【今回の内容】
野望より生存?
元上司VS元部下
文書行政を導入
チンギス、既に初老
緊張感MAXの超絶体育会系
中二病をくすぐるモンゴル軍
シャーマンぶっ殺す
行政は外国人にアウトソーシング
多民族国家を運営するには?
鉄マニア・チンさんの質素な暮らし
樋口;はいええ前回まではモンゴル帝国統一、そして誕生というところまでのお話をお聞きしたんですけども、そのモンゴル帝国がどのようにして大きくなるかってとこですかね
深井:そうですね。モンゴル王国ですね、まだ王国の段階でそれが誕生して、それをどういうふうに大きくしていくかなんだけど、前回もいったように大きくしたいっていう欲求ではないんです。大きくなってきたら攻められてきて、そいつを倒さないといけないという状況なんです
楊楊:そう、野望はあんまりない感じ
深井:あんまり野望はないじゃないかなって思う、わからんけど
樋口:なるほど
深井:トーリルってほらね、トーリル・カンが攻めてくるわけ。同じくらいの軍隊を持つに至ってしまったので、トーリルから嫌がらせを受けるようになるんですよ。で、その嫌がらせの中におそらくこういうことがあったんじゃないかなと言われるのが、鉄資源をチンギスには渡さない。これはチンギスからすると自分たちのそのこのモンゴルを守るためには必要なものだと。だから、どうするってなるわけですよ、そうこうしているうちにトーリルがチンギスを討伐することを決意してしまう
樋口:もと上司というか、なんていうんですか。トーリルとチンギスはどういう関係だったんでしたっけ
深井:トーリルが上司です
樋口:上司ですよね
深井:で、チンギスが部下です。
楊楊:給料っていうか、石油を止めたようなものか、今で言うとね
深井:だからとても困るわけですよね。そのチンギス側とトーリルがついに戦争に突入して、すごい大損害はチンギスも被ったらしいし、子供、息子のウゲデイっていうのがいるんですけど、これ、ちなみにちょうどね、ウゲデイ・カーンになるんですけど。第2代目のモンゴル帝国のあれですけど
樋口:息子
深井:息子で3男、これ瀕死の重傷を負います
樋口:わお
深井:で、チンギスなんか逃げたらしい。
楊楊:すごいね、劉備に似てるな
深井:けど態勢を立て直してトーリルを奇襲します。酒を飲んでる時のトーリルを奇襲してこれを撃破することに成功する。
樋口:すごい
深井:トーリルは脱出するんですけど、ナイマン、ナイマンに捉えられて殺されてしまう。
樋口:ていうのは人の名前
深井:いや、ナイマンは部族の名前
樋口:部族
深井:ケレイトなんかと一緒。だからケレイトのトーリル・カンはモンゴルのチンギスに攻められ、ナイマンまで逃げたんだけど、ナイマンに殺される
樋口:もう一回聞きたかったら10秒巻き戻してください
深井:はい。
樋口:はい
深井:で、
樋口:はい
深井:この時点でケレイトも倒したことになるんですよ。そうなると、タタルも倒した、で、あとメルキトとかケレイトも倒した。あとコンギラトてとこも倒してた。残るはナイマンだけなんですよ
樋口:すごいね
深井:モンゴル高原にもともと代理戦争として西遼と金が両側にいて、その真ん中モンゴル高原にいろんな部族がたくさんいた。それのほとんどを結果的に配下に従えることができてる状態ができて、残るはナイマンのみ。となった。
樋口:はい
深井:もう40歳くらい、ぶっちゃけこの時点で
樋口:もう40になってる
楊楊:歳だよね、今で言うと、おうおじいちゃん
深井:いつ死んでもおかしくないです。遊牧民生活してる人からするとね。で、このナイマンを、ナイマンの方がめちゃくちゃでかかったんだけど、このナイマンも勝てます。勝ちます。
