#165 コミュニケーション不足で世界崩壊!? 三国同盟vs三国協商

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【今回の内容】
拡張路線?ヴィルヘルム2世の方針/ドイツとロシアの関係性について/再保証条約の是非/ポジションで見え方が違う/親独派と親仏派の戦い/当時の国のコミュニケーションコスト/海を制したものが貿易を制す。シーパワーに影響を受けたヴィルヘルム2世/露仏同盟とシベリア鉄道の建設/富国強兵に焦るドイツと栄光ある孤立を捨てるイギリス/ロシアとイギリスの対立と日英同盟/イギリスとフランスの協商/三国協商/弩級戦艦ドレッドノート/この回のおさらい/次回・サライェボ事件

樋口:はい、ええ、前回まではナポレオン戦争以後のヨーロッパの世界、そしてビスマルク登場というところまでお話しをお聞きしたんですけども、今回はその続きでございます。

深井:はい。ビスマルクがヨーロッパの均衡状態てのを保ってるという話をしましたけども、彼のビスマルク体制とよばれる彼の体制の中で重要な概念として三国同盟というのがあります。

楊:教科書に出てくるやつ。

樋口:はいはい。

深井:そうそう、歴史の教科書に太字で出てきてテストとかにめっちゃよく出るやつ。これ。

樋口:はいはいはい。

深井:この三国同盟というのはドイツとオーストリアとイタリアで結ばれてる同盟なんです。これの意図としては一つにはフランスを孤立させるというのがあります。

樋口:これは話に出てきましたね。

深井:フランスを孤立させるためにイタリアを三国同盟に引き入れていて、けっこう複雑で、ここら辺の各国のそれぞれの利害関係を一つづつ説明するとクソ複雑なんで必要なやつしか言わない。今覚えておかないといけないのは、この三国同盟ってのがこの勢力がいわゆる第一次世界大戦の一勢力になります。

樋口:ふうん。はいはいはい。

深井:これに対して三国協商というのができる。三国協商対三国同盟の戦争なんです。

樋口:ふむふむ。

深井:世界一次大戦が、もともとね。

樋口:なるほど。

深井:同盟を結んでたということですが、ここで大事なのはあくまでビスマルクはフランスを孤立させようとしてるところがポイントで、彼の基礎戦略としてフランスを孤立させるための同盟なんですが、皇帝が代替わりするんです。ドイツ皇帝が。ヴィルヘルム1世という人がヴィルヘルム2世という人に変わるわけ。

楊:曲者に変わるよね。

樋口:あら。

深井:ヴィルヘルム2世は戦争にも負けたし、ボロクソ言われてるけど、あらゆる本で。別になんていうかな、めっちゃバカだとは思わないですね。

樋口:なるほど。

深井:なんていうかな、運が悪い。この時期にここで皇帝になるという運のわるさ。

樋口:なるほどね

楊:そうだね。

深井:全責任をここで背負わなければいけないっていうところがあると思うんですけど。ヴィルヘルム2世はやっぱりビスマルクの外交戦略は全く理解できてない。なぜこういう条約を結んでいるのかとか、なぜこういう同盟を結んでいるかの真意をちゃんと理解してない。ヴィルヘルム2世がまず拡張路線に移っちゃう。

楊:そう、ドイツもっと強くなろうよということですね、単純にいうと。

樋口:自然な流れですね。

深井:ヴィルヘルム2世は今までビスマルクが散々頑張ってやっていたフランス孤立政策とか拡張抑制政策というのをやめるんです。

樋口:おおお。

深井:ヴィルヘルム2世もビスマルク自体も辞めさせちゃうんです。歳だってのもある、ビスマルクがすでに。今まで頑張ってビスマルクがフランスを孤立させ、孤立させるってどういうことかというと、イギリスとかと対立させたりしてた。そういうことやってたのが、ヴィルヘルム2世が拡張路線に移ることによってイギリスとフランスとロシアが結ぶ様になっちゃう。このイギリス、フランス、ロシア対ドイツ、イタリア、オーストリア、イタリアは結局戦争参加しないんだけど、三国同盟側で。

