#152 宗教改革 〜巨人に挑む男達の進撃〜

【告知】新年の挨拶/昨年の振り返り/法人サポーター制度を考えてます/歴史データベースの価値/DBが起こす産業革命/アイデアください!/Japan Podcast Awards 2020

【今回の内容】 宗教改革!巨人に挑む男たちの進撃/思想家にハマる歴史を知りすぎた男たち/突き抜けてらっしゃったルター&カルヴァン/前提知識がついた今だから分かる宗教改革/教科書に載っているよりも実は深くて長い宗教改革/宗教だけじゃない、改革によって変わったもの/ガソリンが充満した部屋でマッチ擦ったのがルター/信仰が前提として存在している状態/活版印刷の影響/なぜカトリック教会は強いのか/良い影響と悪い影響/世界に打って出たカトリック

樋口:世界の歴史キュレーションプログラムコテンラジオ。世界の歴史キュレーションプログラムコテンラジオパーソナリティの株式会社BOOK代表樋口聖典です。

深井:株式会社COTEN代表の深井龍之介です。

楊:同じく株式会社COTENの楊睿之です。

樋口:このラジオは歴史を愛し歴史の面白さを知りすぎてしまった深井さんを代表とする株式会社コテンのお二人と一緒に学校の授業ではなかなか学べない国内外の歴史の面白さを学んじゃおうという番組です。宜しくお願いします。

深井:はい、よろしくお願いします。

楊:よろしくお願いします。

樋口:お聞きのみなさま、あけましておめでとうございます。

深井:あけましておめでとうございます。

楊:おめでとうございます。

樋口:何週かお休みをいただきまして。この放送が2021年度初の配信ということで、あけましておめでとうございますという感じなんですけども。どうでした。去年振り返ってどうだったかみたいな。

深井:去年は本当に変化が大きかったですね。自分にとって。飛躍の年というか、すごい耳を傾けてくれるかたが増えましたもんね、自分の話。新鮮な驚きです。

樋口:いやあ、うれしいですよ。僕もコテンラジオ始めたときにこの面白い二人っていうのをどうにかしてうまい形で世に出せないかということは僕の勝手な裏テーマだった。

深井:樋口プロデューサーのおかげですね、全て。

楊:プロデューサーというか料理人ですね。ぼくらはマグロですから。マグロですよ。

深井:思ったよ、おれは感謝を忘れたら終わりだなって常に思おうとした。思ってるそして今も思ってる。人のおかげ。樋口さんとヤンヤンのおかげでこうなってるんだなと常にそういうふうに思ってます。

