#124 群雄割拠のイスラーム戦国時代 ―繰り返される統一と分裂

【今回の内容】
イスラームの大爆進
ムハンマドもびっくり!?
誰も予想できなかったモンゴルの登場
群雄割拠からライジングするオスマンさん
掠奪のワケ
ローマ帝国の残り火・ビザンツ帝国
実は合理的なイスラーム国家
外野から人様の宗教を語る際に気をつけよう
オスマンの思考回路をたどってみる努力

樋口:はい、ええ、前回まではざっとオスマン帝国の概要についてお聞きしましたけども、いよいよ今回から詳しく聞いていこうと思います。お願いします。

深井:とはいいつつですね、オスマンのだいぶ前からやります。オスマンを理解するために、そもそもムハンマド以降のイスラームがイスラーム帝国たちがどういうふうに広がってオスマンにつながっているのかってところも伝えたいなと思っていて。

樋口:ムハンマドから。

深井:ここがね、日本人が知らないんですよ。

楊:ざっくり知ったほうが絶対面白い。

深井:ざっくり知ってたらかなり世界史の理解が進む。イスラームってけっこう難しいから、またたくさん名詞出てくるんだけど、覚えなくていいです。

樋口:ふうん。

深井:で、流れだけ覚えといて欲しいなと思ってて。一番最初流れざっくり言うね。

樋口:はい。

深井:まず、ムハンマドが現れましたね。これ過去の回聞いてください、知らない人は。で、この人があれよあれよという間にアジアとかアフリカまでイスラームがムハンマドが亡くなったあとに広がっていくんですよ。

樋口:イスラームてのは前回いったようにイスラム教みたいなもののことですね。

深井:イスラム教みたいなもの。イスラム教を信じている人たちが作った集団とか国家とかが一気に広がっていくんですね。アジア領域もいくし、アフリカのところまで、北アフリカのところまで行って、どんどんどんどん広がっていく。そのムハンマドが亡くなってから200年間くらいはその広範な範囲を一つにまとまってイスラーム帝国として、ま、アラブ帝国とも呼ばれるんですけど、治めてた時代ってのがあります。だけど、200年くらい経つと、あまりにも広すぎるし、利権が色々からむから分裂していきます。多くの地方政権ができてきたりとか、大きい帝国が三つに分かれて統治するということがあって、いろいろやってんだけど。そこでいろいろぐちゃぐちゃやってんだけど。この中でもっかいひとつにまとめたいという人たちがでてきて、何回かトライするんですよ。ファーティマ朝とかセルジューク朝とかいうんですけど、そこの王朝のことをね。その人たちが再統一をトライするんだけども、やっぱり短期間のうちに分裂をまたしてしまうという状態が続いていて、で、そんな中でモンゴルが出てくるでしょ、次。前回やった、あのモンゴルが出てくる時にはホラズム朝って出てきましたよね。ホラズム朝とかルーム・セルジューク朝ていう新しい王朝がまた出てきてて、全部イスラームですよ、イスラムを信奉している国なんですけども、その国たちが出てきているところにモンゴルがばばばばって来て、一気にその人たちを滅ぼすわけです。

楊:ちょっとバグみたいな感じででてくる。

深井:滅ぼすとか、あとは傘下に入れるということをされて。

樋口:モンゴル怖いな。

深井:そう、だから、イスラームがいきなり拡張してキリスト教国家たちを圧迫してて、ひとつにまとまってる時はすごく強かったんだけど、それが分裂していって、ちょっと力が弱くなっていって、その間にキリスト教がちょっと盛り返したりとか十字軍送ったりとかしてて。でも勢力が拮抗している時にモンゴルがばばばばってきて、そのさらにここのアナトリアらへんがね、小アジアのトルコが今あるところらへんですね、それが分裂するわけ。戦国時代みたいになるんですよ、モンゴルによって。しっちゃかめっちゃかされてね

