、バルカンが完全にオスマンの影響下からはずれてしまいます。ここにいたってバルカンは完全にオスマンの影響力がなくなり、列強の人たちは二つの勢力にわかれ、いままで保たれていた勢力のタガが外されてる状態。これが火薬庫と呼ばれてるやつ。
樋口:むちゃくちゃ不安定になってますね。
深井:これがバルカン半島が火薬庫と呼ばれてるのがこういうこと。もう、もう爆発するしかない、これ。
楊:で、いろんな民族が自分たちの国を作りたくて、そういうナショナリズムが盛り上がっていくし。
樋口:ねえ。
楊:ちなみにセルビアって国がある。セルビアという国がバルカン戦争を通じてライジングするんです。もともとすごく小さくて貧しい国だった。ドイツとオーストリアに両方から囲まれてすごく苦渋を舐めてたんですけど、バルカン戦争で領土を2倍にするんです。で、めっちゃ経済がライジングして、彼らはその得た富をどこに使ったかというと、軍事に使うんです。おれたちはもともと弱い国だからもっと強くないと生き残れないぞと、がんがんがんがん武器とか兵隊とかに投資していく。これにオーストリアがめっちゃびびるという構図が出てくるんです。
深井:はい。いよいよサラエボ事件に移りますね。
樋口:はい。きた。
深井:これはね、なんか本当なんていうか悲運の感慨深さがありますので。みんなにも感じて欲しい。この時点でドイツもロシアもオーストリアも全然コミュニケーションがしっかりできてなかった、今まで。
楊:できてないね。
深井:ね。で、この状態の中さっきのアガディール事件てのは、これ軍事衝突が起こってもおかしくなかったし、ボスニア危機も軍事衝突が起こってもおかしくなかったわけ、けど起こらなかった。これによってヨーロッパの知識人て戦争は起こらないと思った、逆に。
楊:そうそうそう。リスクを正しく評価できなくなった。
深井:できなくなった。サラエボ事件までにすべてのタガが外されてスタートラインに全員立たされて、もうなんていうか、青チームと赤チームみたいなのに分けられて、はいスタートきればスタートきれる状況になったのにそういう状況であることを逆に今までの事件を乗り越えたことで特に知識人の人は理解できなかった。
樋口:あぶないよ。
楊:こんな状況になっても、別に戦争になってないからもっとおれたち攻められるんじゃないのみたいな。もっといけいけどんどんしても大丈夫じゃないみたいな。
深井:やっぱり戦争は起こらないと思ってた、この時。オーストリアに併合されたばかりのボスニアがある。そこの州都、アメリカのなんとか州アイオワ州とかの州に都の都。なんで州かというとオーストリア帝国の中にあるから、これ。いまやオーストリア帝国なんです、そこの州都サラエボ、ここに当時のオーストリアの皇太子、フランツフェルディナントていう人、これバンドでありますね、フランツフェルディナント。
樋口:おお、はいはい。
楊:そうなんだ。
深井:バンド、イギリスにありますけど。ここからとられてますね。発音がかっこいいからというだけの理由で。それはどうでもいいですけど。このフランツフェルディナントという皇太子が行くんです。でも、思い出して欲しいんだけど、ボスニア危機の時のことを併合した時に。ここのボスニアの40%はセルビア人で併合されたことに切れてる。
樋口:爆弾を抱えてるっていってたやつ。
深井:ここでセルビア人にフランツフェルディナントが暗殺されるんです。
樋口:きた。
深井:ここはわかるよね。なんで暗殺されたかの気持ちはわかるよね。この時オーストリアの皇帝、暗殺されたのは皇太子。皇帝はフランツヨーゼフ1世ていう人なんです。このフランツヨーゼフ1世て人は確かフランツフェルディナントのおじかなんか、お父さんじゃなくて。そこそこ仲が悪い、この二人が。フランツヨーゼフ1世としてはセルビアも自分の陣地に入れたいわけ。どんどん東に持って行きたいから。このベクトル、いままでのストーリーで伝わりますかね。
樋口:東へ東へ行ってたから。
