#143 何故ローマ帝国は強いのか?〜問題抽出力と優先度付けの重要性〜

【今回の内容】ローマの強さには秘密がある!共和制の仕組みや、コンサルタントの語源である「コンスル」や元老院、ローマの強力な法律など、様々な要素を取り上げて、最後にはなぜローマが強いのかを紐解いていきます。

樋口:はい、ええ、前回まではざっくりとローマの興りについてお聞きしましたけども、今回はローマの特徴や制度について掘り下げていきます、お願いします。

深井:はい、そうですね。まず共和制と言ってるのはなんなのかという話をします。共和制の仕組みなんですけど、一言でいうと少数のエリートによる集団指導体制をとってて。ローマの共和制というのは。めちゃくちゃこれ、あれと、漢帝国とまったく逆だよね。漢帝国ってのは、官僚がたくさんいる国家なんですけど、何十万人いたはず。ローマの官僚の数ってめちゃくちゃ少ない。官僚というか政務官というんですけど。すごく少ない、すごい小さい政府でやってる人たちなんですけども。一番有名な機関がまずあるのが元老院。

樋口:元老院。 

深井:セナトゥスと呼ばれる。元老院て聞いた事あるでしょう。

楊:スターウォーズだよね。

樋口:え。

楊:深井:スターウォーズにもでてきますよ、元老院。

樋口:見てない、わからない。

深井:え。

樋口:子供だと思ってください。

深井:子供に元老院説明するのけっこうむずい。

樋口:はい。

深井:元老院てのは、さっき言った官僚といわれる、政務官を経験されてる人たちで構成される諮問機関なんです。これは王政ローマの時代からずっとあった、ようはローマの貴族がそこに入ってて、その人たちが王様とかに自分たちの意見を伝えるための機関だったわけです。それが王様がいなくなったことによって、この元老院ていうのがすごくローマの中枢の地位を占めるようになる。

樋口:国会みたいな感じになる。

深井:うん、国会に近い、けど違う、けど近い。みたいな。で、共和制ローマにおける最高権力者というのは誰かというと前回言ったコンスルなんです。これは執政官コンスル。日本語でいうと執政官、元々の言葉で言ったらコンスル。この、2名なんですけど。このコンスル2名自体がほとんどこの元老院から出てくる、基本的に。一年で終わる、しかもコンスルって。基本的に連続任期ダメなんで、コンスルって。独裁しちゃうから意味ない、一年の。だから連続でなれない基本的に。一年しかコンスルって国政を担えないわけだから、やっぱり元老院に気を使う。元老院は終身なんです。だからずっといる。ずっといてずっと国政担ってる。最高権力ではないんだけども実質上の最高権力が元老院ていうのが共和制ローマの特徴なんです。

樋口:おお、変な感じ。

深井:そうなんです。

樋口:はい

楊:元老院てさっき諮問機関、要するにコンスルとか政治家に対してアドバイスしたりとかする機関ていう一応建前上ではなってるけど、実際はすごく権力さっき深井くんも言ったように結構持ってて。たとえば終身なんですよ、元老院のメンバーて。だから終身ということは経験がずっと積み重なっていくエリートが集まっている集団というようにみられるようになって。あとで紹介するけど民衆でも民会みたいな、国会じゃないですけど民会で民衆もいろいろ投票したりできるシステムなんです。で、民衆が投票を決める一つの判断ポイントとして元老院の意向がものすごく影響してる。元老院がこの案に対して賛成か反対かていうのを民衆もすごく気を遣う。だって彼らはそもそも権威がある、頭いい人たちが決める。それをみて投票したりする。

深井:これ、出ちゃったからいうけど、パトローヌスとクリエンテスという概念があって。これ、パトロンとクライアントの語源です。

樋口:おお、いっぱい語源があるなローマ。

深井:語源だらけです、ちなみにローマ。パトローヌスって基本的に貴族なんですけど、この人たちがクリエンテスである平民の面倒をみるという制度がある。面倒みてもらった平民はこのパトローヌスのために働くという、そういう主従関係じゃないんだけど、師匠と弟子でもなんだけど。

