#126 長年のユーラシア大抗争!無敵のオスマン帝国VS無敵のモンゴル帝国

【今回の内容】

今回はオスマン帝国の興りとムハンマド以降のイスラームの状況、そしてキリスト教世界に衝撃を与えた事件「コンスタンティノープル陥落」まで語り合いました。

樋口:はい、ええ、前回まではオスマンの3代目ムラト1世までのお話をお聞きしたんですけども、今回はその続きということでお願いします。

深井:そうですね。

樋口:はい。

深井:ムラト1世の話、実はまだ終わってなくて。この人がいろんな国を整えていったって話をしましたよね。行政区の設置とかもしてて、県郡とか村とかの行政区設置して、要は官僚的にして今まで軍隊だけだったのを国家としてまとめるみたいなところをやっていったりだとか。あとはキリスト教圏の支配とかもやるようになったので、そこに名前をつけて州に分けたりとかね、ルメリ州とか、ローマって意味ですけど、ルメリ州って。そういう名前つけたりとかして統治を整えていくわけですよ。その中のひとつに制度がひとつあって、別に覚えなくていいんですけど、ティマール制ていうのがあってですね。

樋口:ティマール制、はい。

深井:このムラト1世のころに始まったっていわれてて、本によっていつ始まったか違ったりするんだけど。日本の幕藩体制とか中国の封建制とかにも近いんですけど。村とか町の徴税権を渡す代わりに軍を出す義務を課すっていう。

樋口:だれに渡すんですか。

深井:ムスリム戦士。

樋口:は、戦士。

楊:地元の強いやつ。

樋口:一応まとめてる人に渡す。

深井:そうですね。一応徴税権も渡すし彼らにその町の治安維持も任せるし、日本とかだともう少しティマール制よりももう少し権力もらってる状態だったりするんですよ。

樋口:日本の。

深井:徴税権以外ももってたりするんだよね。

楊:日本の鎌倉武士だよね。

樋口:ああ。

深井:鎌倉だけではなくて江戸時代。

樋口:江戸時代。はいはい。

深井:もう少しいろいろ権力もらったりしてるんだけど。この時のティマール制ていうのは、そのあれですね、徴税権のみを渡してもらってる。鎌倉武士がそうなのかな。ちょっと鎌倉武士についてそんな詳しくないですけど。

楊:これで、中抜きできるんだったっけ。

深井:中抜き。中抜きというか、普通にそのまま自分がもらえるよ。

楊:そうかそうか。

深井:ただね、世襲じゃないんだよね、これが。ティマール制も。そこも結構違うよね。

楊:工夫してるよね。腐敗するのを防いでるってことだよね。

深井:権力集中持たないようにしてるってことだと思います。これ余談だけど、けっこうそういうこのティマール制とか日本の幕藩体制であるとか、なんかね、中国の封建制とかって世界中に似たようなのがあって、全部ちょっとずつ違うんです。イギリスだとフューダリズムとか、ドイツだとレーエンとかいうんですけど。いろんな。あとビザンツ帝国だとプロノイアとかね。

樋口:ほおほおほお

深井:そういう制度がたくさんあって。この中世とかで使われてる制度ですね。これをオスマンも導入をして、本当に国家ぽくなってくる、3代目くらいから。あと中央政府の体制とかも整えてて。4人体制で運営することにしたんだよね。それまで基本的に宰相1人だったんだけど、大宰相という人と財務長官、大法官っていったら法律を管轄する人。あとこれ中国王朝にもいるんだけど国璽尚書(こくじしょうしょ)。

樋口:国璽尚書、はあ。

深井:国璽ていうのは国のハンコのこと。代表印と一緒です、日本の会社でいう。

樋口:はいはい。

深井:これを司るひと。行政処理をいろいろする人ですね。王様がずっとハンコ押すわけにはいかないじゃないですか。それだけで1日終わるんで。それを代わりにやってくれる人ってことですね。代わりにやるってことは結構自分でその人も判断するってことになるんで、かなり重要なポジションということになります。この4つの役割とかに分けたりして国家として形つくっていくと。