深井:東へ東へ行ってたので、ボスニアは併合した、さらにその東にあるセルビアももともと狙っている。そしたらフランツヨーゼフからすると運良く、これ運良くになっちゃうんだけど、戦争の口実ができちゃった。セルビア人が殺したから。なんならフランツフェルディナントのこと嫌いだから、フランツヨーゼフ。実の息子でもないしそこそこ仲が悪い、この二人が。王妃の結婚ですごい仲悪くなった。
楊:そうそう。
深井:ものすごく身分が低い。そんなにものすごくでもないんだけど、そこそこ身分が低い人をフランツフェルディナントは愛してしまって、その人を皇妃にしたい、皇后にしたいというか、自分の奥さんにしたいんだって話をして、でもフランツヨーゼフってすごい頭が硬い人で、当時だったら当たり前なんだけど、身分が釣り合わない。
楊:釣り合わないからね。
深井:絶対ゆるさんと言ったんだけど無理やり結婚したんです。愛を貫いて。それでめちゃくちゃ仲が悪くなったんだけど、皮肉なことに夫婦でここで殺されちゃう。
樋口:うわあ。
深井:これね、本当、残酷なんだけど、お腹に赤ちゃんいたらしい。
樋口:そういうのがまじで一番いや。
深井:それは本当。暗殺した人も言ってた。お腹の赤ちゃんまで殺すつもりもなかったし、奥さんを殺すつもりは本当はなかった。けどさきにそっちに弾が当たってしまって、そういうつもりはなかったんだって言ってたんですけど、すごい悲しいことじゃないですか。だから殺された側としたらすごい頭くるから戦争起こしやすいですよね。フランツヨーゼフとしてはこれで拡大路線がさらに作れる口実ができたので、拡大しようとする、さらに。その時当然起こりうるのはロシアがそれを許さないということですね。
樋口:ロシアは南下してますからね。
深井:ボスニア危機の時にロシアを怒らせてますから、オーストリアは。その時はロシアは軍備が整ってなかったから戦争は起こらなかったけど、ロシアはずっとオーストリアのこと嫌いなんです、この時点で。もしフランツヨーゼフがセルビアの併合まで強行しようとすると、今度はかならずロシアが出てきますね。これ、ロシアが出てきたら何が起こるかといったら、露仏同盟結んでるじゃないですか。
樋口:ああ。
深井:フランスが出てきますよね。オーストリアはドイツと結んでるじゃないですか。そしたらドイツもでてきますよね。だから一気に列強が戦争に入ることになる。
楊:数珠つなぎで。
樋口:うわあ。
深井:なんで、そういうことが起こることがわかっちゃってるから、まずフランツヨーゼフはドイツ皇帝ヴィルヘルム2世に対して、戦争していいですかときくんです。
樋口:なるほど。
深井:はい。
樋口:はい。同盟の中の人ね。
深井:同盟の中、自分の味方。
樋口:味方。
深井:自分のお兄さんみたいな存在。その時のドイツ帝国ってのは。
樋口:はいはいはいはい。
深井:オーストリアにとって、そのお兄さんみたいな存在に尋くんです、戦争してよいかと。そうするとここでヴィルヘルム2世が、ここでまたディスコミュニケーションするんですけど、その時の総理大臣、宰相と呼ばれる、宰相がおっけーていったらいいよっていう、結構軽い返事をする。
樋口:大丈夫か。
深井:もし、ロシアが出てきたらもちろんドイツも手伝ってあげるよという約束までする。
樋口:ええ、大丈夫、これ。
深井:でも、この時のヴィルヘルム2世は何を考えてたかと言ったら、そもそもニコライ2世は、まえいったみたいに自分の親戚だし、そもそも今回ってセルビア人が暗殺した、皇太子を。
楊:そうそう。
深井:よほどのこと、皇太子暗殺。今の世界のどっかで起こったらおおごとですよ。どっかの国が、どっかの国を暗殺したら。だから、さすがにロシアもここはセルビアの非を認めて講和するんじゃないかとヴィルヘルム2世は思ってるわけです。戦争になると思ってない。
樋口:そりゃそうだろうな。
深井:それに、そもそもボスニア危機のときにロシアは戦争しなかった。軍備が整ってなかったから。だから今回もまあ大丈夫だろうと思ってる、ヴィルヘルム2世は。それがヴィルヘルム2世側の思ってることであろうと思われます。
樋口:ちなみに、わかります。
深井:はい。
樋口:それは、筋通ってますね、確かにねって感じです。
