#130 「コンスタンティノープルを封鎖せよ!」メフメト2世の完璧なる包囲戦

【今回の内容】今回はオスマン帝国の興りとムハンマド以降のイスラームの状況、そしてキリスト教世界に衝撃を与えた事件「コンスタンティノープル陥落」まで語り合いました。 600年にも及ぶ歴史はあまりに膨大。 今回だけで語り切れませんが、ぜひご視聴ください。

樋口:はい、ええ、前回まではビザンツ帝国の悲哀、そしてコンスタンティノープルの固さについてお話をお聞きしたんですけども、続きでございます。

深井:はい。いよいよメフメト2世がコンスタンティノープルを包囲します。12万から16万とも言われる兵員でコンスタンティノープルを包囲する。バヤズィトの時は1万くらいだった。

楊:本気度やばいな。

樋口:本気ですね。

深井:予算がどう考えても16倍以上。

樋口:ぶっ潰しにきてますね。

深井:そうそうそう。

楊:たぶん大地を埋め尽くすほどの天幕の数ですよ。たぶんどっかの記述であった。まるで1個の都市のようだって言われたらしい。

深井:もう1個隣に、コンスタンティノープルみたいな町があるように見えた。

楊:12万の軍の天幕。これを見た時のコンスタンティノープルの人の絶望てなんなんだと。

樋口:田川市3つ分ですよ、やばいな。

楊:それはやばい。田川はそもそも戦闘力高いですから。

樋口:いやいやいや、それはいろんな人がいますけど。市3つ分ですからね。

楊:いくら自分のところのセキュリティーが世界最強でもやっぱちょっとびびりますよね、てかだいぶびびったと思う。

深井:イェニチェリの数だけで1万とか。7万の騎兵軍みたいなのもって、メフメトが攻めてきますし。海軍苦手なんだけど、海軍もちゃんといっぱい船作って。140隻とか160隻とかいわれるんだけど。表記に揺れがある、数に。あるんだけどそういう船を持って行って。本当の本気で攻める気まんまんなわけですよ。

樋口:へえ。

深井:で、スパイとかもすごい送りこんでて、メフメト2世てすごく立派でスパイを送り込みます。西洋からの救援が来ないであろうということをほぼ確定させてるんですね、この時点で。

樋口:なるほど。

深井:他の人がこの当時のメフメト2世を見て書いた記述が残ってたんだけど。22歳のメフメト2世ね。寝ても起きても常にコンスタンティノープルをどう攻略するかについてのみ考えている。といわれてる。

楊:めっちゃ集中してるんだね。

深井:ずうっと戦略考えてたらしい。

樋口:へえ。

楊:どっかで前話したところで、もう勝ったから飲み会しようって感じじゃない。

樋口:本気ですね。

深井:全然違う。紙とインキを使って要塞の図面を書いて。どこにどのように大砲をつけるとか。あと防御施設とか地下道の建設どうするかとか。地下道というのは下から。

楊:掘って行った、トンネルを。

深井:穴を掘ってトンネル掘って攻めていくとかね。どこに梯子かけて、どの壁にかけるかとか。そういうのを専門家と一緒にずっと相談したりしてる。

樋口:はあ、なるほど。

楊:あと状況としてコンスタンティノープルの中も外ももちろんキリスト教徒がいたんですけど。彼らがオスマンが攻めて来た時に考えたのは、もうビザンツと運命を共にするのか、それともオスマンの支配下に入るのかという選択を迫られる状況だった。その中でオスマンに味方したりする人とか、オスマンのことをほっといて、本当は助けないといけないのに中立を保つという状況が生まれてそれが結果的にオスマンに有利に働いたというのもありますね。

樋口:なるほど。

深井:そうなのね。あとコンスタンティノープルに攻めて行く途中に要塞とかも作ってて。要塞の資材の運び出しを自分でやってたりしたらしい。

樋口:へえ。

深井:始皇帝チックに自分がやらないと気が済まないくらいすごい集中してたんだと思います。

楊:肝いりの事業だね。

深井:超肝いり。

樋口:なるほどな〜。はあ。

深井:コンスタンティノープルを孤立させるという戦略をとっているんです。だからやっぱり包囲前から補給路を断って、援軍を出しそうな要塞っていうのを予め潰してあって、いよいよ囲んだときに12万とか16万で囲んで街がもういっこ出来るみたいな状況だから。さっきヤンヤンも言ったけど、城壁内は呆然自失の状態。