樋口:本当にそう思って欲しい。うそうそ。

深井:いやでも本当そう、本当にそう。

樋口:みんなのちから。

深井:ありがとうございます、二人とも。

樋口:応援していただいた方も相当しますしね。リスナーとして聞いていただくって。

深井:そうですよ、リスナーのみなさんにもすごい応援していただいて、本当感謝です。

楊:去年リスナーの数だけでいうと何倍にも増えましたよね。ポッドキャストアワード受賞以降。

深井:アワード受賞大きかったね。

樋口:大きかったですね。押し上げていただいたという感覚は僕はあるので。どんどん押し上げていただきたい。

深井:もっと。

樋口:高みへ高みへ。

深井:そうですね。社会の役に立つんで、ぜひ押し上げていただければ。

樋口:ということでございます。では本編に行く前にまずは深井さんの方からお知らせがあります。お願いします。

深井:はい、かねてからサポーター制度ということで、個人の皆さんから応援をしていただく制度を作ってましたけど。法人サポーター制度も作りたいなと思ってる。

樋口:来たよ。

深井:すでに、実は2社から応援してくれてるということで、月額の個人よりもだいぶでっかいお金なんですけど、それを出す、出してもいいよというありがたいですね。

樋口:本当ありがたいですね。

深井:本当ありがたいですね。で、なんか、それがあったからではないんですけど、実はもともと考えてて、今日はもうリスナーの皆さんに相談みたいなベースで、始めますというより相談させて欲しいと思ってる。僕たちってデータベースの事業をやってる。歴史のデータベース。いま歴史の話を僕が属人的に話をして、それに価値を感じてくださる方がどんどんどんどん増えて来てるっていう状態じゃないですか。なんだけども、僕からすると実は自分が話すのの千倍くらいデータベースの方が価値があるなと思っとるんです、自分は。だから起業してそっちをやってる。ラジオをやってる人ではなくてそっちの方を進めるのが自分の本来のミッションだと思ってる。自分からすると千倍くらい価値があるやつって誰にとって価値があるかといったら人類全体に対してだと思ってるんです。今まで僕が話をしてきて、みなさんいろいろ思うことあったと思う。歴史に触れて、今まで歴史なんて面白くないと思ってた人とか、何が価値があるんだろうと思った人たちも、たぶん聞いてくれてるということは何らかの価値をそこに見出しただろうし、歴史の話を聞くことで知識が増えたとかじゃなくて、たぶん考えるきっかけになったりだとか、自分を再発見したりとか、他の人のことがよりわかる、再発見する、そういうきっかけになっていったんじゃないかと思ってる。データベースってのはそれを未来永劫、人類に装置として渡してしまって、同時多発的にやり続けるみたいな、産業革命に近い、僕からしたら。それ以降の人類とそれ以前の人類は全然違いますよ。人類が歴史という叡智を全員基本的にデフォルトで道具として使える状態になっちゃいました、みたいな。

楊:インフラだよね。

深井:インフラ的なものだっていう立ち位置で、そこに行くまでには相当なステップはある、徐々にしか進まないけど、そこには。最終的にはそういうものだと思ってるんです。何が言いたいかというと、これは僕一人とかコテンだけがやる事業じゃないと思ってる。僕たちがやって僕たちが儲かればいいというそういうものじゃなくて。僕たちが旗を振って、人類全体にメリットがあったりだとか、新しい発見があるていうタイプの事業だと思ってる。だからどれだけ多くの人たちの力を借りれるかってのが相当大事だなというのが、それこそ去年一年間で僕がめちゃくちゃ感じたことなんです。今、制度としてそうやって個人の人たちから応援してもらえる制度作ったら、本当にたくさんの方々から今応援をしていただいている。法人からもナチュラルな形でね、法人も無理してないし、僕たちも無理してないという形で、ナチュラルな形で応援してもう制度ってなんか作れないかなと思ってる。もちろん広告とかも考えました。たとえばこの話の中で本編のどっかとかで、スポンサー入れてスポンサーのための宣伝をするとかも考えるけど、それって本質的じゃないと思ってる。スポンサーの紹介聞きたくてみんなこの話聞いてるわけじゃない。純粋な歴史の学びを得たいであるとか、フラットな視点で歴史を知りたいとか。だと思うんです。そこから逸脱しない形で法人からサポートを受けるベストな方法ってなんだろうってのを、ぜひ法人に所属してる方々から直接意見をいろいろ聞きたいなと思ってて。いろんなレイヤーの法人がある。一人法人もあれば十五人くらいの会社もあれば、めちゃくちゃ急成長してる会社もあれば千人の会社もあれば5万人の会社もあると思う。それぞれでたぶん応援の仕方違うと思うし。まずはどこの人たちが応援しやすいのか。ステップ1としては最初らへんに応援し始める人と後から応援する人で分かれると思う。たぶん小さい会社なのかわからない。もしかしたら大きい会社が一番最初かもしれないし。そこも含めてそれぞれの立場の皆さんからぜひツイッターとかで僕にアドバイス欲しい。ツイッターでもいいし、ホームページに問い合わせ欄みたいなの作ってるので、そこでメールで送っていただいてもいいですし。めっちゃ欲しいです。それに基づいて制度設計していけたらなと思ってる、今。

樋口:そういうことですね。まだ、確定してることがあるというよりは、本当に皆さんの意見を聞いて一番自然な形を見つけていきたいとう感じですね。

深井:行きたいですね。一応仮説としてもってるのは、広告費用とかではなくて、見返りもそこで見返りを僕たちが出すようになっちゃうと、それが事業化してしまって、データベース事業とリソースが分散するなという感覚がある。僕の中で。データベース事業てかなり特殊な人材を集めないといけないので、他の事業部が思いっきり立ち上がってしまうと、結構人材の親和性もないし、リソース分散して僕のメンタルリソースもかなり割かれちゃうんで、結果的にデータベース作れないみたいな。僕たちは儲かっちゃうけどデータベースは進まないということになりかねないなと、そこは避けたいと思ってる。