深井:一方でドイツの軍部はなにを考えてたか、これは諸説あったんだけど、いろんな本に。フランスの支援でロシアはシベリア鉄道を作ってる途中。シベリア鉄道が完成してしまうと、それはそれでヨーロッパの脅威になると思ってるわけです。この完成が1916年だといわれてた。この時は1914年なんです。だから鉄道が完成する前に軍部としてはロシアをぶっ潰すというのはありだなと思ってる。
樋口:なるほどね。
深井:なので、この時点では皇帝と軍部とがまず意思疎通できてないのと、この宰相とも意思疎通がそんなにできてないのと、ロシアが出てこないという読み間違いをしている。その中で適当な返事をオーストリアにしてしまう、ドイツは。その答えをオーストリアは聞いて、オーストリアはセルビアに最後通牒というのを送る。この最後通牒てのはこれをのんだら戦争にならないけど、これを蹴ったら戦争するぞという内容なんです。けれど、その内容は明らかに飲めない内容をだす。つまりオーストリアは絶対に戦争ができるように最後通牒をセルビアに対して送る。
樋口:喧嘩売ったんですね。
楊:そう、この喧を嘩売ったオーストリアのある種感情についてもう少し補足をするとすると、皇太子がセルビアで暗殺された。さっき深井くんもいったようにおおごとなんです。一応真相究明、普通だった真相究明みたいな話になるじゃないですか。セルビアはそれを嫌がるんです。いやがるし、徹底的に責任はうちにないというふうにネガキャンをはる。むしろオーストリアでおたくの皇太子が暗殺されるのはおたくの国内問題であって、うちの国はなにも関わりありません。あくまで、そのセルビア人の個人がやったことなんですよ。実際に個人が所属してる組織はセルビアの軍事が関わってたんですけど、それは絶対に認めなかった。これにオーストリアがブチギレるんです。考えて、想像、すごく不謹慎な例えばすると、例えば日本の皇太子が中国なり韓国で暗殺されたとすると、中国と韓国は、いやこれはうちには関係ない、うちには全然責任ないといわれたら日本人てぶちぎれませんか。
樋口:想像はできます。
楊:普通はぶちぎれますよね。だからこんな状態になった。それにオーストリアの政府とオーストリアの大衆がぶちぎれるんです。ぶちぎれてぶちぎれたそのオーストリアの大衆の怒りのエネルギーをまたセルビア人が大衆がそれをメディアを通じてよんでまたセルビア人もまたなんやそれは、うちには責任ないことになんできれてるんだ、そういう負のループに突入してしまった。
深井:そうなんです。
樋口:負のループか、まさに。
深井:ロシアは露仏同盟結んでますから、フランスの援助を確認するんです。もし戦争になった場合、フランスは参戦してくれるかということをあらためて確認したら、フランスは戦争も辞さないよという話をする。
樋口:おお、ここも協力するという意見がでてきた、こっちはこっちで。
深井:そうなんです。
樋口:あらら。
深井:フランスも協力するぜといってる、この時、ある文献に書いてあったのは、ちょっと台本残してないからうろ覚えでもしかして違ってるかもしれないんだけど、興味深かったのは、ロシアとフランスの方もオーストリアが戦争すると思ってないんだよね。露仏同盟があるから、戦争したらしんどい。露仏同盟自体はいわゆる攻撃的な同盟だというふうには思ってなかったフシがある。これどういうことかというと、露仏同盟を結ぶことによってドイツもオーストリアも攻撃してこれないだとうと思ってた。
樋口:なるほどね。
深井:そういう防御的同盟だっていうのがフランス側からだったかな、見た時の思惑だったんです。
樋口:はいはい。なるほど。
深井:だけど、ロシア側から見た時はそれをまったく別の解釈をしてしまってて、フランスがいるから戦争ができるんだという解釈してしまう。フランスは、そうなんです。だからすごくそういうボタンの掛け違いみたいなのが連鎖して起こる。台本書き忘れてうろ覚えで申し訳ないけど、そのような類のボタンの掛け違いをおこる、ここで。露仏同盟によってロシアはフランスに対して戦争になったらきてくれますかという確認をしたら、やぶさかじゃないよって回答が返ってきた。これでロシアが戦争をする決意を固めつつあるわけです。オーストリアは何も考えずに戦争に突き進んでいく、この時点で。