樋口:うん。だいぶシステムが出来てきた感じがします

深井:そう。もうひとつね、でっかい動きがあって。それがイェニチェリという軍団を創設します。

樋口:前回名前だけは、イェニチェリ。はいはい。

深井:これも一応ムラト1世の時とか、これもまた他の説もあるけど、そういう時に出来たと言われていて。こうやって国家を形作っていったときに、国家として必要となってきたのが、もっと忠誠心が高い軍隊が欲しいというニーズがあったんじゃないかといわれている。それまでのオスマンというのはオスマン侯国と呼ばれてる時代なんですけど。まだ帝国になる前ね。

樋口:そうなんですね。

深井:帝国まででかくなる前なんです、この時代ってのは。

樋口:はいはい。

深井:まだ、一地方政権に近いところの強力な一地方政権ね。これは前も言ったみたいな辺境戦士といわれるガーズィーとかキリスト教戦士であるアクリタイみたいな人たちで軍団を形成してるんだけれど、そんなに忠誠心高くないわけ。

樋口:もともと発祥がそういう感じだった。

深井:略奪したい人たちを集めてる

楊:寄り合い所帯、浪人集団みたい。

深井:そう、自分に対してのロイヤリティが高いわけじゃないんです。

樋口:なるほど。

深井:で、ただ、国が大きくなっていくと、ガーズィーとかアクリタイたち自体が脅威になりえますよね、自分に対しての。そうすると自分自身が強い軍隊持っておきたいというのもあるわけですよ。そういうのが創設できなかったらここまででかくなってないけど。だからイェニチェリ軍団が作れたってのはすごい大事なことだと思います。で、このイェニチェリを作るときにそもそもそんなに忠誠心が高い人たちをどうやって作るのかっていう話があるじゃないですか。そこでムラト1世が目をつけたのが戦争孤児なんですね。最初は。

樋口:へえ、戦争孤児

深井:そう。バルカン半島に攻めにいったでしょ、キリスト教徒の土地に。で、キリスト教徒の土地に攻めていったら、当然だけど戦争がおこったらたくさん孤児が発生するんです、お父さんお母さんが死んじゃったっていうかわいそうな子たちが発生します。で、この戦争孤児を引き取るんですよ。

樋口:おおおお。

深井:引き取って、帝国の未来を担うエリート戦士として育てる。これがイェニチェリ。

樋口:なるほど。

深井:はい。

樋口:なるほどなるほど。家族とするんですね。

深井:これが何がいいかっていうと、戦争孤児だから親戚がいないわけ。親戚がいない人がどんだけ出世しても、親戚がね、中国王朝とかだと外戚ていうんだけど、外戚とかが跋扈してくるわけ、変なことしてくるわけ。

楊:権力闘争のリスクをすごい下げる。

樋口:はあ。

深井:すごく低い。すごくなんていうか優秀なシステムだと思います。

樋口:はあ。

深井:専制君主国としてはね。

楊:だから奴隷なんでスルタン、君主の個人の所有物なんですよ。所有物なんでスルタン、イェニチェリの一本線で結んでるんです。で、イェニチェリたちが力をもっていて、立場が上になると自然とそれに比例してスルタンのなんだろう、集団というか国の中で及ぼせる力もだんだんと地盤が固まってくるわけじゃないですか。

樋口:そうかそうか。

楊:もしそれが国の所属する普通の軍隊だったら完全にスルタンがコントロールできるわけじゃないですよね、その強みもあります。

深井:これ、常設軍だから、常に兵士として存在するし。常設軍てのは実はこの時期のヨーロッパにはほぼ存在しないんです。

楊:ヨーロはまだ傭兵ですよね。

樋口:へえ。

深井:その時に戦争があった時に雇って連れてくるみたいな。だから時間かかるんですよ、招集するまでに。

樋口:そうですね。

深井:常設軍があるってことは例えばですけど反乱が起こったら速攻で攻撃できるんです。その反乱とかに対して。だからすごくね、強い。そのかわり維持コストが超高い。

楊:生産活動しないからね。

樋口:ああ。

深井:その、戦争がない時もいるってことになるんで。すごく維持コストは高いんだけれども、そういうメリットがある強い常設軍を作ることに戦争孤児を利用することによって成功する。