楊:群雄割拠の時代。

深井:群雄割拠の時代に突入するんです。その群雄割拠の時代に現れたのがオスマンだったんです。

樋口:なるほど。

深井:超ざっくりいうとこういう流れなんだけど、もう少しこれを詳しく順を追って伝えていきたいなと思います。ポイントだけ伝えますね。

樋口:うん。

深井:長いんで。

樋口:うん。

深井:まず、7世紀にアラビア半島でムハンマドがメッカでイスラム教というのを作ります。これはキリスト教から600年くらい経ったときですね。

楊:そうそう。

深井:で、その後ムハンマドが亡くなった直後というのは、親戚とか友人とかがムハンマドの地位、カリフっていうんですけど、この地位を継ぐ時代が来ます。これを選挙制でやってるんですね。だれがムハンマドの次を継ぐかっていうのを。これを正統カリフ時代といって4代くらいしか続かないんですけど、こういう時代が来ます。選挙制でやってた時って比較的ちゃんと治まってたと思うんですけど。その後この選挙で決めてたやつを我が物にしたいって人が出てくる。その人が我が物にする、カリフ職を。で世襲の時代ってのが来ます。世襲の時代がきたってことはこれは王朝が開かれたってことになりますので、これをウマイヤ朝といいます。ウマイヤ朝という王朝のもとイスラームがひとつにまとまってる状態ですよね。で、これが強かったんですよ。いろんなところに侵出していって、なんならスペインとかね、モロッコのところまで広がっていく。で、ここの拡大のモチベーションてのは、ここちょっとチンギス・カンたちと近いんだけど、略奪ってのがすごい大事だったんです。略奪できるっていう経済的利益の原動力ってのがすごく強かった。

楊:経済行為だもんね。

深井:経済行為。

楊:イスラームって自分たちの仲間になった自分たちが同じムスリムになった人に対して安全保障を提示する義務がある。征服した先でうちのイスラム信じるっていって信じるっていったら保証、一緒に仲間にしてあげないといけない。だからそのためにもっとリソースというか富が必要になる。

樋口:家族がどんどん増えていくみたいな感じ。

楊:そうです。

深井:それもイスラム法とかで決まってるんです。

楊:そうなんです。だから構造的にどんどん略奪していく必要があるという教義になってます。

樋口:養わないといけないみたいなイメージ。

楊:みたいになってます。あともう一個言いたいのが、略奪って僕らよく漫画とかで「ヒャッハー!」みたいな感じで略奪していくイメージありますけど。

樋口:「あたたたた!」て感じ。

楊:でも意外とそうじゃなくて、組織的にやってて、略奪に参加する人はちゃんと事前登録するとか。

樋口:へえ。

楊:で、略奪したものにい対してはちゃんと源泉徴収される。

樋口:はあ、プロジェクトでやってるんですね。

深井:プロジェクト単位ですね。

樋口:ほお。

深井:その略奪と言ったら言い方悪いけど、聖戦とも言えるんですね、これ。

楊:ジハード。

樋口:ふうん。

深井:ジハードですね。

樋口:ジハードよく聞きます。

深井:それで宗教的な目的も当然ちゃんとあるし、その中で経済的な理由もあって、それ大義名分もあるし実務もともなってるんで。広がっていくわけ、それが。広がっていって、世襲制になったこのウマイヤ朝てのが続いていくんですけど、このウマイヤ朝の時に今でも問題になったりしますけど、スンニ派とシーア派に分裂したりとかして。こっちはあんまり詳しくは言わないですけど、教義の違いというか考え方の違いで分裂をしたりだとかしていきます。この時にはすでに東に唐王朝ですよね、中国の唐王朝とかいうとても由緒正しいね、まあ由緒正しいてみんな由緒正しいんだけど。中国王朝って連綿と続いてる。イスラームってある意味新興勢力だから、イスラームとしては。このイスラームができてからたった100年くらいで唐王朝と喧嘩できるくらい強くなってるんです。