楊:なるほどね。

深井:どっちかというとマフィアの舎弟みたいな、ヤクザの舎弟みたいなのに近いと思う。クリエンテスというのがいる。だから元老院の議員たちはみんなクリエンテスを持ってる、大量の、しかも。そのクリエンテスたちに、これが民主主義との違いなんだけど、この人たちに票をどこに入れろという話をする。ということは元老院が力を持ってるっていうのはそういうこと。なんで力を持っているかというと、さっきいった権威があるってのもそうなんだけど、権威があるっていうのは、もっと具体的にいうとクリエンテスをたくさん持ってる。そのクリエンテスを動員して票を操ることができるという。しかもお金を持ってれば持ってるほど持ってる票数がでかいという制度なんです。これも民主主義と全く違う概念。なんで、だから今の民主主義と何が、端的に何が違うかというと、人権の概念がない。

樋口:なるほど。

深井:僕たちは人権が平等だっていう概念から今の民主主義ができていて、一票一票が全部同じ重みです。この人たちはそうじゃない。投票はしてるけど一票一票は人によって違うし、貴族とかお金持ちの人の方が当然だけど貢献してるので、国家に。その人たちの方が当然国を動かしていいはずだという考え方だということです。このパトローヌスとクリエンテス、パトローネスとも呼ばれますけど。こういう制度によって今の元老院の権威が保たれているというのがあります。

樋口:なるほど。

深井:これ、めちゃくちゃこの後出てきます。

樋口:なるほど、重要なんですね。

楊:重要な概念ですね。表に出てくる制度上の人どうしの結びつきと、裏にあるさっきいったパトローヌスとクリエンテスの関係が二つ人間関係というか人脈の築き方のシステムが走ってると考えたらいい。

深井:ちょっと、元老院の話に戻ります。この元老院が300人くらい定員がいて、何度もいいましたけど、任期は終身で基本的に貴族から選出される。これがセナトゥスという元老院ね。

樋口:うん。

深井:これとまた別に政務官という人たちがいて。この政務官ていうのががさっき言ったコンスルとか、あと、他にもあるんです。コンスルがトップなんだけど、その次がプラエトル、法務官て呼ばれる、司法を担当する人たち、これをプラエトルと言います。その下がアエディリス、これ覚えなくていいんだけど、出てくるたびにぼく、日本語とラテン語どっちもいうね。造営官ていうのがありますね。アエディリス、これは治安とかを担当します。治安とかお祭りとかを担当する人たちがいます。その下にクァエストルという、財務官、これは國庫の管理担当て書いてあるけど、属州の財形、財務担当とかもしたりする。こういうコンスル、執政官コンスル、法務官プラエトル、造営官アエディリス、財務官クァエストルという、序列があって。これが全部任期が一年。これがまた選出されていくわけ。元老院から選出されることが多いけど、下の役職の、例えばクァエストル財務官とかアエディリス造営官とかは必ずしも元老院から出なかったりする。

樋口:なるほど。

深井:というか、クァエストルは元老院に入る入り口なんで。元老院、ここにきた人が元老院にいける。

楊:登竜門みたいな。

深井:登竜門みたいな感じです

樋口:ようは普通の人から出てくることが多いってことですかね。民間というか。

深井:これも後で喋りますけど、最初は本当貴族しかなれなかったけど、途中から平民からもなれるようになります。

樋口:へえ。

深井:これと別にもう一個すごく重要な役職があります。これを護民官、これはラテン語でいったらめっちゃ長いので基本的に護民官で。ラテン語でいうと、トゥリブヌス・プレビス。覚えなくていい。

樋口:難しい。

深井:護民官というのは民を護る官と書いて護民官なんですけど。この言葉の通り平民の権利を護るためにコンスルが決めたことに拒否権を発動させることができる人たちです。だからすごくない、2000何百年前の時点で制度ですごい制度だよね。

樋口:すごいな。けっこう三すくみどころかいろんなすくみがみてみて監視して。

深井:三すくみですよね。元老院と政務官と護民官というか民会というのもあるけど、さっきヤンヤンが言ってた。そういう絶妙のバランスを保ちながら、ただやっぱり主導的なのは元老院なんです。この中で一番権力を握ってるのはなんだかんだいって元老院なんです。

楊:そうそう。

深井:政務官も元老院から出てきてるし、政務官になった人も元老院にいってるし。民会にいる人たちはクリエンテスとしてパトローヌスである元老院議員たちに握られてるんで。なんだかんだいって元老院が強いわけです。これが共和制、王政が終わった初期のローマの状況です。これが変わっていくってのが、今回の話。