楊:イタリアはオーストリアと仲悪い。

深井:オーストリアと仲が悪い。結果的にイタリアはイギリスたちの方についちゃうんだけど。ドイツ、オーストリア対英仏露という構成になっていくんです。

樋口:一番くっついて欲しくなかったフランスとロシアがくっついちゃった。

深井:ヴィルヘルム2世が拡張路線をとるからそうなるよね。

樋口:あらら、やばいやばい。

楊:みんなで団結させた。

深井:その発端というのがあって。ロシアと再保障条約というのを結んでた、もともと、ドイツが。これはどういう内容だったかというと、ドイツがフランスと戦争になった場合、ロシアは中立を守ってくれ。仮にロシアがオーストリアもしくはイギリスと戦争になった場合はドイツは中立を守ってください。という条約だったわけです。もともとこれをヴィルヘルム2世が破棄しちゃうんです。破棄というか更新がきた、更新時期が来た時に更新しなかった。でも、もともと、だからバカだみたいな描かれ方を本でされてるけど、だけどもともと再保障条約の更新に彼は反対もしてなかったらしい。だけれでども更新手続き中に政治的な内紛的な動きがあったみたいで、この再保障条約ってビスマルクがやった仕事の象徴的な一つだった。ビスマルクを追い込んで、彼を辞任に持って行って、それを決定的なものにしたいビスマルク派閥ではない人たちの政治的意図もあったみたい。

楊:そうだね。

樋口:うわああ

深井:だから組織がもう腐りかけてるやつだよね、よくいってる、向いてるベクトルが内側になってる。

樋口:ヴィルヘルム2世の判断じゃなかったかもしれない。ってことですね。

深井:まあ、最終的には判断してるけど、彼が。ビスマルクを退場させたいという欲望が純粋なるファクト認識を妨げている可能性は高かった。ヴィルヘルム2世もビスマルクうるさいなと思ってるし、若いから、ヴィルヘルム2世は。年寄りがうるさいな、老害くらいに思ってるわけ、ヴィルヘルム2世は。で、周りの首脳陣みたいな人たちもビスマルクがずっと幅きかせてるといやなわけです。これが結託して彼を退場させたいというところでこの再保障条約というものを契機として彼の権力ってのがなくなったよというのを象徴的に示したいというのがドイツ内部であったみたいなんですよね。

樋口:なるほどね。

楊:あと、もう一つ間接的な背景があるんですけど、ドイツとロシアってものすごく貿易をしてたんです。貿易をしてたのはいいんですけど、貿易で進むと一つの形として貿易摩擦というのが起きるんです。ドイツってすごくライジングしてるって前の回でも言ったじゃないですか。ロシアってドイツからめちゃくちゃ輸入してるんです。機械とか化学製品とか穀物とかドイツからがんがん輸入してるので、ちょっと赤字になってた、貿易収支が。なってるし、ドイツは他の国にも穀物をがんがん輸出してるんです。ロシアも穀物を海外とかに輸出してるんですけど、ドイツの方にマーケットをとられつつある。そこらへんのくすぶりも実は潜在的にあったんです。

樋口:経済的なね。

楊:そうです。

樋口:なるほど。

楊:なので、経済のグローバル化によって国と国同士の結びつきがすごく強くなったってのは一つの真実なんですけど、一方で近くなったからこそ生まれる対立というのもあるわけです。

樋口:うわあ、皮肉ですね。なんか。

楊:そうなんです。だから必ずしも国の結びつきがすごく緊密になったからといって、それが無条件で平和状態が保たれるわけではないんです。だから当時の、例えば昭和時代の日本とアメリカの貿易摩擦みたいですよ。アメリカでも日本がそこ調子乗ってるからジャパンバッシングが起きてる。あれと似た様な構造だと思います。

樋口:なるほどね。まあまあ。

深井:で。このロシアとの再保障条約っていうのはビスマルク的にはロシアとフランスを結ばせないための一つのキーポイントだったんですけど。実はこれ単独で見ると結構いろんな矛盾点が存在するというところがあって、そこがビスマルクの政敵が、そこは政治的敵ですよね。突いてきて、それにヴィルヘルム2世もそうかと思っちゃったところなんです。だから全体構想からすると実はバランスがとれてるんだけど、局地構想からすると実はバランスがとれてなかった、実際に。それをだれも理解できなかった、ビスマルク以外。他の人たちといろいろ同盟結んでるやつとこれが矛盾してるんです、普通に、内容が。だから、綺麗にしないとやばいよねというのがドイツの内部では声として上がってるというのもあるんです。

