#111 コミュ力MAX!最高の教育で急成長するヘレン・ケラー

【今回の内容】
・質問魔の誕生
・話を聞いてあげて!
・教育は観察から
・サリヴァンとヘレンの自然教室
・ヘレンは超能力者?
・言葉のシャワー作戦
・クリスマスに起きた奇跡
・両親号泣
・樋口、泣きます。
・可愛すぎたヘレン
・「わからない」ことは悪いことか?

樋口 前回まではヘレン・ケラーが文字、つまり単語を認識するというところから文章を認識するところまでの話をお聞きしたんですけれども、今回その続きを。

深井 そうですね。こんな感じで手紙まで書けるようになって、本も読んでいくと。読めているかどうかは別として読み始めたヘレン。

樋口 すごいよね。

深井 ですね。すごい質問魔になります。あらゆることを聞いてくる子供になりますね。その日、聞いたこととか経験したことを全部お母さんとかに報告したりする、本当にうれしくお母さんに報告したりして。サリヴァン先生はヘレンが何かを報告してきたりとか何かをしゃべろうとしてきたら必ず聞いてくださいと家族全員に言っているんですよ。真剣に聞いてくれと、それは、というのを言っていますね。これも本当にキーポイントだなと思う。

楊 そうだよね。本当に。

深井 ヘレンが楽しく話せることをとにかく重視するということです。要はヘレンが自分が経験したことを話すことを楽しむように協力してくださいと言っているんです、みんなに。

樋口 なるほど。

深井 それが一番勉強になるからと言っているんですね。言語の。

楊 俺もここを読んだとき、相当衝撃を受けたもんね。要するに正しいコミュニケーションじゃなくて、まずコミュニケーションする楽しさをヘレンに分からせてあげようとするんですよね。

深井 そう。これは素晴らしいよね。だから英語教育とかでいくと、英語を正しく教えるとかいうことじゃなくて、英語話者と話すことを楽しいと思わせることに集中していることになります。すごいよね。その通りじゃん、でも。

楊 その通りだよね。

深井 その通りじゃん。英語を話せるようになる一番早い方法、絶対それじゃん。

樋口 その通りだ。

深井 それをやっているんですよ、サリヴァン先生はね。非常に明るい子供になるんですよ。これで、ヘレンは。それはそうだよね。周りからもともと愛情を注がれていますと。四六時中誰かがそばに付いていろいろ教えてくれていて、好奇心を満たされ続けている状態でみんな自分の話を喜んで聞いてくれているわけでしょう。それは楽しいよね。

楊 だよね。今まで外の世界の情報に接してない分、その反動が一気に好奇心となって出た感じだよね。

深井 そう。いろいろなことを聞いてくるわけ。何で地球は重いのに落ちないのかとか、太陽は何であんなに熱いのかとか。あと赤ちゃんって何で生まれるのかみたいな困った質問とかをしてくるわけですよ。そのときの話も、サリヴァン先生の書いてあるからね。

楊 そうそう。

深井 子供が生まれるのはどうしてと聞かれたときにうそを言うのも違うし、生命の神秘も教えないとなとかいって。サリヴァン先生の感想が手紙に書いてありますよね。

楊 面白いよね。

深井 面白いですよ。

楊 人間の赤ちゃんって卵から生まれるのとか。

深井 そうそう。卵じゃないけどねみたいな。でも最後ちょっとぼかしたと書いてありましたね。それで、その質問を非常に大事にして、そこから学んでいくということをさせていきます。いかに勉強しているという感覚を持たせないかということを大事にしているんですよね、これは。

楊 すげえ。

深井 勉強していると思わせない。結果的にこれは勉強になっていると。だから勉強、しかも教育理論とかにとらわれないと。その子を見てその子を観察することによって教育方法を試行錯誤するという方法を採るということをこのときサリヴァンが言っている。

楊 マジですごいよ。

深井 やばい。

楊 今でもそれをできる教育者って少なくて。

深井 いや、ほとんどいないよね。その子の観察から来る示唆に従って教育するというやり方は非常に大事だと思います、僕も。

楊 その場でその子に適する最適解をその場で出そうとしているからね。すげえよ。

深井 これは本当にその通りだと思いますよ。やっぱり人ってインプット特性とか興味分野が違うので、人によってやっぱり教える順番とか教え方が違うはずなんですよ。だからここでサリヴァン先生はそれをやっているわけですよね。ほかの人はヘレンと接するのが知らない人とかだったり、家族とかだったらいいですけど、やっぱりちょっと戸惑うわけじゃないですか。