樋口:なるほど。

深井:元老院が握ってたんだけど、そうじゃなくなっていって、最後カエサルが覆すよって話なんです。

樋口:おお。

深井:そういう話。

樋口:はいはい。システム的にはすごく良くできていそうな。今の日本に近いもの感じる。

深井:近いというか、こういうのを基礎として近代のシステムが作られてる。

楊:権力が分散していくシステム。

樋口:そうそう、三権分立みたいな考え方になんか。なるほど。

深井:で、同時期にさっきもヤンヤンが言ってたけど、ギリシャってのがある。ギリシャの民主制てのがある、このギリシャの民主制とローマの共和制ってのは違うわけ。これの話ちょっとしようか。ギリシャの話をちょっとしますね。ギリシャの民主制、簡単にしかしないけど、ギリシャの民主制というのは直接民主制。市民が自分で投票に行く。ローマってのはすごい身分社会で、実は。さっきいったみたいに貴族がいる。ギリシャ人てのはポリスによって違うけど基本的に貴族はいない。みんな実は平等ていうとちょっと語弊が、

楊:奴隷とかいるしね。

深井:あるけど、ギリシャ人の市民同士、例えばアテネ市民どうしとかは比較的平等なわけです。で、だから、そういう出発点がちょっと違うんですけど。ギリシャの民主制の直接民主制ていうのは実はローマとほぼ同時期に始まる。ローマの共和制の方と。ほぼ同時期に始まるけど、ローマの共和制てのは500年間機能する、ほぼ、うまく。でもギリシャの民主制て50年で機能しなくなる。

樋口:10分の1だ。

深井:はい。これ、すげえ面白くて。あのね、ギリシャの民主制て途中むちゃくちゃうまくいった。スパルタの回の時に、スパルタとアテネが戦争する前はめちゃくちゃ興盛を極めたという話をしましたよね。あの時ってめちゃくちゃ上手くいってて。すごく優秀な政治家が出てきた。その、直接民主制の中で。その優秀な政治家が民衆に迎合することなく、迎合せずに説得してる間、民衆を。すごく上手く機能した。けど、民衆の言いなりになり始めてから死ぬほどダメになっていった。

樋口:へえ

深井:人気を取るために言いなりになっちゃう。だけどローマの人たち、さっきいったパトロンとクリエンテスの関係があるから、元老院て結構強い。だから必ずしも言いなりにならないのに独裁制でもない。

楊:コントロールされた民主制のような感じ。

深井:そう。

樋口:なるほど。

深井:こっちの方が長く上手くいったんです。

樋口:へえ。

深井:これめっちゃ面白いなと思って。

樋口:面白い。

楊:勉強してみて面白いと思ったのが、民主主義って面白いと改めて思ったのは、民主主義って理想としてはたくさんの人が自分たちの意見をどんどんいうのが一つ民主主義の一つの理想なんですけども、でも、これを突き詰めたら強いリーダーって絶対必要になる。ようはたくさん意見が、いろんな意見が多くなれば多くなるほど、これを調整するため、取りまとめるための強烈な力をもった一つの個人がどうしても必要都なってくる。

樋口:それはそうだよね。

楊:これ、民主主義の中で矛盾。

深井:矛盾だし。

楊:けど面白いなと思った。

樋口:矛盾ですね。

深井:あと、ギリシャで上手くいってたときの指導者ってのはテミストクレスとかクレイステネスみたいな人たちなんだけど。この人たちってのは、さっきも言いましたけど、国にとって中長期的に本当に必要なことってのを民衆が反対意見でも彼らとの信頼関係の中で説得することができた。ぼく、民主主義って政治家は説得できないとだめんだと思います。この件から。

樋口:なるほどね。

深井:あんまり、ぼく政治的な発言をここでしたくない、面倒臭いんで。政治と歴史って全く別物なので。でもこれをみて僕が学んだことってのは、民主主義の特徴って政治家が民衆を説得できないと機能しないんだろうなと思った。確かにそうだよね。だって、会社だってそう。

樋口:そうかも。

楊:しかもその政治家もちゃんと正しい判断ができてるような政治家である必要ある。

深井:そう、正しい判断をした上で民衆が反対、民衆というか国民が反対したとしてもこれこれこういう理由で本当に必要なんだよということを納得させることができるような能力を持ってるかどうかってのが、本当は多分すごく大事なんです。それができている人ってのは属人性なんで、属人的にそれが上手く行ってた時期と、属人的にダメになるという時期がギリシャには訪れてしまった。だけどローマってのはシステムで防いでる。

