#157 内乱!外敵!カトリック教会を取り巻く脅威とカールおじさんの苦悩

【今回の内容】ルター派領主の登場/カール困惑!オスマントルコ帝国の大進撃/約束破るフランスのフランソワ/ヴォルムス勅令「良心にしたがってちゃんとやってね」/帝国最終決定「プロテスタントはおかしい」/軍事同盟/世俗権力に興味のないルター/対外戦争集結・国内戦争勃発/天寿を全うしたルター/プロテスタントの自由を奪うカトリック/調子に乗ってしまったカール5世の敗北と引退/カトリック、プロテスタント、領主、交錯する思惑/勝者は領主!平和になったかに見えたが、、?/ヨーロッパ全土を巻き込んだ30年戦争勃発/堕ちた神聖ローマ皇帝の権力/次回、ジャン・カルヴァン登場!

樋口:はい、ええ、前回はルターの存在によって農民反乱が勃発していた状況になりましたが、今回はその続きでございます。

深井:そうですね。農民反乱が起こって人がたくさん亡くなるくらいの大反乱が色々なところで起こる。この農民反乱が起こってる時の状況、今度は神聖ローマ帝国の皇帝の立場から見てみるとですね、困るよね。内乱だから、それ。

樋口:普通に困る。

楊:確かに

深井:困りますよね。 言い忘れてたけど、ルターが破門されてそのあとに呼び出して弁明の余地を与えたけど彼が全部従わなかったって話しましたよね。あの時点で法律の保護を全部はずしてる、ルターから。

樋口:おお、ほほほ。

深井:破門されてる時点でそんな感じ、実際法律保護はずれてる。だけどザクセン選帝侯ていう人に匿われてるって話をしました。

樋口:ええ。

深井:で、この、ちょいちょい皇帝とかローマ教皇に対抗するためのルター派の領主の人たちが出てくる。大名みたいな人たち。ルターの論理を使ったら皇帝権力も皇帝権力も崩せそうだから。

樋口:そういうことか、利用するみたいなイメージ。

深井:前回もいったけど、そう。ヒエラルキーの下の人が上の人に反抗するのにとてもよいやつだったわけです。

樋口:はいはいはい。

深井:だからそういうルター派の人たちがちょいちょい増えてきてるわけです。神聖ローマ皇帝のカール5世からすると、押さえ込みたい、それ、全てを。カトリックだから、自分。早めに押さえ込みたい。

樋口:はい、もちろん。

深井:早めに押さえ込みたい、その、まさにその時ってどういう状況だったかというと、

樋口:どういう状況だ。

深井:オスマントルコ帝国が攻めてきてるんです。

樋口:うわあ、

深井:そうなんです。

樋口:まじか

深井:そう。

樋口:きたきた。

深井:オスマントルコの回で、メフメト二世がコンスタンティノープルを陥落させて、そのあとヨーロッパに行く道筋ができたって話ししました。

樋口:はいはい。

楊:この時はコンスタンティノープルは陥落したあとです。

深井:後の、その後まさにその道筋ができて攻めてきてる時です。

樋口:大変。

楊:オスマントルコまじライイジングしてる時ですからね。

深井:ライジングして。

樋口:ほお。

深井:そのスレイマン1世ていうあの時できなかった、やりたかったけどできなかった人がベオグラードを陥落させ、どんどんどんどん進軍してきてるところです。

樋口:やばい、興奮するこれ。

楊:スレイマン1世てちなみにオスマントルコの最盛期を作った人。

深井:そうそう、最盛期。メフメトの次の次くらいのちょう一番いい時の王様がいる時にまさにこれが起こってて。

樋口:きたきた。

深井:で、カール5世としてはどうしないといけないかといったら、みんなが大名。だから自分の号令一つで全員が軍隊集めるくらいの権力をデフォルトで持ってるわけじゃない。もちろん建前上そういう権力持ってるけど、やっぱりルター派の人たちを押さえ込みながら軍隊を出せと言う話しはできないわけです。