樋口:なるほど

深井:当然キリスト教の土地の子たちを集めてるんで、キリスト教なんです、この子たちは、もともとはね。だけどこのキリスト教たちの子たちをムスリムに改宗する、イスラームに改宗させてクルアーンのコーランの講義を叩き込む。叩き込んで、あとトルコ語とかトルコの慣習とかも叩き込む。当然だけど皇帝に対する忠誠心てのもここで叩き込む。

樋口:上書き保存してる。

深井:そうです。戦争で親を失ってすごい傷ついてる状態で、これから生きていけるかどうかわかんないって状態の子供にご飯も与えて、住む場所も与えて、こういう新しい情報をばばばばばって与えていくわけなんで。ある意味マインドコントロール的な意味もある。

楊:純粋培養ですね。

深井:純粋培養ですよね。

樋口:なるほど。

深井:はい。

樋口:まあでも、まあまあ孤児なんで、逆に助ける人がいなかったら路頭に迷うかもしれないから。子供達も助かるってこと、なるほど。

深井:これが歩兵になるとイェニチェリ、騎兵になったらスィパーフっていうんです。

樋口:スィパーフ。

深井:まあ覚えなくてもいいです。スィパーフの方は。

樋口:はいはい。

深井:オスマン帝国っていうのは、身分とか人種にかかわらず出世できるんで、戦争孤児から大宰相とかになろうと思ったらなれる。

樋口:へえ

深井:実際途中からも基本的に奴隷身分からさっきも言ったけど大宰相になっていく人ばっかりになる。

楊:しかも、その時点でも奴隷の身分から解放されないのでスルタンの所有物なんですよ。だから首相を思い通りにスルタンが動かせるっていう、かなりの合理的な中央集権体制だね。

深井:思い通りに動かせるのもそうだし、反乱とかしたらもう全部取り上げる権利をスルタンが持ってる、王様が。私有財産とか持っちゃだめだから、奴隷だから。だけど地位は高い。それはまた後でイスラーム世界の奴隷についてまた喋ります。

樋口:奴隷の感覚が全く違うってこと。

深井:全く違うってことですね。

樋口:はいはいはい。

深井:で、話戻しますけど、このすごく国家を整えてくれたムラト1世が暗殺されます、コソボで。暗殺されて急遽バヤズィト1世が王様になることになります。やっぱり優秀な王が死んだ時って国家がやばい時なんですよ。いきなり死んじゃったんで、後継も任命してないっちゃないし。他の国もムラト1世に抑えこまれてたんだけれども、反乱してやろうみたいなね、そのチャンスじゃないですか。チンギスも金を倒した時って王様が交代した時だったでしょ。

樋口:はいはい。

深井:そんな感じで王様交代する時ってのはチャンスだから、このバヤズィト1世になった時にけっこう周りの国が反乱みたいな感じで起こすんですけど、それを全部抑え込んで、なんならさらに前に進めたのがこのバヤズィト1世。

樋口:かっけー!

深井:ちなみにバヤズィト1世のお母さんも奴隷です。ギリシャ系のキリスト教徒なんじゃないかといわれてます。ギュルチチェキ。

樋口:ギュルチチェキ。

深井:さん。

楊:全然お母さんが奴隷でもあんまり関係なかった。お袋の血筋によって差別されることもない。

深井:ここらへんは中国王朝とかとは全然違いますね。

楊:違いますね。

樋口:夢があるな。

深井:うんうんうん。で、このバヤズィトってのは稲妻王と呼ばれてる。

樋口:かっこいい!異名かっこいい。

楊:中二病感があるけど。

深井:雷帝とか呼ばれたりするんだけど、この稲妻王はすごくその名前の通り電光石火の行動力を評価されててこういう名前ついてるんだけど。即決断し即行動するみたいなタイプの人で、アナトリア、小アジアですよね、それまでけっこう強くて後回しにして先にバルカン半島に行ってましたみたいな話してましたけど。このアナトリアをほぼ統一するんですよ、このバヤズィトの時。