楊:たぶんギリシャの状況とかローマ知ってたんじゃないかなと思ってて。やっぱ、

深井:話は絶対聞いてるよね。

楊:そうそう、属人的に優秀な人だけを登場を待つってのはけっこうリスクだし。その人がバカだったら国が絶対ダメになるから。そうじゃなくて一人に頼らずに元老院というエリート集団に人材プールとしての役割をもたせて、こんなかで元老院をいろんな人を入れて新陳代謝を図りながらその中から期間限定の強い権力を持った人をそこから出してるという、現実的なそういう選択をしたのかもしれない。

樋口:すげええ、なるほどね。よお思いついたな、そんなシステム。

深井:頭いいというか、試行錯誤の結果なのかもしれんね。そこ、詳細残ってない。いきなりできたかのように書いてありますけど。

楊:絶対その過程はあるよね。

樋口:相当頑張って作ったんだ。だから、なるほど、ツイッターの意見をそのまま政策に反映させたところで、

楊:面白い。

樋口:いいとは限らない。

深井:そりゃそうだよね。

樋口:みんな好き勝手いいますからね。

楊:確かに。

深井:ていうのがあって。それでそのなんていうかな。ローマっていうのはギリシャよりも強くなっていく礎がそこで築かれてるんだけども。ちなみにギリシャ側はそうやって上手く機能しなくなったことによって、スパルタとアテネがしかも戦い始めてダメになって行く。そのあとアレクサンドロスが全部統一しちゃう。で、ローマにつながる。流れはそういう流れなんです。

樋口:なるほど。

深井:共和制はさっき上手く機能してると言ったんだけだけれども。共和制は共和制で大きい課題を抱えてます。だからどんなシステムでも実は課題を抱えてるんだという話だと思う。共和制、ローマ共和制が抱えていたシステムの課題というのは、平民と貴族の軋轢が生まれてしまう。身分が分けれてるから。もう少し詳しくいうと、ローマってめちゃくちゃ戦争する、だからこそあんなでかっくなってる。いろんなところに戦争に行く。それには当然平民も参加している、兵士として。平民が参加して平民が活躍する。戦争てすごく大変で、彼らは農耕民族なんだよね。だから普段は畑を耕してるわけ。農業をしている。その農業を捨てないといけない。

楊:戦争の間。

深井:行ってる間男手がなくなるわけです。で、その女の人とか、子供とか、老人とかで畑を耕すって大変。

樋口:大変。

深井:硬い土地とかは耕せなくなっちゃう。そうやって人手がなくなる。だから平民は戦争に行って戦争、それでローマがでっかくなっていけば行くほど貧乏になっちゃう。

樋口:そうだ、それは。

深井:けど、貴族はでかくなればなるほど、でかくなって新しく獲得した土地の利益が出てくる。そっから税金とか徴収したりするから。その利益を自分たちが配分してるから比較的自分にいれる。自分たちは金持ちになって行く。これあとでもう一回詳しくいいますけど、こういうことがおこる。それで平民と貴族の間で身分闘争が始まってしまう。

樋口:それはそうなりそうだな。

深井:で、でも、平民の方がやっぱり強い。なんでかというと、彼らは兵士として行ってるから、おれ兵士として行かないみたいなこと言われたら元老院は困る。

楊:外的に攻められてきたところでストライキされたら国滅びますね。

樋口:そりゃそうだ。

深井:だから、その平民はストライキとかを駆使することによってうまい具合に自分たちの権利を獲得していく。その獲得の過程ででてきたのが護民官とかなんです。護民官というのはこういう階級闘争の過程で出てきたものなんですね。たとえばコンスルのうち一人は平民から出さないといけないとなったりだとか。

楊:いろんな権力を持った重要ポストが今まで貴族に独占されてたところ平民に対しても一部開放されていったってのが流れ。

深井:実際平民の中から立派な人がたくさん出てくるんです。

樋口:ほええ。

深井:このあと。

樋口:そこ吸い上げるシステムになってるのすごいな。

深井:ポンペイウスとか平民だし。クラッススも平民だし。

楊:あとで出てくる重要人物です。

樋口:へえ。

深井:クラッススに似てるけどグラックス兄弟てのもいて、その人たちも平民出身だし。キーパーソン、カエサルは貴族出身なんだけど。実はけっこう平民出身のキーパーソンてのがたくさん出てくる。こういう闘争の結果ですね。