樋口:ええ。

深井:てことはどう言うことかというと、ルター派の人だろうが、カトリック派の人だろうが、みんなに軍隊出してもらわないといけないからルター派の諸侯にへんなこと言えない。外敵がいるから。

楊:それどころじゃないから。

樋口:はい。

深井:それどころじゃない。だから今まで何回も押さえ込まれてたこの農民反乱であるとか、宗教改革の動きを神聖ローマ皇帝カール5世は押さえ込みきれない、ここで。

樋口:それはしょうがないね、

深井:オスマンさんがきたから。

樋口:やばいやばい。

楊:譲歩しちゃうのかな。

深井:譲歩しますね。なんならこの時にカール5世、神聖ローマ皇帝カール5世はフランスのフランソワ1世ていう王様、これわかりやすい、フランスの王様がフランソワ1世てちょうわかりやすいよね。

樋口:おもろいな。

深井:え、しゃれ。みんなこんな感じでなってほしい。

樋口:しゃれ。

深井:フランソワ1世とね、ずっと戦争してるんですよ。で、フランソワ1世に勝ったりしてるんだけど、やっぱり勝ちきれないというか、なんていうかな、まだ、対抗してきたりしてて、とにかく外敵がたくさんいる、カール5世からすると。困ってるんです、ずっと。

樋口:これはちょっとかわいそう、状況的には。

深井:そう、困ってて、ルター派に譲歩とかしないといけないからいい顔するんだけど、うまい具合にウイーンていうのが、ウイーンていうのはまさにカール5世の本拠地。その神聖ローマ帝国の本拠地ですよね、ウイーンて当時の本拠地。このウイーンまでスレイマン1世が攻めてくる、包囲される、ウイーンが。

楊:まじで怖い。

深井:ちょう怖いわけ。なんとか押し返した。なんとか押し返したんです、ウイーンは。なんとか押し返したりとか、フランス1世にもなんとか勝ったりして頑張ったんですカール5世すごい頑張ったんです。

樋口:はいはいはい。

深井:この人本当名君といわれてるけど、めちゃくちゃ頑張ってなんとか外敵を押さえ込んだ時に、やっと国内の宗教問題、ルター派が出てきてめちゃくちゃばちばちしていろんなこといってるけど、やっと着手できる。やっと着手できるということでまた議会を、シュパイエル帝国議会ていうのを招集してですね。ここでルター派ってのはおかしい、やっぱカトリックが正統だ、みんなそっちに従いなさいという勅令をだす。これヴォルムス勅令ていうんですけど。そういう勅令をやっと気を使わなくてよくなったからね。

樋口:ほうほう。

深井:そうすると、またフランソワ1世がさっき約束した、マドリード条約ってのを結んで戦争が一旦終わったかとみせかけてフランソワ1世がその約束破ってまた攻めてきたりする。

樋口:また。

深井:攻めてくるから、またカール5世が、ちょっとさっき厳しいこと言おうをしたけど、やっぱ今のなしね、みたいな。ちょっとやっぱ手伝ってみたいになる。だからこのヴォルムス勅令て最終着地どうなったかというと、みんなそれぞれ神と皇帝に対してみんな良心持ってるよね。だからそれぞれがちゃんと自分で考えてちゃんとやってねみたいな感じで終わる。

樋口:ふわっとで終わった。

深井:めちゃくちゃふわっとしてる。これってルター派からしたら最終的に私はこれが正しいと思いますってことやっていいってことになっちゃうから。黙認してる状態になる。

楊:そうそうそう。

深井:この間にちょっと力つけるんです。また、ルター派が。ルター派ってまだ全然弱い。カトリック教会と皇帝ってなんだかんだ強いから。特にカトリック教会強いから。カトリック教会の権力も落ちてたけど。皇帝もカール5世の時強かった、カール5世がすごい皇帝だから、皇帝権力が神聖ローマ皇帝は弱いとはいえ、強かったんです。だからルター派ってまだまだ全然弱い状態で、弾けば飛ぶような状態なのに、名君であるカール5世の外敵が強すぎて、毎回これが起こる。何回かこういうことが起こるんです。