樋口:すごいね。ベンチャーが。

深井:ただチンギス・カンとかの膨張力に比べたら全然遅いです。チンギス・カンもその圧倒的だったんで。

樋口:1代でいってる。

深井:それに比べたらものすごく遅いんだけど、でもすごいここまでの歴史ではすごい速さでやってて。アラビアの地で出て来たものだったけど、そのアラビア半島というよりはまた別の場所ですごく盛んになってるみたいな状態がイスラームでおこってます。ちなみにこの時にイスラームの戦士たちは騎兵が多かったらしくて。キリスト教国たちと戦った時にキリスト教国が騎兵が強いってことがそこで初めてわかったみたい。その後にナイトが出てくるらしいですよ。

楊:騎士ですね。

深井:中世ナイトはだからイスラーム戦士たちと戦ったキリスト教戦士が「まじ騎兵強え!」ってなって、それで自分たちも馬乗って戦おうかってなったらしいよ。

樋口:へえ。

楊:馬に乗って戦うこと自体がね、遊牧民たちからきたものなんです。

深井:そうそう、馬に乗って戦おうってなんない、農耕民族は。

楊:発想として出てこない、それ。

深井:そう、チンギス・カンの時も言ったけど。別の動物だから。

樋口:そうですよね。

楊:乗るとかね、動物に乗るとかって。

深井:野生の馬みて、あれに乗って闘うと思わない。

楊:前アメリカの歴史でネイティヴアメリカンの人が初めてヨーロッパの人がこっちにきて馬に乗ってるの見て、めっちゃびびったらしい。それはもう馬を乗るって発想がそもそもない。

樋口:そうかそうか。

深井:ない、実際。

樋口:はい。あんな強いの従えると思ってないし。

深井:動物に乗るって思わない。だから騎兵が強いんだけど、そういう強さとかも持ってたってことですよね。このウマイヤ朝も何代か続いたあとに新しい王朝に取って代わられるわけです。やっぱりね、王朝って何代か続くと基本的には後継者争いし始めたりとか、まとまらないんだよね、普通まとまらないわけ。だから何代かしたら必ず滅びていくんだけど。次に出てくるのがアッバース朝。アッバース朝ていうのはね、みんなが接点があるとしたらアラジンとかが、あの話のルーツの王朝、これ。

樋口:ほぼ唯一知ってる、あのへんの話。

深井:あの、千夜一夜物語っていうんですけど、アラビアンナイト。

樋口:アラビアンナイトですね

深井:千夜一夜物語のアラジンのルーツになった話とかが載ってる時の時代がこの時代。めちゃくちゃ長いんですけど、この王朝。

楊:成功してるよね。

深井:うん、750年も続いた。

樋口:へえ。

深井:実際国として成り立ってるのは500年間くらいなんだけど。その後名目だけ続きますみたいな。中国の周王朝みたいになってる。

楊:なるほどね。

深井:そんな感じですね。

樋口:周王朝ちょっとわかんない。

深井:わかんないですね。いつか喋ります。

樋口:はい。弱者すぎて。

深井:ウマイヤ朝くらいまではけっこうアラブ人発祥のした人たちですよね。アラブ人がイスラームの中でけっこういい位置を占めるということをやってたんだけど、ムハンマドはそんな差別してはいけないとたぶん言ってるんですけど。そんな詳しくないんで変なこと言えないんですけど。言ってるはずなんですよ、ムハンマドは。けどその後王朝になっていくに当たってアラブ人優遇制度みたいなのがあったみたいなんですけど。このアッバース朝の時代でそれがなくなっていって。もっとさらに広範囲な人たちにイスラームが広がっていくということが起こります。