樋口:ふうん。

深井:バヤズィトがこのアナトリアをほぼ統一した時に、一応そのずっと今までの名前だしてなかったけど、オスマンのライバルみたいなトルコ系の国がもう一つあって、これをカラマン侯国っていうんだけど。

樋口:カラマン。

深井:うん、このカラマン侯国も征服するのがこのバヤズィトの時。それまでずっとライバルでカラマンが強いから、カラマンと同盟を組んでカラマンと敵対しないようにしてバルカン半島攻めたりとかしてたんだけど。いよいよ力をつけてきたんで、バヤズィトがすごい人だったんでカラマン侯国とも戦って勝てるみたいな状況になっていったってことですね。

樋口:じゃあ4代目も優秀だったってことですね。

深井:そうなりますね。

樋口:すごいな。優秀な人が続きますね。

深井:はい。このライバルであるカラマンを倒してですね、次にバヤズィトが目を向けたのがビザンツ帝国なんです。

樋口:きた。ずうっと削り続けてきた。

深井:はい。このビザンツ帝国どんどんどんどん削ってたんだけど、その本拠地であるコンスタンティノープルって町があって、この町防御力半端ない、世界史上最高レベルのディフェンス国家なんです。この国を正面突破したことがある国がなくて。鉄壁の守りといわれてる。

楊:1000年以上かな、1000年以上経ってるのかな。

深井:経ってる。その防壁が出来てから1000年は経ってないけど。国が出来てから1000年くらい経ってて。何回、30回くらい攻められてるけど基本的には負けたことがない。だからいろんな負け方はしたことはある、変な負け方を。今は省きますけど、とにかく城壁が三重の城壁があって半端ない防御力なんでみんな攻めあぐねてたんですね。

楊:設備が強すぎる。

深井:で、バヤズィトは野心もあったんで、このコンスタンティノープルをなんとかしてやろうと思うわけですよ。結論からいうと7年間くらい攻めるんだよね。

樋口:根性だ、根性。

楊:長期戦を最初から戦略として選択してしまった。

深井:やっぱり正攻法で攻めても攻め落とせない。防御力がマックスすぎて。なので、これよくやるやつなんですけど、補給線を全部断って餓死させるというか、補給線、向こうの降伏をを狙ったんです、補給を断つことによってね。で、1万人以上の兵を展開させて周りを囲むんだけど、オスマンて遊牧民、もともと。チンギスたちもそうだったんだけど海軍が弱いんだよね。だから日本はクビライ・カーンを追い返せたのはあの人たち海を挟んでるからだと思うんですけど。

楊:元寇ですね。

深井:元寇の時のね。オスマンも例にもれず海軍は弱くてですね、補給船がくるのを阻止できなかったんです。だから究極餓死するレベルまでにはいかなかったんだけど、食料価格が当然だけど高騰するんです。

樋口:入って来づらいですからね。

深井:だから貧民の人たちは飢え死にしそうになりますし。栄養状態が悪くなっていくんで伝染病が流行ってあちこちに死体が積まれるみたいな、めちゃくちゃ悲惨な状態にコンスタンティノープルがなっていく。この包囲が何年も続くみたいな絶望的な状況になっていく。ビザンツ帝国の側から考えると、それまでずっとこうやって領地を削られ続けていって、いよいよ首都であるコンスタンティノープルまで包囲されて、食料がなくなっていって、補給路が断たれて食料品が高騰していって、で、疫病が流行ってみたいなかなりやばい状態。

樋口:やばいですね、瀕死。

深井:そう。この時ね、けっこうビザンツ帝国の人たちもさすがに自分たちこれで死ぬんじゃないかなって思ってる。彼らが考えたのは同じキリスト教国の人に助けを求めようと。今イスラームに包囲されてるから。

楊:ヨーロッパにね。

深井:ヨーロッパの入り口なんだよね、ビザンツ帝国は地理的に。

樋口:はいはい。

深井:ここが突破されるとそっから本当にヨーロッパまで一直線でいける。イスラーム諸国が、オスマンが。なんで、それもヨーロッパの人たちにとっても良くないことでしょってことで救援を求めて。実際それに対して十字軍が結成されてくるんですよ。この十字軍がきてやっと自分たちはコンスタンチノープルの人たちからすると十字軍によって救われるんじゃないかという希望が見出せる。

樋口:めっちゃうれしい、おれだったら。

深井:でもこの十字軍が速攻で負けるんだよね。

樋口:ええ!

