#125 国作りのテンプレを制す!オスマン帝国が急成長した秘訣

【今回の内容】
お前何系?トルコ系?
遊牧やーめた!
食い詰めた浪人たち
キリストもイスラムもごちゃまぜだぜ
宗教そんなにこだわらないぜ
ドラえもんとオスマンの意味のない関係
ビザンツ帝国、風前の灯
イスラム法はマジ使える国造りのテンプレ
多国籍政府&即戦力採用
舐めプで変わる歴史

樋口:はい、ええ、前回まではイスラームの興りからオスマンまでの流れを聞きましたけども、いよいよここからオスマン帝国のルーツについて迫っていきたいと思います。

深井:そうですね。やっとオスマン帝国が出てくるところですね。まず、オスマン帝国を作ったのは確実にトルコ系の人たちです。この人たちは元々前も言ったけど、なんとモンゴル高原がルーツ。

樋口:これが面白いな。

深井:遊牧民だしね。紀元前3世紀ころに初めて歴史上で姿を出した、すごい昔からいますよね。9世紀ころには軍事力としてイスラム世界に流入してる。奴隷軍人だったんじゃないかって説があります。あとで違う回で説明しますけど、ここでいう奴隷っていうのは、僕たちが想像する奴隷と全く違います。なんで、あとでイスラーム世界における奴隷は何なのかって話はしますね。で、10世紀くらいになってやっとトルコ人を王様とするようなムスリム王朝というのが出てくる。群雄割拠してるとか、いろんな国が政権が出て来たって言ってたじゃないですか。あそこらへんの中にトルコ人の国があったよってことになりますね。

樋口:はい。

深井:で、モンゴルが強いんで、それを避けてどんどんどんどん西の方にね、トルコの人たちも来てですね、それでこのアナトリアと呼ばれるような地方にもね、小アジアっていう今のトルコがあるような地方にも今のトルコの人たちが、もともとだからあそこにいたわけじゃなかったわけですけど、そこに来たわけです。そんな中で前も言ったみたいに、戦国時代みたいな状態に突入してる中のひとつとしてオスマン一家。この人たちが、

楊:ファミリーが、

深井:いるわけです。

楊:ま、部族だよな。

深井:うん。でね、オスマン集団の起源ていうのは正直伝説に包まれてます。これはチンギス・カンたちと一緒ですよね。チンギス・カンよりシリーズでいろいろ残ってるんだけど、やっぱりオスマン朝が出来てから1世紀くらいあとに作られた書物からしかデータがないんで、結構だいぶ脚色されてるよねっていう風に言われています。ただ13世紀の末くらい、1200年代てことね、には、北西アナトリアっていう小アジア。みんなちょっと1回聞きながら地図見て欲しいんだけど。今のトルコがあるところの北西の方の、ま、ソユトっていう町ですね、小さい。村ですかね。ここを根拠地として活動を始めたっていうことだけはわかっている。めちゃくちゃ辺境の土地なんです。

樋口:田舎なんですね、当時は。

楊:帝国って大抵辺境から出てくること多いよね。

深井:そうだね。ほとんど辺境です。中心にいる人が帝国を作ることってのは、あるっちゃあるけどあんまりない。

楊:動機がそもそも低いもんね。

樋口:なるほど。

深井:最初はトルコ系の人たちなわけ、最初期はね。で、けっこう最初の段階でトルコ系じゃない人たちがどんどん入ってくることになるんですけど。

楊:混血進んだりとかですね。

深井:遊牧民なんだけど、遊牧民的生活をしてるのも本当最初だけ。もう、途中から遊牧民的な生活はやめてしまいます。ここがチンギス・カンたちとの違いですよね。だからチンギス・カン的な、ああいう遊牧民的な部族的な紐帯(ちゅうたい)、紐帯ってのは連携とかつながりのことですね。ていうことも一番最初以外はもうなくなってるみたいですね。

樋口:なるほど。

深井:そういう部族意識ではなくてそれのかわりにガーズィーっていうさっき言った武士にあたるような人たち。日本の武士も武士としての連帯感て持ってるわけじゃん。あんな感じでガーズィー同士で連帯感てのがあったみたいなんですけど。

樋口:ふうん、おれら同じ感覚だぜ。

深井:ガーズィーだぜみたいな。で、この人たちはね、辺境戦士と呼ばれたり信仰戦士と呼ばれたりするんだけど。いろんな出自を持ってる戦士たちが集まっていて。

楊:寄り合い所帯みたいな感じだよね。

深井:もう食いもんがなくなってる……、なんていうか混乱状態、統一王朝がないので平和ではないので、その略奪ていうのを繰り返しながら勢力を伸ばしていったりとか。生きていくために略奪をしてる状態。