樋口:はいはいはい。

深井:で、ええと、このアッバース朝も唐王朝と戦ってますね。これ一応世界史覚えてる人覚えてるかもしれないけど、タラス河畔の戦いっていう。

樋口:タラス河畔。

深井:はい。この戦いね、なんで教科書に載ってるかというと、この戦いによって紙の作り方、ペーパー。紙の作り方が中東に広がっていく。中国から中東に伝わって、そこからさらにヨーロッパに伝わっていくていう、こういうことが起こるので。

楊:けっこう大きな、技術史の中では大きな出来事があるんです。

深井:すごい大きな出来事があるんです

樋口:紙はコミュニケーション史でもちょっと触れましたけど。

深井:そういうことが起こったアッバース朝というところまでは一応一つにまとまってたんです。まとまってたんだけど、さっきも言ったけどこの後分裂していきます。これがね、どう分裂するかっていうと、アッバース朝に滅ぼされたウマイヤ朝ってのがあった。あのウマイヤ朝が実は滅びてなかった。一人だけ残ってて。

樋口:一人。

深井:子孫が。

樋口:うん。

深井:その人が今のポルトガルとかスペインらへんのイベリア半島にいって、そこで後ウマイヤ朝というのを作るんです。

樋口:へえ。

深井:あの、まあ同じウマイヤ朝という名前を作ったんだけど区別するために歴史家が後ウマイヤ朝。

楊:後ろって書いて。

樋口:後ろ。

深井:後漢王朝の後と一緒ですね。そういうのを作って自分もカリフだと名乗るわけ。だから、日本でいったら天皇が二人いる状態みたいになっちゃうわけです

樋口:なるほどなるほど。

深井:その後ファーティマ朝ていうのが出て来て、おれもカリフだという話をする。そうすると天皇が三人もいるような状態になってしまったんで、三国志だよね。

樋口:ラーメンが元祖と本家がいるみたいな感じ、長浜。

深井:そうそう、そうなのかな、ちょっとよくわからないけど。

樋口:すいません。

深井:なんで、何が言いたいかといったらカリフの権威が落ちていったんだよね。

樋口:はいはい。

深井:それまで一つにまとまってたカリフの権威が三人もいるんで、ちょっとありがたみがなくなっていく、その時点で。昔に比べたらですね。で、そうやって分裂していくってなって。一つにまとまってたときはスペインのところまで進出するくらい強かったんですよ、イスラムが。でもうキリスト教国の人たちは戦々恐々としているわけ。いきなりでてきたイスラームの勢力、なんであんな強いん?みたいな。全然勝てんけど、みたいな。

楊:そうだよね。

深井:いつかおれら滅ぼされるんじゃね、みたいな。

樋口:怖いな。

深井:感じでびくびくしてたわけですよ。それが分裂とかしていって、キリスト教の反撃の時代みたいな感じになってくる。この後十字軍とか出てくるんだけど。そういう時代もきつつ、イスラーム側は分裂してたんだけど、一人けっこういい人がでてくるんですよ。

樋口:ほう。

深井:トゥグリル・ベグっていう人なんですけど。

樋口:トゥグリル・ベグ。

深井:はい、このトゥグリル・ベグという人、名前覚えなくていいです。ちなみに2代目が、それセルジューク朝ていう王朝なんだけど、2代目がアルプ・アルスラーン。

樋口:かっこいいな。

深井:そう。そう。アニメであるね。

楊:アルスラーン戦記だね。

樋口:うん。

深井:ここからきたんだね。勇猛な獅子という意味です。

樋口:意味もかっこいい。

深井:はい。かっこいいですよね。このトゥグリル・ベグとかアルスラーンとかが作ったセルジューク朝というのがあって、ちなみにこん時に僕たちが知ってるとするとアサシン。