楊:事業化が必ずしもベストじゃないということかな。

深井:売上によると思う。完全事業化、広告事業を立ち上げた方がいいかって躊躇があって、自分の中で。で、一番自分の中では寄付がいいと思ってる。法人からは完全なる寄付がいいんじゃないかなと思ってる。ただ寄付を出すロジックって絶対法人て必要なんです。稟議通さないといけないし。今考えてるのはSDGsとかの領域ってコテンて僕は親和性が高いと思ってる。貧困問題の系譜を理解するのにもコテンの出してる情報とかデータベースが役立つと思うし、SDGsの中にいろんな領域あります、貧困問題もあれば教育の平等性の問題もあればみたいな。感じでいろいろあるんですけど、女性平等の問題もたしかあった。いろいろある。そういうの一つ一つに歴史って全部関わってくる。理解するのにもそれを解決する手立てを打つためにも。だからそういうSDGsの流れの寄付ってのは一つ今の法人が稟議を通しやすい形で存在すると思う。それは大きい会社の場合だと思うけど。そこらへんでこの仮説に対して皆さんから、いやもっとこうした方がいいんじゃないとか、そんなことしなくてもこれで出せるよ、とか。いやいややっぱり見返りがないと無理だと思うよとか。いう意見をいろんな方面から欲しい。

樋口:ですね、ということで。無責任でいいので意見を欲しいですね。ということで、これ聞いていただいた皆さんアイデアありましたら、ばんばんばんばん、深井さんのツイッターの方に、できればね。

深井:ツイッターかホームページで。即レスできないかもしれないですけど。いただいた意見全部絶対見ますのでよろしくお願いします。というのと、もう一つがですね、去年僕たちが大賞とSpotify賞をとったジャパンポッドキャストアワード2020が、始まるそうです。

樋口:きましたね。第2回になるのかな。

深井:ホームページでも公開されてまして。これで今回リスナー投票があるんです。ぜひ皆さんコテンラジオいいなと思ってくださってる方はぜひ我々に投票して欲しいなと思ってます。今年もぜひなんか賞とりたい。できれば大賞もちろんとりたいし。今回いろんな種類の賞があるみたいな。

樋口:増えてましたね。

楊:そうですね。

深井:ベストパーソナリティ賞とか。いろいろある。

楊:リスナーが選ぶ賞とか。

深井:そのリスナーが選ぶ賞をぜひとりたいと思ってるんで。みなさんジャパンポッドキャストアワード2020でグーグルで検索して投票するか、もしくはポッドキャストの概要欄とかYouTubeの概要欄にURLリンクはっときますので、そっからとんで、お手数ですけど2月15日まで締切なんで。ぜひいまやってほしい。この聞いた時に。

楊:もう投票するのはウエブ上でできて2分くらいでできる作業。

深井:まじでよろしくお願いします。

樋口:うん。投票するときに正式なタイトル名が必要になるので。そこも合わせて、歴史を面白く学ぶコテンラジオていうので投票していただければ。

深井:正式なタイトルそれですね。

樋口:それも概要欄とかに貼っときましょうか。

深井:そうですね。概要欄に貼っときますのでみなさんよろしくお願いします。

樋口:ということで。

楊:お願いします。

樋口:そんな感じですかね。

深井:告知そんな感じです。

樋口:はい。さあということでそれでは早速ですけど、新シリーズのテーマを発表しましょう。宗教改革〜巨人に挑む男達の進撃〜、宗教改革でございます。今回深井さんがけっこうツイッターの方で今回宗教改革まじ面白いみたいな、結構つぶやいてましたけど。面白いですか。

深井:めっちゃ面白いですね。

樋口:まじですか。

深井:おれは面白い。みんなが面白いかどうかわからないけど。まず僕が面白かった。

樋口:へえ、宗教改革。

深井:めちゃくちゃ面白かったんで、ローマ、今までのやつと全部繋がってきます。ローマ、オスマン、フランス革命、アメリカ開拓史、コミュニケーション史みたいな。もう世界史の醍醐味ですよね。

楊:そうだよね。なんにせよ思想が面白いよね。もう、最澄空海の時も感じたけど、思想って僕も深井くんもそうかもしれないけど。ちょっとはまるよね。はまる部分はある。

深井:思想家が好きなんでしょうね。思想そのものも面白いですけど。思想家の挙動ってぶっとんでるんで面白いです。今回もルターカルバンさんたちはすごい突き抜けていらっしゃいましたね。