樋口:なるほどね。

楊:ビスマルク、レベルが高すぎたってこと。カリスマすぎて誰も理解できないというのもある。

深井:皮肉だよね。属人的な能力で頑張って国を押し上げてもそのあと持続できないということをすごく如実に示してると思う。

楊:カエサルの最後みたい。結局だれもカエサルの本当のビジョンを理解できてない。

深井:だからまさにここでもそういうことが起こっていたし、なんていうか、どっちが正しいかってのは実は難しい判断で、どっちがバカだねとかどっちが正しいねってのは簡単なんだけど、ここで、この情報だけでは想像できないけど、こういうことって会社でもある。

樋口:現実世界でいくらでもある。

深井:ありますよね。どっちの側の話を聞いても妥当に聞こえる時であるとか、理があるときはありますし。大局で見た時と、中期的なもので見た時と、短期的に見た時で結論が違って、ポジションによって見る場所が違ったりだとか。この人だけ大局見てるけど、だれもその人が大局を見てる事を知らない時ってある。

樋口:あるあるある。

深井:だから面白い。

樋口:本当に、今、話あれですけど、コロナとかで相当判断を全員がさせられてる感じがめちゃくちゃある。

深井:そうなんだよね。ちなみにビスマルクはちゃんと言ってる。これはどういう理由でこういうことをしていて、何故再保障条約を更新しないといけないかってことを言ったんだけどわかんなかった、みんな。聞いたんだけどわかんなかった。ていうので破棄をされてしまう。

楊:そう。破棄したことによってロシアとフランスが同盟を結ぶ余地が出てくる。

深井:余地が出てくるけど、この時のドイツの首脳部もヴィルヘルム2世もロシアはフランスと結ばないと思ってるんです。これも皮肉なんです。ドイツ皇帝とロシア皇帝、ニコライ2世はヴィルヘルム2世とニコライ2世はまず従兄弟同士、親戚なんです。でヴィルヘルム2世はニコライ2世と会ったこともあって、けっこう言うこと聞いてくれるなと思ってる、実際言うことを聞いてくれるタイプだった、彼は。その感覚を持ってる、ヴィルヘルム2世は。再保障条約を破棄したくらいでロシアとフランスが結ぶことはないだろうというふうに思ってるし、思ってた。なんでかっていうと、ロシアの皇帝の周りってのは当時親独派、つまりドイツに親しいと書いて親独派、の人たちが占めてたから。

樋口:なるほど、仲よかったんですね、ドイツと。

深井:だけど、実はロシアの中では親独派と、あと親フランスの親仏派が拮抗してた、本当は。

樋口:また、中で分裂してるんですか。

深井:ロシアの中は分裂して拮抗していた時に親仏派がマジョリティになる格好の材料になった、これが。

樋口:かあ。

深井:だから、ドイツからしたらずっと親独派だから、これをやってもそんなことならないだろう、親独派のままだろうと思ってた、だからやった。だけど、ロシアからみるとドイツがそういうことするってことはドイツはロシアのこと全然考慮してくれてないんじゃないかと思って、今まで抑えれれてた親仏派の意見を抑えれずに親仏派にかわっちゃって、フランスと急接近することになるんです。

樋口:逆効果というか、なんなんだろうな、これ。

深井:これ、会社の人間関係でめちゃくちゃよくある。

樋口:へえ。

深井:つまり、ある一方はこんなことを言ったくらいで相手の感情は損なわれないだろうと思ったりだとか、気持ちは変わらないだろうと思ってる。人間の感情てのはグラデーションで10段階くらいあって、10から一気に1に落ちるとかは思ってない、みんな。だけど実際はそうじゃない。実施は10と1が拮抗してる。10から9に段階的に落ちるというよりは、10と1が拮抗してて、そのせめぎ合いに中に各人間は存在してるわけ。それがあるきっかけを元に堰を切ったかのように一気に変わったりする、感情てのは。そういうのが国家レベルで起こってる。これがロシアで起こったんです。だから、ドイツはそれを読みきれなかった、だけどビスマルクはわかってたから言ってた、だけど誰もドイツはわからなかった、それが。