深井:バヤズィト1世に。

樋口:そんな強いんですか。

深井:軍才もあるんです。遊牧民出身なんで強いってのもありますけど。そこの軍事的指揮に関してもかなり才能があったといわれてて。

楊:騎兵、十字軍とかも傭兵だったんじゃないかな。違うんかな。常備軍じゃないんでしょ。

深井:常備軍ではない。常備軍もってないから。けど、いろんな国の人たちが集まってて。ハンガリー王、ジギスムント、のちの神聖ローマ皇帝ですけど。この人がけっこうリーダー的な感じでポーランドとか神聖ローマ帝国とかワラキアとかベネチアとか。あとイギリス、フランス、ハンガリーとか。そこらへんのいろんなキリスト教国が混じって攻めてくるんだけど。やっぱりね、けっこうオスマンのこと舐めてたらしい。

樋口:へえ、なるほど。

深井:なんで舐めてるのかよくわかんないですけど。情報も入ってなかったみたい、ヨーロッパには。

楊:まあそうだね。

深井:オスマンがどんくらい強いかとかもよくわかってなくて、すごく舐めてたらしい。舐めてたことによって速攻で負けてしまうんです。

樋口:また舐めプが。

楊:ファクト認識の限界かもしれないですね。ファクト認識ができなかったんでしょう

深井:もだし、正直その時のヨーロッパって、ヨーロッパの中がいろいろぐっちゃぐちゃだったんで。あんまり外に意識を向ける余裕がそんなになかったのかなというのもあります。なのに一応十字軍結成して倒しにいこうみたいになったんで。行ってはみたけど舐めてたらめちゃくちゃ強かったわけです。1回負けたんで、そのあと救援をさらに求めてみるんだけど、全然その救援がくるわけではなく。これで、ちなみにこの時の十字軍を破ったことによってスルタンていう称号をカリフから、本来カリフからもらうものなんだけど、自称してたスルタンの称号が実際に正式にもらったりして。だからバヤズィトてそういう意味でもすごく評価されてる王様ですね。

樋口:功績がすごいですね。

深井:もう絶体絶命なわけ。ビザンツ帝国絶体絶命の危機みたいな。救援部隊も全員殺されてしまったみたいな。新しく救援も来そうにない。さあ、どうするってなるんですよ。

樋口:どうする。

深井:はい。さあどうするってなった時にきたのがモンゴル。

樋口:え、そっち?おれが知ってるあの?

深井:あれのだいぶ次の次くらい。

楊:子孫だよね。子孫が超強いサイヤ人軍団をつれて。

深井:モンゴルが強いんだよ。

樋口:はあ。

深井:オスマン強いよ、オスマン強い、モンゴルもっと強い。

樋口:モンゴルすごいな。

楊:オスマンはなんだろうね、クリリンくらいかな。

深井:オスマンも相当強いから。実は僕ドラゴンボールそんなに詳しくないすけど。

楊:ナメック星人くらいじゃない、オスマン。

深井:フリーザくらいだと思います。モンゴルがセルとか。

樋口:なるほどな。

深井:強いですよ。このティムール朝という、ティムールていう将軍というか君主がいて、この人が攻めてくるんですよ

楊:この人もともとモンゴル系の帝国の将軍かなんか

深井:チャガタイ・ハンかなんかの将軍。チャガタイ・ハン国といってね。モンゴル帝国って途中で分裂するって言ったじゃん。クビライ・カンの時とかに。あの分裂したうちの一つがチャガタイ・ハンて国なんだけど。その国の将軍。これね、キングダム読んでる人のイメージでいうと桓騎将軍みたいな人。