楊:そうだよね、潰しきれない。

樋口:うん。

深井:また、そのね、フランソワ1世なんとかして、フランソワ1世の王子を人質にとって、なんとか、また、気を使わなくてよくなったぞとなったら、今度はシュパイエル帝国議会2回目開いて。

樋口:がんばれカールさん。

深井:これの議会の名目上の目的はオスマン帝国どうやって退散させるかだったんだけど、この中で宗教問題もがっつり話し合われて、最終決定としてはヴォルムス勅令てさっき、プロテスタントとかルター派の人たちを押さえ込むような勅令っていのをもっとちゃんと実行していこうね、みたいな。

樋口:はいはい

深井:ちゃんと実行しようねみたいな決められるわけです。そういうのを何回か繰り返すんです。そういうの繰り返したのちになんとかさっき言ったオスマントルコのスレイマン1世のウイーン包囲みたいなのをはねのけて、この辺時系列複雑なんで本気で知りたい人は本読んで勉強してほしいんですけど、色々何回か繰り返してはねのけて、で、一応の最終決定としてアウクスブルクってとこでまた帝国議会を開いて、ここの最終決定としてはヴォルムス勅令、プロテスタントてのはおかしいよね、カトリックが正しいはずだよねって話しをするので、一旦これで最終決定になる。

樋口:やっと。

深井:帝国としてはこれが最終決定です。ヴォルムス勅令てのはちゃんと行います。ヴォルムス勅令てのをちゃんと施行しましょうとなる。そうするとルター派の諸侯の人たちとしては怖い、弾圧されるわけだから。

樋口:そりゃそうだ。

深井:怖いんです。ここでルター派の諸侯の人たちってのは、これ、語弊があってプロテスタントって聖書を元にして解釈するから、プロテスタントって呼ぶの語弊がある。他の呼び方して意味わかんなくなると思うからこう呼びますけど、派閥がいっぱいあるんです。細かいところで解釈がずれる、みんな。けっこう一体化してなかったんです。

樋口:なるほど。

深井:けど、ヴォルムス勅令がいよいよ施行されるぞとなったときに、前提として解釈ちがうけど、われわれは同盟を築かないとやばくないかって話になる。

樋口:そこはそこで外敵に向かってまとまりだしたんだ。

深井:そうなんです。これで同盟を結ぶ。これをシュマルカルデン同盟っていう。ちなみにルターはずっと究極たぶん世俗権力争いにあんまり興味ない。

樋口:ルターぽいな。

楊:彼は神学、学問の方に集中してたんで、こういうところにはそこまで積極的にははいってない。

深井:そう、それに皇帝、その神聖ローマ皇帝に対抗したいとかも思ってない。最後の最後まで躊躇してるわけです、皇帝に対して同盟結んで軍事的に対抗するってことなんで、この同盟結ぶってことは。軍事的に対抗するってことは躊躇したんだけど、最終的には自分のバックの人たちが援助者たちが全員、ルター派と言われてるくらいだから、その諸侯の人たちが自分を助けてくれてる人たちがそういうふうに言ってるからしょうがないかってたぶんなった。それで見解としては帝国の諸身分の人たち、諸侯の人たちってのは単に皇帝の臣下である、家来であるというだけではなくて、自ら上に立つ人として領内の人々の魂の救いに導く責任があるよね。だから宗教的におかしいこといってる皇帝のいうことを聞いちゃだめだよねという論理をある意味無理やり作ったんだと思います。こういったシュマルカルデン同盟が結ばれるんだけれども、この時にやっぱり皇帝は未だにオスマン帝国とフランスに注意を払わないといけないので身動きがとれない。