楊:必要だよね。

深井:実はね、この時点ですでにね、オスマンにはアクリタイと呼ばれるキリスト教戦士もいるわけ。

樋口:キリスト教、へええ。

深井:この時点でちなみに僕たちが教科書で習ってるイスラームの理解から外れます。

樋口:ですね。

深井:僕たちは十字軍とイスラームが戦って、あの人、キリスト教とイスラームがずっと反目しあいながら世界を作ってきたみたいな習い方を結構してるんですけど。実はね、そうじゃないんだよね。

樋口:へえ。

深井:キリスト教とイスラームて意外とめちゃくちゃ交流してるし仲もいいし、こうやって最初ね、キリスト教かどうかも気にしてないんだよ。

楊:一緒に戦ってる。

深井:ガーズィーだよねおれら、みたいな。

樋口:なるほど。

楊:ヨーロッパの方からキリスト教の人もアナトリア半島とかに入って来て、いろいろ戦ったりとか。もちろん戦うこともあれば組むこともあれば、そういうごちゃごちゃの感じ。

深井:聖戦の名の下にムスリムもいるしキリスト教徒もいるっていう集団で実は略奪をしてる。

樋口:へえ。

深井:これはだから今の理解からは非常に遠いところにある。

樋口:そうですね。僕はもっと宗教ごとにフォルダーでまとまってるみたいに。

楊:まだまだ、まだそこまでフォルダーの境界線がですね、今ほどはっきりとしてなかったんじゃないかと言われてます。

樋口:なるほど。

深井:僕も、意味わかんないですよ、これ。

楊:あれじゃない、ドラえもんでいうと大山のぶ代なのか、水田わさびなのかくらいの違いじゃない。

樋口:ちょっと待って!

深井:ちょっと待ってちょっと待って、どういうこと、どういうこと。

樋口:バグってきた。

深井:同じドラえもんだけど、

楊:声優が違うみたいな。

深井:まあまあまあそうかもしれない。その例えに意味があるかどうかわかんないけど。

楊:いや、意味はない。意味はないよ。

樋口:あれは代替わりですか。

楊:いいですね。

深井:ま、そんな感じでですね、実はちょっとイメージと違うような状態で、キリスト教徒とかもいる集団の中で大きくなっていきます。だから最初から実はこの時点であれですよね、もういろんな人と一緒にいる状態です。

樋口:すでに多様性が。

楊:多様性からスタート。

深井:多様性スタートです。一番最初の時点で多様性スタートで。このオスマンていう人がいるんですよね、このオスマンさんが小規模なアナトリアにある小規模な町をどんどんどんどん征服して、徐々に勢力を広げてただの集団だったところから、一応国としてまとまるところまで作ります。これオスマン候国。候国の候はですね。

楊:諸侯の侯だね、違うかな。

樋口:そうろうみたいな。

深井:早漏?

樋口:なんたらで候。

楊:ああ、そうそう。

深井:あ、候ですね。

樋口:いや、何をイメージしてたんですか?

深井:いや、あれ。諸侯の候ですね。候のそうろうです。ていうのがあって。初めてね都市ブルサって町を攻略をするんですけど、逆に初めての都市ブルサを攻略するまでは都市を持ってなかったんです。

樋口:都市を持ってない。

深井:国だけど都市を持ってなかった。

樋口:寄り合いみたいな感じ。

楊:いろいろ遊牧、遊牧じゃないけどまあ。

深井:集落は持ってたと思うけど、そこをいろいろ略奪しながらたぶん進んでて。根拠地となる都市を持ってなかったんだけど。初めてブルサって町を攻略した時からオスマン侯国がそのブルサを首都としてやっと国っぽくなっていくみたいな状態ですね。このブルサの攻略中に初代オスマンていうのは亡くなってしまいます。

樋口:なるほど。

深井:ちなみにこのブルサって町なんですけど、これはビザンツ帝国領だったんですよ。

樋口:ほうほうほう。

深井:だから初代のオスマンの時点でビザンツ帝国をどんどん侵食するっていうのが始まってる。

樋口:削りにかかってる。

深井:削りにかかってる。このビザンツ帝国っていうのはさっきも言いましたけど、今回のシリーズの最後の、最後というかハイライト、クライマックスでメフメト2世ていうオスマン帝国の君主とガチンコで戦って負けちゃうんですよ、で、ビザンツ滅びるんですけど。そういうすごく有名な戦いなんです、それは。その戦いの国になるところですね。そこがこの時代からごりごり削られてることをみなさんに覚えといて欲しい。