樋口:殺し屋の。

楊:暗殺教団。

深井:そう。アサシンとかこの時代に出て来てる。

樋口:ほお。

深井:アサシン集団ていうのがいて。この人たちが特殊な暗殺術を持ってて、この暗殺術でセルジューク朝の要人達をぶっ殺していくんですよ。

樋口:このへんででてるんですね。

深井:この時がアサシンですね。この時にあとはカリフとカリフが天皇だとすると、スルタンという役職とかもでてきたりして。スルタンて日本で言ったらわかりやすいですけど征夷大将軍ですね。

樋口:うん、はいはい。

楊:確かにね。

深井:将軍と一緒です。だから実質政治スルタンの方がやってたりするんだけど、一応権威としてカリフというのがいてって、そういう状況ですね。この時代くらいには今回ね、ちなみにオスマンの話をするときにビザンツ帝国ていうのも出てくるんですよ。

樋口:ビザンツ、はい。

深井:ライバルとして。このビザンツ帝国ていうローマの後継帝国なんですけど、ローマ帝国の事です。実は。

樋口:ふうん。ビザンツ帝国がローマ帝国のこと。

深井:語弊があるけど、そうです。ローマ帝国、これ後で説明しますけど、ローマ帝国ってでかくなったあとに二つに分裂するんですよ、東と西で。東ローマ帝国、西ローマ帝国っていって。で、西ローマ帝国は早期の段階で無くなっちゃうんです。それが今のヨーロッパになっていくんです。無くなったあとにフランク王国とかがでてきて、今のヨーロッパを形作っていって、東ローマ帝国ってけっこう長く残る。

楊:1000年くらい残ります。

樋口:ふうん。

深井:この東ローマ帝国がビザンツ帝国。

樋口:ふうんなるほど。

深井:名前がちょっと違ってるんだけど一応同じ帝国を指してます。

樋口:うん。

深井:連続した帝国ですね。このビザンツ帝国とかをごりごり削りながらね、セルジューク朝とかがでかくなっていく。このセルジューク朝も結局短期間でなくなるというか分裂しちゃって。ルーム・セルジューク朝って分家なんだけど。なんとかセルジューク朝てたくさんあるんだよね。シリア・セルジューク朝とか。こういうのに分裂していった。その中のひとつに、その中のひとつじゃないんだけど、それと同列で他にホラズムシャー朝ていう、ホラズム朝ね。これがチンギ・カンにぶっ潰されたやつ。

樋口:でましたね。

深井:で、ルーム・セルジューク朝もチンギス・カンに家来みたいにされます。ここらへんからモンゴルがでてきます。

樋口:きたきた。

深井:このモンゴルはね、だれも予想してなかったわけ。チンギス・カンの時にも言ったけど、いきなりでてきて、いきなり信じられないくらい強いわけですよ。

楊:ゲームの裏ボスみたいだね。

樋口:はいはい。

深井:わけわかんないわけ。自分たちけっこう強いと思ってたんだけど、イスラームも。圧倒的な強さで、モンゴルが出て来て、この時はね、ルーム・セルジューク朝にきたのがバイジュ・ノヤン千戸長ね。千戸てありましたよね。千戸長ね。

楊:千人隊長。

深井:千人隊長ね。この千人隊長が攻めて来てね、徹底的にぶっつぶされるわけですよ。で、ルーム・セルジューク朝が幅をきかせてた時代が、さらにそれさえ幅をきかせられなくなった。つまり分裂してたやつがさらに分裂していって、幅もなんらの権威も無くなったって状態になった。これは戦国時代と一緒なんですよ。この戦国時代と同じ状況の時にトルコ系のね、いろんな国が乱立する状態になるわけです。これは日本でいったら織田信長もいます、上杉謙信もいます、尼子氏もいますみたいなね、島津もいますみたいな状況と一緒です。