樋口:なるほど。

楊:これによってもう一つ生まれた社会的変化としては、平民に対しても出世していくルートができたじゃないですか。これによっていろんな人材を獲得するような吸い上げるような幅がもっと広がったんです。おれも頑張れば出世できる。自分も戦争行って軍功立てれば戦利品もたくさんもらえる土地がもらえるっていうことになって。社会の活力として結構これでブーストされた部分もある。

樋口:平民もモチベーション上がりますね。

楊:モチベーション上がるんです。

深井:うん。

樋口:中卒で社長になれるんだ。みたいな。そういうことですよね。

楊:そうです。

深井:という感じでですね、;そのローマは大きくなるにつれて平民と貴族が争ってしまうという構図というか一番最初からの初期欠陥を持ってる。今までも歴史の話の中で僕何回もどっかで言ってたと思ったんですけど。国って国ができたときに滅びる理由が決まってる。ローマの場合はまさにここだったわけです。平民と貴族との階級闘争ってのが滅びる理由だったんだけど。これを乗り越えさせたのがカエサルです。

樋口:ふうん。ほお。

深井:はい。

樋口:面白い。

深井:で、後、ええと、本当はこの回でもっと戦争の話しようかなと思ったけど、たぶん50分とかになっちゃうから。本当はハンニバルとかポエニ戦争とか、色々あるんですよ。いろいろ、ケルト人の襲来とかいろいろあるけど、これは別シリーズで。

樋口:今回は諦める、と。

深井:うん、ちょっと長い。

樋口:へえ

深井:あと、分散しちゃうと思うので。ハンニバルはハンニバルで10話作れちゃうから。

樋口:ですね。

深井:めっちゃ面白いですよ、ハンニバルも。ていうことで、今回の回は、後はローマ帝国の何がすごいのかっていう話をちょっと、まとめてみたいなと思います。

樋口:はい。

深井:はい。今までもローマはなんで強いのかってちょいちょい言っていきたけど、ローマのすごさは実はめちゃくちゃたくさんある。そのたくさんあるやつを言っていきたい。ええとね、ローマの凄さってめちゃくちゃたくさんあって、本によって八割か七割は一致してるけど、ちょっとずつ違うんだよね。けど、これがそうだみたいなのは、あまりなくて、僕が読んだ限り。全部挙げてみようかなと思います。

樋口:なるほど、はい。

深井:まずね、法律がすごい。

樋口:法律。

深井:ローマ人てめっちゃ法律大事にしてて、暗記してるんです。

樋口:へえ。

深井:十二表法とかいったりする。十二個の石版に刻んだりしたんで十二表法といったりする。成文法といって、文章化されてる法律。この法律も基づいて日々生きてる。なにかが起こるとこの法律に基づいて判断したりするわけなんです。基本的にさっきの権力闘争も法律という形で解決していく。この法律を出して制度を変える。この法律を出して制度を変えるという。ちゃんと全部法を成文化してやっていくくらいの彼ら古代人なんだけど法律というものをとっても重視しているので、規律がすごい。

樋口:ふうん。

深井:ものすごい規律、すっごい整然としてる彼らは。

楊:韓非子だね。

樋口:ほおお。

深井:韓非子だよ。

樋口:合理的なんかな。

深井:ちょう合理的。そうなんです。その法律からはずれるということは基本的にはやらない。やってる人いっぱいいるんだけど、この後何個かちょいちょい出てくるけど、基本的に避ける、それをすごく。

楊:影響としてあるのは、さっきも出てきた、軍事力だと思う。基本的日本みたいな武士の国じゃないですけど、けっこう戦い好きなんです。いつも戦争やってるから。

深井:ちなみに武士に似てる。

樋口:へえ。

楊:似てる。

深井:プライドの高さとかね。

楊:プライドの高さ、武力を重視、力を重視するとか。軍事力を持つということは多数の組織運営じゃないですか。組織運営をするには何が必要かというと、マニュアルが必要。マニュアルというかルール作りが必要なんで。多分戦争によってこういったルールで決めていこうていうような文化が育ってきたのかもしれない。

樋口:なるほど。

深井:マッチしたんだろうな。僕もそれ読んで、思った。例えば彼らの戦い方が非常に集団戦法で、そういう集団戦法からそれを学んだんじゃないかみたいな書いてあった。でも、集団戦法ってギリシャも集団戦法なんだよね。だから集団戦法のみではなくて、おそらく彼らがもともと持ってた気質とそういう集団戦法みたいな文化じゃないけど、やってたことがうまくマッチして彼らのこういうさらなる気質ってのが醸成されていくってのが、偶発的に起こっていった。それがたまたまちょう強かったみたいな感じなんじゃないかなと思っています。もう一つ特徴はすでにこれも言及しましたけど、ローマ市民権というものを幅広く交付する。これはギリシャ人はしなかった。つまりスパルタ人はだれにでもお前はスパルタ人になっていいよなんて買ってなことは絶対に言わなかった。アテネ人も絶対に言わなかった。でもローマ人は言う。