樋口:ふうん。

深井:もと山賊。で、ばりくそ強い。

樋口:ばりくそ強い。

楊:軍事の天才だったんです。

深井:無敵。軍人の天才と呼ばれてる。強い将軍を世界史トップ10とかに作ったらトップテンにはいるくらい強い。

樋口:本当に強いんだ。

深井:スーパー強い人が、本当面白いんですけど。ビザンツ帝国からしたら棚ぼたですよ。すげえ強いやつに攻められてる、自分が。

樋口:はい。

深井:そしたら後ろからもっと強いやつがその強いやつを倒す。

樋口:それ、なんで倒しにくるんですか、モンゴルは。

深井:モンゴルは。

楊:とりあえず西に攻めてきたんですよ。

深井:でも本当そんな感じです。

楊:リアルにいうと彼らはちゃんと遊牧民なんで遊牧地を求めてたのもありますよね。アナトリア半島遊牧地としてすごい優れた気候だったんで、それももしかしたらあったのかもしれない。

樋口:へえ

深井:なんていうんですかね。

樋口:そのタイミングでくるかねってタイミングですよね。

深井:本当に劇的なタイミングで。もっと早く来いやってたぶん思ったと思うけど、ビザンツも。すごい劇的なタイミングでティムール朝ていうティムールがきて、この人が無敗なんだよね、この時点で、まずティムール軍事的天才。バヤズィトも無敗、超強いから。

樋口:おお。

深井:無敵対無敵の戦いみたいなのが起こる、ここで。

樋口:おお、どうなる。

深井:で、無敵対無敵の戦いで、アンカラの戦いってこれ教科書に載ってるんだけど、すごく有名な戦いです。オスマン軍が12万、ティムール軍が20万。アナトリアの中央にあるアンカラというところの近くで衝突します。勝ったのはティムールなんですけど。

樋口:はあ。

深井:ここでティムール負けてたらコンスタンティノープル堕ちてたかもしれない。

樋口:てことでしょうね。

楊:しかもバヤズィトだって捕虜になるでしょ。

深井:捕虜になるし、捕虜のまま死ぬ。

楊:そうそうそう、まじ悲惨。

深井:バヤズィトも強いんだよ。だけどティムールまじでやばくて。情報収集徹底的にやってる。あとこの人戦闘指揮もすごく強いんだけど、下準備も全部すごくて。これチンギス・カンのとき言いましたよね。下準備もすべてすごくて、バヤズィトのオスマンてつい最近勢力を拡大したから、自分の配下にいるカラマン侯国とかもつい最近倒した。だからちょっと悔しいわけ、下にいる人たちは。滅ぼされたばっかりで臣下になったばっかりだから。滅ぼされてはいないけど臣下になったばっかりだから。

楊:忠誠心的にやばい。

深井:忠誠心的にそんなにない状態なんですよ。この人たちに対して離間工作してるんですよ、ティムールが。

樋口:へえ。

楊:孫子の兵法読んでるんじゃないか。

深井:読んでるんじゃない?しかも、水の補給路とかを工事して絶ってたらしくて。あらゆる面で追い込んでるんですよ。全部できること全部やったうえで戦闘指揮がうまいんで。ちょっとティムールに勝つのたぶん無理なんだと思います。

楊:モンゴルの回を思い出していただければわかると思いますけど。鉄壁の統率をとれてるんですよ。

樋口:そうですよね。

深井:だからね。バヤズィト強かったんだけど、ティムールの前では赤子同然みたいな負け方するんですよ。

樋口:なんか、時代の揺らぎっすね。

楊:もう、運悪すぎ。

樋口:そうですよね。たまたま同世代にそういうやついたんでしょ。

深井:たまたま同世代に。で、

樋口:なるほど。

深井:その、ね。最近仲間になった人たちの離間工作で裏切りをさせて、だから関ヶ原の小早川さんみたいな感じ。秀秋、小早川秀秋裏切って、西軍が総崩れするんだけど。そういうことをするんですよ。