樋口:突き抜けていらっしゃいました。

深井:突き抜けてらっしゃった。

樋口:特に深井さんヤンヤンさんも思想が好きですからね。

深井:突き抜けてる人が好きですね。

楊:思想家って普通に世間で一般的に成功してる人というよりも行動範囲って見た感じの行動範囲ってそんなに広くない。だから普通の人からみればあんまり世間に影響を与えてないけど、実はあとの世の中、後の世代、何百年間後にすごい影響与えた人として評価される人みたいなそういった人は思想家に多い気がする。それも魅力ではあります。

樋口:確かに。

深井:好みの問題ですね。たまたま好みがそういうのが面白いと思う好みなんだという話。人によっては全然そうじゃない人たちの方がが好きな人もいると思う。

樋口:なるほど。

深井:面白かったですね。

樋口:ちなみに前回ローマ、カエサルやったときって、半端ないボリュームだったじゃないですか。たぶん10本で本当にやばいとき40分以上やってる。

深井:ボリュームのインフレみたいなのが起こってて。やばいな。

樋口:そうそう。大丈夫ですか、今回。20-30回になるんじゃないでうか。

深井:そこそこ僕が完璧主義なんですよね。自分で気づいてなかった。完璧主義と思ってなかったけど、意外と、カエサルやってる時に自分はもしかしたら完璧主義者よりなのかなと思った。

樋口:遅い、気づくの。

深井:クオリティの追求しちゃうなと思って。今回はわざと手を抜いた。

樋口:言い方。言い方。適度にね。

楊:昔の感じに立ち戻る。ぐらいの。

深井:抜いたというか、入れなくていい力抜いたって感じ。全部を細かく紹介することにコテンラジオの価値があると思ってなくて。ポイントですよね。

樋口:ですね。

深井:この宗教改革の中の、もちろんポイントを理解するための経緯の説明とかは必要ですけど。ある程度ローマの時よりもポイントを絞って、面白いと思うところを伝えていくというスタイルに改めて戻して。いくと。いうふうにしてみましたね。

樋口:はい。それでも相当エッセンスがぎゅっと詰まってると思うので楽しみなんですけども。ええと、まずはじゃあ、宗教改革をテーマに選んだ理由ですかね。

深井:そうですね。さっきも言ったんですけど。宗教改革ってたぶん一番最初にやってたらちょっと意味わからない。今、みなさん、ここからきいてらっしゃるかたもいるかもしれないけど、今までオスマン帝国もやって、フランス革命もやって、ローマ史もやって、アメリカ開拓史もやって、コミュニケーション史の中でグーテンベルクの話とかもして。実はもう全部聞いた人ってけっこうな世界史知識レベルと理解レベル上がってるんです。

樋口:そうなっちゃいましたね、樋口も、もれなく。

楊:もう歴史強者じゃないですか。

深井:全然歴史弱者じゃない。

樋口:まだまだ。

深井:だって、もう、何十、何百時間分聞いてる、歴史の話を。それは歴史強者でしょという話になるから。それをここで宗教改革言ったら意味わかる。めっちゃ意味わかる。

樋口:なるほど。

深井:だったら教科書載るねってわかる。たぶん。

樋口:なるほど。

楊:確かに。

深井:ていうのもある。この後、まだ、確定してないけど、次第一次世界大戦やろうと思ってるんですけど。だから一応実は順番選んでる。ああ、なるほどねってなるような。順番も。

樋口:ちゃんと前提知識あってここみたいな。

深井:そう。なんていうか、前菜とメインディシュ。別にメインディッシュが一番美味しいとかじゃなくて、どの順番で食べたら美味しいかみたいなのがある。食前酒と食中酒と食後のお酒みたいな。

樋口:なるほど。

楊:じゃあ吉田松陰は食前酒だったってこと。

深井:食前酒、完全に食前酒。だってスタンドアローンで意味わかる。おもしろい。宗教改革はたぶん単発だと意味わからない。

楊:確かに。あれつながりの中でやっと重要さが理解できる。

深井:もちろん単発でも意味わかるように伝えますけど、今回。ここから聞いた人でも。ただ他のやつを聞いてから聞くとめちゃくちゃ面白いと思います。じぶんでハードルだいぶ上げてきた。