楊:これはすごいことで、日本に一度もきたことがない例えば中国人に日本国籍にやるようなもん。おかしくないですか。

樋口:ほお。

深井:だから自分たちの国家アイデンティティが柔軟なんだよね。排他的じゃないんですよ、なぜか。すごく柔軟で。この人たちもローマ人にしたら自分たちのローマ人としての何かが失われるみたいなことをあんまり思わなかった。思ってる人いたと思うけど、大多数は、じゃあ渡すかって渡しちゃってる。

樋口:関係人口めっちゃ増やしてるイメージ。

深井:ここが僕が冒頭に言った外部リソースを使うのがうまいといってるところ。彼らは自分たちとは違う人たちの力を結果的にローマに活かすことにとても長けてるんです。自分たちのアイデンティティを守るがあまり、排他的になりすぎて、周りの力を使えないということよくあると思うけど、その真逆の人たちなんです。

楊:国の最初からみんな集まれで作った国ですからね。

樋口:そうかそうか。ずっと集まれっていってる。

楊:この指止まれ。みたいな国。

深井:それが最もうまかったのがカエサルなんです、ちなみに。その外部リソースを使う、これが最もうまかったのがカエサル。すげえ面白い。

楊:外部リソースを使うということは、今までの自分たちと違う文化で生きてきた人たちと共有するフォーマットを作るってことじゃないですか。これって今のEUと似てる部分があると思ってて。それが帝国を作る一つのベースになってる。

樋口:外部を入れるということは文化が違うから、雰囲気とか空気感でわからない部分をルールで、

楊:ルールで全部決めてる。

樋口:なるほどね。

深井:あとは、ごめんね。

楊:いやいや。

深井:あとはもう一つ別の話題に移る。内紛が少ないんです。比較的。

樋口:なんでだろう。

深井:もちろんさっき言ったみたいな階級闘争はあるけど。他の国ってもっと内紛してる。けどローマ人て他の人たちと比べると比較的内紛が少ないんです。たぶんパトローヌスとクリエンテスみたいな関係もあると思うし。元老院が一定の地位を占めていて、その人たちに対して平民がよほどのことがない限りは基本的には従ってるとかそういうのがあると思う。ギリシャが内紛になっていったりしたのに対して、ローマってのは比較的一致団結をずっとしている。これが強いってのは僕会社経営していてめっちゃ思う。そもそも全くの内紛のない会社ってめっちゃ強い。

楊:そうだよね。ギリシャとかだと、ギリシャといっていいかな。内紛て断絶から起きる。お前は敵、こっちは味方みたいな、決定的な断絶から生まれるんですけど、もちろんローマにもそう言った断絶はある。結局プライベートなパトロン、パトローネスとクリエンテスの関係で複雑に結ばれてるから、決定的な断絶にならない。ある政治家はいろんな平民と繋がってるし、平民と政治家でこの案件に対してはすごく断絶してお互い反目しあってるけど、実際中ではいろんな人どうしが繋がってるから。主人と殺しあうわけにはいかないからね。

樋口:なるほど。だから、そうか。同じ人でも違う関係性がある。

楊:喧嘩はするけど相手を殺しきれないというね。

深井:これね、僕のすごい精度の低い仮説なんですけど。こういう断絶が起こりにくい状況って複層階層に渡って人間関係を作ってる場合の時の可能性が高いなと思ってます

樋口:どういうことですか、複数。

深井:一つの権力構造のもとのピラミッド体制ではないということです。それが何個も種類があるってこと。

樋口:どういうこと。

深井:例えば労働組合と会社とか。

樋口:ああ、はいはい、なるほど。

深井:例えばね。あとは中世ヨーロッパでいくと、領主とローマ教皇みたいな。こういう感じで、複数の権力構造の中に複合的に自分が組み込まれてる時、相手もそれに組み込まれてる時って比較的シンプルな対立になりにくいので。