樋口:カールおじさん、まじたいへん

深井:カールおじさんて。そのプロテスタントの諸侯の人たちに信仰上の自由ってのを与えざるを得ない。しかもこの後皇帝は戦争で10年間ドイツを、神聖ローマ帝国を留守にするんです。

樋口:10年。

深井:この間に同盟を結んだルター派とかプロテスタント側の人たちってのは基盤をしっかりと作ることができるようになるわけです。実際派閥で分かれてたところもある程度の一致をさせる。だからカールからすると戦争が終わったかなと思って、宗教問題取り組んでおらって押さえつける、瞬間に対外戦争問題が発生してうわってそっちいって、てのが何回も繰り返されてるという状態。

樋口:てんてこ舞い。

深井:いよいよ戦争にまで発展します。国内戦争ですね。対外戦争押さえ込んで、ついに、何回も言ってるから聞き飽きたかもしれないけど、フランス、対フランス戦てのは完全に終結するんです。

樋口:するんですね。

深井:この後。はい。で、いよいよ国内問題に完全着手できるようななった状態でさっき10年間留守にしたという話しした。戻った時の話し。戻ってきていよいよシュマルカルデン戦争って戦争に突入するわけ。これはプロテスタントやルター派の諸侯の人たちとカール5世の戦い。神聖ローマ帝国の戦い。

樋口:いわゆる内戦ですね、ローマ帝国の中での。

深井:そうんだんです。この戦争に突入する直前、同じ年にルターは亡くなるんです。

樋口:え、急に。

深井:けっこう年数経ってる。

樋口:そうかそうか。

深井:ここまでの話しってけっこうずっと時間が経ってて。例えば95か条が出てからだいたい30年後くらい経ってる、この戦争が起こってる時に。ルターは普通にナチュラルに寿命で亡くなってる感じ。

楊:天寿を全うしてます。

深井:そんな若くして亡くなってる感じでもない。今でいったら若いですけど、当時普通くらいの感じで亡くなってて、ある意味精神的支柱みたいな感じだった、ルター。本人はずっとそのつもりないのに。

樋口:おれも今回のこのコテンラジオのこのシリーズの精神的支柱になってた、ルターが。ずっとルターを、

深井:そうですよね。

樋口:追い続けてきたんで。

深井:このタイミングで亡くなっちゃう。だから宗教改革って彼が亡くなったあとにもずっと続いてるということですよね。亡くなって、ここでルター派、プロテスタント派閥の人たちが負けるんだよね。負けて、シュマルカルデン同盟、ルター派の人たちの同盟、これを引っ張ってたヘッセン方伯フィリップとザクセン選帝侯という人が捕まって、投獄されちゃう。

樋口:あちゃ。

深井:これ、すごく大きな犠牲を払った戦争で。かなりの都市が莫大な賠償金負担であるとかをしたりとか。あと今までさっきも、一番最初にいったように神聖ローマ帝国て地方の権力が強い、地方分権で大名がそれぞれがたくさん権力をもってるという話しをした。これもちょっと神聖ローマ帝国の話しをどこまでできるか、あの、それだけでワンシリーズ作れるくらい複雑なシステムを彼らは持ってる。帝国都市って自治権をもってる都市がある。必ずしも君主が治めてるタイプじゃないやつがある、それってツンフトて呼ばれる手工業者とか商人とかが職業団体を作ってて、その人たちが政治体制をつくって治めてます。みたいな都市があったりする。