樋口:深井さんがそう思ってるってことですね。

深井:おれはそう思った。

樋口:楽しみですね。

深井:ちなみに宗教改革どんなイメージありますか。

樋口:すみません。歴史強者の僕から言わせてもらっていいですか。いいですか。

深井:はいはい。

樋口:なんにもわからない。

楊:さっき歴史詳しいって言ったのに。

樋口:だってやってないもん、宗教改革、まだ。なんもわからないです。

深井:ルターって聞いたことあるでしょ。

樋口:名前だけですね。

深井:名前しかしらない。ルター。カルバンは。カルバン。

樋口:名前だけです。

深井:ルターとカルバン聞いたことない人たぶんあんまりいないです。

樋口:名前だけは。知ってます、もちろん。

楊:教科書に出てくるから。

深井:知らなくてもこの後ちゃんと説明するので大丈夫ですけど。ルターとカルバンさんが出てくるところのやつですね。教科書的に言うとね。今の教科書だともう少しちゃんと書いてあるのかもしれないんだけど。僕の記憶だと教科書に書いてあったのは、キリスト教のプロテスタントってのがある。宗派。カトリックとプロテスタントて大きく分けたら、本当は三つくらいある、正教というオーソドックスなやつあるけど。

楊:そうだね。

深井:三つあるうちのカトリックとプロテスタントというすごい大きい宗派があって、二つの。このプロテスタントが生まれた時の話なんです。僕が習ったのはそういう習い方をした。ここからプロテスタントが生まれて、カトリック教会というのが腐敗してて、権力腐敗してて、それに対抗してそれはおかしいだろとルターと言う人がいって、それがどんどん盛り上がってプロテスタントが出てきて。カルバンも近いこと言って、みたいな、本当はこんなことじゃないよというのが今日の話。そういう習い方をしてるし、比較的みなさんそういう覚え方をしてるんじゃないかと思う。けど、そんなことじゃないというのはおれは面白かった、今回。

楊:もっと深くて面白いです。

樋口:へえ。

深井:すごい、ただプロテスタントが出てきましたとか、そういう話じゃなくて。その時のローマ教皇の権力と王様の権力と皇帝、神聖ローマ皇帝という人がいるんですけど。その人たちの権力構造がどういう構造だったのか。その中でどういうふうに出てきたのかがポイントで。もっというと、別にこの時代中世のこの時代、中世ヨーロッパの話。

樋口:だいたいいつくらいなんですか。

深井:1500年くらいです。

楊:16世紀頃かな。

樋口:ふむふむ。

深井:1500年から1600年くらいの間で起こってる。そのあとも続いてるですけど。結構実は長い期間続いている、宗教改革って。

楊:瞬間的なものじゃない。

深井:そう、最大瞬間風速みたいなものじゃない。めっちゃ長いんです。で、僕たちの一生とかよりも長い。中世ヨーロッパなんですけど、その時代って。ドイツ、今のドイツとかスイスで主に起こった。ヨーロッパ中で起こってるんですけど、フランスでもイングランドでもスエーデンでも起こってるんだけど、中世ヨーロッパだけがキリスト教が堕落してるキリスト教会ですね、言い方気をつけないといけない。当時のカトリック教会が腐敗してるという書き方を教科書でも書いてあるんだけど、そういう単純な問題でもない。別にこの時代だけで堕落した人が確かにいたはいたと思うんですけど、特別堕落してるわけじゃないし腐敗してるわけじゃない、どうやら。改革者というのが、宗教改革を目指した人たちがルター以前にいなかったかといったらずっといる、実は。キリスト教が生まれて、ローマ帝国で国教として認められる、キリスト教が、それまで受難の歴史、苦難の歴史を、

楊:迫害されてた。

深井:迫害されて、すげえ頑張って国教になることができて。

樋口:国の宗教ですね、国教。

深井:そうです。国の宗教になることができて。そこから権力も獲得していくわけですけども。その後比較的ずっとローマ教会に対してこれは違うんじゃないかと言ってる人たちがずっと出てきてるわけです。だからルターだけがそう言ってたわけでもない。

楊:そうそうそう。

深井:だけど、だけどこの時にヨーロッパ中を巻き込む大改革になっていって、世の中、宗教だけを変えたわけじゃない。宗教だけが変わったんじゃなくてヨーロッパ中の政治体制が変わった。これによって。

樋口:へえ。

楊:そうなんだよね。

深井:その後、その後絶対王政とかに繋がっていって、で、それがフランス革命とかに繋がっていく。あと資本主義とかに繋がっていく。資本主義とのつながりに関してはいろんな諸説あるんだけどね。