楊:まあ、考えてることがあるとすればオーストリアはロシアが攻めてくるとは思ってない。ドイツが同盟国のドイツがめっちゃ強いから、それが抑えになってロシアは攻めてこないだろうとオーストリアは思ってたフシがあるみたいです。
深井:だから本当みんな掛け違いまくってこうなっている。
樋口:はあ。
深井:勘違いしつづけてる。お互いで。
楊:コミュニケーション大事ですね。
樋口:大事。
深井:ついに1914年の7月28日にオーストリアがセルビアに宣戦布告することになります。その前の段階でセルビアが最後通牒を跳ね除けてるんです。それに対して7月28日にオーストリアが宣戦布告します。
樋口:はあ。
楊:おれが読んだある本では実はセルビアの方は最後通牒を受けいれるという決定は内部でしてたんだって。
深井:そう。
楊:してたけども対外的にそれを出さないで保留してたのは、一回ロシアの出方を伺ってた。
樋口:へえ。
深井:そういう掛け違いもあるんだ、さらに。
楊:ロシアの方から、おれはお前たちを支援するぜっていう風に返事をもらってから最後通牒を拒否っていうふうに意向を変えてオーストリアに突き返したっていう説もある。一回受け入れるという決断はしたみたい。内部合意、コンセンスはあったみたい。
樋口:へえ。
深井:オーストリアハプスブルク帝国ていうんですけど、正式に、セルビアに戦線布告した二日後にロシア皇帝が今度はロシア全軍に総動員令というのを発令する。これは事実上の戦争開始です、これで。この時点でドイツはびっくりしてる。まさかロシアが動くとはおもってなかったという話。だからすぐにドイツはイギリスに対して今回の戦争では中立を守って欲しいという話をするし、ドイツはさらにロシアに対しては総動員はやめてくれという。この時点では。だけどそれは聞き入れられない。こういう状況になって初めてヴィルヘルム2世は強い危機感を持つことになる。やばい戦争が始まるってことがここでわかった、やっと。
樋口:やばいな。
深井:それまでね、あんまよくわかってなかった。これはもう一つすごい面白いといったらあれだけど、興味深いのが、市場反応みたいなのを見た時に、いつの段階で株価が落ちたかってのは、オーストリアがセルビアに最後通牒送ってるときは全く落ちてない、株価が。だからだれもこの時点で戦争が起こるとは思ってない。
樋口:はあ、世論が。
深井:そう。
樋口:世の中が。
深井:でも27とか28日くらいになって、さっきの宣戦布告したくらいでようやく急降下してる、株価が。
樋口:なるほどなるほど。
楊:だから事態の進行が人の認識の度合いを超えた。
深井:圧倒的。
楊:全然人の認識が理解に追いついてない、現実に追いついてない。
深井:堰を切ったかのように一気の物事が動いて、そうなるとは思わなかったことが、みんなにとって起こっていくってのがこの時のサラエボ事件で、翌月8月1日、月末に宣戦布告とかそれぞれしてたのが、今度はドイツが正式に総動員令てのを発令してロシアに宣戦布告します。
樋口:ほお。
深井:これなんでかっていったら、オーストリアを失うことはできないからですね。ドイツは。
楊:数少ない同盟国だから。
樋口:そうか、もう味方するしかない、本当はしたくなかったけど。
深井:戦争はしたくなかった。すると思ってなかったけど。
樋口:ですね。
深井:始まったらやるしかないし、やるよっていって始まってるから、もともと。
樋口:ね。
深井:味方するよと言ったから宣戦布告したから。それで当然フランスも総動員令を開始します。これで戦争が始まった。これが第一次世界大戦の始まりまでの経緯です。
楊:しかもロシアの最初の総動員令がけっこう衝撃がドイツにとって強かったと思う。ロシアの方ではオーストリアがなんでこんな卑怯、あんまり妥協しない態度にでてくるかというと、ドイツが唆してるかという理解があったみたいです。だから徹底的にこの強いドイツをロシアは叩かないといけないというふうな理解になって、最初からフルパワーでいくぞという。
樋口:かましにかかったんですね。どんて。