楊:たぶん逃げる人もめっちゃ出たと思います。

深井:「ああ、ついに最後の日が来た」みたいなことが起こってるんだけど。この後に及んでもビザンツ帝国内では仲間内で揉めてる。

樋口:ええ。

深井:ずっと揉めてる。

楊:わかる気がするね。

樋口:余裕がないのかな。

深井:余裕がないのもあるし利害が一致してないんだよね、結局。中にいる人たちがオスマンとか歴史って常にこうなんですけど、利害が一致してる組織って本当に強い。

樋口:なるほど。

深井:チンギス・カンたちみたいに。

樋口:はいはいはい。

深井:ビザンツ帝国の中にいろんな利害の人がいるんで。ベネチア人もいるしジェノバ人もいるし。この人たちは自分たちが儲かればいいし。

樋口:なるほどね。

楊:皇帝も別にそれらを治められる力があるわけでもないしですね。

深井:あるわけでもないし。一方で仲の悪い、カトリックと仲の悪い人たちもいるし。

樋口:なるほどな。

深井:この人たちをどうやってうまくあれして、戦うかってのはビザンツ帝国側からの視点なんですけど。12万とかの軍隊に対してビザンツ帝国で戦える人数が7千人なんです。

樋口:く、もう無理やん、無理。

深井:7千人でどうやって守るか。

楊:取り締まり役会とかどんな雰囲気だったんだろ。

深井:実際国王会議。国王が。

楊:御前会議ね。

深井:御前会議があるんですよ、ビザンツ帝国で何回も開かれてるんだけど、基本的に意見が一致しないし、ベネチア人とかジェノバ人とかが出て来て搔き回すんです。みたいなことが起こってますね。

樋口:いやあ。

深井:メフメト2世は主力の戦力を陸上から直接攻撃することに集中します。だから大城壁のところに集中させます。この大城壁の所に集中させたときの目玉兵器が前回言ったウルバンの巨砲です。

樋口:はいはい、来た。

深井:はい。これなんなんかっつったらね。ウルバンの巨砲てのはハンガリー人のウルバンていう技術者がいる。この人に特注して作らせた巨砲で、砲身の長さが8.2m。

樋口:8.2。

深井:8.2m、3階建くらいかな。ビル。

樋口:でっか!

深井:の砲身、長さです。厚さが25.4cmの厚さが厚さだよ。

樋口:厚さですね。

深井:この筒の厚さがね。

樋口:はいはい。

深井:口径が76.2cm。

樋口:76.2。

深井:一番わかりやすいのは砲弾の重さ、これが550kg。

樋口:出た。

楊:樋口さん十人分。

樋口:弱いですよ。樋口10連打でしょ。こりゃこりゃこりゃ、樋口が。

深井:たぶん陥せない。

楊:たぶんね。

樋口:はあ、でもそれが鉄球みたいな感じになるんでしょ。

深井:鉄球というか石。石の弾をバーンて撃ってぶつける。精度めちゃ悪いけど。30の車と60頭の牛を使って運搬する。これをエディルネかなんかで作らせたやつをすっごい距離運んで持ってくるという超スケールのでかいことを。

楊:よう作らせたね。この決断てなんかね、ちょっと違う。

深井:これはすばらしい。これはかなりすごいです。ちなみにビザンツ帝国に最初に行ってるんですよ、ウルバンは。

樋口:ほう。

深井:で、ビザンツ帝国に僕はこんな大砲が作れます。防御に大砲いかがですか?って言いに行く。

樋口:へえ。

深井:そしたらビザンツ帝国はむかついたみたいで、できるわけないやんと思ったのか、なにいっとんねんと思ったのか、どうせお金も払えないしね。ウルバンを牢屋に入れるんです、なぜか。ここいろんな文献読んだけど、なんでかよくわからないですけど。