樋口:はいはいはい。それはもうお金の歴史でやりました。

楊:だから宗教改革という言葉ではあるんですけど、実際は宗教だけの改革じゃなくて、コテンラジオ的に言えば既存の社会システムが機能しなくなってエネルギーがあるとき一気に爆発して社会のシステムが激変したイベントです。だからめちゃくちゃ面白い。

深井:そうですよね、ローマの時にカエサルがやったような感じのもっとルターはもっと政治にそこまで興味ないから、めっちゃ純粋な気持ちでやってる、ルター自身は。ルターはそんなこと、プロテスタントを作ろうとも思ってないし。

楊:そうそうそう、そうなんだよね。

深井:カトリック教会を改革しようとしてたから、彼は。新しい宗派作りたいとは思ってない。それでキリスト教会のここがおかしい、ローマ教会のここがおかしいんだ、ていう話をしたら、大炎上して。全部変わっていくっていうすごいことが起こった。

楊:もうルター自身がビビる。

深井:そう。改革者はそれ以前からいて。じゃあなんでこの時にそうやって全世界が全世界、全ヨーロッパが一気に変わっていくような事態に発展したのか。それが今回のテーマなんです。

樋口:ほお。じゃあ革命起こしたとされるルターはただの導火線に火をつけたみたいな役割。

深井:そうなんです。これも室越と雑談してたときに、彼が言ってて。言いえて妙だなと思った。室越って番外編に出てきた人、人類学の。ガソリンが充満した部屋でマッチ擦ったのがルター。みたいな。

樋口:わかりやすい。

深井:本人はガソリンが充満してるてよくわかってなくて、擦ったらめっちゃ燃え上がる。

楊:え、まじ、みたいな。

樋口:まじでみたいな。

深井:もうこれ以上面倒みきれないんだけど、みたいな。

樋口:へえ。なるほど。気になるな、そのガソリンがなんなのかというのと火がなんなのか。

楊:宗教改革がある程度理解できれば今のヨーロッパの形も、なんでこういう形になったのかっていうのがもしかして理解できるかもしれない。

深井:そうだね。一部理解しやすくなりますね。

楊:そうそうそう。

樋口:なるほどなるほど。

深井:この宗教改革を理解するためには当時の中世ヨーロッパ人のOSがなんだったのかっていうことを理解しないと意味わからない。16、17世紀に生きたヨーロッパ人ですよね。この人たちにとってキリスト教とは何か、そして信仰とはなんだったのか。ということを理解しないといけない。これは彼らにとってはそのために生きたりとか、そのために死ぬということに値することだった。すごく大事なことだった。僕たちが信仰してるという感覚の圧倒的に重要度が高い状態の信仰。これは僕が読んだ本の中に書いてあって、すごくわかりやすいなと思ったんだけど、僕たちでいうお金みたいなものが当時でいう信仰に置き換えてもおかしくないくらい。だから、信頼関係にも関わるし、信仰してるしてないとかどれくらい信仰してるかがその人たちの社会的信用にも直に繋がってくるし。信仰するということが社会の大前提、信頼関係を築くための大前提として存在してる状態。この状態でキリスト教会がおかしいっていうことがどれだけすさましいことか。というのもわかりやすく伝えていけたらなと思ってますし。今日の第一回は概要、全体の概要しかしゃべりませんけど。それを細かく言っていく。みたいなスタイルにしますね。

樋口:はいはいはい。

深井:あともう一つコミュニケーション史のところでも出してますけど、技術革新も影響があった。当時。

楊:印刷ね。

樋口:ありましたね。

深井:印刷技術でグーテンベルクの活版印刷術っていうのがあって。この活版印刷術というのは実はその当時できたいろんな技術を寄せ集めて作ったやつなんだけれど。

楊:そうそうそう。

深井:独自のちょう新しい技術というよりは、一つ一つの技術が、紙の品質が上がるとかインクの品質が上がるとかね。金属加工の品質が上がるとか、そういうの全部合体させてできたのが活版印刷。この活版印刷によってヨーロッパの識字率がめっちゃ上がる。宗教改革と活版印刷によってヨーロッパの識字率が上がってそれも社会変革に繋がっていくんです。そこについても話をします。

樋口:面白そう。

楊:ここは面白い。

深井:なんで活版印刷が関係するのかってのは意味わからないと思う、現時点だと。どういう関係性でそれが活版印刷が宗教改革と関わるかってのも喋りますね。それもルターがなんの思想を持ってるかというのとめっちゃリンクしてるんです。