深井:そうなんですよね。さっき金融市場なかなか動かなかったって話をしましたけど、当時の人々ってのは知識人、当時の、一部の政治家とか軍人を除く人たちってのは、こんな大戦争が起こると思ってないわけです。なんでかってところを軽く説明して今日終わりたいと思う。
樋口:はい。
深井:普仏戦争というのがあったけど、それ以外のヨーロッパではずっと平和な時期がつづいていた、50年間くらい。途中普仏戦争が一回あるけど。というのがあります。あとは今までも何回かいったけど、経済的なメリットがないとう戦争は起こらないとみんな思ってた。グローバル経済化してたし、戦争が始まったら貿易が中断されてしまう、それは経済的には死活問題だから、そんな選択を国家、ないしは国民主権になったあとの国が行うはずがないと思ってるわけです。でもそうなった。それはいろんな今までのフルコンボがあったのと思い違いがあった、認識の甘さがあったってところがありました。皇帝とか首脳部の。もう一つはそれぞれのイギリスもフランスもロシアもドイツも国内問題を抱えてる、ちゃんと。特にロシアとか、日露戦争負けた以降、めちゃくちゃ国内問題を抱えていて、当時社会主義者とかがどんどん増えていって、対資本主義の勢力とかも普通にいたわけです。そんな国内問題を抱えている中で戦争なんてできないとみんな思っていた。一つにまとまるわけがないと思ってた。だけど戦争が始まった瞬間に全員がめっちゃまとまったんよ、これ。
楊:これはナショナリズムの力ですよ。
深井:そう。ナショナリズムの力。全員、社会主義者とかは政府をすっごい批判してた人たちは全員政府と一緒に戦うことを選択した、この時。
樋口:何回もでてきてる、これ。外敵があるとまとまるという。
深井:まとまるんです、そういうことです。あとは今まで外交戦略で回避できてた。それはずっとビスマルクが頑張ってその余波で回避できてた。だからみんな今回も外交によって大戦争ってのは回避できると思ってた。まさか今回だけ戦争になると思わない。今までできてるから。だけど本当はビスマルクていう天才が属人的に結構やってて、体制を作っていて。それを理解してないその次の世代の首脳陣たちはお互いの意向てのはやっぱり読み誤ってるわけです。それによって思ってもないことが起こっていったわけじゃないですか。
樋口:ええ、ええ、ええ。
深井:そういうことが起こるってやっぱみんな思ってなかった。ていうのがもう一つ。あとは、これももう言ったけど、やっぱり国家予算に制約がある以上お金がめちゃくちゃかかるこういう戦艦とかを使うような戦争てのは、絶対に続かないと思ってた、長く。事実普仏戦争はすぐ終わってた。それもあって、みんな戦争はすぐ終わると思ってた。だけど4年間続いた。だからね、まったく思ったのと違うことが一気に起こった。
樋口:なるほどね。
楊:そういうふうに思えたのも色々調べていくと、積み重ねというか国民感情の積み重ねみたいなのがあって。これイギリスの例なんですけど、イギリスってドイツを敵視してた部分があった。前の回で出てきたボーア戦争とかでそれとすごくドイツと対立して、泥沼化したんですけど。それ意向イギリスの中で何がどういう状況が起こったかというと、反ドイツのそういう小説とか劇とかああいうそういうコンテンツがめちゃくちゃ溢れるようになった。だから例えばですけども、今の中国や韓国は反日的なコンテンツとか映画とか出したりするみたいに、それがけっこうイギリスで氾濫したんです。とにかくドイツはクソだと。ドイツをやっつける小説とかコントとか劇とかそういうのがめちゃくちゃ出てくる。それがずっとものが出てきて、しかもその大人の世代だけじゃない、子供の世代もそういったものに接して大人になっていく。
樋口:そうかそうか
楊:その時に読んだ反ドイツのようなコンテンツで少年雑誌を読んで育ってきた子供がこの第一次世界大戦に従軍しにいくんです。
樋口:はあ、仕込みが終わってる。
楊:仕込みが終わってる。ちなみにボーイズスカウトてあるじゃないですか。それもこの時に成立した団体なんです。これがまさに青少年の軍事教練のための団体です。もともと。スカウトって偵察って意味なんです。