楊:残ってないですね、あんまり。

深井:ウルバンを牢屋に入れるんです。そしたら当然ウルバン怒るじゃないですか。で、ウルバン怒ったからオスマンに行ったんですよ。

樋口:うわあ、面白い。

深井:そのウルバンの巨砲で実際にやられてしまうんです。

樋口:面白い。たった一人の優秀な発明者を。

深井:大量の開発資金を渡すんです、ウルバンに。大判振る舞い、超大判振る舞いでじゃんじゃん使えって。

樋口:へえ。

楊:どこぞの馬の骨とも知らない人だし、前例のない大砲じゃないですか。でもおれが作れるって、じゃあお前作ってみろって金をバーンて渡して。

深井:かなりの投資感覚だと思います。新兵器とかの取り入れる感覚てのはとても鋭敏なんですよ、オスマン帝国って。メフメト2世はその中でもさらに新兵器とか新しいことを受け入れることに対して積極的だった。ヨーロッパの勉強もしてますし、彼は。勉強してた。あの人もそうだったよね、アレクサンドロスもけっこういろんな勉強して、新兵器取り入れるってのはお父さんがやってたけど。とにかくここでメフメト2世も新兵器への投資をしっかりとやっていくわけです。これは成功してるから僕たちは簡単に見えますけど、この決断はけっこう難しいですよ、かなり反対されてますから。

楊:ですね。

樋口:だろうな。

深井:かなりいろんな人にそんなことに金使うなって言われてる。

楊:意味ないし。意味ないからとかね。

樋口:はあはあ

深井:でもその状況の中だれが正しいか彼は判断を自分の頭でしてる。人の意見に流されずに。

楊:確かにね。

深井:これが効果があると信じきってたかどうかは別ですけど。少なくとも多額のお金をここに割くことを決めてるわけです。

樋口:なるほど、VCとしては優秀ですね。

深井:VCとしては優秀。

楊:そのへんの感覚ってモンゴル帝国でみたような新しい攻城兵器をすぐに取り入れたりするのも。日本だと織田信長が鉄砲取り入れてるのに似てる。

深井:似てる似てる。オスマンはそのあと実際に重火器を使うのがすごくうまいというか、めちゃくちゃ銃を取り入れる、世界でも先進的に。イェニチェリ軍団ていうのが銃を持った歩兵として初めての騎兵に対抗できる存在になる。今まで遊牧民の歴史でやったけど、最強のモンゴル軍も銃の前には実は戦えない。銃が出てくるまで騎馬が一番強かった。

楊:長篠の戦いみたいだね。

深井:そうそうそう銃が出て来てから騎馬隊ってのは弱くなっていく。それの先陣をきってるのがオスマンですけど、そのさらに先陣がメフメト2世です。この人のリスクの侵し方であるとか、新しいものを取り入れるこのバランス感覚であるとかはかなり学ぶところがあるとは僕思ってないけど特別な才能というか感覚だなと思ってます。

樋口:なるほど、評価されるべき。

深井:かなりすごいと思いますね。

樋口:はあ。

深井:いろんな人に反対されてるはず。

楊:だと思う。

樋口:当たったやつしか歴史に残らない。失敗したことは残らない中で、失敗もしてるのかもしれない。

楊:しかもそんなにまだ実績がないもんね。

深井:そうそうそう、自分自身には。

楊:若王、若い王様だしね。

深井:そのウルバンの巨砲を持っていって、この大城壁ってのを正面突破しようとするんですね。あと、海の方からも攻めていって。海の方からも攻めることによって相手の人手を少ないことも察知してたんで、人数が、少ない人手を分散させて戦うってのがこのメフメト2世の戦略なんです。海の方はちょっと城壁の時に言うの忘れてたけど。海の方も工夫が凝らされていて、コンスタンティノープルって。北側の海に面している城壁の部分て海なんだけど川みたいにすごく細くなっている。そのすぐ向こうに対岸があって、対岸もコンスタンティノープルの町なんです、そこはジェノバ人の居住地区なんで、ある意味ジェノバ人の自治区みたいなところなんで、あんまり関係なかったりするんだけど。いわゆる細い川みたいなのがあるんです。この湾て呼ばれてる、この湾の入口の部分に入って行って北側の壁を攻めるていうのがやりたいこと、メフメトが。けどこの湾の入り口に鉄の鎖が通してあるんです。船が通れないようになってる。