樋口:おお
深井:これやっぱり鉄資源に対する執着がすごくあった、それが功を奏してるんじゃないかなという
楊楊:ものすごく重視してて、矢の鏃あるじゃないですか、先端につける。遊牧民の武器のメインが矢なんですよ。で、一人だいたい一つの戦いでだいたい60本くらい使うんですよね、例えば考えてみてください。例えば一万人の軍とか率いてたら、600万本必要なですよ、しかも使い捨てですよ。それ、その都度それ準備、物資を追いついて供給していくする態勢を作っていかないと遊牧生活、武器がそもそもないんですよね、メインの武器が。結局それが自分たちが生きるか死ぬかの、すごく変わってくる。だから鉄をものすごく重視したのは正しい選択
深井:選択。で。この時はナイマンとまた一人新しいの出すけどオングトってのがいて
樋口:オングト
深井:このオングトっていうのが、ナイマンと仲よかった。だけどやっぱりチンギスの方に可能性を見出したんでしょうね。オングトはチンギスと同盟を結ぶことになる。このオングトがまた鉄を持ってるんで、ここから鉄資源を入手しているんじゃないかという記述もある
樋口:なるほど。やっぱ鉄
深井:そう、ナイマンを滅ぼした。ついにナイマンを滅ぼし、350年ぶりにモンゴル高原が統一される、これで
樋口:うわあ。ブラボー
深井:そう。
樋口:なるほど
深井:この時点でも偉業ね。このあとがまた強かったんですけどね。ここからやっとこれでクリルタイが開かれて、モンゴル高原の
樋口:クリルタイは一回出てきた
深井:最高意思決定会議ですね。この部族同士の。モンゴル族の有力者がばっと集まって指導者の選出を行うんですけど、そこで晴れて正式にカンになります
樋口:やっと国になった感じがするな、これで。
楊楊:そうそう。こう、多分国になると組織が必要、組織っぽいマネジメントの仕方がおそらく必要になってきたと思うんですよね。そこでチンギス・カンが行ったのは、さっき出てきたナイマン、ナイマンて実はハンコを持ってたんですよ。なにか重要な命令とか、人事を人事をなにかこう政策を行うときに紙を使ってハンコを押して、今でいうとあたりまえ
樋口:印鑑ですよね
楊楊:印鑑で許可を与えるっていうのをナイマンの人たちが持ってたので。それをチンギス・ハンがみてこれをうちに取り入れようかといいうことで文書行政のみたいなスキルを取り入れようとしてた形跡があります
樋口:へえ、なんか似合わないですね
深井:似合わないですよね
樋口:文書でやる
深井:文字をかりたのかなこの時
楊楊:この時、もともとモンゴル語って文字持てなかったんですけれども、ナイマンが使ってたウイグル文字ですよね、を使って自分たちのモンゴル語を表記させた。
樋口:なるほど
楊楊:ていうのもこの時にあった一つの新しいことですよね。
深井:このナイマン倒したあとのクリルタイでチンギスという称号を与えられる。ここまでは本当はテムジンだったわけ。この時40代ね。すでにもうだからいつ死んでもおかしくないという時代になって、で、モンゴル高原統一されたんだけど、まだいるわけですよ。まず、西遼がいるよね。あと、金がいるよね。あと、また新しいのだして申し訳ないんですけど西夏ってやつが
樋口:西夏
深井:西の夏とかいて西夏ってやつがいて
楊楊:強い国がいるんですよ
深井:そして当然ですけど、漢民族の宋もいるわけです。だからまだまだ強い敵が
樋口:ですね
深井:本当に上には上がおるみたいな
樋口:ですね
深井:状況で。逆に言うとこのレベルの人たちと同列まで上がってきたっていうことですね。
樋口:そうか。
深井:最初はその人たちの臣下の臣下どうしで戦ってたってたみたいなところから、その人たちと同列レベルで考えられるレベルまで