樋口:へえ。

深井:モンゴルなんで、すごい殺戮と破壊を繰り返します。その後。

楊:さっき話にでたブルサとかね、

深井:そう、首都ブルサは占領、略奪され、お妃たちはティムールのお酒を注ぐ役をさせられて、そのまま拐われて連れて行かれるし。

楊:そうそうそう。

深井:なんならね。バヤズィトは捕虜になって牢屋の中に入れられて。

楊:そう、鉄檻の中に入れられるっていう。

深井:牢屋の中で死にます。

樋口:うわあ。

深井:どうやら自殺だった説もあります。

楊:あったね。

深井:キレすぎて。もう辛すぎて自殺したみたいな。頭を打ち付けて死んだんじゃなかという説もあります。一旦ここでオスマン侯国ってのは滅亡します。

樋口:え。

深井:一旦滅亡して……一旦無くなります。

樋口:え、そうなんですか。

深井:国家の体を取れなくなった。

楊:実質的にね。

樋口:そうすか。

深井:はい。

樋口:え。

深井:しかもティムールがオスマンの領土の街を次々と破壊して回ってるんで。

樋口:めちゃくちゃする、まじで。むちゃくちゃする。

楊:せっかくインフラで整えた街を。

樋口:めちゃくちゃするやん。

深井:記述として残ってるのが「ティムールが去った後の街は犬の鳴き声も、めんどりが卵を産む鳴き声も、子供の鳴き声も、もはや聞こえなかった」って書いてある。

樋口:うわあ。

深井:おぞましいよね。

樋口:おぞましい。

深井:ティムールまじおもろいけんね。

樋口:いやいや、おもろくない。

深井:ティムールね、戦う前にバヤズィトに送った文書がすごく面白くて。なんだったかな、「従わないと呪い殺す」みたいなこと書いてある。

樋口:呪いまで使ってくるんだ。

深井:そう。

樋口:ほお。

深井:ある意味呪い殺されてたレベルのことになったなと思いますけど。このあとね、オスマンが一気に力を当然ですけど失いまして。30年間空白の時代が。

樋口:30年結構長いですね。

深井:長い。30年間空白の時代が続きます。この間、一応王子たちが生き残ってて、戦場から逃げた王子とかがいて。この人たちが復興するための権力闘争しかもするんですよ。

樋口:そんなことしよお場合じゃない。

深井:しよお場合じゃないんだけど。

楊:あるあるだけどね。

深井:そうそうそう。

楊:本当に。

深井:そう。で、一応ここでメフメト1世という人が勝利をして。この人が旧領回復に務めるんです。この人はね、アンカラの戦いで父親を見捨てて、父親がバヤズィトね。を見捨てて逃げた人なんですけどね。

楊:ある意味正しい。

深井:正しい。これで逃げてなかったら多分本当に滅亡してる。

楊:オスマンできてなかったでしょうね。

深井:そうそうそう。

樋口:血を途絶えさせなかった。

深井:この後2代にわたってバヤズィトまでせっかく作りあげた国がぶっ壊れたんで。そのぶっ壊れたやつを回復させる期間が2代分続く。でもね、この2代の人たちはすごく優秀だったと思う。

樋口:へえ

深井:復興できんて、普通。

樋口:どの程度復興したか。

深井:だから、ほぼ元にもどります。

樋口:そのレベルで。

楊:創業から再創業したって感じだね。1回会社潰れて、もう1回創業した

深井:まじで潰れて、本当にぎりぎりです。

樋口:はあ、うちの会社みたい。

深井:だから、優秀ですよ。

楊:だから樋口さんがムラト2世とかだよね。

深井:樋口さんがそうだね、メフメト2世かも。

楊:メフメト2世か。

深井:この後出てくる。今のはメフメト1世ね。いま僕が喋った復興に勤めたのが。同じ名前の人いっぱいでてくるから混乱すると思うんだけど。メフメト1世とムラト2世ていう人がこのあと2代続いてるんですけど。この人たちが復興させた人たち。