樋口:もう因縁があるんやな。

深井:因縁がある。そうですね。東ローマ帝国ってさ、だから、ビザンツ帝国って東ローマ帝国って。だからローマ帝国ってすごいんだよ。ものすごい権威なんですよ。もう、新出のオスマンとかと比べても圧倒的なる伝統と圧倒的なる権威を持ってるわけです

楊:そうですね。

深井:で、キリスト教のなんていうか宗主国的な位置でもあるんです。本当はローマ教会と分裂しちゃってるんだけど、今はね、ローマ教会がそんな感じ、カトリックの総本山みたいな感じですけど、キリスト教も司ってるし、連綿と続く圧倒的な歴史も持ってるし、ヨーロッパの起源みたいな感じだし。ものすごい権威をもったこのビザンツ帝国がすでにこの初代オスマンに削り取られている悲哀、これを伝えたい。

樋口:なるほどなるほど。

楊:栄えた大きな帝国でしかも後世に2000年以上も続くヨーロッパの人たちからものすごくリスペクト与えられてる歴史ではあるんだけど、歴史を引き継ぐ国がビザンツ帝国なんだけど、それをメフメト2世によって息の根を止められたっていうね。

深井:そう。で、オスマン亡くなって、ブルサの攻略中にね。オルハンていうのが2代目ね。このオルハンはね、領土一気に広げるんですよ。このブルサってのも首都として、アナトリア一帯っていうのを勢力下に置くべくめちゃくちゃいろんなところに攻めて行って、ニケーアっていうところ、イズニックって呼ばれるんですけど。あとはコンスタンティノープルに近い……コンスタンティノープルはビザンツ帝国の首都ね、今のイスタンブールね。

樋口:はいはいはい。

深井:ここに近いニコメディアって町があるんですけ、今トルコだとイズミットっていうのかな。ここをね、手中に収めるみたいなことをしていて。当時戦国時代って言ったじゃん。その戦国時代の勢力の中のナンバー2くらいまで上がるんです。このオルハンの時代に。だから、上杉謙信みたいな感じだよね。

樋口:なるほど。ぶわーと駆け上がる。

深井:武田信玄とか。

楊:戦国史中の中の強国みたいな感じだね。

深井:そうそうそうそうそう。うん。だけどね、この時ビザンツ帝国と同盟結んでる。意味わかります?

樋口:ちょっと待てよ。敵国というか削ってる国。

深井:でもさ、戦国時代ってよくあるでしょ、そういうの。

樋口:そうかそうか。

深井:戦ったり同盟結んだりとかいろいろあるんだけど。同盟結んだ方がいいっていうタイミングもあって同盟結んだりとか。あとビザンツ帝国ってずうっと継承問題でいざこざ起こしてるんですよ。次皇帝誰になるかってので、常にいざこざ起こしてまして、この国は。

楊:滅ぶ国の象徴。

深井:象徴。でもめっちゃ続いてるんだけどね。この継承問題とかに介入したりとかして、けっこうなんていうかな、関係性を保ってるみたいな。そういう複雑な関係性をやってますね。で、バルカン半島ってのがありまして。

楊:ギリシャ。ギリシャのところかな。

深井:そう。音声だけで伝えるとちょっと伝わりづらいんですけど。トルコってアナトリアっていうのがあって、小アジアって呼ばれる。その対岸にね、海挟んで対岸にギリシャとか、今のギリシャとかがあるバルカン半島てのがある。この二つを要はオスマンの勢力は治めたいわけですよ。アナトリアの方はトルコ系の遊牧民とかが作ってるような国家がたくさんあるイスラームの国たちがたくさんある方ね。で、バルカン半島の方はまだヨーロッパだからキリスト教国がたくさんあるわけ。

樋口:なるほど。

深井:自分たちはアナトリアにいるわけでしょ、小アジア。だから普通にいったらアナトリアから滅ぼすじゃないですか。けど、実際それもしてたんですけど、強いんですよ、みんな。遊牧民出身の人たち多いから。キリスト教国の方が弱いんですよ。なんでバルカン半島を先に攻めるんです、オルハンが。