楊:深井くんがいってた会社の中での積もりで考えるというところの話にもすごく繋がるかと思う。

深井:弟子の陽夏がノートで書いてくれてる。

樋口:そうそうそう。

深井:積もりで考えて、自分はこういう積もりで、その積もりが伝わっているであろうでコミュニケーションをとったりするんだけど。相手はそれを拡大解釈したり過小解釈して恐怖が増大したりとかする。もしくは過剰に期待したりとかしてコミュニケーションがぶっ壊れていく。それの不幸な連鎖がめっちゃ世界大戦で起こった。

楊:そうなんですよ。

深井:ぼく、会社で何回も見てきた、これ。

樋口:なるほどね。あれですね。だろう運転。

楊:まさに。

樋口:かもしれない運転をしないといけないのに。

深井:かもしれない運転。

楊:だろうとか積もりをなくすためには普通に考えて、コミュニケーションすればいい。でも当時の世界、世界というかヨーロッパの国々はコミュニケーションが実は難しかったんですよね。今だと、例えば僕ら今日本に住んでる。日本に内閣がいて政府がいて、上から下まで統一された見解とか発信が降りてくる、そういったシステム。でも当時は時代とかシステムの転換点だったので、トップダウンがあまりのシステムが整ってなかった。具体的にどういうことかというと、一つの政府の中にいろんな意思決定者が統一されてないんです。皇帝は皇帝のことをいう、政治家は政治家のことを外に向かって話す、官僚は官僚の話をする。みんなそれぞれに公式見解を統一されないけども自分の意見とか自分の考えを統一見解として外にばんばんばらばらに発信してる状態なんです。どっか一つの機関なり人間が国の公式見解を発信したりとか国の権力を代表して意思決定を下したりするようなシステムじゃなかった。

樋口:窓口がいっぱいいた。

楊:だから国同士のコミュニケーションのコストって今では考えられないくらいすげえ高かったんです。この外交官はすごい国の公式見解みたいなこと言ってるけど、なんかあそこの、同じくにの皇帝は違うこと言ってる、どうなってるんだ、みたいなことがけっこう現場でめちゃめちゃ発生してる。それは当時の一つの状況ではありましたね。

深井:そうですね。

樋口:なるほどね。

深井:でね、ヴィルヘルム2世は言い忘れてたけど、拡張路線をとったよと話した、それはすごく帝国主義的な拡張路線なんだけど、この当時シーパワーとかランドパワーとか地政学みたいなのが出てきた時代なんです。

樋口:なんだ。

深井:地政学というのは政治と地理みたいなのを掛け算して考える考え方。

樋口:ほお、なるほど。

深井:なんです。

樋口:はいはいはい。

深井:この時地政学の中でシーパワーというもので言われてたの、何をいうか、マハンという軍人が唱えた理論がありまして、これ何を言ったかといいますと、海上権力、海上覇権というのを確保した国ってのが世界の覇権をとるんだと。それが非常に大事なんだと、だからシーパワーを確保するためには大艦隊の建設をしないといけない。その大艦隊の建設をすることによって海軍を整備して、海を征することによって貿易を制して経済を発展させない限りは国ってのは強くなれないしイギリスに勝てないという話をする。これアメリカ人なんです、これ言ったのは。これにみんな触発される。前言った艦隊戦争にここからも突入していく。

樋口:海が重要だとみんな思ったってこと。

深井:大艦隊作るの大切だと思った。これに一番触発されたのが何を隠そうヴィルヘルム2世なわけです。この人、枕元に置いて毎晩のように愛読したらしい、これを。軍艦設計のアイデアスケッチまで書いて海外首脳に見せて喜んだりしてたらしい。喜んでるかどうかしらないけど。少年ぽいところもあったりして。

楊:そうなんです。これ、さっきもいった話に通じるんですけど、ヴィルヘルム2世が海外でいろんな政治家とか重要な人物と会うじゃないですか。彼がうちこんなことやりたいよ、こんなことやりたいよ、って勝手に言っちゃう。全然内部での合意形成なしに、それがちょっといろいろ誤解を生んだりとかという説もあります。

