#118 鉄を求めてウン千里!チンギス、覇王への道

【今回の内容】
地道な大器晩成型
テムジンの一大決断
人生のテーマ:鉄資源
チンギス・カンは劉備タイプ
チングス!!
いまのはカットしません
食いもんと交易路は大事
戦争目的がアレクサンドロスと違う
食わしてくれるリーダーかどうか
モンゴル高原の秩序が崩壊

樋口:はい前回まではチンギス・カンが誕生したってとこまでお聞きしたんですけども、今回からは青年時代突入ということで

深井:そうですね。13歳でイェスゲイが亡くなってしまって、なんのパワーもない状態になってしまったチンギスの一家なんですけども。チンギスはその一家を長男としてお父さんもいないから自分が引っ張っていかないといけないという中で、タイチウトがさっき言ったみたいに自分たちを攻撃してくるようになります。タイチウトが自分たちを殺そうとして。その中でどうするかを考えてやったのがケレイトのトーリル・カン

樋口:はい、出た

深井:さっきのイェスゲイ。イェスゲイ・バートルがカンにしてあげたトーリル・カン。このトーリル・カンに助けを求めることになります。お父さんが恩を売ってるからこのトーリル・カンの助けを求めて、もっというと、部下になって、部下にさせてもらって、その部下のトーリル軍の先鋒隊みたいな感じで戦うようになるんですね

樋口:特攻隊長みたいな感じですかね

深井:まあ、そうですね、特攻してたかどうかわからない、まあしてるんでしょうけど、すごくそこで活躍するんです、ここでこの人

楊:一回サラリーマンになるのかな

深井:普通に雇われる感じですね。で、トーリルの配下になったことによってそもそもタイチウトとキヤトがあってキヤトが分裂してたんだけど、キヤトはそれでまとまってくることになる。トーリルの後ろ盾があるから全くなんにもない状態から一応なんとかなるんじゃねえかみたいになって、キヤトを再度まとめることができるようになるんです。で、この、キヤトが、を、再度まとめた人たちをまとめてちょっとずつ力をつけていく、めちゃくちゃちょっとずつね。本当まだこの時点で百人もたぶん部下がいない状態なんじゃないかなと思いますけど、そういうふうにちょっとずつ力をつけてキヤトの中のリーダーにはもうなってる。ですよ。で、一気に話とびますけど、30歳くらいの時、たぶん

樋口:いきなり30歳

深井:30代くらいの時までそういう状況が続いてるわけ

樋口:けっこう飛びましたね

深井:その間に何回か戦いとかもあるんだけど、30歳くらいの時にけっこう大きい事件が起こるんです。それがタタル。がね。金の金派閥だったタタルが金派閥から離反するんです

樋口:あら、唯一の確かあれだったですね、味方というか

深井:チンギスとケレイトがくっついたことによってパワーバランスがちょっと崩れてて。モンゴルとケレイトが直接金とやりとりするようになったんです。そうすると中間マージンをとってたタタルが困り始めるんです

樋口:なるほど、なるほど

深井:困って、タタルが金から離反して、本当はタタルだけじゃなくて他の人たちも金から離反するんですよ

樋口:へえ

深井:金から離反したのを見たチンギスはここで即断即決が一つはいるんだよね

樋口:ほう、なんだろう

深井:金に味方すること即決して、

樋口:ええ

深井:それをトーリルに進言して自分の上司であるケレイトのトップトーリル・カンに進言してすぐに金の側についてタタルを殲滅しましょうという話をする。

楊:寝返るってことだよね

深井:うん。西遼派だったんだけど、金派に変わるっていう決断をここでします

樋口:ほうほう

深井:ちょう詳しいことはもはやわかりません

樋口:へえ

楊:たぶん勝てると思ったんでしょうね

深井:勝てると思ったのもあるし、実はこのあと、この人の人生を通してのテーマになるんだけど、鉄資源の確保。戦かって、要はね、チンギスはさ、ずっとデンンジャラスな状態にいていつ死んでもおかしくないわけ。自分の家族と部族が。ていうキヤト族がいつぶっつぶれてもおかしくない状態にいる中で、自分たちを強くするためには鉄が必要なんですよ。他の部族に先立って自分たちを強くするためには鉄が必要なんだけど、遊牧民にとって鉄ってとても貴重な資源で