樋口:へえ、へえ。

深井:で、バルカン半島攻めるってどういうことかといったらビザンツ帝国の版図をさらにゴリゴリ削ってることになるんです。

樋口:なるほどなるほど。

深井:オルハンの時代にさらにビザンツをごりごり削っていって、けっこうたくさん治めてたんだけど、ビザンツが。がんがんこのイスラーム勢力に削られるということが起こるわけです。これはキリスト教国たちからすると伝統あるビザンツ帝国、しかもキリスト教の主流を占めている宗教的な意味合いもある町なんですけど、国なんですけど。ここがイスラームにごりごり削られとるということになるんです。

樋口:うわあ。

深井:そういう恐怖があります。

樋口:怖いですね。

楊:アイデンティティの歴史が削られる感じだもんね。

深井:そうです。

樋口:そうですね。

深井:そうです。そうです。

樋口:はいはい。

深井:で、そういうことが起こっているんですね。で、そうやって版図を広げると国がでかくなっていく。最初は自分たちの小さい集団だったのが国がでかくなっていって、システムが追いつかなくなっていくんだよね、国家統治システムが。ベンチャーと一緒だよね。よくこれも歴史の話に今まで何度も出してるけど。国家統治システムってステージによって変えていかないといけないんです。急にでかくなったんで。

楊:追いつかないことってあるもんね。

深井:そう。システムの改変が必要になるんだけど。ここらへんでイスラーム帝国たちが強いのがイスラム法という法律がある、テンプレがあるわけ。このテンプレを使うとすごく簡単にまずみんなが納得してくれる、そうだよねってなる、それイスラム法だから。それにプラスアルファで自分たちのカスタマイズ載せていきますみたいな感じなので。ERP 導入しますみたいな。スクラッチ開発必要ありませんみたいな、セールスフォース使えばいいですみたいな。そんな感じなんです。

樋口:なるほど

深井:だからすごくね、ERP 知らない人いっぱいいると思うけど。そのすごくそういうところも実は強いんです、イスラームって。

樋口:だから Android みたいなもんじゃないですか。Android 使って。

深井:そうだね。Android も知らない人いっぱいいると思う。Android そうですね、Android って、自分で改変してもいい OS なんですね。

樋口:まあいいか。例えるの難しいな。

深井:わかる人にはめっちゃわかる。一部の人にめちゃくちゃ伝わってますけど。Android みたいなイスラム法がありますんで、軍事、行政、司法の3機関ていうのをここで初めて作ります。本当に国っぽくなりますよね。軍事ってところは非常に自分が信頼できる人にしか任せられませんので、自分の嫡男であるスレイマン人がいる。スレイマンてまた後でね、今回のシリーズではでてこないけど。オスマンの後にスレイマンていうめちゃくちゃ有名な人出てくるんで。その人と同名の人なんだけど、ここでも出てきて、この人に任せたりだとか。イスラームてやっぱすごくて、イスラム法を勉強する知識人ていう立ち位置の人がいる。ウラマーて呼ぶんですけど、このウラマーていう人が、だから、なんていうんですかね、自分たちの国じゃない人でウラマーがいるわけ。このすごさわかる?

樋口:どういうことですか。

深井:だからイスラム法ていうのを全員で共有してるから、イスラーム世界の人たちが。その基盤で生きてる。自分の国から偉い人を出す必要がない。

樋口:なるほど。

深井:教育された人が他の国にいたらその人呼んできてもいいわけ、これは強いよ。

樋口:なるほど。

楊:人種で区切らないもんね。

深井:そう、関係ないから人種。この時も他の国から呼んでくるんですよ、知識人のウラマーていう人。これはすごくやりやすいんですよ。

樋口:なるほどね、ほおお。

深井:こういうことができるから強い。で、チャンダルル一家ていうこの人はまた後で出てきますから、チャンダルルっていう家は覚えておいて欲しいんだけど、チャンダルル家ていうのを招いて、この人を宰相といって総理大臣にします。国事を司どらせます。当然イスラーム法に精通してますんで、このイスラム法の中に民法、商法、刑法が入ってるんだよね。だから最初っからこのテンプレ使えるわけ。

樋口:そうか。だいたい国に必要な法律が基本的にあるんですね。

深井:そうそう。みんなにも浸透しやすい、反発も出ないんだよね、あんまり。で、ええと、その法廷とかもセットでついてくるからめちゃくちゃこのパッケージおれも欲しいわって思って。