深井:そうだよね、確か。
楊:そういう民間団体、国民の感情をナショナリズムを高めるための装置ってのが社会にぽんぽんぽんぽんて出ていく。なんとか協会とか軍事協会とか、そこで軍事予算を獲得することが大事ですよっていう、発信をしたりとか寄付を集めたりとか、そういう組織が出てきたり、教育組織、そしてコンテンツ、反敵国、敵国をディスるようなコンテンツの氾濫。それがやっぱりねけっこう10なん年とか続いてきてるので。世代の価値観が積み重なっててという背景もあります。
深井:まさに国民国家化の一部だよね、それも。
樋口:ナショナリズム。
深井:ていう状態ですね。
樋口:はあ、なるほどね。
深井:これによってやっとちょっと次回が戦争開始の回になるんですけど。ここまで戦争の経緯を喋ってきました。けどどう。一回どうしようかな、ここで感想いいます。
楊:一回樋口さんの感想を。
深井:どうですか、樋口さん今までの経緯を長く聞いてきて。
樋口:もうなんか恋愛ドラマ見てるみたいです。
深井:もどかしい。
楊:その心は。
樋口:それぞれ自分しか知らない思惑とか、相手はこうだろうってのがあって。それを元に動いちゃってるんですけど、向こうからみたら全然違っててみたいな。
深井:すれ違い。
樋口:そう、すれ違いですよ、ボタンの掛け違い、すれ違いみたいなのが、もうどんどん起こってるみたいな感じで。なんだろうな。誰一人想像してなかったところに向かってるじゃないですか。
深井:そうなんです。
樋口:なんか切ない。
深井:おれもこれを勉強したときに一番思ったのは切ないという感覚。
樋口:切ないな。
深井:悲哀を感じた。
樋口:うん。
深井:こうやって起こるものなんだなと思った。
樋口:本当にそうですね。
深井:これが冒頭言ったけど、二千万人くらい死ぬわけ。死傷する、けが人いれて、誰もおもってない、ここまで。
楊:しかもたった100年前の話。
深井:そうなんだよね、けっこう最近。
楊:最近だよね。
深井:今回の登場人物って映像でみれる、ヴィルヘルム2世とか。フランツフェルディナントとか、ビスマルクは映像は残ってなかったですけど。だから、イメージもしやすい。
樋口:リアルにね。だって、誰も望んでないのになぜ起こるかというのが、理解できるけど理解できないですね。
深井:僕もその感覚すごく強くあります。この経緯を知れば経緯はわかるんだけど、本当じゃあどうすればいいんだろうて感じだし。
樋口:そうそうそう。なんか、局地的にみたら全部わかる、それぞれの気持ち。でも全体でみたら絶対戦争しないほうがよくて。最適解をみんなで集まってホワイトボードに一回書き出して、ちょっと整理しよう。誰が得するか全員で整理しようってのをやればもしかしたら解決できるかなと思いつつ、でも無理なんだろうなと思いつつ。なんかね、だから切ないですかね。
深井:切ないですね。この、人類が初めて経験した大戦だったんで、やっぱりみんなこのあと何が起こるかってわかってない。
樋口:そうかそうか。ホワイトボードに書けないんだ。
深井:書けない。あと、ガンディーの回でも言ったけど、ガンディーでさへもこの戦争をイギリス側で支援してるんです。
樋口:おお。なるほど。
深井:彼は戦争賛成してるわけじゃないですけど、ここでイギリスが戦ってるのに自分たちが戦わないのもおかしいということでそこの責任はインドにもあると考えて参加して。そのあとの第二次世界大戦では考え変わってるみたい。やっぱみんな何が起こるかわかってない。そういう意味でも。だから起こることがわかってたらガンディーももしかしたら最初から参加してなかったかも知れないし、今までの戦争と違う戦争がいきなりここで起こることを全員身をもって知らせられてしまうっていう。しかもそれが第二次世界大戦までその慣性の法則を止められない、だれも。
楊:そうだよね。
深井:国際連盟とか作るけど。
楊:作るけどあんまりね。機能してなかったし。
深井:戦後に第一次世界大戦あとに。