樋口:はいはい

深井:そこって結構自治権認められてたのにその自治権が全部取られたりする。

樋口:あらら、けっこう大変だ。

深井:なんでかというとツンフト支配型の都市ってのはやっぱりすごくプロテスタンティズムと相性がいい。考え方として。

楊:そうだよね。

樋口:ふんふん

深井:思想として相性がいい。彼らが頑張りやすいし、彼らが変な権力のもと頑張らなくていいし、みたいな。自由を獲得して自分たちの権利を主張しながら自分たちが今やってるビジネスであるとか、業務というか手工業みたいなものを進めていくにあたってとても相性のいい思想だった、カトリックに比べたら。だからそっちに飛びついた人たちがたくさんいたんだけど、カール5世からするとこのツンフトの政治体制こそが、まさにプロテスタントが生まれる温床だっていうふうに見えるわけです。だからツンフトを解散させて、戦争に勝ったら強いこと言えるから。カトリックから司祭を派遣したりとか、帝国から司祭を派遣、司祭というか長官を派遣したりとかして、自由を奪うみたいなことをする。

樋口:管理者をばんばん置く、エリアリーダーみたいな。

深井:そうなんです。だから一回プロテスタント完全敗北みたいな感じで負けちゃう、ここで。で、経済的にも困窮するし、賠償金で、困るみたいな状態に一回なるんです。このあとすごい面白いんだけど。なるじゃないですか。なったあとに、今度はカール5世が調子にのる。いままでそんな権力を持ってなかった。持ってなかったんだけど、けっこういい感じで収まった。対外戦争も勝った。うまくなんとかした、オスマントルコ帝国も退けて。全部うまくなんとかした。そしたら彼がどうやら彼が調子に乗ってしまったみたいで。

樋口:なになに。

楊:おれ、いけるぞ。と。

深井:そう、これはもっといけるぞってなって。宗教的にも政治的にもかなり強硬な政策を取り始めるんです。これに、今度は味方だったカトリック派閥のドイツ諸侯、神聖ローマ帝国諸侯たちもきれるんです。

樋口:ええ。

深井:裏切られたりして、ここ細かくいったら長いんで、さらっと飛ばしますけど、ようは調子のって味方からも裏切られて、そのあと諸侯と戦争に突入する。カール5世対諸侯みたいな。負けるんですよ。思いっきり負ける、カール5世。この思いっきり負けることによって神聖ローマ皇帝の座を弟のフェルディナントに渡すことになる、彼。

樋口:あちゃちゃ。頑張ったんだけど。

深井:頑張ったんですけど引退することになります。国内が混乱状態ですよね、今。その状態ってプロテスタントに一回勝ったけどプロテスタントもいます。で味方だったカトリック諸侯も自分たちに反乱しました。で、ローマ皇帝が一旦交代して、新しい皇帝になって権力弱いです。で、混乱状態にあるんですよね。

樋口:うんうん。

深井:で、混乱状態にあるので、フェルディナントという皇帝が何をしたかというと、戦争やるのやめようという。これ以上戦争やるのやめようという。

樋口:それは言いたくなる。

楊:それはさっきの息子のフェリペ。

深井:息子はフェリペ。だけど弟がフェルディナント。

楊:そうか弟の方。

深井:戦争するのもうやめようといって、プロテスタントもカトリックもいるけど、もうこれ以上戦争が起こったら本当に収集がつかないから。これ以上の戦争が起こらないように現状を維持しようね。という話しを彼はするんです。

樋口:おれもそう思う。やめたほうがいい。

深井:で、カトリックに対してもプロテスタント、ルター派閥に対してもお互い暴力をするのやめましょう。宗教をそれぞれの諸侯が選択してもいいようにしましょう、じゃないと戦争が起こるから。それで一旦よしとしましょうという話しをする。これはプロテスタントからするとどういう状況かというと、僕は冒頭の方で言いましたけど、プロテスタントはカトリックを全部駆逐しようなんて思ってない。自分たちが生き残れればいい。

楊:そうだよね。

深井:それが今ここで成し遂げられることになる。

樋口:おお、よかったよかった。解決。

深井:一旦選択していいよってなったから。

楊:選択するのは領主。まだ個人が自由に選択できるというよりは、領主がこの、たとえばプロテスタントを選択したらこの国はプロテスタントじゃないといけない。カトリックの人はでていってね。