樋口:へええ。

深井:超長い鉄の鎖が通してあって、そこの鉄の鎖ぴーんて張ってあるので船だったらそこを超えられない。そういう防御策をとってある。海軍のミッションはこの鉄の鎖を切ってこの湾に侵入して上から攻めて人員を拡散させるというのがメフメト二世のこの時の戦略。大城壁、6.5kmの大城壁に対してはウルバンの巨砲とか、他にも実はたくさんの大砲をもっていて、これで集中砲火して城壁を崩しながら人海戦術で押すってのいうのが、本当に戦略。

樋口:全方位型や。

楊:短期決戦だもんね、基本的に。一番最初として。

深井:ほお。

樋口:今までのオスマン軍は長期戦略をとってる。包囲して。補給路を絶ってね。基本的に長期戦略ではなくて、本当にぶっ潰すっていう戦略をとってるということです。今までだれもその城壁を壊そうとは思わなかったんですよ。強すぎて。

楊:そう、ジリ貧にさせてやろうとしたんだけど、意外と持ちこたえたりとかした。

深井:実際陥されてないし、全然。それを最初に陥そうと思ったのもメフメトがすごい特異な点ですよね。

樋口:はいはい。

深井:いよいよ戦闘が始まります。

樋口:よっしゃ。

深井:よいしょ。

樋口:きたよ。

深井:戦闘が始まるんだけど。ウルバンの巨砲も打つんだけど、致命傷を与えられない。

樋口:え、そうなんですか。

深井:なんでかといったら、ウルバンの巨砲てまず弾の装填にすげえ時間がかかるし、1回撃ったら冷やさないといけない。

樋口:へえ。

深井:近代兵器と違って、現代兵器とかと。何時間も冷やさないといけない。だから1日射てて5発から7発。

樋口:そんなに。

深井:トラブルがなくて。

樋口:はいはいはい。

深井:で、その5発か7発撃ったら実際ちょっと凹むんです、壁が。凹むんですけど夜のうちに修復されちゃう、ビザンツに。

樋口:ははは。修復機能もあったんですね。

深井:修復されちゃう。

楊:そうそう、ブロック積み上げて。

樋口:へえ。

深井:壁三重もあるから一番外側の壁以外は簡単に修復できちゃう、外に出て。それで修復しちゃうんです。

樋口:へえ。

深井:その修復スピードに壊すスピードが追いつかない。壁を越える為に木の塔とかを作ってこれをこうやって寄せて、塔から城壁に乗り移るみたいなこともやろうとするんだけど、それも全部ばあって燃やされちゃう。

樋口:へえ。

深井:で、メフメト2世が決意したのが、総攻撃をするって決めるんです。4月18日だったと言われてる。未明に大声とともに総攻撃を仕掛ける。堀を前もって埋めといて、そこにハシゴかけたりして渡ったりとか。ハシゴを壁にかけて行ったりとかするんだけど。上からめちゃくちゃ攻撃される、当たり前だけど。それで失敗に終わっちゃうんです。攻めあぐねちゃう。

樋口:数でいけないんですね。

深井:数で攻めてもいけないんですよ。だから、海上の方に力を入れようとする。だから海上の方の同時攻撃には耐えられないだろうと。さっき言った人手を割かせてやろうとする。鎖を攻撃させるんだけれどもオスマン海軍がまだ未熟なんですよ。

楊:そうそう弱い。

深井:海軍が弱くて海軍が負けちゃうんです。

楊:しかも大惨敗しちゃう。惨敗か、大惨敗しちゃう。

深井:惨敗しちゃうんだけど、全滅とかはしてなくて、負けて帰ってくるんです。

樋口:大丈夫か、メフメト。

深井:メフメト2世はその負けた将軍にめちゃくちゃキレるんです、この海軍の将軍に。お前次はまじでないぞみたいな感じで言うんですよ。そしたらビザンツ帝国への補給部隊が他国から来てくれる。補給路は絶ってるから食料なくなっていく。ご飯とか食える船がたった4隻来る。たった4隻来るんです。こっちは百何十隻持ってる。この百何十隻で迎え撃つんです、補給船をぶっ潰すために。メフメト2世はさすがにそんなことできるでしょうと思ってるわけ。これはさすがにできるだろう、次はないよと言ってるし。これはさすがにできるだろうということで湾の入り口で二つの、向こうは海軍とも言えない補給部隊でぶつかるんですけど、これも倒せない。