樋口:へえへえ。

深井:この時のひとつの。だから織田信長みたいな感じで。

楊:集団というか家だよね。

深井:家。オスマンていうのがいるんです。オスマンさんていう人がいるんです。

樋口:あ、人の名前。

深井:人の名前なんです、オスマンさんていう人がいて。このオスマンさんが作った王朝。これがオスマン。

楊:オスマン帝国。

樋口:じゃあ始まりは小さい小さいですね。

深井:めっちゃ小さいです。

楊:浪人集団に近いもんね。

深井:そうですね。この混乱した、モンゴルが来て攻めて、モンゴルに一回統治されて。でもモンゴル帝国もすぐに分裂するんですよ。だからね、そのなんていうかな、ユーラシア大陸の歴史ってちょっと日本じゃ想像できないくらい統一と分裂がすさましいサイクルで繰り返されてる。

樋口:しかも規模が半端じゃない。

深井:そうそうそう。で、新しい勢力がでてきて、イスラームもそうだし。

楊:人間が大移動したりとかね。

深井:そうそうそう。大移動したりとかして

楊:出たり入ったりして。

深井:そうそうそう。このもう、収束、分裂みたいなのを繰り返していく中で分裂期に武士みたいな感じでいた人たち。この人たちがね、ガーズィーと呼ぶんです。

樋口:ふむふむ。

深井:ガーズィー。

樋口:ガーズィー。

深井:信仰戦士って呼ぶんですけど。

樋口:ふうむ。

深井:主には略奪をしています。この人たちが略奪をしていて、聖戦ていうのね、今度はジハードとはまた違うんだけど、ガザーていってね。あの聖戦をしながらそれを美化していって。でもやってることは略奪行為で、その略奪行為をやり続けていく中でまた新しい勢力が固定化されていく。その時代に出て来たひとつの勢力のオスマンが他の勢力をぶっつぶしていき、ついにはビザンツ帝国を滅ぼし、要はローマ帝国を滅ぼし、ついにはヨーロッパまで侵出し大帝国を築くってのがオスマン。これがオスマン帝国までのルーツ。

樋口:なるほど。

楊:パターンとしてイメージしやすいと思いますよ。秦の始皇帝じゃないですけど。まあある程度無一文から少しずつ力をつけていって最後に帝国としてライジングしていくみたいな。

樋口:はあはあはあ。

深井:そうですね。

樋口:戦乱の時代から。

深井:だから、そうですね。なにをここでポイントとして覚えるかでいったら。イスラームという勢力がいかに急に出て来て、それがいかに今の世界にも浸透していって。その人たちのルーツってのがどういう出方をしたかってのがこの、今日の話ですよね

樋口:なるほどなるほど。

深井:それも分裂を繰り返してるわけなんだけども。いきなり出て来たこのイスラーム勢力ってのは中国と匹敵する勢力として育っていき。当然キリスト教を圧迫しながらついにオスマンを生むに至るわけ。

楊:それがある程度、ある意味、オスマン、イスラームのゴールかもしれないね。最終型。

樋口:答えがでたみたいな。

楊:今も続いてますけど。近代直前の一個そこに収束した感じはありますね。

樋口:いろんなところで試して、結局それがよかったからばあってでかくなったみたいな感じ。

深井:あとはオスマンだけじゃないしね、実は。オスマンと同時期にイスラーム帝国てほかにもある。

楊:ありますあります。

深井:帝国レベルのやつがですよ。ひとつひとつが帝国レベルなんです。だからものすごい強い。みんなでもイスラームという状態で。

楊:ムハンマドもこうなると思わんかったやろうね。

深井:思わんでしょうね。これはでも本当にいまだに僕は本質的に理解できてないのは、どうしてここまで一気に広がり、強いのか。これはすごくテーマとしては僕もまだ解明ができてないし。

楊:色々読んだりはしたけどね。

深井:もちろん。読んでるしいろんな答え書いてあるけどしっくりこないです。

楊:そう、税制がすごくゆるかったとか。

深井:そうそうそうそう。宗教寛容とかね。

楊:ビジネス環境をすごく整えるのがうまかったとかいろいろありますけど、感覚的にむずいね。

深井:だからイスラームの法が優秀だったってのもありますし、いろんな理由があるんでしょうけど。やっぱり腑に落ちるレベルでイスラームの拡大を説明できるかっていったらけっこう難しいなっていうところがありますね。