楊楊:レベルアップしていったんだ
深井:上がっていってるわけですよね
樋口:ちょっと前まで百人の長だったわけですからね、なるほど
深井:これでこのクリルタイをもってモンゴル帝国が建国されたと言えると。いろんな民族を内封していますし、その人たちを全部臣下として、持ってる状態ですね。で、まあ、遊牧の部族連合を作ってる状態ですね。その全体もモンゴルって名前にして、それでやってるんだけど、何度もいうけど結局チンギスがリーダーになることを結果的にみんなが望んだってことなんですよ。この人がリーダーになった方が諸事いいだろうってことなんです。あと、運がよかったってのもあると思う。いろんな巡り合わせとかもあると思う。だけど、生まれが名門すぎるわけではないというのも権力闘争に変に巻き込まれなかったところでもあるし、あとは、彼は40代までやっぱりね、比較的苦労してるわけだから、比較的というかめっちゃ苦労してるから、そういうところからくる人格的なアドバンテージもあったんじゃないかなと思いますね
楊楊:人の気持ちを拾うことももしかして長けてたかもしれな
深井:長けてたかもしれない。なくてもなんかやっぱり劇場型とか天才型ではないというのはすごく感じます。だからアレクサンドロスはそうだけどそうじゃないんだろうなと思います。で、このモンゴル帝国ってのが、その、どういう国なのか、この時点で。
樋口:はいはいはい、気になる
深井:これはまず体制としては徳川幕府とかの幕藩体制にけっこう近い。大名みたいな人たちがいて、この大名を束ねる征夷大将軍としてチンギスがいるみたいな。こういう状態ですね。その大名はさっき出てきたいままで滅ぼした国々のトップの人たちとかがそうですよね。で、千人制、千戸制というんですけど千人隊というのがいて、圧倒的なピラミッド組織を作るんですよ、チンギスは
楊楊:組織作りを始めるよね
深井:スーパー上下関係が厳しい組織をつくるんですよ
樋口:へえ、はあはあはあ
深井:やばくて、千人隊長というのがいて、本当はその上に万人隊長というのもいたりするんだけど、千人隊長、百人隊長、十人隊長っていうのがいて、そのこれが入れ子構造になってるわけですね。千人隊長のなかに百人隊長が十人いて、百人隊の中に十人隊長が十人いてってなってるんですよ。で、十人隊長の責任の重さとかがすごいんだよね。まあ、責任の重さというか、例えば逃亡者が出たとする、十人隊から一人。十人隊全員死刑。
樋口:うわお
深井:で、十人隊がそれで死刑になるからって全員逃げたとするじゃん、百人隊全員死刑。
樋口:うわお。ええ
楊楊:むちゃくちゃ厳しいです
深井:そう、めっちゃ厳しい
樋口:へえ
楊楊:とか、戦争にさっきもいった、戦争に行く前にその物資とか武器とか自分で準備しないといけないですよね。それもし怠ったらそのグループの長が
樋口:切られる
楊楊:切られる
樋口:へえ
深井:すごい。で、しかも、ええと、その防具とかがどれくらいちゃんと揃えられてるとかをチンギスが見にくる。だめだったら殺されるからすごい緊張感持った組織なんですよ
樋口:社長がいちいちくるんですね、チェックしに
深井:そう、チンギスはさっきいったみたいに、超トップダウンていう感覚はないんだけど、システムがちょうトップダウンなわけ
楊楊:そういうシステムが必要になったんだね
樋口:ふうん
深井:そのかわりむちゃくちゃ統制のとれた軍隊なんですよ、モンゴル軍て。次の回でモンゴル軍がどれくらい強かったか、なんで強かったかってもっと詳しく喋りますけど、この千人隊長という人たちがあのこのなんていうんですかね、自分の四天王みたいな人たちがそれになってて。手足のように動いてるわけ、その千人隊長が。