楊:生産する技術ももってないからね

深井:常に不足してるんです。この鉄の資源を金はもってるんです

樋口:なるほど。ややこしいけどね、金が鉄をもってるって

深井:そうですね。

樋口:はいはいはい

深井:金属つながりで

樋口:金属つながりで

深井:金の仲間になることによって鉄資源の安定的確保っていうのをねらったんではないかと言われてる

樋口:へえ、西遼にいるよりも金の鉄資源を持った方が、と思ったってことか

楊:軍事力に直結する物資ですからね

樋口:なるほど

深井:これによってケレイトとモンゴルでタタルの族長を殺すことに成功するんです

樋口:勝った

深井:そうすると金から褒賞されてケレイトのトーリルがオン・カーンって名前になるんです

樋口:出世するみたいな感じ

深井:出世する。まあ、あのね役職をえるような感じ。事業部長みたいになるみたいな。ジャウト・クリってのをチンギスは貰うんです。

樋口:これも役職

深井:課長くらいな感じ。百人隊長。課長よりも上かもね。百人隊長くらの感じになって、この時ちなみに大人は皆殺しにしたらしいね。

樋口:うわあ、そんなのがいきなり入ってくるんだ

深井:30歳くらいの時なんだけど、この時点でまだ百人隊長っていってるから百人から三百人くらいのリーダーでしかないってこと。

樋口:はいはいはい

深井:30歳で三百人のリーダーでしかないです

楊:それでも、今の感覚からすればすげえけどな

樋口:一個人からすればすごいけど、

深井:僕らと比べたらすごいけど、世界帝国の人と比べたら

楊:微々たるもの

深井:だってアレキサンドロスが30歳の時なんてむちゃくちゃ部下しるからね

樋口:そうとう遅咲きってことがわかりますね、これで

楊:地道だよね地道

深井:地道地道。そう。

樋口:はい

深井:で、まあ、金側につくということをします。

樋口:ふうん

深井:はい。で、西遼派から離れたじゃん。今度ね、西遼派と戦うことになるわけ

樋口:そうなるわ、うらぎったもん

深井:この西遼派ってのは、さっきオン・カアンってのをトーリルに金が与えたって言ったじゃん。西遼派はね、グル・カンなんです。グル・カン。でこのグル・カンていう名前を与えられてるひとがジャムカって人なんですよ

樋口:ジャムカ

深井:ちょっと人の名前出すぎて、あれかもしれないですけど、このジャムカってのは伝説上では幼少期からチンギスから知り合い。でも、たぶん伝説。このジャムカっていうめちゃくちゃ強いやつがいるんですよ

楊:優秀だったみたい

深井:めちゃくちゃ優秀だったらしい

樋口:ライバルみたいな

深井:ライバルです。このジャムカと今度チンギスが戦うことになるんです。

樋口:はあはあ

深井:で、このジャムカに負けてるんです、何回か

樋口:へえ

深井:強いんですよ。

樋口:はい

深井:このジャムカにも勝つんですけど、それがどういう勝ち方したかとかは伝説でしか残ってないからよくわかんないんですけどジャムカにも勝っていきます。ここでね、僕が面白いなとおもったのが、ジャムカってのはね戦闘指揮官としてはとても優秀だったらしい。チンギスよりは優秀だったらしい。だからこそチンギスは戦争では負けてるんですよ。でも戦争で負けたチンギスがなぜそのあと世界の覇者になっていったのかってのがすごく面白くて、チンギスはね、みんながリーダーになってほしい人だったらしい

楊:あれ、劉備的な感じがある

深井:ジャムカって優秀だから個性強くて、この人をリーダーにしてしまうと色々なんかこう得する人と得しない人が明確に分かれるんじゃないかみたいな感覚がその遊牧民族の中であったんじゃないかって言われている