樋口:なるほどな。

深井:すごいことなんですよ、これ。本当に。

樋口:しかも600年続いたってのも相当すごいすよね。維持もできてる。

深井:すごいし、なんていうかな。かなり原型が残ってるんだよねイスラームって。キリスト教とかよりも変遷してないんですよ。イスラームの方が。仏教とかね。けっこうムハンマドが最初にいった教義を本当に大切にしていて、みなさん。ムスリムの人たち。すごく残ってて、それをずうっと大事にした状態でこうやっていろんな地域の人たちがいろんな関わりかたをしながらたくさん国を作るまでに至ってて。みたいな。

樋口:へえ。

楊:一神教なんだけれども、環境環境に応じてカスタマイズしていくマインドてけっこう感じた。

深井:あるし、僕が感じたのはキリスト教よりも寛容だなと思った。歴史的事実をみたらね。今がどうとかいうつもりは僕一切ないんですけど。

楊:まあグラデーションなんだけど、もちろん極端な原理主義者どっちにもいますけど。でも全体的にみたらゆるいよね。キリスト教よりも。

深井:キリスト教よりも他宗教とかに対しての寛容性が高く見えます。ただそうじゃないっていう人もちろんいますし、本には確かに寛容だっていわれてるけどそうでもないっていう人いますし。いろんな意見ありますけど。

樋口:僕とか全然知らないから、ルールとかは結構細かく指定されてるような気がするんですよね。肌を出しちゃいけないとか。

深井:ラマダンもありますし、昼ご飯食べちゃだめだよみたいなのもありますしね。

樋口:だから僕は厳しいイメージしかなかったんです。

深井:そうじゃないなって感覚は。

楊:なんか遊びもちょっとね。自己解釈の遊びも持たしてる部分もトルコ、トルコじゃないや、今のトルコもそうだしオスマン帝国もそういうところもありますよね。厳しいところはちゃんと守るけど、自分たちの解釈でうまく調整していくっていう。

深井:て、思いますし。正直カトリック教徒の国よりも合理的だなと思います。

樋口:へえ、そうなんですね。

深井:僕の意見ですね、これは。僕が勉強した限りの歴史の事実から想像すると。想像ていうか見てると合理的なパターンの方が、こっちの方が合理的だなと思うパターンの方が多いなという。

樋口:へえ。

深井:たとえばビザンツ帝国とかと比べても全然オスマンの方が合理的。

楊:そうだね。

深井:ビザンツはけっこう宗教色濃いし、最後の最後まで宗教闘争してるし、彼ら。でもイスラームの方が制度とかみてても非常に合理的だなと思う。国家運営に関してもとても合理的にやってると思います。

楊:これもおれの完全なおれの妄想なんだけど、キリスト教ってイエスのところか始まってから確かローマ帝国が認められるまでに何百年かすごい迫害うけた。あの経験がもしかしてキリスト教にすごいピュアさ、純粋さを求める一つの要因になってるんじゃいかなと思ってるんですけど。

樋口:なるほど。

深井:確かに。そうかもしれないね。

楊:すごい圧迫されたわけ。

深井:殉教に対しての思いの強さすごいもんね、キリスト教。一概に、宗教はこうして一面だけ語ったら必ず間違ってるところ出るんであれなんですけど、そういう解釈もできるなと、面白いなっと思ってほしいですね、これに関しては。