樋口:本当だ。それ相当あるかも。

楊:相手を潰せば自分にも跳ね返ってくる。

深井:そうそう。こっちの権力構造で分裂しててもこっちで分裂してないみたいなことが起こるから、それで分裂しないという可能性が高いってのを今回ちょっと感じた。

樋口:それ、そうかも。

深井:まだ、おれちゃんと検証してないけど。

樋口:ええ。それなんか、実感的にそうかもしれない。

深井:みなさんも自分の実体験と照らし合わせてみて。意見欲しいところです。わかんないんで、まだ。

樋口:そうかも。

深井:どんどん次行くね。

樋口:はいはい。

深井:まだいっぱいある。

樋口:楽しいな、これ。

深井:なぜ彼らが強いかですね。あの、国に対する強い帰属意識がある。

樋口:へえ。

深井:帰属意識がとても強い。ここがサムライとかと近いかもしれない。平気でローマのために死ねる。

樋口:いいね。いいねって言ったらだめか。いやあ、やっぱたまんない。そいうの。

深井:好きですもんね。

樋口:好きです。

深井:これは、気質、最初からの気質なのかな。

楊:まあね、最初からヤンキーどうしの集まりだったので絆もあったろうし、農耕民族なんで、自分たちの土地を守ると言う共通意識をシェアできるような土壌にはあった。ようするに国防を外注してない。自分たちの土地を守るのは自分たちしかいないんだという概念があって。外から攻められたときに平民でも貴族でも一緒に武器をとって戦うぞというのが強かった。

深井:ギリシャ人というのはよくも悪くも哲学とかも発達してたんで、個人という感覚が強めなんです。ローマ人たちはけっこう公。公益にいかに自分が貢献できるか。みたいな。ちょっと日本人に近い。というところがあって。それのルーツなのかもしれないけど、父祖の威風と言われてる、自分の先祖ですね。おじいちゃんとかお父さんとかのやった功績ってのを丸暗記するんです、みんな。ずっと語り継ぐ。ずううっと語り継ぐというのをやってて。自分たちの先祖がどれだけ武勇伝をもってるかというのが、彼らのアイデンティティのなかに組み込まれてて。もう、毎回その話してるらしいよ、飯食いながら。家族の会話に。めっちゃでてきてたらしいです。

楊:とか、おれの先祖神様だから。そういうマウントを取り合う。

樋口:マウント取り合うんですね。

深井:マウント取り合いけっこうしてる。

楊:絶対してる。当時と血筋とか家系の良さがイコール頭の良さというように考えられてたから。それもかなり出世していく上ですごく大事にされた。生まれがよかったらこの人も頭いい人だねというイコールで結びつけられてた。

深井:当時はね、古代は。もう40分くらいになっちゃうから、これ最後にしようか。本当は全部書き出したんだけど。重要なやつだけいう。僕が一番大事だなと思った、この人たちの強さの源泉。問題抽出力と課題の優先付。

樋口:これはいいかも。

深井:めっちゃ強い、やばい。僕が今まで世界史勉強した中でトップ。すごいと思う、この人たち。戦争に負けたときの挙動がやばい。戦争に負けた時にめっちゃレビューして反省して、制度レベルでかえる、この人たち。

楊:しかも失敗した人を罰しない。

深井:そう、人のせいにしない。これがさっきの、王様変えた時と一緒なんですけど。とにかく、こいつがクズだから殺せみたいにならない。負けて、帰ってきた人は、負けたから十分プライド傷ついてる。そうじゃなくて、この人、でもローマのために頑張った。だから、まあいいだろう。そうじゃなくて、何がだめだったか客観的に分析して何十年かかってでも必ず改善しようとする。相当やばくない。

樋口:ほお。

深井:それ強いよねと思う。

樋口:はい。

深井:それで実際強い。最初から強いわけじゃない。ちゃんと要所要所でしっかり負けてる、彼らは。

楊:そうそうそう。

深井:ケルト人にも負けてるし、何回かローマって滅びかけてる。滅びかけるんだけど、すんでのところで盛り返すんですけど。盛り返したあとの反省する力と改革する力。まあ、立派ですね。

樋口:PDCAですか。

深井:プランがあるかどうかわからないですけど。とにかくチェックがすごい、チェックアクションがすごい。レビュー力。

樋口:なるほど。

深井:実際仕事もこの力持ってる人ってめちゃくちゃ伸びるし、強いじゃないですか。

樋口:絶対そうですね。

深井:自分を見つめるってすごく辛いことなんですよ。属人的にしないってのもとても難しいことなんです。因果関係がわかりにくいので。属人的にするって超簡単な因果なんですよ。あ、こいつがだめだからだめだ。この仕事がダメになったのはこの人がだめだからってのはとても簡単。間違ってもないし、多分。けど、それだけじゃなくて、ええと、ここの要素とここの要素が良くなかったからこう言うように変えないといけなかったんだ。とか、そういう考え方ができる人はなかなかいないけど、ローマ人てのは結構デフォルトがそれなんで、強い。