樋口:なるほどなるほど。

深井:で、ヴィルヘルム2世は大艦隊の所有に向けて艦隊整備を始めていくわけです、ドイツとして。これをすることはイギリスが今度はいやいやとなるわけ。イギリスはそれまではパックスブリタニカという安定の時代を迎えて世界経済というのを主導してきてる、自らの海上覇権の力によって。いきなりドイツがそれで艦隊建設始めたら我々への挑戦だろうと受け取るわけです、イギリスは。これによってドイツは奇しくもロシア、イギリスどっちにも喧嘩を売った形になるんです。

樋口:あちゃ。

深井:これで、さっきも言ったけど、先ず露仏同盟てのが出来上がる。

樋口:ええ。

深井:この露仏同盟てのはロシアとフランスのこと。さっきも言ったけど再保障条約の破棄はロシアからするといろんな不安を抱かせる態度だったわけです。それまで拡張路線もなく野心も見せなかったドイツは誠実な仲介者という地位と呼ばれてるけど、ビスマルクの時代は誠実な仲介者として周りの仲介をしてくることによってヨーロッパの均衡が保たれていたのに。仲介者という地位を捨てたように見える、これをすること自体が。それが親仏派の、ロシアの中の親フランス派の人たちを触発して、そっちの方がマジョリティになっていって、主導権を握っていってしまう。という状況が起こって、フランスに近づくことになります、ロシアが。ここの中で一つ起こったことってのは、フランスの資本協力によってシベリア鉄道を作ることなんです、ロシアが。これが起こりますね。

樋口:ほお。あの、長いやつですね。

深井:長いやつ、そう。

樋口:はいはいはい。

深井:これを作るってどういうことかっていうと、ロシアが極東、つまり日本とか中国の方向に向かって軍隊を動員できるってこと、大量に。

樋口:ありましたね、鉄道の発達が。

深井:ロシアの極東勢力に対する抑えになっていく、これが。こういうことも起こってくるわけ、露仏同盟が結ばれることによって。そういう極東方面の状況も刻一刻と変わっていくわけ。そして日露戦争までいくんだけどね。日本はそれが怖いからロシアと対峙していくことになる。陸軍としても海軍としても。というのがあります。ここでイギリスがどうなるか。さっきいったイギリスは脅威を感じました、ドイツが艦隊を作り始めて脅威を感じました。当時イギリスってのは栄光ある孤立っていう一強時代から脱落し始めてる時って話をしました。この当時南アフリカ植民地でボーア人が戦争を起こしてる。これはガンディーとかがボランティアで参加してたやつ。覚えたない人がほとんどだと思う。

楊:聞き直して、ぜひ。ください。

深井:そう。そうやって植民地でぼんぼんなんかいろんなことが起こったりだとか、アメリカがスペインと戦争したりしてるけど、そこに対して干渉したいけどする余力が残ってないとか。そこまで兵士回せないという状態になったりしてる。それくらいあまりにも植民地が遠くいろんなところにありすぎて、管轄できないっていうふうになった。

樋口:遠すぎた。

深井:経済力はあるし国民国家モデルの適応はうまくいってるんだけど、植民地の管理はやっぱりできなくなっていってるわけ。

楊:利害対立もたくさん起きるしね。

深井:そうそうそう。

樋口:うんうん。

深井:しかも極東方面にはドイツがさらに、ドイツは極東方面にも日清戦争のあとに干渉していく。進出していくわけ。清の利害にも進出して、いろんなところに、アフリカであるとか、中国であるとか、いろんなところに実はドイツはいきなり一気に手を出し始める、ビスマルクの反動もあって。

樋口:はいはいはい。

深井:その中には前の回でヤンヤンが言ってたみたいな、ドイツとしても焦りがあって、自分たちだけ植民地あんまり持ってない。

楊:そう。

樋口:はあ。

深井:ずっと仲介者してたし、新興国、ドイツ自体が。だから植民地もってないから自分たちだけ持ってないのは逆に怖いわけ、彼らは。

楊:富国強兵をしないと自分たちは潰されるという危機感はあった。

深井:そうですそうです。それが怖いんで頑張って植民地を取りに行こうとか、利害をがんがん取りに行こうとしてるわけだよね。植民地だけじゃなくて。利害を取りにいこうとしてるんだけども、それがイギリスからみるとでかい脅威に見えていくので、イギリスはここで栄光ある孤立を捨てることにするんです。情勢が変わってきたんで。誰と結んだかといったら、日本。