樋口:へえ。

深井:あんまりフィーチャーされないけど、すごく大変だったと思う。

樋口:地味だけど。

深井:一度失った領地をもう一度広げて、回復させていって。いわゆる地に落ちた権威みたいなのものをもう1回回復させないといけないし。

楊:システムを作って、インフラ作ってとかね。

深井:1回負けるって大きいことなんですよ。

樋口:だと思うですね

深井:負けたことがない人と、1回コテンパンにされてしまって。そのあとなんていって説明してもう1回集めるかって難しいじゃないですか、そこをちゃんとできた人たちがいて。この人たちがいたから、このあとついに7代目にメフメト2世という人が出てきて。この人がコンスタンティノープルを陥落させるんですけど。

樋口:叶うんですね、夢が。

深井:叶います。

樋口:すげえ。

楊:ゴールを入れた人だね。

深井:このメフメト2世まで続いたというか、そこにバトンを渡していく役目をメフメト1世とムラト2世がやってる感じ。

樋口:なんかロマンですね。

深井:みんな優秀なんだよ、だから。

樋口:ロマン。

楊:ねばり強さがある。

深井:そうだね。バヤズィトもティムールじゃなかったら勝てたと思う。ティムールが反則級の強さ。

樋口:はあ、もう隕石落ちたのと同じですね。

楊:それいい例えかもしれない。

深井:モンゴルに過去勝てた国って2つしかないんです。最盛期のモンゴルに。日本とマムルークってところ、マムルーク朝。

楊:日本も全戦力を相手にしたわけじゃないしね

深井:そうそう。日本に来た軍隊って、言い方あれだけど二軍、三軍なんです、モンゴル軍の。ほんとう息抜きみたいな感じで送ってる、軍隊。しかもモンゴル軍て騎兵が強いのに、船だと馬が運べるのに限界がある。あれ、本物の騎兵来てたら多分一瞬殺だったと思う。

樋口:海が守ってくれたんですね。

深井:そうです。日本も天然の要害なんです。あそこ防御力が超強い国なんで、日本も。

楊:そうそう。コンスタンティノープルみたい。

深井:近代兵器には無力だと思いますけど、途中まですごく強かった。

樋口:なるほど。

深井:で、コンスタンティノープルも防御力でいったら史上最高なんじゃないかな、この時代において。この地上最高の防御力を誇った国の補給路を断とうとしたバヤズィト1世はまさかのティムールの出現によって吹っ飛んでいく。で、まさかのその事態によってコンスタンティノープル存続し、めちゃくちゃオワコンだったビザンツ王国が終わらないみたいなことになるわけです。この後2代続いてやるんだけど。メフメト1世は本当にとりあえず生き残りましょうみたいな。ムラト2世が色々頑張るんですけど。ムラト2世はね、あんまり好戦的ではなかった説があります。この人はけっこう学者系だったらしい。

楊:らしいね。

深井:すごく勉強が好きらしくて、科学とか文学についての問題を討論する集まりを毎週開いたりだとか。それで成績いい人に褒美あげたりだとかね。ペルシャ文学作品をトルコ語に直したりだとか。訳していったりだとか。芸術作品についても嗜好性が高かったりとか。あんまり今までの王様とタイプが違っていて。芸術的なところに対して目が向いたり、文学に目が向いたりしてるわけですよ。

樋口:へえ。

深井:ムラト2世がそんな感じで立て直して、その次に出てくるのがメフメト2世。このムラト2世の息子ですけど、このメフメト2世がオスマン帝国の中でトップワンツーくらいで有名な王様なんで。この人が皇帝なんで、この人を次フィーチャーして。これけっこう詳しく喋りたいなと思ってます、メフメト2世に関しては。

樋口:いやあ、すごいダイナミックですね。めっちゃ強くなってすげえ攻めるけどまた攻められて落ちまくるけどまた上がってって。すげえ、これすごいすね。上下のあれが。

楊:ユーラシアのダイナミックな感じですもんね、アジアの歴史。

深井:なんか、リスク侵すよね、みんな。

樋口:確かに。

深井:守ってる人がほぼいないです。

樋口:あと、嬉しかったのが僕が知ってるモンゴルがここで出てくる。

深井:で、やっぱり強い。

樋口:いやあ、今回もすごかったです。

深井:はい。

樋口:こんな感じですかね。

深井:はい。

樋口:ありがとうございました。

深井:はい。

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