樋口:なんで、なんで、弱いんですか。

深井:弱いんです。

樋口:海軍弱い。

楊:運んだ補給戦の船がベネチアの人が運転してる船とか、それだけそうとう技術もレベルも高いし、船の造りとかもおそらく違ってた。

深井:船のでかさはちなみにその4隻の方が圧倒的にでかいです。ただ風がめっちゃ吹いたらしいです。あと一息で乗り込んで倒せるってところになった時に、命がけで戦ってるんで、その将軍も。次、これで失敗したら自分が殺されるってなんとなくわかってるから。メフメト2世厳しいから殺されるってわかってるんで、命がけで攻める。命がけで攻めて片目とか潰さちゃうんだけど、潰されながらも命がけで総攻撃を仕掛ける。船を突撃させて、横につけて乗り込もうとするんだけど。風が吹く、運よく、ビザンツ帝国にとって。めちゃくちゃ運良く風が吹いたら帆船だから帆を持ってる船だったんですね、そのビザンツの補給船が。それがあって一気に進んじゃって、それにオールで漕いでたビザンツじゃなくてオスマンの船はオール式だったから全然追いつけなくて逃しちゃうんです。

樋口:はあ。

深井:これでメフメト2世がね、めちゃくちゃキレる。

樋口:そりゃそうだ。4隻ですからね。

深井:もうガチギレ。ガチギレでみんなの前に引きずり出して、自ら俺の手でお前の首を切ってあげるよみたいな感じで。ガチギレするんだけど、みんなから止められて殺さずに終わるみたいな。けっこう取り乱すんです。

樋口:焦るわな、でも。だって12万から16万連れてきて、それで尻尾巻いて帰る。

深井:兵士の士気も下がるし。

楊:4隻取り逃がすって自分の面目というか。影響力にも傷がつくしね。

深井:こうやって失敗が続いたらどうなってきたかというと、オスマンの軍内で内紛が起こり始める。

樋口:うわうわ。

深井:そもそも出陣の前からチャンダルル・ハリル・パシャがずっと反対してたでしょ。まずチャンダルル・ハリル・パシャめちゃ反対してくる。

楊:ほらみたことか!みたいな。

深井:そう。

樋口:きたきた。

深井:ほらこうしてるうちに十字軍くるよ、みたいな。

樋口:だいじょうぶ。

深井:十字軍とかきたらおれら全員死ぬんじゃね?

樋口:怖い怖い。

深井:とか言ってくる。

樋口:怖い怖い。

深井:で、メフメトがどういう気持ちだったかまでは残ってないけど、絶対焦ってたと思う。

樋口:絶対焦ってますよ。

深井:今まで陥ちたことがない、この城。やっぱ陥せないのかなとか色々思ったんだろうと思うけど、メフメト2世の僕がすごいなと思ってるところは、めっちゃここでちゃんと切り替えする。ネガティブになったりしない。

樋口:ほおほお。

深井:メフメト2世がある奇策を思いつくわけ。これがけっこうまじ意味わかんなくて。待って、樋口さんだったらどうする。

樋口:おれ、とりあえず大砲をずっと頑張る。だってめっちゃお金払った、ウルバンに。

深井:おれだったらトンネルがんばるかな。

樋口:トンネルもいいですね。

深井:トンネル。トンネルも頑張ってたけど潰されたりしてますよね。トンネルをもっと頑張る、俺だったら。

樋口:それか補給船みたいなところにうまいこと乗り込む。

深井:そうですね。そうですね。補給船、それ1回むずいですけどね。メフメト2世が考えたのがめちゃくちゃすごくて。船がさっき言った川みたいな湾に入ってしまえばビザンツの城内の兵員を分散できるから両側守らないといけなくなるから、修復が間に合わなくなるだろう。それが海軍がしょぼくてできない。だったら湾に対して船を山を越えて、陸路から運んでしまおうと思ったんです。意味わかります。

樋口:山になってる。

深井:対岸があるっていったよね、おれが。対岸側に船を乗り上げさせて、対岸の陸からこの川みたいなところに入れるってのを考える。

樋口:はあ。

深井:これを一夜でやってしまおうとする、彼は。

樋口:ほお。

深井:するんですけど。

樋口:するんですか。

深井:します。

樋口:できるん。

深井:できた。

樋口:ほお〜。

楊:船を陸上でみんなでえんやこらで夜中に運ぶ。

深井:どうしてもこの鎖が切れない。この鎖さえなければ140隻も持ってるから中に入れる。だけど、この鎖が切れないから中に入れない。じゃあ鎖を関係ない陸路から入れてしまおうと考えて、上のコンスタンティノープルの北の方の森を切っていって、丸太を並べて、これは1日ではやってないですよ、ずっと準備してやって、そこに油塗って。気づかれないうちに船を陸路から70隻も一夜にして丘を越えさせて、山みたいなの越えさせて、海抜60mの丘と言われてる。