樋口:うわあ、急に出てきたよ。

深井:その当時新興国であった日本。この日本はロシアが仮想敵国だった、当時。ロシアは極東まで持ってくる鉄道を整えつつあるし、彼らはバルチック艦隊という艦隊も持っている。大国である。そして彼らは朝鮮に対して野心をみせている。朝鮮がもしロシアに取られたら日本はロシアとある意味すごく近い海を隔てて対峙してしまうことになる。それはとても危ない。ということで、日本としてはロシアを食い止めたい、という考え方がありますね。実際に日本はさらにイギリスから戦艦もたくさん買ってるわけで親和性も高いわけです。一方でこの段階でロシアとイギリスってのはいろんなところで利害が対立してる。中東、アフリカ、中国、いろんなところで対立しているという状態があって、まず栄光ある孤立てのを捨てて、日英同盟てのを結ぶんだよね。日本からするとめちゃくちゃすごいことが起こった。今まで丁髷作って近代国に頑張ってなろうってなって、頑張ってやってた。その近代国家になった瞬間にある意味当時のランキング一位のイギリスが誰とも同盟結んでないのにいきなり日本と結んでくれるということですごい沸き立つわけ、日本は。

楊:対ロシアで利害が一致したんだよね。

樋口:はいはいはい。

深井:そう、対ロシアで利害が一致してね。日本は陸軍国だったから、当時、まだ。その後海軍をどんどん日露戦争に向けて増強させていくんだけど、陸軍も持ってて、イギリスって陸軍が弱い、すごく。だからその陸軍もってるのもいいよねってことで抑えになるよねってイギリスとしては日本と結ぶことに利があるなということになった。それでそれが日英同盟を結ぶのが1902年ですね。その後イギリスはフランスと結びます。今までフランスとイギリスは、これもいろんなところで利害が対立してたんですけど、これもドイツという脅威に対して、フランスとイギリスがそれぞれ譲歩して、特にこの時にはフランスがイギリスに譲歩して、対立するのやめるんです。ちょっと対立してる場合じゃない、利害が。今までドイツが対立させてた、ビスマルクが、ある意味、フランスとイギリスを。で、誠実なる仲介者だよっていって出ていって話し合いをしてるけど対立してるから物事が前に進まなかった。それがビスマルクいなくなって、ヴィルヘルム2世が拡張路線をとったものだから、フランスとイギリスはドイツ危ないといって、今まで対立してたのを引っ込めて結ぶことになったんです。

樋口:はあ。

深井:一番おそれてたことの一つです、これは。フランスがイギリスに譲歩して、露仏協商というのを結びます。これ別に覚えなくてもいいですけど。フランスとイギリスが結んだよということです。主にアフリカの分割でぶつかってましたけど、そこに何ならドイツが来た。

楊:共通の敵が来た。

樋口:はいはい。

深井:一番後発としてドイツが出て来ちゃって、うわってなって、イギリスとフランスが。もうこれは一緒にドイツを追い出そうみたいな感じで結んでいくわけです。イギリスとフランスの仲の悪さって筋金入りだったんです。中世からずっとイギリスとフランスは仮想敵国なんです、お互い。それがドイツが統一されてライジングしてきたことによって本当に奇跡的にこの二つの仮想敵国関係が解消されるんです。

樋口:ライバル同士みたいな感じだった。

深井:フランスがライバルじゃなくなったことによって、イギリス海軍て地中海での戦力を落とすことができるようになって、ドイツ艦隊がいる北海ってところに戦力集中することができるようになる。これもすごくイギリスにとって重要なことだったんです。

楊:なるほど。

樋口:なるほど。無駄にリソースと使わなくてよくなった。

深井:そういうことです。基本的にそういう同盟とかこういう、これは協商なんだけど、協商とかの利益とかメリットはそういうのが多い。

樋口:安心できるんですね。

深井:そうそうそう。

樋口:はいはいはい。

深井:この段階で結ばれてるのが、露仏同盟というロシアとフランスが結んだよという話と、英仏協商ていうイギリスフランスが結んだよって話。ここに今度イギリスとロシアが結ぶ、対立してたのに。これは1907年くらい。