樋口:面白いですね
深井:大名と一緒ね。千人隊長が大名なんです
樋口:なんか遊牧民ってめちゃくちゃ自由なイメージなんですけどぎちぎちの
深井:そこのルールがぎちぎちなんです
楊楊:でも厳しさだけじゃなくて働きに応じて戦利品の分配で大盤振る舞いですよね
樋口:ふうん
深井:それがさっき言った株式と同じ考え方ね
樋口:そうか
楊楊:そのバランスがよかった
深井:バランスもすごいし、税金はないんです。税金はないから、それ、税金がないってことは政府としては自治政府であるってこと。その千人隊長が。千人隊長って千人いるわけじゃなくて、千人の兵士を拠出できるていう人口ってことなんで、家族が三人いたとしたら三千人くらいいる、全部で。女子供含めたら。三人どころじゃないだろうからもっといるんでしょうね
樋口:そういうことか
深井:そういう人たちをまず自分たちがまとめてます、と。その人たちはもう自分の隷属民なんです、千人隊長の。それはチンギスも直接命令することができない。チンギスが直接命令することができるのは千人隊長、とか万人隊長。で
樋口:ソフトバンクすね
深井:そうかもしれない
樋口:持ち株会社
深井:ばばばばばってその命令が末端まで一気に広がるようになってるんですよ
樋口:はいはい
深井:さっき言ったちょっとでもミスったら死刑なんでみんな必死にそれを守るんです。そこすごく厳しいんです。
楊楊:逆にその遊牧民てこう、すごく独立心の強かったひとたちと言われてるんで、上から降りてくるリターンが不満だったらすぐに独立したりとかできる、しちゃうんですよ
樋口:そうそう、できるよね。住んでる場所だって変えていいわけから、嫌だったら出ればいい
楊楊:だから上も上でガバナンスを聞かせる上ですごい緊張感がある。ちゃんと与えないといけない
樋口:へえ
深井:しなみに四天王の名前一応言っとこうか
樋口:はいはい
深井:四駿というのがまずいます。これ強い人たちね。チンギスの実質的な参謀の役割であるとか、そのチンギスの軍事面を任すことができる人たち。ボロクルとボウルチュとムカリとチラウン
樋口:絶対強い。むちゃくちゃ強いこいつら絶対
深井:ボロクルとボウルチュは絶対強い
樋口:強い、ムカリはなんか魔法使います。
深井:まあ、全員戦士タイプですけどね
樋口:そうか
深井:あと、四狗っていうのが。四駿は駿の字は馬へんの駿ですね、ようは四頭の速い馬って意味です。
樋口:かっこいいね
深井:あと、四つ、四狗はね、四狗はね、あれ。あの、あれ。犬。犬で、これはクビライ。クビライってあとのクビライとは違う人ね。あと、ジェルメ、スベーデ、ジェベ
樋口:かっこええ、こいつら
楊楊:強い
深井:これは戦士としてもう勇猛果敢な人がこの四狗。四駿はもう少し頭とかも使う人たち。
樋口:なるほど
楊楊:これで戦略ゲーだれか作ってくれないかな
深井:ねえ、これ中二病が
樋口: 絶対そうだ
深井:これを従えてるんですよ、チンギスが
樋口:かっこいい
深井:これとまた別に近衛軍のケシュクってのを結成している
楊楊:一万人くらいね
深井:うん、これは信頼できる貴族から、とか部族から、てか信頼できる千戸の中から有力な若者を選出して精鋭として集めて、それ一万人くらい集めて、それはチンギス直属の軍なわけです。
楊楊:彼もこういう組織だから自分の中央集権的な体制を作ることもすごく重要だったので自分でちゃんと動かせる武力を持つことが必要だった
樋口:直接ね
楊楊:そうそう武力が必要だし、この若い師弟たち、部族の師弟達を教育するっていう意味もあったし、彼らから実は人質をとってるっていう実は意味合いもあったんです。だからいろんな部族の若者たちを集めてるんですね