楊:ここがキリスト教とちょっと違うところやね。

深井:違う。パッケージ販売されてる。

楊:キリスト教はもう理念というか思想を、ほとんど思想だけなんだけど、ルールベースまでコーランに収められてる。

深井:だからイスラームを踏襲するとこういうパッケージ全部付いてくるんですよ、最初から。国家統治パッケージが最初から付いてくる。

楊:ああ、それで広まった部分もあるかもしれんね。

深井:それもあるでしょう。それだけではないけど、それで強かったってのはやっぱあるでしょうね。

楊:そうだろうね。

深井:だからムハンマドさんはすごいですよね。

樋口:すごいっすね。法律まで作ったっていう、基礎まで。へええ。

深井:ここでウラマーの確保とかをしていって、国を一気に強くできるんですよ。これも人材育成のステップをけっこう飛ばすことができてるわけです。これベンチャー起業の経営者の方たちも聞いてらっしゃるんで想像してみて欲しいんですけど。……よくないですか。

樋口:なるほどなるほど。はあ。

楊:そのウラマーというかチャンダルル家も名家なんで、そもそも既に名家なんで、いろんなネットワークを持ってるんですよ。そこのネットワークを政権内に取り込んで、そこで人材採用とかをやったりとか、地方をちゃんと治めたりとかする。

深井:もう少し制度、例えばどういうのを整えることができたかっていうと、結構すごいよ。1代で一気にこれ作ってるんだけど。さっき言った宰相制度だよね、総理大臣が必要です。この制度もなかったのを作ります。あとモスクを建設していきます。あとイスラーム学院ていうのがある。学院、イスラーム学院というのを作って、教育制度を作ります。あとワクフ制度っていってね、これもイスラム法で決まってるんだけど。収入の一部を公共的事業に寄進しないといけないという宗教的寄進制度というのが決まっていて、これでインフラとか整えることができるんですよ。これも強いよね。最初から税金の徴収方法一部決まってるわけ。

楊:そうですね。

樋口:うわあ。源泉徴収されてる。

楊:全部、インフラ開発に全部強制的に回され、一部回されていくんですけど。だから自然と都市がどんどんでかくなる。

深井:それはちゃんとたぶんインフラに回されるわけ。だから中央公庁とかだとこういう税徴収が私腹を肥やすために使われたりもすんだけど、たぶんイスラーム国家でそういうことする人けっこう少ないんじゃないかなと思うんですけど。ちゃんと調べたことないですけど、ちゃんとそのワクフ制度で徴収された税金じゃないですけど、ていうものがしっかりとたぶんこういうモスク建設とか学校建設であるとかですね、あとは奨学金制度とかもありますし。

樋口:へえ

深井:すでに。貧困者、障害者への社会的弱者の救済である社会福祉にも使われたりとか。孤児とか寡婦とかへの救済ですよね。あとは水飲み場とか井戸とかの共有財産の維持管理、こういうのも全部決まってる。

樋口:ふうん。

深井:この時代に貨幣も作ったしね。で、スルタンを自称するし。

楊:そうね。あ、貨幣作ったのはけっこうでかくて。貨幣って今でいうとメディアの役割を果たした部分もあるんですよね。ひとつひとつの貨幣にスルタンの像を刻むんですよ。で、それが流通する。今の俺たちのいる国はこの人が治めてるんだっていうある種プロモーションになるんですね。

樋口:ほお、なるほどね。そりゃすげえや。はあはあ。

深井:で、そのオルハンの時代が終わるとですね、次は第3代でムラト1世ていう人が出てくるんですけど。これ名前覚えなくていいです。この人がやったことってのは、セルビアとかブルガリアとか当時から王国として存在してたんですけど。バルカン半島にある方ですよね、キリスト教国です。この人たちに宗主権を認めさせる。つまりこの人たちを支配下に置くことができるようになった人。だからキリスト教の人たちまで影響力を伸ばしたひとがこの3代ですね。

樋口:はいはいはい。

深井:で、オスマン帝国領は3倍に膨れ上がります。

樋口:3倍。

深井:この時代で。

樋口:3倍。

深井:さらに。しかもビザンツ帝国をもっとボコボコしてます。だからビザンツ帝国はずっとボコボコにされ続けてるんです。

樋口:あっちゃあ。

楊:もう落日の国だよね。

深井:そうですね。フォール・オブ・エンパイアって感じです、本当。

樋口:あらら。

深井:で、ええと、ここでちなみにすごく重要な都市を獲得してて、エディルネっていう。あの、ビザンツ帝国ではアドリアノープルって呼ばれてたすごく重要な都市があるんですけど。そこも潰しちゃって、潰したっていうか占拠しちゃって。オスマンがね。で、オスマンの国になってエディルネって名前に変わって第二の首都。首都みたいになります。ここをバルカン半島への進軍基地みたいにして。