樋口:はい。

深井:イスラームはね、本当に一番日本人から遠い宗教なんで、三大宗教の中で。

樋口:そうですね。

深井:はい、だけどすごく僕は寛容だなって正直思いました。

樋口:ううん、なるほど。

深井:寛容なやつだし合理的だと思いますし、非常に生活の中でそうだなと思うことをルールにしてることがとても多いなって。正しい、正しいというか確かにそうだなと思う。

樋口:なるほど。

深井:そのイスラーム法によって統治されたオスマンという国が、次回以降はですね、そのオスマンという人が出て来たところからですね。それをどういう風に形作っていくかって話もしますし。オスマンも600年も歴史あるんで時代によって全然違うんです、そもそも。最初らへんはただのなんていうかな、すごいただのグループだし。途中から帝国になっていくし、帝国になったあとも専制君主の時代は皇帝に権力がある時代からそうでもない時代になってきて。

楊:そうね。

深井:最後は近代化しようとするんだけどなかなかできずに苦しむ時代があって、みたいな。

樋口:へえ。

深井:今回そこまで話せませんけど。

樋口:フェーズがあるんですね、いろいろずうっと。

深井:いろんなフェーズがあります。

樋口:なるほどなるほど。いやあ、て感じですかね。

深井:はい。

楊:はい。

樋口:すでに壮大さをめちゃくちゃ感じてます。なんか。しかも僕さっき想像してたのが織田信長とか上杉謙信とかなんですけど。あれって本当小さい、これにくらべたら小さい日本の島国の中で起こったんですけど。あれがあの大陸の中でめちゃめちゃダイナミックに起こってるってことですよね。

深井:そうですね。今回、そうだな、これが伝えたいなってことをもう少し言語化すると、僕たちがオスマンの君主とか上層部だった時に、だと想像した時に、異民族とか統治しないといけないわけでしょ、彼らは。あと異教徒とか、キリスト教徒とかを。その時にこの人たちがどういう思考回路を使ったかを辿っていくみたいなことをオスマン帝国ですると、かなり発見が多い。

樋口:なるほど

楊:今の日本の国会とか内閣とか外国人がいるってことでしょ。

深井:そうそうそうそう。

樋口:そうですね。

深井:そこをひとつひとつを決断してるわけです彼らは。国家の制度を考える時に、イスラム法を元としながら自分たち独自の制度とかも当然作っていってますし、そこらへんが、もともと僕たちと感覚が違うところがもちろんあるから、その感覚は違うんだけど、違うとはいえ、その感覚からどういう風に合理的に判断をしていって、こういう国家の制度であるとか、どこをどう攻めるかをどう決断していったかみたいな視点でオスマンの話を聞くと、かなり織田信長とかを見てるのと違う感覚が得られるわけですよ。

樋口:なるほどなるほど。

深井:織田信長では起こらないことが起こるわけで。この土地の人たちには。イスラームっていう前提があって、キリスト教ていう勢力がいて、みたいな状態なんで。そういう視点でみるとやっと意味がわかってくると思います。だから遠すぎてイメージできないと思いますけどそんな感じです、イメージの仕方は。

樋口:ですね

深井:はい

楊:でもイメージする努力をみなさんでしましょう。

樋口:ですね。

深井:努力するのが大事なんだよね。わかんないのはわかんないんですよ。僕もわかってないですからね、ちなみにね。

樋口:いやあだからもう本当にモンゴルやった時、チンギス・カンやった時と同じようにやっぱ常識のスイッチをかこんと外さないと本当にたぶん聞けないかもしれないですね

深井:そうですね。僕が今わかりやすく日本史に例えてますけど、あれも本当はNGなんです。例えない方がいいんですよね。けど、最初はそうしよう。

樋口:ま、わかりやすく例えてるって前提で聞こう。イメージしやすいだけに例えてるだけで。

深井:そうしましょう。

楊:そうですね。

樋口:そんな感じですかね、今回は。

深井:はい。

樋口:じゃあ。次回はいよいよオスマン帝国の起源についてお聞きしていきたいと思います

深井:はい。

樋口:ありがとうございました。

楊:ありがとうございます。

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