樋口:なるほど
楊楊:で、自分の直属部隊にしてるんですよ
樋口:なるほど
深井:教育ももちろん施す、それ相応のリターンもばしばし与えて彼らに、あ、チンギス・ハンに仕えてよかったわ。っていうふうに持たせるのも大事だった。それによって彼らが部族に対する忠誠心というかが相対的に弱まるじゃないですか。どっちかというとチンギスの方に引っ張られるという、意味もあったらしくて。あとそれプラス、人質。
樋口:人質
深井:あとだから職務内容がむちゃくちゃいっぱい。軍隊だけじゃなくて、タカとはやぶさ
楊楊:そうそう、の管理ですね。狩をするからね、チンギス・ハンは
樋口:そうかそうか
深井:文書記録とか
楊楊:とかコックとか料理人、武器管理、あとガードマン、守衛ですよね。
深井:いろいろいますね
楊楊:酒の管理、これが後々のモンゴル帝国の政府中枢になって行く形成していく
樋口:まあまあ必要ですよね、でもね、王様の周りに
楊楊:あと、運搬用の馬の管理とか通訳とか、ラクダの管理、羊の管理、警察、音楽隊
樋口:音楽隊とかもあったんですえ
楊楊:あったらしいですよ
樋口:なるほどなるほど
深井:あとはシャーマンもいる
楊楊:あ、そうね、シャーマンもいる
樋口:その辺がいきなり出てくるのが面白いですね
楊楊:モンゴルって
深井:シャーマンも相当偉い人らしくて
楊楊:モンゴルの宗教ってシャーマニズム。ちょっと八百万の神に近いような
深井:おれが読んだ本にはちゃんと書いてなかったんだけど、楊楊が読んだ本に書いてあった
楊楊:そうそうそうそう、書いてあった。シャーマンもいて天とかいろんな地の精霊とかをものすごく大事にする。モンゴルに限らずですよ、遊牧民は大事にしてるんですね。その中で精霊とこう話しができるっていうシャーマンみたいな存在がいるんです。だから王権の他に神権を司るポジションの人が実はいたんですね。それをチンギス・カン殺しちゃうんですけどね
樋口:へえ
深井:邪魔になったのかな
楊楊:どうもこれも全くそのそんなにファクトとしてどれくらいの確かなのかわかんないんですけど、どうもその、ずっとモンゴルのシャーマンを務めて来た人が結構、なんだろう
深井:上から目線でいってくる
楊楊:そうそう、上から目線というか王権にちょっかいをちょっかいというか反対意見をだしてくるんですよね、そのチンギス・ハンに対して。それが正しい意見かはわかんないですけど、それをチンギス・ハンが自分のガバナンスを強めて行くプロセスに当たって邪魔だと思ったんですよ。やっぱ自分に一本化しないいけない。神権と王権、両方がバランスをとってりゃいいんですけど、こっちがこっちにちょっかい出してきたらこれはあんまりガバナンスとしてあんまり良くないということで理由つけてぶっ殺した
樋口:なるほどな、
深井:処刑をする
樋口:おもしろい、神権
深井:この軍事序列はそのまま宮廷内の序列にも反映されてるので、ここで偉いひとが国で偉い人ですという状態になる中で。じゃあじゃあよ、帝国として行政だれがやっとんねんっていう話しになるんですけど、これめっちゃ面白いんですけど業務委託してます
樋口:え、どういうことですか
深井:別の行政が優秀な民族がいるんですよ、ウイグル人とか、この人たちに業務委託的に請負業務で発注してます
楊楊:外人、外人に発注してる
樋口:優秀な外人に
深井:外人に発注してるんですよ
楊楊:ちなみにモンゴル帝国は多民族なんですよ。
深井:超多民族
楊楊:遊牧、モンゴル人だけじゃないんです
樋口:はいはい、