樋口:ありゃりゃ

深井:そうするとみんなからの支持が集まらないじゃん。チンギスはさ、人望はあるんだけど、自己承認欲求みたいなのがあんまないタイプだったんだろうと思われる

楊:実はね

深井:そう。その、我がそんなに強くないんです。チンギスって。

樋口:ふむふむ

深井:アレキサンドロスとは明確に違うわけです、そこは。チンギスがリーダーになった方が他のいろんな部族からするとすごく都合がよかったんじゃないか。だからジャムカの方が強かったのに、結果的にチンギスが勝って、チンギスがモンゴルのリーダーになっていくっていう構図があったんじゃないかっていうふうにいわれてる

樋口:ほお

楊:なんかね、あれもしかしてそのチンギスに着いていった方が食いっぱぐれがないっていう感覚があったかもしれないね

深井:それもあると思うね

楊:ちゃんと物がもらえる。戦った分だけもらえるていうふうに

樋口:そうか

深井:そう

樋口:いきなり役立つチップスがはいってきたな

深井:チングス、チングスじゃない、チンギス

樋口:今のはカットしないですよ

深井:普段カットするところ

樋口:今のは使います

深井:チンギスはそのあれなんですよね、やっぱ資源を獲得をするってことにものすごく情熱を注いでるんです。鉄資源を獲得するために金とつなぐってのもそうだし。たとえば冬にとてもいい冬営地を持っている冬のね、冬営地ね。冬に住む場所を持っているキヤト、同じキヤトの氏族の人たちもぶっ殺したりしてる。もちろん最初から対立があったからだと思うんですけど、けっこういろんな口実をつけて攻めてるんですよ。攻めなくてもよかったと思うんだけど攻めてそこを奪いとったりしてるんです。それはやっぱり自分の配下を養うって感覚がすごくあったんじゃないかなと思う

樋口:そうか

深井:だから、彼らを殺さないために鉄も必要だし、いい冬営地も必要だし、あと、交通、交易をするために道を確保しないといけない。道を確保が必要だし、みたいな感じで、そういう必要性に応じて戦争している感覚があるんですよ

樋口:なるほど

深井:それはまったくアレクサンドロスの動機と違うんですよ

楊:欲ではないもん、必要性に応じて

深井:必要性。こいつら養わないといけないからみたいな、ちょっとマフィアのボスっぽいよね、だから

楊:ああ、なるほど。しのぎしないとだめだよね

樋口:主語が一人個人じゃなくてたぶん族全体になってる

深井:族全体なんですよ

樋口:我々が生き残るためにわっていうので判断してる

楊:そうそうそう

深井:彼は分配が上手かったんだろうし、とても

楊:そうそうそう

深井:だから、その信頼されるわけ。略奪してした後に分配がうまいってなると、チンギスの後々の話ですけど、チンギスの周辺て四天王みたいなのが二グループいるんですよ。8天王みたいなのがいるんですよ。めっちゃ強い奴らがいる

樋口:男塾みたいな

深井:四駿ってのと四狗て呼ばれてるんですけ

樋口:マジで男塾みたい

深井:その人たちがいて、その人たちがめちゃくちゃ戦争強いんですよ。その人たちが手足のように同時並行で攻めていくんです。全方面。そういう状況作れたのもたぶん彼がそういうタイプのリーダーだったから

楊:なんか、バランスな感じがするよね

深井:バランス型

楊:バランス型

深井:彼らにうまく配分もできたし、やっぱり戦闘指揮もうまい方だったし、その、我欲が少なかったし。かといって全くないわけでもないし、みたいな。人にいいようにされるタイプでもなかったはずです。やっぱり意志も強いし。

樋口:なるほど

深井:みたいなところがあって、彼はその、ここからその、もう本当に、ね、一番最初は自分の身を守るためにトーリル・カンを頼って。で、自分の身を守るために金を頼って、その自分の身を守るために西遼派のジャムカと戦って、勝ってみたいな。身を守るため戦いがずっと続くんです。