樋口:素晴らしい。ということは、

深井:コンボだよね。

樋口:全部くっついた。

深井:全部くっついてるけど、イギリスをハブにして、じゃんけんみたいになってる。じゃんけんみたいになってる、関係性が。露仏同盟、英仏協商、英露協商。イギリスとロシアです。これを三国協商という、この三つを束ねて。だから三国が三国同時になんかしてるわけじゃなくて、それぞれがそれぞれ結ぶことによって体制が出来上がってる状態です。これはけっこう世界史のテストとかにも役立つ情報かも。

楊:これでヨーロッパが大体に二つの勢力に色分けできるようになった時期だった。

深井:これもなんでこれが起こったかというと、バルカン半島から中東方面にドイツが進出してきた。今までイランとかアフガニスタンとかチベットとかでイギリスとロシアの両国は対立してた。対立してたんだけどその対立ってのを一旦ここでこういうふうにしようと決めて、解消させて。で、ドイツに対抗しようというふうにするわけです。

樋口:なるほどね。ビスマルクすごいですね。

深井:ビスマルクすごい。

樋口:そうとうすごいですね。ここまで予測してたからずっと解決せずに対立させてた。

深井:そういうことです。だからビスマルクがいないからこうなった。なるべくしてなったということです。

樋口:はあ、なるほど。

楊:いやあ、そうだね。逆にこういう、わかんないですけど、こういう今僕らが享受している、今のところ少なくとも日本で享受している平和のこの状況てのは、だれか知らない人たちの努力によって成り立っているかもしれないと、純粋にビスマルクの話読んで思いました。

樋口:確かにね。なんか、対立に見えるようなことをわざと起こさせて、本当の対立をさせないようにさせてるという感覚あります。わかんないですけどね、何もわかんないですけど。

深井:あと、もう一つね、英露協商が結ばれたきっかけはやっぱり日露戦争でロシアが負けたことなんだよね。日露戦争でロシアが負けたことによって、ロシアってのは極東への進出ってのを一回諦めるんです。この諦めるという戦略転換が今まで、これちょっと詳しくいうと長くなる、戦略が転換されちゃった、ロシアの中で。

楊:ヨーロッパの方にいく。

深井:うん。

楊:ヨーロッパというか西の方に行くのか。

樋口:なるほど。

深井:そうだね。極東諦めるし、中央アジアでイギリスに譲歩するし、国力も落ちてるし。ロシアが野心を見せずらくなるというのもあった。やっぱり。ここでちゃんとイギリス、フランスというものとくっついておかないと内部の問題もあって危ないぞというのもあってロシアはだいぶここで妥協することになるわけです。いづれにせよ、この三国協商が出来上がります。この三国協商が出来上がったことに対して今度ドイツが反応する、リアクションする。つまりドイツは怖い。英仏露から包囲されてると強く意識するし、事実そうだから。これによってこの二極対立、三国同盟の派閥、ドイツ、オーストリアハプスブルク、オーストリアとハプスブルクは同じ国ね。とイタリアという三国同盟とイギリス、フランス、ロシアっていう構図ですね。この構図が出来上がることでより戦艦競争てのがさらに強まって行く、イギリスとドイツが特に。戦艦競争が強まっていって、ついに1905年、この協商とかが出来上がる途中の話なんだけど、ドレッドノートって、有名な戦艦なんだけど、ドレッドノートという戦艦ができあがる。これは日露戦争とかの戦闘データを全部収集して活かして作った攻撃力防御力速さ全てにおいて今までの戦艦を凌駕するって書いてある、すごい戦艦なんだよ。

樋口:おお。

楊:すごいね、これ。ゲームとかに登場してそうな名前。

深井:実際バトルフィールド1というゲームにはドレッドノートは出てくる。このドレッドノートてのは、弩級戦艦と呼ばれる。

樋口:絶対強い。

深井:このドレッドノートがベンチマークになってこれを基準にしてドレッドノートをどれくらい超えるかというのが建艦競争になっていく。ドレッドノートの前は前弩級戦艦と呼ばれるし、ドレッドノートを超える戦艦てのは超弩級戦艦と呼ばれる。だから超弩級て今でも使うやつはここから来てます。

樋口:ああ、ええ、これは豆知識。

深井:はい、豆知識ですけど。ここからきておりまして。アメリカ、そしてフランス、ロシア、ドイツ、日本も競って海軍を拡張していって、日露戦争とかでロシアの艦隊は吹っ飛びますけど、そういうのやっていく。日本もどんどんどんどん艦隊を作っていって、すさましい重税に苦しむわけですね、明治の民衆てのは。