楊:なんでだろうね。

樋口:なんでそんな頭になるんだろうね。

深井:その、性質なんだと思う。だって僕たち個人個人もなんでその人それができてるかってわからない。

樋口:ですね。

深井:できてる人いたとして。

楊:発動条件。

深井:発動条件。

楊:たかちん的に言えば発動条件。

深井:だからわからなくて、僕も。この人たちがなんでそんなことできるのかわからないけど、デフォルトのその能力が高いからみんなでそれをやってる。

樋口:ふうん。

深井:ハンニバルに負けた時もそうだし。

楊:スキピオがね、また勉強する。

深井:そう。ケルト人に襲来されて滅ぼされかけた時もそう。

樋口:へえ。

深井:あの、本当人のせいにせずに、まずは人のせいにしないことですね。これが一番強いです。してる人いると思いますよ。もちろん。平均値として人のせいにしずらい人たちです。

樋口:へえ。それを国レベルでやってるのはすごいですね。

深井:まあ、強いね。立派な人たちだなと思いました。

樋口:それでやっぱ中枢部が納得して変えれるってのはすごいな。だって変えるってのはリスクですからね。変えるってのは。

深井:そうですね。

楊:そうだね。

樋口:そうなんですよ。やったことないことやるわけだから。

楊:感情的になることが嫌われてたのかな。

深井:いや、感情的になってる。

楊:なってる。

深井:悔しいわけ。負けたのが、めちゃくちゃ悔しくて、悔しすぎて客観的になってるんだと思う。多分。絶対に次負けないために。

樋口:なるほど。

深井:で、それが個人レベルじゃなくてローマレベルでどうやって負けないかを考えてるから、そっちの思考に突入するのかも。

樋口:そうかそうか。

深井:自分が悔しくて自分の名誉傷つけられて自分が回復したいじゃない。ローマ人の名誉が傷つけられたから、このローマをどうするかと考えた時に客観的な方に突入していくんだと思います。

樋口:なるほどね。だからバスケットボールでシュートが決めれなかったとして、右手のせいじゃないってこと。

深井:そういうことですね。

樋口:わかりにくいか、逆に。そういうこと言いたかったんだけど。

楊:なぜバスケ。

樋口:全体から考えるんじゃなくて、右手のせいにして右手切り落としてていう。

深井:人間単位でいったら自分のシュートをうまくするだけじゃなくて、チームでそう勝つかを考えたい人たちだった。

樋口:そっちの方がわかりやすい。

深井:このチームを勝たせたい人たちが悔しくて、考えた。

樋口:なるほど。

楊:確かに組織で、組織の良さを引き出してそれで問題解決していこうという国民性。

樋口:なるほど、主語が広いのかもしれないですね。捉える時に。

深井:こういう特徴をもったすさましい人たちなんですけど。

樋口:タイトルだけ知りたい。あと、どんなにすごいことがあるのか、ざざざと書き上げた。

深井:ああ、ええとね。

樋口:中身が時間があれなんで。

深井:信仰心があつい。

樋口:いいですね。

深井:実はすごい宗教心があつい。

楊:そうですね。戦争に負けたときも、もちろん自分のことも責めるんだけど、神様に対するお祈りが足りなかった、とか、お祈りの仕方が間違えたとか。その自責のベクトルもある。

樋口:なるほど。

深井:あと、軍規が厳格である。

樋口:規律ね。

深井:これさっきいった規律が激しいという話とほぼ一緒。そういうのかな。

樋口:うんうん。なるほど。

深井:後は、ローマ連合ていうのがあるけど、この話はいいや。

樋口:なるほど。

深井:ググってください。

樋口:すげえ、めっちゃ優秀ですね。

深井:くそ優秀です。だから世界史上のこんなことになってる。

樋口:なるほどね。いやいや、これはこの僕でも大きくなっていく理由がなんとなく雰囲気はわかるという感じですけど、ここからの展開が気になるという感じでございますけど。一旦今日はここまでですかね。ありがとうございました。

楊:ありがとうございます。

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