樋口:そうか。過酷ですよね

深井:ここくらいになった時に、その、タイチウトもそのね、自分が青年期の時に命を脅かされたタイチウトにも勝つことができる。これはメルキトっていうところと同盟してたんだけど、そのタイチウトを倒すんですよ。これによってカブル・カンの時とかにまとまってたモンゴル部がやっとモンゴル部としてやっとまとまって、大きく二つのグループに分かれて闘争してたしちゃってたんだけど、これが一つにまとまっていく。

樋口:モンゴル統一みたいな

深井:これ、モンゴル王国みたいなの作ることができた。この時点でモンゴル王国の王様になる

樋口:はあ、すごい

深井:はい。

楊:食わしてくれるリーダーってやっぱものすごく大事だったんだろうね。当時の環境の中では

深井:でしょうね。過酷ですから。その、マズローの欲求段階で言ったら生きるってのが大事なんです。その生きるってところに対して渇望がやっぱり彼らをこういうふうな闘争に駆り立てているんですけど。この時点でモンゴル高原の秩序が実はもう崩れ始めてるわけ。ずっと西遼と金が、保ってきた

楊:パワーバランス

深井;パワーバランスが実はモンゴル、カムク・モンゴルが、カムク・モンゴルってモンゴル王国のことなんだけど、モンゴル王国が出来上がることによって崩れてくるんですよ

樋口:そういうことか

深井:面白いのがこの後ね、チンギスってずうっとちょっとずつ力をつけるわけ。で、ちょっと力をつけると誰かがその力をつけたそのチンギスを潰しにくるんですよ。

樋口:はい

深井:そいつを返り討ちにするってゆう構図がずっと続くんです。裏切られ、それを返り討ちにする。この後トーリルがチンギスが力をつけすぎてしまったことによって、怖くなってチンギスを討伐しようとする。

楊:そうだよね。警戒されるよね

深井:警戒されて。そのトーリルを返り討ちにするっていうのがこの次の話

樋口:ずっと戦ってますね

深井:だから、冒頭にもいったんだけどずっと危険な状態にある

樋口:そうですね

深井:たぶん心が休まったことはなかったんじゃないかと思う。今日安心して寝ようみたいな日は果たしてあったんだろうかと思います

楊:たぶんどの遊牧民もそういう感じだったとはおもうんですよ。でもその中でチンギス・ハンはあの生き残ってきたってことはちゃんと地道に正しい選択を小さく小さく積み重ねて行けた人なんじゃないかなと想像しています

樋口:なるほどね

深井:でも、ジャムカとかタイチウトとかをね、倒すことによってチンギスはケレイトのトーリル・カンと同じくらいの軍事力を実はもうこの時点で持つに至ったわけですよ。それでこう睨まれてしまうんですけど。ね。

樋口:なるほどね。いやちょっとこれ戦ってる最中しかも家ないんですよね、家っていうか定住してなくて

深井:まあ定住はしてない

樋口:動いてる中でそれをやってるんですよね。戦いながら自分で食料調達しながら、鉄調達しながら相手倒しながら。

楊:そう

樋口:やべ、さみいとかいいながらやってるんですよね

楊:そうですよね

樋口:その前提をちょっと僕ら忘れがちになるんですけど、生きるってことがすでにハードルが高い中でそれやってるわけですからね。

深井:だから、戦うということ自体はその生きる中の一つに入ってるから、その、逆にハードルが低い。戦うことのハードルは低い。生きることのハードルが高いて感じですよね

樋口:生命の維持っていうのがそもそもむずかしい状態でやってるってのがちょっと本当に違う世界で生きてる人たちだなっていう。酸素薄いって中でやってるみたいな感じでしょ

深井:そうです

樋口:なんか

楊:まあでも、食を確保するための技術とかもかなり発達してるからね。乳製品を作ったりとか保存食を干し肉を保存食を作ったりとか

そうか

深井:普通に暮らしてたらいきなり死ぬことはないってことですけど、略奪とかされると死にます

樋口:てことですよね

深井:はい

樋口:いやあ、ちょっとこの先どうなっていくのか楽しみでございます

深井;はい

楊:ありがとうございました

深井:ありがとうございます

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