深井:だから、イスラム商人がいたりだとかウイグル人がいたりだとか、だからもう本当いろんな名前の人がでてくるわけ。すごく、その人たちも役職もってるんだけど、結構偉い役職の人たちの名前がモンゴル人と全然違う名前の人たちがぼんぼんぼんぼん出てくるわけです
樋口:ほおお
深井:それがすごいおもしろい
楊楊:ですね。ムスリムとかウイグルの人って商人、商人集団がすごくモンゴル帝国の中枢に食い込んでたというふうにいわれてて、で、こう、彼らが例えばそのこの後にでてくる西に征服していくんですね、そのモンゴルが。で、なんで征服していくかの一つの原因として実は彼らの商人集団の、が政策決定にすごく影響を与えたっていうふうにいわれてる。彼らはビジネスが大事ですから、商業が大事なんで商業するために安全なエリア、安全な道っていうのが必要なんで、彼らがこう例えばもしかしてチンギスに対してここのルートとここのルート安全を確保してほしいとか、このちょっと国が僕の、私たちのビジネスにすごく邪魔だからちょっと排除してくれみたいな、てことでそこに攻めにいって征服して安全なエリアを確保して、で、ウイグル商人とイスラム商人に対して既得権益を与えるっていう構図が実はあったんです
樋口:ほおお、めちゃくちゃ面白い、これ。
深井:だから、モンゴル帝国っていうのは、軍事と政治に関してはモンゴル。部族がやっていて、経済と産業、あ、経済と商業に関してはウイグル族とかイスラム商人とかに、その外注してるという統治の仕方してる
樋口:いやあ、適材適所で外にだしてるってことですよね
楊楊:彼らの方がビジネスが強かったから
深井:そう
樋口:ちょっと株式会社ぽい組織をもってた
深井:そう
樋口:そうすね
深井:だから経営コンサル雇ってる状態
樋口:クラウド会計システム使ってるみたいな。自分のとこで経理のおばちゃん雇うんじゃなくてってことですよね
深井:で、それで、その、その人たちがやってるからこそ、西に伸長して行くときにその人たちの知見があるからすごくうまく統治ができるというシステムを確立してます。彼らはモンゴル人にとってはとても普通のことなんです。こういう人たちを活用することは。ここもその遊牧民の強みの一つでしょうね
楊楊:そうだよね
樋口:だからミニマリズムというか持たない状態で何をやるかみたいなところも繋がってるきがしますね
楊楊:そうそう
深井:自分たちが得意なことに集中してますよね。だからね
樋口:そういうことやな、はい
深井:あとは漢民族の官僚とかを使って、そのあとはその、税の徴収を課し始めてたりする。その漢民族ってやっぱ税収、税の徴収ちょううまい官僚組織だから
楊楊:システムをそのまんま使うんですよね。
樋口:へえ
楊楊:イメージ的にいうとどうなんかな、例えばモンゴルがどっかの企業を買収して、で、一応社長にモンゴル人がなるけれども、経営はもうあんたらに任せるからちょっと役員報酬だけ頂戴みたいな
樋口:なるほどなるほど、そういうことですよね。だから本当持ち株会社っていう感じが
深井:だから、そこに対してそのなんていうか、みんなもみんなって、モンゴル部の支配層の人たちもそういう人たちを使うことに抵抗がない
樋口:てことですね
深井:これ、アレクサンドロスの時はギリシャ人がマケドニア人ぽくなることにものすごく抵抗があったでしょう
樋口:そうだそうだ、あった
深井:ここには全くそれがないんです
樋口:だから服着たりしてましたもんね、なんか
深井:服も、とかはもうみんなばらばら
楊楊:ばらばらだったと思いますよ
深井:好きにしてって思ってる。宗教とかも全部許してるし
楊楊:そうそうそう
深井:全部平等に扱いなさいっていってる。宗教に関しては