深井:建前上は実は個人にも選択の自由が与えられてて。実質上はなかったといわれてますけど、建前上はもし領主の宗教が嫌だったら出て言ってもおっけーと言われてる。でも実際出ていくの相当難しいから。

楊:お金もかかるから。

深井:そう、生活基盤全部捨てないといけないから、実際そういう人はいないでしょう。ていう話しで領主しか選択権ない状態ですけど、こういう状態になります。

樋口:でもよかったですね。

深井:なんで、けっこう複雑なんですよ。宗教同士の争いもあった、あとは世俗権力同士の争いもあった、それが二重三重の構造になってる。ローマ教皇もいて神聖ローマ皇帝もいて、諸侯、領主、この数回まえの表現だと主権国家の人たちもいて、この時点では主権国家じゃないから領主って言ったほうが正確なんだけど、そういう人たちがいて、それぞれの思惑でそれぞれが動いてた。ルターは純粋に宗教を改革したい、カトリックは自分のヒエラルキー構造崩す人たちをちゃんと潰しておきたい、領主の人たちは神聖ローマ皇帝とかローマ教皇に対してちゃんと対抗したい、なぜなら自分の力が強まってきたのに実際の体制とか構造としてはそういう風になってないからそれが嫌だ、という状態になってます。ここにきてそれぞれの思惑でそれぞれの戦争が起こった結果、結局なにが起こったかというと誰が勝者かって話しなんですけど。

樋口:確かに

深井:これ、だれが勝ったかというと領主なんです。

樋口:おお。そうなるか。

深井:誰にとって一番得だったかといったら領主になるんです。わかりますかね、意味。これ、ちょっと複雑なんだよね。

樋口:え、それは、ええと、ようは、決定権がもらえるようになったからですか。

深井:まずルター派がいていいよという話しをローマ、神聖ローマ皇帝が言ってるってこと。これって今までの流れとは全然ちがう。普通だったらローマ教皇が言わないといけない、それ。信仰の話だから。今までのローマの教会の流れからいくと、ローマ教皇が認める話であって、認めるわけがない話であって、神聖ローマ皇帝がいっていい話だとはローマ教皇からは見えないはず、まず。それをローマ、神聖ローマ、ローマ教皇と神聖ローマが、ローマでかぶるからすげえ言いづらい。ちょっとみんなついてきてくださいね。フェルディナントがいってる。カール5世が負けたから、領主に。わかりますか。

樋口:わかりますよ。

深井:だから宗教の権利も落ちたし、皇帝の権利も落ちてるんです。宗教の権利が落ちて、今まで持ってた宗教権利落ちて、今まであった皇帝権利落ちて、だれが一番得しますか、領主ですね。

楊:確かにね。

樋口:そうか。

深井:領主は今まで自分を束縛していた二つの勢力どっちとも落ちてるってことになります。

楊:なるほどなるほど

深井:これによって彼らは主権国家になっていくわけです。

楊:徳川家の力が落ちて長州藩が上がってくるみたいな、そんな感じかな。

深井:そう、だから、日本に無理やり例えると、徳川家の権力も落ちて、天皇家の権力も落ちて、長州藩が自分で好きなようにできるようになったっていう状態です。

樋口:なるほどね。

深井:そういうことが起こるわけです。戦争には負けたけど、プロテスタントも生き残ってそれ以上戦争しちゃだめだよって一回なるし、みたいな感じで、一旦アウクスブルクの宗教平和と呼ばれる、この状態。一旦実現した。かに見えるんです。

樋口:え。かに見える、とは。

深井:これちょっと複雑すぎてわかんないかもしれない。ここで一回フェルディナントは平和にしたかった。ならない、平和に。

樋口:ならないんですか。

深井:ならない。フェルディナントは平和にしたくてみんな争いやめて、もうやめてみんな。みんなやめてくれ、っていって、戦争しちゃだめ。宗教の選択権も与えるから好きな宗教を好きな宗教をというか、プロテスタントというかルター派を選んでいいよ、と。カルバンとかカルバン派閥とかだめだったけど、これ選んでいいよ。だからもう戦争は、争いはやめてっていった。やまなかったんだよね。