樋口:60m登らせて。

楊:鉄鎖の内側に入るんだったっけ。

深井:そう、鉄の鎖があって入れなかった湾内に船を入れてしまうんです。そうすると壁を直接攻撃できるようになる。

楊:で、補給路も断てる。

樋口:ほお。

楊:まじ源義経だね。

樋口:すごいな。

深井:一ノ谷の戦いの超スケールでかいバージョン。

樋口:はあ。

深井:彼らは崖降りたくらい。

樋口:上からばあってね。

深井:うん。まあ圧倒的にスケールでかいと思います。これを考えて、やっちゃうんですよ。

樋口:イリュージョン。

深井:成功するんです、これが。

樋口:すげえ。発想の転換だ。

楊:センスだね、本当に。

深井:この時のコンスタンティノープルの混乱ぶりね。コンスタンティノープルの立場からこの戦いを見ると、まずウルバンの巨砲とかめっちゃ音でかいんで怖いんですよ。

樋口:だろうね。

深井:だーん、だーん、てずっと聞こえて。壊れてはないけど聞いたことのない音がずっとする。聞いたことのない音ずっとしてるけど、今のところなんとか防ぎ切ってるけど補給路とかもちょっとずつ絶たれていて、食料とかもちょっとずつなくなってるけど、やっと補給船がそうやって海軍が止めれたなかったから、オスマンの、補給船きてやったウエーイて。

楊:4隻だけの補給船だけどね。

深井: よっしゃよっしゃみたいな、まだおれらにも勝機あるかもね、みたいなポジティブになってる時に、ある日いきなり一夜にして70隻が壁の前に現れるわけ。

樋口:ぼんて。

深井:その知らせを聞いて、もうなんか、ああ!みたいな。もう終わった。これは死んだってなる、みんな。

楊:理解できない。

樋口:できない。

深井:なんで、みたいな。

樋口:なんでってなる。船の幽霊か。

深井:陸から越えた、そんなことあるかみたいな。陸のやつ気づけよ!みたいな

樋口:ですよね。

深井:船運んだらわかるだろ!みたいな。

樋口:ワープしたと思うでしょうね。

深井:そう。それですごい絶望的な気持ちにコンスタンティノープル側はなっていて。皇帝の名前、最後の皇帝コンスタンティヌス11世ていう人。陥落直前になってますけど、この人皇帝にね。この人がちなみに奇しくもコンスタンティノープルという地名の由来になったコンスタンティヌス1世と同じ名前。

楊:確かに。

深井:コンスタンティヌスで始まりコンスタンティヌスで終わってる。

樋口:うわあ。

深井:コンスタンティノープルが。

樋口:悲哀。

深井:悲哀がすごい。11代。11回目のコンスタンティヌス。

樋口:なるほど。

深井:この人逃げる選択肢もあったんですけど、死ぬことを選ぶんです。

樋口:へえ。

楊:武士だね。

樋口:武士ですね。

深井:もう見捨てて逃げるということはやらないと決めて。イスラム法で降伏したらどうだいみたいなこと言ってくれる、イスラム法に則って。それ全部はねのけてやらない、和平交渉もしない、最後まで徹底抗戦して死ぬ。今までで疲れたんだろうね。

樋口:たぶんね。

楊:そうだろうね。でもメフメト2世もすごいよね。彼も彼でリスクな状況だったんだけれども、ちゃんと解決策で乗り越えようとする、考えて。

深井:そうだね、僕がすごいなと思ったのはやっぱり反対意見を言われてる時のトップの気持ちって、確信がないかぎりは絶対揺れるはず。でも彼の人生経験に確信を得るほどの経験がないじゃないですか。