樋口:なんか、これまたガンディーで思い出したけど、歴史からわかることは未来永劫歴史上起こらなかったことが起こらないとは限らないって確か、僕がかっこいい痺れるって言葉いったと思う。これが逆側に、悲劇の方向にも同様に起こってるんだなっという。
楊:完全に世の中の動きが人間の認知能力を超えてる感じがしますよね。
深井:それ、ぼくは本当歴史勉強して一番感じるのが軽々しく未来読めないなと思った、やっぱりわからないと思う。わからないから何もしないわけじゃないと思っていて、わからない中で足掻き続けていくってのが僕たちにできることだし、好転するか暗転するかってのはわからないし、その両面が常にあるものだと思ってる、自分のアクションは。とはいえ、今まで勉強してきた愛情をベースにした活動って結構いい方向にしか行かないんです。ガンディーもそうだったし、ヘレンケラーの時もそうだったと思う。
樋口:ヘレンケラーね。
深井:影響力でかい上に愛情の力ってけっこう世代を超えてどんどんいく。だからそっちの方向で頑張ってやるしかないかなというのが、歴史勉強して自分がまたその素養はないんですけど。愛情からもともと遠い人だったんですけど、すごい勉強してすごい思った。
樋口:なるほどね、事実としてそう思ったてこと。
深井:思った。未来は見えないしよくできるかさへわからないし、何をやったらどうなるかさへわからないけど、基本的には愛情をもって世界に接していってその自分が今できることをやるしかないってことが勉強でわかったってことが面白かった。
楊:おれもそれ少し思った。おれ思ったのは思い出したのは深井くんが語った墨子ですよ。
樋口:なるほどね。
深井:そうね。
楊:墨子はすごいなと思った。あの人は愛。愛ってエゴだったり欲だったりすると思うけど、墨子は愛に序列をつけなかった。全ての人は平等に愛ってことが平和にとって大事だって唱えたって僕は理解してるので。
深井:そうだね。
楊:そこにそれぞれの人が自分たちが大事にしてる愛だけを大事にしていくと、それは世は乱れるんじゃないのって墨子は考えたから。
深井:すごい理想主義者ではあるけど、やっぱそうなんだろうなと思ってて。僕は彼ほど理想主義者ではないんですけど。本当にやっぱりそうするしかないんだろうなと思ってるのと、あと、なんかつくづく思うのはわかっててもできない、それが。こんだけ座学で勉強して座学で勉強して愛が大事なんだなと思っても実践が難しい、めちゃくちゃ。これが面白いですね。だからラジオとかで僕がこういう考えいう。そしたらみんなすごい好意の解釈してみんな僕ができてるもんだと思って接してくれてる人とかたまにいるんですけど、全然できてない。
樋口:わかってはいるけどできてはいない。ということ。
深井:学びはシェアしてますけど、その学び、僕は実践できてないですから。6割くらい実践できてない、頑張ってはいますけど。それはシェアしときますね、みなさん。だからみんなで頑張ろうぜって感じなんだけど、本当そういう学びをこの一次世界大戦でも感じるね。
樋口:まあね。
深井:このボタンの掛け違えよ、本当、これ。
楊:ボタンの掛け違え、そうだね。しかたない部分もあるけどね、読んでると。
深井:国民国家ができて、それはいいこと、なんとなく。だって社会契約論とかがあって、人権があって、社会の序列がなくなって、のは個々人にとっていいことかなと思う。今の現代人の感覚からしても。まさかナショナリズムがそこからこんな戦争を起こすとは。今の時代だからわかりますけど、難しいですよ、それ。そこまでコントロールするの。
樋口:じゃあ、その帝国のままで国民国家にならないのがよかったかというと、
深井:そうなんです。よくなかったと思うし。
楊:強力な支配者層が上にいて、下の人は身分で一個下なんですけど秩序を保たれるのがいいのか。
深井:そうだね、だから、エンディングみたいな、全然エンディングじゃない。
樋口:え。
楊:中締め。
深井:戦争始まってない。戦争始まってない。
樋口:おれ、そろそろお腹減ってきたなと思ってた。
深井:戦争始まってないけど、すごい思ったのはこういうことを人類って全体で一緒に学ばないとわからないと思う。
樋口:ああ、はいはいはい。