樋口:はあ
楊楊:自分たちのなんか宗教とか思想をまったく強要しないです。ああもう好きにやっていいよ、ちょっとくらい税金くれればオッケーみたいな
樋口:な、るほど
深井:何よりもペルシャ帝国とかってちょう豪華絢爛な宮殿を作ってたって話しを確かしたと思うんですけど、
樋口:はいはいあったあった
深井:チンギス・カンはちょう質素なくらししてますから
楊楊:ぜんぜんイメージ違うでしょう
深井:チンギス・カンは移動宮殿使ってるんで、彼の宮殿の大きさ、直径17mだから下手したらリスナーの方がでかいから
樋口:リスナー
深井:17mだよ。下手したらリスナーの方がでかい
樋口:リスナーの方が
深井:でかいリスナーの人いるよ絶対
樋口:いるいる
深井:チンギス・カンより
樋口:絶対そうだ
深井:贅沢してないんよ。
楊楊:質素なんですよ
深井:贅沢をしたいとも思ってないわけ、たいして。
楊楊:そこに価値を感じてない
深井:感じてない。
樋口:ありやあすげえな
楊楊:どっちかっていうと鉄作りにすげえ情熱注いでる感じ
深井:この次の回でいいますけど、鉄がどれだけ彼ら、彼というかチンギス上手くつかったかって話
楊楊:鉄マニアだよね
深井:さらにもう一回喋りますけど
樋口:なるほど
深井:全然ちがうでしょ
樋口:全然違う
深井:国が
樋口:はあ
深井:で、チンギスはですね、だいぶ、これの時点では広大な領域を治めはじめてますけど、そのあと家族がね。あの、すごく手伝ってくれてるわけ。あたりまえっちゃ当たり前なのかもしれないですけど。息子たちはね。息子たちをね西側の危険な地域に派遣してそこを滅ぼしてお前の土地にしなさいっていって派遣するんですよ。
楊楊:教育するんだね
深井:で、
樋口:はいはいはい
楊楊:鍛えるんだ
深井:安全な自分たちがもともと住んでたとこの土地は自分の弟たちに与えていくんですよ
樋口:へええ
深井:ていうふうに、配置をして、家族を。で、ちなみにお妃さんとかも、ようは妻ですよね、何人もいるんですけど、その妻も自分たちの領地を持ってたりとか、妻もヒエラルキーになってる、妻の中で。妻たちの中でヒエラルキー構造があって、トップに四人いて、そこからばあって広がってて。彼らには命令指揮系統権がある。
樋口:へえ
深井:ていう、そのなんかすっごい組織作りしてる。
樋口:家族ともいいきれないなんか、すごいすね
深井:で、あの、通い婚してる。通い婚してるからそのチンギスが今日はこの人みたいな感じで、その人のテントにいって、みたいな
樋口:そこも定住してないって
深井:定住してない。けっして同じ家で寝ないみたいな、そんなことないだろうけど
樋口:そんな感じか
深井:はい
樋口:所有してないですね、なんか
深井:そうですね。あとは四駿のムカリとかボオルチュとかがいて、あとは息子たちがいて。
樋口:はいはいはい
深井:息子たちも強いんだよね、やっぱり
樋口:はあ
楊楊:強い
深井:強いんですよ。やっぱ戦って勝ってるんですよ、息子たちも
樋口:へえへえへえ
楊楊:純粋に彼らのセンスもおそらくよかっただろうけども、これも後ででてくるんですよ。鉄資源というかね、戦争するための物資がやっぱ充実していたのも相当でかいとおもいますね
深井:物資の輸送手段であるとか彼らの移動の速さであるとか。機動性であるとか。ゆうことですね。次それ喋ろ、じゃ、次
樋口:なるほど、わあ。強さの秘密みたいなところ
深井:強さの秘密はなす
樋口:それ、めちゃくちゃ知りたい
深井:うん
樋口:はい。うわああ、じゃあ今回はこんな感じですかね
深井:はい
楊楊:はい
樋口:ありがとうございました
楊楊:ありがとうございます