樋口:ええ。面白そう。

深井:そうなんです。さっきも言ったけど。宗教改革って一瞬の改革だと捉えられ方しがちだけど、そうじゃないんです。幕末の僕たちでいう明治維新みたいな短期的な改革ではなくて、百何十年間とかもっというと200何年とか300何年間とかずっと影響を与え続けている改革だと思ってもらって間違ってないです。

樋口:ずっと改革してるってことですか。

深井:改革というかプロテスタントが生まれて、そのプロテスタント勢がカトリックと戦争をずっとしてる。

樋口:あ、そういうことか。争いあってる。

楊:そう。戦争したりとか、議論しあったりとか。今のカトリックの世界観、この社会システムてなんか現実とだんだん合わなくなってるね。それっておかしいよねと声を出す人がぽつぽつと出ていって、そのエネルギーが溜まっていくっていうイメージですね。

樋口:この何年のこの事件が改革のことだじゃないってことですね。

楊:そうですね。

樋口:じわっと、ずっと。オッケーです。

深井:まあ戦争、まじでがちがちで戦争してたのは百何十年間くらいの間だけど、その後もずっとそういう火種じゃないですけど、残ってる感じ。けっこう長期的なものです。

樋口:はい。

深井:はい。

樋口:はい。

深井:やっぱりカトリック教会ってすごく強くて、それがなぜ強いかという話も今回ちゃんとしますね。カトリック教会ってちょう強いんです。さっきも言ったけど、いままでも改革者が出たけど全部潰してる。だから宗教改革って呼ばれてない、それまでは。全部潰してる。ルターのとき抑えられなかった。ルターの時抑えられなかったけど、やっぱりカトリックって強いから、プロテスタントの人たち、当時のプロテスタントの派閥の人たちていうのがどういう風なこと考えてたかって一概にはもちろん言えないけど、潰されないことが目標なんです、彼らは。ようは諸葛亮と曹操とか劉備みたいに、相手を滅ぼして自分が天下を治めてやろうという感覚ではない。プロテスタントは。めちゃくちゃカトリック強いから、自分たちの派閥が信仰して生き残る自由さえ与えてくれたら、もう一旦それでゴールなんです。それほど厳しい戦いなんです。

樋口:なるほど。

楊:そうなんです。全然力の差が違うんです。異端って、カトリックからお前ら異端だって。違う、キリストじゃないと言われたら殺しちゃっていい。火あぶりとかにしちゃっていい。簡単にいうと、乱暴にいうとそういう感じです。

深井:そうです。

楊:だからばんばんプロテスタント、彼ら自身がプロテスタントというアイデンティティを持ってたかは色々差はありますけど。自分たちカトリックに対して異を唱える人に対しては処刑にしたりとか火あぶりにしたりとか、してきました。

深井:それだけカトリックっていうのはガバナンスが効いてる組織なんです。すごくヒエラルキー構造のガバナンスが効いた組織なんで。ある意味カトリックってカトリックっていう派閥しか存在しないんですよ。だけど、プロテスタントってこれもあとで説明しますけど、だれかを頂点としたヒエラルキー構造を作らなかったので。ちなみにプロテスタントはめちゃくちゃ派閥に分かれる。

楊:プロテスタント同士でも争い合う。

深井:今でもそう。今でもプロテスタント側はいろんな派閥が。福音主義というんですけど、その人たちはいろんな派閥がいる。

樋口:与党と野党みたいな関係性なんかな。

深井:与党と野党とも違いますね。政党政治に例えるとおかしくなると思います。すごい新しい権力の質だと思ってもらったほうがわかりやすい。

樋口:なるほど、はいはいはい。

深井:今回教皇権力についても言及するので、教皇権力がいかに世俗の権力との質が違うかということもすごく面白かったです。

樋口:へえ。

深井:皇帝権力とかと全然違う質の権力なんです。

樋口:へえ。

深井:権力てのは質感が違うんだというのがよく分かると思います。

樋口:質感、権力に。

深井:権力ってのは一つの大きい一つの大きい力ではないんです。例えば筋力てのはわかりやすく、例えば背筋力だったら背筋で何キロから何キロって一つの尺度で測れるじゃないですか。権力ってのは質が違う。ザラザラしてる権力みたいな。さらさらしてる権力みたいな感じで実は質感が全然違うんで。一概にこの権力が最強でこの権力が弱いっていうこと実は言えないんですね。