深井:一人だけわかってるひとが過去タイムスリップして喋ってもわからないし、みんなで失敗したからみんなで学べると思う。これって会社でも一緒。一人だけ全部わかってるやつがいてもなかなか言葉だけじゃ通じないから。みんなで経験してみんなで学ぶって共通経験としてすごく大切で、そういう意味で一次世界大戦と二次世界大戦て世界にすごい大切なものだったと思いますし、その失敗をやっぱり冒頭言ってたことに戻るけど、バカだったなとかで片付けたらだめ。
楊:誰が悪いのかって。
深井:そう、誰がバカだとか、こいつがこんなバカだから、このヴィルヘルム2世が読めないからバカだとか言ってたらこの本質って見えない。だって、ヴィルヘルム2世がなぜ選ばれたかとか、いろんあ理由があるわけ。この時のこの国家体制とかドイツがライジングした理由であるとか、ドイツがその時にいた位置であるとか、イギリスが栄光の孤立をやめた理由であるとか、日本が出てきてどうの、とか。いろんなものが全部関係してこういう帰結になってる。それをなんていうか属人的にこの人がどうだったからとか、この人がこうだったからいたいな話を安易にすると見失うなというのはすごく思います。
楊:思った。
深井:仮にヴィルヘルム2世がその能力が高くなかったらってのはあると思う、仮にというか。それは真実としてある。ビスマルクレベルだったらなんとかなってたかも知れないけど、確率論としてそうじゃない人がどっかで出てくる、必ず。その時にたぶん世界大戦が起こる、必ず。ベクトルとしてはそっちに向かってたわけだから、社会は。ていうベクトルの話もした。列強がどうやって盛り上がっていって、ナポレオン戦争以降も。それがたまたまビスマルクの次がヴィルヘルム2世だったし、ビスマルクの次がヴィルヘルム2世だったのもある程度必然だった。それはビスマルクが抑制してたからこその反動だったわけだから。こう考えていくとですね、どうですか。歴史の捉え方と人間社会の捉え方、変わると思う、ちょっと。
樋口:本当にそうだな。わかったっていえなくなってきた、何も。
深井:いえないでしょ。そう。全員わからないままにすればいいってのが僕の結論です。
樋口:今のこともそうだし、過去のこともちょっとわからなくなってくるな。
深井:そうなんですよ。だから安易にわかったつもりになって自分が実践もしないし経験もしてないことを評価しないこともちょう大事と思った。難しい、かといって意思を持たずに生きるのもだめだから、そのバランスだよね。
樋口:愛でしょう、愛。
深井:愛だね。
樋口:愛ということがわかった。
深井:そうだね。いあや、
楊:愛もいろいろありますから。
深井:愛の面では僕も樋口さんとヤンヤンには遠く及びませんから。本当に。つくづく思ってます。
樋口:そうかな、おれはわからないですよ。
深井:俺は愛偏差値他軍35くらいなんです。
樋口:愛偏差値ってなんですか。あるんだ。
深井:最近上げてきた、今上がって40くらいになったかもしれない。
楊:俺も愛ない。人間にそんな興味ない。
深井:興味はあるけど。今そこ鍛えてますけどね。ちゃんと関心を持って自分ごととして捉えていけるように今頑張ってますけど。いやあ、なんかそういうことを学びますね。
樋口:そうですね。
深井:それが面白いね。
樋口:深井さんが死んだときに陽夏から答え聞きますわ。
深井:そうだね。
樋口:どうやった、師匠って。
深井:なんなら僕の弟子の陽夏の方が愛情強いかもね。
楊:確かにね。確かにね。
深井:確かにねって、本当そうなんだよね。全然おれよりそこ大人だから、彼の方が。面白い。そういう師弟関係もあります。ということで、次回、じゃあ世界大戦の開戦、やっと、何話目これ。十話目。
樋口:今九話目じゃないですか。
深井:九話とか十話。
楊:もう半分過ぎたよね。
樋口:うん。
深井:半分は過ぎた。
楊:過ぎた過ぎた。あと3回くらい。
樋口:一応台本では59ページなんで、ちょうど半分くらいですね。
深井:まじか。
樋口:はい。ということで、あともちっとだけ続くんじゃって感じですかね。
深井:ありがとうございます。
樋口:はい。ありがとうございました。
深井:はい。
楊:ありがとうございます。