楊:なるほど。

深井:ここからどんどんどんどんバルカン半島に突っ込んでいきますみたいなステージにオスマン帝国が突入します。

樋口:いい感じの拠点を。

深井:そう。初代も2代も3代も全員すごく優秀な人たちが続いてます。これをめちゃくちゃ怖がるんです、キリスト教国たち。とくにブルガリアとセルビア。この2つの王国は明日は我が身だと。次滅ぼされるのは俺たちだって、セルビア軍とかが、その当時セルビアとかブルガリアけっこうでかい国だったんだけど。5万くらいの大軍を作ってエディルネに攻め込んでいくんですよ。実際オスマン、この時滅びかけたらしい。800人しかいなかったんだって、エディルネってところに。ムラト1世がもうひとつのブルサの方に行ってたらしくて。ブルサにいたときにエディルネがめちゃくちゃ手薄なときにこの5万の軍が来た。800の人数でこうやって太刀打ちしないといけないというときに、セルビア軍が総攻撃をしかけるってなったんですよ。そのセルビア軍総攻撃の前の日に。なぜか祝宴をあげたんです、セルビア軍が。もうおれら勝ったぞみたいな。

樋口:勝ってないのに。

深井:余裕余裕。

楊:まじ、舐めプレーですよね。

樋口:へえ。舐めプ、舐めプ。

深井:で、酒でべろんべろんに酔っ払ってたらしくて、そこに夜襲を仕掛けて勝つ。

樋口:嘘。歴史が変わった瞬間。

深井:セルビアの国王死んだらしいです。

楊:舐めプで歴史変わるんですね

深井:そう。

樋口:ほお。

深井:この後ブルガリアのイヴァン・シシュマン。これも覚えなくていいんだけど、この人とかも臣下にしてね、家来にしたりしてね。こうやって、この人たちはさらに自分たちの軍隊として使えるんで、オスマンは。さっき言いましたけど、どんな宗教だろうが吸収できますんで。

樋口:はいはい。取り込んでいくんですね。

深井:取り込んでいきます。

樋口:ほおほお。

深井:この時点ではでもバルカン半島もまだね、エディルネとったばっかりだし。なんていうか探りを入れながら攻撃してるような段階で。向こうから攻めて来たから倒したってのもあるし。まだ本格的にバルカン半島思いっきりとってますっていう状態ではまだないんですよ。このムラト1世もすごく優秀だったんだけど、セルビアとかボスニア、あとボスニアって国もあるんだけど、聞いたことあるよね、みんな。

樋口:ボスニア、はい。

深井:この時代からあるってことです。このボスニアっていう国とかと戦ってる時にコソボっていうね、コソボも聞いたことあるよね。

楊:うん。

深井:ニュースとかで。

楊:コソボ紛争とかあると思います。

深井:コソボっていうところで戦ってる時に、暗殺されるんです、ムラト1世。

樋口:あらら。

深井:本人もびっくりしたんだと思う。けっこうイケイケの時にこのムラト1世が暗殺をされて、この後にですね、バヤズィトていう、バヤズィト1世。もうズに小さいイでバヤズィト、バヤジトでもいいんだけど。

樋口:バヤズィト、はいはい。

深井:このバヤズィト1世ていう人が出て来て、この人がけっこう有名な王様なんで。この人が次の回でちょっとフィーチャーして伝えていきたいと思いますけど。ここでね、またオスマン帝国を理解するためにすごく重要なイェニチェリていう軍隊がいるんで。次回イェニチェリとかの話もします。

樋口:なるほど。いやあ、すごいですね。なんかこの、ぼく夜襲のそれがけっこう。

深井:でもちょいちょい歴史勉強すると、そういう不注意系出てくるよね。舐めてる系で全てを失う人たち。

樋口:ですよね。

楊:もうこの回のタイトルもう舐めプですよね

樋口:舐めプでその時歴史が変わった。

楊:舐めプで。

深井:でもすごいのはみんな優秀なこと。1代2代3代。全員。

樋口:そうか。それは確かにそうですね。

楊:運がよかったね。

深井:運がいいです。運だと思います。正直。

樋口:そうかそうか。いやあ、て感じですかね。

深井:はい。

樋口:じゃ、続きは次回で、ありがとうございました。

深井:ありがとうございます。

楊:ありがとうございます。

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