楊:ハタチくらい。

深井:21とか。だからすごいなと思うわけ。その確信を得られるような経験が、持ってたからできたんだろうけど、そういう経験を戦争でやってないにも関わらず、彼は自分の意志を貫き通すってことをやって、それが感情に任せて非合理的なことをやってるわけではなくて、すごく緻密に計算されたことをやってるんで結果的に成功する可能性があったから成功した。ということになってるんじゃないかなと思う。

楊:そうよね。だって攻める前も自分で地図を引いたりとか見たりとか、思考をずっと考えて。

深井:重ねて重ねて、根拠もなく非合理的に俺はできるとか思ってやって吹っ飛んでるやつたくさんいるんですよ、歴史上。そういう人たちとは全く違って、超準備をしてリスクをしっかりと侵すということを彼はしている。

樋口:しかもそれが失敗してますから、最初ね。

深井:そう、失敗して焦ってる。

樋口:ひろっとしてる。

深井:焦ってるけど焦りに飲み込まれずに意志を貫き通すという彼の凄さ。

樋口:現場で思いついてる。

深井:そう、現場で考えて、ていうところがやっぱすげえなと思いますし。ずっと反対勢力チャンダルル・ハリル・パシャとかがずっと反対してるから。ここを押さえ込まないといけないというのもあったと思います。ここでチャンダルルの話を聞いて、仮に帰ったとしたら、そのあとたぶん自分は一生チャンダルルに頭が上がらないだろう。と。ハリル・パシャに。だからここでもしかしたらと思ったのはここでだめだったら死のうと思ってたかもしれない。だめでも生き残るというレベルでやってもしょうもないから全人生ここにかけてやろうと思ってたのかもしれない。

楊:なるほどね。

深井:だったら説明がある程度つくかもしれない。そのなんかチャンダルル・ハリル・パシャに頭が上がらないような王様の人生なんてやりたくないって本気で思ってたからここにこうやって振り切ったのかなというのは完全なる想像ですけど思いました。

樋口:命をかけてるかもしれない。

楊:なるほどね。

樋口:なるほど。

深井:それは若いころにチャンダルルに2回も王位を阻害されてるんで。そこの蓄積してたんじゃないかなと思いますね。

樋口:なるほど。

楊:コンスタンティヌスもいい男だね。いい男と言っていいのか完全に感情移入してる。

深井:コンスタンティヌスは、命乞いをしたりとかはしないっていうのに決めて、最後ちなみにこの人は城壁、攻め込まれた城壁に自分も突っ込んでいって死にます。

楊:死体も見つからなかったらしい。

深井:だれが皇帝かわかんなかったって。

樋口:へえ。

樋口:それにモブキャラとして死んだ。

楊:そうそうそう。

樋口:へえ。

楊:皇帝の服とか装飾とか全部外して、いち兵士として敵陣の中に突っ込んでいった。

深井:逃げてる途中だったのかもしれないし、突っ込んだのかもしれないけど。どっちかわかんないんだけど、どのみちそういう形で死んだから行方不明て言われてる。まあ死んだんでしょう。

樋口:へえ。突っ込んでいったんですね。

深井:はい。

樋口:土方じゃないですか。

楊:なるほどね。

深井:そんな感じですね。それでついに2方面から壁を攻めることができるようになった。実際兵員が分散せざるを得なくなって、7千人しかいない兵員がね。そうすると何ができなくなるかというと、壁の補修が間に合わない。そうするとウルバンの巨砲とかが生きてくる。

樋口:うんうん。

深井:ウルバンの巨砲とかが生きてくるんだけど、結局どうやって勝ったかといったら兵士が、イェニチェリが壁を越えたんです、ついに。でも心が折れたんだと思う、やっぱりおれは城内の。