樋口:これ、さっき話した一個強いのが出て来たらそれ以前のやつが全然役立たなくなる。

深井:そうそう、陳腐化されてしまうからね。

樋口:状態ですね。

深井:という状態が起こっていきます。

樋口:うん。

深井:まあ、そんな感じかな。

樋口:ちなみに、この時日本てどういう立ち位置にいるんですかね。

深井:日本は日英同盟結んで、日露戦争にも一応勝利をして、賠償金もらえなかったんで極貧ですけど、いい状態ではあります。だからすごい列強に名を連ねるところまで明治維新以降、アジアで唯一それを成し遂げて、すっごいライジングしてるところ。

楊:中国の満州とかに進出していく。

深井:そのあとは中国を抑えにいく段階にあるよね、日本は。こんどは。

樋口:なるほど。一応日英同盟組んでるから三国協商側にいるっていう感じなんですかね。

深井:そうですね。日英同盟組んでるんで派閥でいうとイギリス側の、連合側っていうんですけど、連合側ですね。

樋口:なるほど。

深井:日英同盟を結んでるんだけど、そうです、はい。日露戦争に負けたからロシアはイギリスと結んで行く、それまではロシアとイギリスは対立してたけど、一旦それは解消されるから。

樋口:てことですね。なんとなくわかってきました。

深井:そういうちょっと複雑ですけどね、一応登場人物ある程度絞ってるんで。本当はもっといろんな国でてくるんよ。

樋口:はいはい。

深井:この後に出てくるんだけどね。という感じで、今めっちゃざっくりおさらいしますね。

樋口:ええ。

深井:ここまでの。この回のおさらいをしますと、ビスマルクが三国同盟ていうのを作ってて、ドイツとオーストリアとイタリアってのが同盟を結んでました。ただそれはオーストリアとイタリアは利害が対立してたりする不安定な同盟なんだけど、そういうのを作ってたよ。まだ、イギリスは孤立してたのに、イギリス孤立してたしロシアとフランスとかと結んでなかったけど、ヴィルヘルム2世という人が拡張路線に走っていった。別に彼が走ったというよりはドイツが走っていったんだけど、ドイツが走っていったことによって、まずロシアは内部が親仏派に変わってしまって露仏同盟に走っていくよ。それはドイツはまったく想像してなかった。イギリスもイギリスで今度はフランスと結ぶことになった、怖いから。日英同盟も結んだし、フランスとも結ぶことになったし、なんなら日露戦争に負けた後ロシアともイギリスは結ぶことになったよ。と。こうやって勢力がイギリス、フランス、ロシアという側と、ドイツ、オーストリア、イタリアというこの大きく二つにごんと分かれている状態になったよという話。

樋口:いやあ、むちゃくちゃわかりやすい。

深井:まとめるとね。ただ、このまとめだけ書いてある、教科書とかは。だから全然意味わからない。で、ってなる。

樋口:おれも紙にメモりながら今聞いてましたけど。

楊:そうなんですね。

樋口:そうそう。へんな三角関係の図みたいになった。

深井:それ、教科書に書いてあるから、それ、まさに。ていうことでですね、次回ついにサラエボ事件という、ここから、なんで世界大戦が起こるのかという、本当に戦争勃発のところをやりたい。

樋口:ついに始まっちゃいますか。

深井:まだ、始まってない。まだ始まってない。

楊:今の状況は確かにいろいろ二つの陣営に分かれて対立はしてるんですけど。じゃあここから直接戦争の原因になってるかというと別になってない。

樋口:はいはい。

深井:その当時

楊:お互い、まだまだ経済的な部分では軍事的な軍拡競争とかやってるんですけれども、じゃあもう戦争するぜ、っていう、戦争になるっていう雰囲気ではないんです、まだ、全然。

深井:したくないしね、みんな、戦争。だから勢力が分かれたんだけど、戦争しないようにしてるってのがこの状態。この状態からなぜ誰も望まない戦争に突入していくのかってのが、次回とその次もたぶんやるかな。という感じでございます。

樋口:はい。ですかね。いやあ、ていうことで、今日はここまでですかね。はい、ありがとうございます。

楊:ありがとうございます。

深井:ほい。

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