樋口:へえ。

深井:ローマ教皇の権力ってのは今まで僕たちが説明したどの権力とも質が違うんです。

樋口:全然ぴんとこん、すげえな。

深井:それがなんでそんな質になるのかって話とどういう質なのかという話も今回するので。それもめっちゃ面白いと思います。

樋口:なるほど、面白そう。

深井:さらにプロテスタントが出てきたというか、宗教改革が起こったことによって。そのあといいことも悪いことも起こる、社会にとって。これもまえに僕が何回も言ってるけど。社会を人間がよくしようと思って変えようとしても、いいことも悪いこともどうせ起こるよという話なんだけど。たとえば、悪いことでいくと、悪いかどうかわからない、それがまた、その後にさらにそれによっていいこと悪いこと起こるから。イギリスとフランスが100年戦争に入るんです。

樋口:はいはいはい。

深井:なんで100年戦争に入ったかというといろんな理由あるよ。いろんな理由はあるんだけど、それまでカトリックが調停者としてカトリックのローマ教皇が調停者として仲に入ってたのに、その権力が弱まったので調停者がいなくなって。ぐだぐだの百年もの戦争に突入するんです。

樋口:なるほど、間に立つ人がいなくなったみたいな感じ。

深井:そうなんです。ある意味抑えてたっていう側面もある、カトリックの権力がそういうのを仲裁するっていう側面もあったのが、仲裁するっていう側面がなくなって、力削いじゃったから百年戦争に突入するとか。いろんなことが実は起こるわけ。

楊:そうだよね。アメリカにも渡るし、アメリカ大陸にプロテスタントが渡って。プロテスタントというかピューリタンかな。

深井:ピューリタン、そう。アメリカにも渡っていろいろやるし。なんならイエズス会とかね。イエズス会ってわかるかな。フランシスコザビエル聞いたことあるでしょ。

樋口:ある

深井:今回のテーマの中で一番有名なのフランシスコザビエルだもんね。

樋口:ザビエルは。

深井:日本人にとって一番有名なのフランシスコザビエル。日本まで布教にきたでしょ、あの人。

樋口:めちゃくちゃ教科書に落書きしてましたから。

深井:あの人なんで日本まで来たかっていったら。カトリックの権力が弱まった反動でカトリックが頑張ったからです。

楊:そうなんです。

樋口:え。

深井:プロテスタントたちが出て来て押されるじゃないですか。するとカトリックの人たちも頑張るわけです。負けちゃいけないっていって。その中で出て来たのがイエズス会です。だからイエズス会の人たちはカトリックをもって世界中に広めたろって。もうとても純粋な気持ちで、ヨーロッパからしたらちょう辺境の極東、極東中の極東にきて。辺境ではないけどね、アジアは。ちゃんと発達したという捉え方してると思いますけど。ある程度。とはいえ日本は辺境だよね。

樋口:遠いですね、だいぶ。

深井:そこまできてなんで布教しないといけなかったのかというところにもつながるわけです、実は。

樋口:うわあ。

深井:だから全世界につながる。

楊:そうなんです。カトリックがヨーロッパで若干プロテスタントに信者を取られた代わりに彼らは世界に打って出たんです。

樋口:なるほど。

楊:じゃあ、世界に打って出ようって。まあ、たぶん今みたら分布図とかみたらわかると思うけど。カトリックは北米、中南米にもカトリックがかなり勢力が広まってます。

深井:アメリカ大陸はカトリックが、アメリカは違うと思うけど。

樋口:だいぶ。勢力が。勢力というか。

深井:という、今日は概要しか喋ってないですけど。そのようなことを詳しく次から喋ります。

樋口:なるほど。毎回毎回この概要で興味がぶわっと湧き上がる。

深井:たぶんめっちゃもやもやすると思う。今日の話だけきいたら。

樋口:権力の質とかいっても、はあって感じなんで。

深井:我慢して。放送まで我慢してほしい。

樋口:早く聞きたい。ということなんで。次回以降がそこ一個一個また、前提から紐解いていくという感じですかね。

深井:はい。

楊:はい。

樋口:ということで次回はまずはローマ教皇の歴史についてからお聞きしたいと思います。じゃあ一旦今回はこんな感じで。ありがとうございました。

深井:ありがとうございます。

楊:ありがとうございます。

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