樋口:無理だったんですね。

楊:無理でした。

深井:それくらい難しかった。これね、結局中途半端だったんです。皇帝権力もまだ中途半端に存在しているし、ローマ教皇の権力も中途半端に存在しているし、諸侯の権力も中途半端に存在しているから、結局みんな誰かが完全勝者が出るまで止めれなかったんです。

樋口:なるほど。

深井:そこまで延長戦が続いてしまった。だから、この場合野球で行くところの6回表でこの軍が、こっちのチームが優勢ですみたいな感じでそこでフェルディナントが出てきて、もうみんなやめてっていったわけ。けど勝負がついてないからみんなとしては9回裏までやりきりたいわけです。そこがそのあと続くってのがこの後に起こることです。

樋口:なるほど。はあ、だからみんな納得してないんですね。

楊:ですね、領主と皇帝と教会、ローマ教会とプロテスタント。まだ全然余力を残してる感じですね。

深井:この後については今回の回ではあんまり詳しくしないんで。今言っちゃいますけど。最後ではないんだけど、この後ね、三十年戦争というのが起こる。ヨーロッパ全体を巻き込んだ宗教の争いでもあり、かつ、三十年戦争てのは三十年続いたって意味ですけど、三十年間戦争が続いたわけです。ヨーロッパ全体を巻き込み、宗教の争いでもあり、かつ世俗権力の争いでもあるという戦争があって。これで最終的にどういうことが起こったかというと、もう言ったんだけど、神聖ローマ皇帝の権力がめちゃくちゃ落ちるんです。もう、一つの諸侯の、諸侯の一人みたいなレベルなカウントになるんです。そこまで落ちて、一旦落ち着くというか。そこまでやっぱり必要だった。だからこの後、宗教平和したんだけど、そこまで続くってのが宗教改革の余波として残ってますね。

楊:そうですね。前の回でも言ったんですけど。それまでのヨーロッパはキリスト教、あと世俗権力、権力構造が二重になってた状態じゃないですか。それが三十年戦争を経て、それまで国王とか貴族とか聖職者とかいろんな権力が入り乱れて同じ土地を支配してた状態が、王という一つの権力に絞られて行く。それが例えばフランスの絶対王政とかに繋がって行くという流れになります。勝負が決まった。30年で決まったっていっていいかな。

樋口:決まった。

深井:影響はあったよね。あとは、ローマ教皇側から見た時に、結局どういう着地になったかというと、イングラントとかフランスはカトリックだけどだいぶ分離してしまったし、あとは神聖ローマ帝国があるところ、ドイツとか。ここらへんはプロテスタントであるとかイギリス国教会とか作って、カトリックから完全に秩序から外れますよね。いままで全ヨーロッパをカトリック秩序の中である意味統治してたのがそうやってヨーロッパの半分くらいがカトリックの統治から外れるという状態になって、それ以前の権力から比べれば、それでもすごい権力持ってますけど、それ以前の権力と比べれば圧倒的に落ちた状態になります。そういう感じですかね。

樋口:いやあ、諸行無常ですね。

深井:諸行無常ですね。

樋口:なんかね、そこまでいかないとでも新しい権力の形にはならないんですね。

深井:そうなんです。次回なんですけど、今日はこれで終わりますけど、次回はジャン・カルバン、まだ一回もちゃんと出してない。ジャン・カルバンという人がいる。そこのルターと並ぶ双璧として宗教改革の重要人物としてカルバンという人もいて、この人はなんなんかという話しをします、次。

樋口:カルバン、名前だけはちらちら出てきてましたけども。はい、ということでじゃあ次回はカルバンの特集ということでよろしくお願いします。

深井:はい

楊:はい。

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