樋口:なるほど。

深井:心が折れたのが一番の理由だと思います。

樋口:へえ。

深井:武田信玄も城の守りはハードウェアじゃなくてソフトウェアだと言ってる。そんな言い方してないけどね。

楊:ソフトウェア。

樋口:そんなこと言ってるんですね。

深井:城壁の強さよりも人間の方が大事。

楊:なるほど、心かな。

深井:心が折れたんだと思います、コンスタンティノープルの城兵たちが。

樋口:ソフトウェアがソフトになった。今のカットします。

深井:じゃあノーコメントで行きます。

樋口:はい。

深井:それでついに城壁を越えられてしまって、そのあとはすごかったんですよ。

樋口:はいはい。

深井:もうね、本当にこの城壁を越える第3回目の総攻撃で城壁を越えられるんですけど。3回目の総攻撃の前にメフメト2世が演説みたいなのをみんなの前でしていて。想像してみてくれ。この栄華を極めたコンスタンティノープルにどれだけの財宝が眠っているか。この財宝をめっちゃ略奪し放題、みたいな。だから頑張れみたいな話もしてるし、君たちの名前は歴史上に残るよ、この戦いは。実際残ってるし。僕たちに今語られてるからその通りですよね。この戦いを歴史に残るぞ、だからこの城はすごく陥とすの難しいけど不可能じゃないからみんなで次の総攻撃でかならず陥とすぞ、みたいなことを言ってるんです。で、本当に陥とすんですけど、そんなこと言われてるもんなんで、まあ、陥した後は本当にひどい状態になります。

樋口:ふうん。

深井:3日間、イスラム法では3日間兵士の略奪を許す必要があるんですよ。だから3日間ね略奪祭りみたいな。

楊:ボーナスです。ボーナスボーナス、会社でいったらボーナス。

深井:もうね、生きてる人間は全部捕獲して奴隷にされます。

樋口:うわ。

深井:当然男の人も女の人もみんな奴隷にされて。奴隷にされたらあんまりいいことはないですね。栄達する道もあると言いましたけど。

楊:売れますんでね。商品として。

樋口:うん。

深井:奴隷にされるし、教会のものとか、銀の食器とか全部略奪対象になって全て奪われる。墓まで掘り起こされたらしい。墓まで掘り起こされて略奪されたというふうに言われてますね。3日間の略奪の後メフメト2世が入城するんです。

楊:なんか有名な入城の絵が彫ってあって。白馬にのって入城していく相当有名な絵が残ってる。

深井:歴史的転換点ですからね、あそこが。イスラームのものになる。

楊:ローマ帝国から続いた血脈、歴史がここで一旦潰される。

深井:そうそう、長いもんね、千年。

楊:千年、そうかそうか。

樋口:なるほど。はっきりとその日というのがあるんですね。

深井:3日間は略奪を許した。でも4日目は許さないんですよね。4日目に関しては略奪したらまじで殺すぞと言ってて。実際にメフメト2世が入城したときにまだ略奪してる人がいたんだって。そいつを突き刺したらしい。剣で、ぐさっといって。

樋口:そこ厳格にやるんですね。

深井:超厳格に。もう略奪は絶対にしてはだめ。

楊:そこ遊牧民的な。

樋口:はあ。

楊:軍規に厳しい。

深井:日本の天皇とか絶対やらない。

樋口:ですね。

深井:将軍もやらないですね。そこらへんはすごいね、峻烈なところがありますけど。ハギア・ソフィア、アヤソフィアといわれますけど、今でもイスタンブールで有名な建物がありますが、あそこに入って祈って、これで本当にコンスタンティノープルは陥落。

樋口:はあはあはあ。

深井:陥落するんです。これはね、すごいことなんですよね。

樋口:すごかったですね。

深井:そう。キリスト教のものがイスラムのものになって。

楊:イスラーム世界においてイスラームがキリスト教に対して勝った、勝ったって言っていいのかな。一つポジションを確実に。

深井:ものすごく重要な拠点ですね。歴史のある象徴の一つを陥してしまった。

樋口:なるほど。メダルをとったみたいな。

深井:バチカン市国的なものが陥とされてるのとそんなにインパクトとしては変わらなかったんじゃないかな。

樋口:そういうレベル。

深井:すごく衝撃的だったと思います、ヨーロッパの人たち。

樋口:なるほど。

深井:はい。ということで、ついにね、陥としました。この陥としたあ後をどうしていったかというところまで話して今回のシリーズはメフメト2世までで一旦終わろうかなと思ってます。

樋口:なるほど。いやあすごかった。戦場がありありと目に見えるような。

楊:いろんな人が記録残してる。

深井:いろんな人が。ベネチア人とかけっこういっぱい行ってるから彼らが第三者目線で、参戦したりしてますけど、けっこういろんな人の目線でこの戦争描いてます。

樋口:なるほどね、ということで歴史的な瞬間を見ました、僕は。

深井:はい。

樋口:想像で。頭の中で見ました。ということでありがとうございました。

深井:ありがとうございます。

楊:ありがとうございます。

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