 ヘレンに知らない単語があったらどうしようとか思うから、ヘレンとしゃべるときになるべく簡単な言葉を使おうとしたりするわけだよ。しゃべると言っても指文字の通訳がいるけど。それもやめてくださいと言っているんです、サリヴァン先生。普通にしゃべる。分からない単語があったらどうしようとかいうことを考えないでくださいと。関係なく話しかけてくださいと。それが一番、そういうのも分からなくてもすごく意味があるんだと。分からない言葉があることが、分からないことじゃないんだと言っているんですよ。分からない言葉があっても、伝わるんですと言っているんです。分かるってそういうことじゃないんですよと。

樋口 ちょっと待って。きつ。何か。

楊 そういう子供の教える限界をこっちから設けてしまったら、結局その子のためにならないんですよね。やっぱりサリヴァン先生が当時目指していたのはこの子が将来的に普通の一般社会でもちゃんと立っていけるようなところをゴールとしていたんですね。それだったらじゃあ、しゃべる以上に同じしゃべってくださいというふうにお願いしていた点もかなり大きいと思います。

深井 そうですね。あと自然に触れさせるというのもすごく大事にしていましたね。

樋口 していたね。外で授業をしていたもんね。

深井 だからその生物がどう育っていくかとか花がどう育っていくかとか、それも本来、目で見られないから結構分かりづらいわけじゃん。だからそれを手でちゃんと触らせて、オタマジャクシがカエルになるとかいうことって写真を並べたら一応目が見える人はそうなんだと思うけど、ヘレンにそれをどう伝えるかってやっぱり難しいわけじゃないですか。だから毎日ずっとそれを触らせ続けるわけです。オタマジャクシを。そうしたらどこかの段階でカエルになっていくわけじゃん。そういうので教えていくんですよ。

樋口 そうか。時間の経過も教えるのが難しいのか。

深井 そう。あと、鳥が卵から生まれるところも、生まれる瞬間を触らせてあげないと分からないでしょう。だからその瞬間を触らせてあげるわけですよ。

楊 鳥が殻を破ってくる瞬間の卵をヘレン・ケラーに持たせたんですよね。

深井 そう。だから結果的に最高の教育をしていることになるんだよね。

楊 うん。吉田松陰かと思ったよ。

深井 そうだよね。教育の神髄ってここら辺にあるんだろうなと思いますね。すごく単語、語彙とかまだヘレンは少ないんだけど、実はこの時点で触覚とか発達していたと言っていたじゃん。だから同じ単語を伝えていても、もう相手の筋肉の動きでどんな感情で言っているか分かっていたらしい。

樋口 マジ。

深井 うん。例えば、だから筋肉の動きだけでその人が今どういう状況かだいぶ分かるらしくて、例えばですけど、一緒に馬車に乗っていますと。サリヴァン先生が隣にいますと。そのサリヴァン先生の手を触っている状態で馬車に乗っていて。そうしたらサリヴァン先生が何かを見て、何かを考えたらしいんですよ。景色の何かを見たら。そうしたらヘレンがもうそれで何かを今考えていることが。だから先生、どうしたのとそれで聞くんだって。

楊 そうそう。俺もそれ、何か読んだよ。確か誰か男が警察にしょっ引かれている光景をサリヴァン先生が見て、それを、その直後にヘレン・ケラーが先生、今何を見ているんですかと聞いたらしい。

樋口 へえ。

深井 すごいよね。だから、そういう細かいことまで実は分かるんですよね。目が見えなくて、耳が聞こえなくても。

樋口 いや、だから第六感の正体かもしれないですね。

深井 第六感の正体はこれかなと僕も思いましたね。サリヴァン先生はとにかく何でも描写してあげるわけ。旅行とかに行ったりするんですけど、汽車の窓から見えるものをひたすら指文字で教え続けるわけですよ。ひたすら。今、山があってねとかいって。山の大きさがどれだけでかいかとかも、難いじゃん。教えるのが。見てないわけだから。エベレストとか見たこと、俺もエベレストを実物見たことないけどさ。赤ちゃんのときってまだ自然の雄大さとかちょっと分からないじゃないですか。

 だからその自然の雄大さをどう伝えるかみたいなことを何かたぶん指文字とかでできるようになっているんだよね、この時点で。

樋口 百聞は一見にしかずという言葉がありますけど、要は見れば分かることを100回伝えないと。

深井 そうそう。

樋口 ものすごい根気やな。

深井 これ、あと両親がそれを見てやっぱりすごく安心するんですよね。両親は奇跡だと思うわけ。まさか言葉を、手紙とか書くようになるのみたいな。マジでみたいな。奇跡だみたいな感じでサリヴァン先生にめちゃくちゃ感謝するんですけど、泣いて感謝しているんですけど、一番感謝したときがいつかというのが、確かにそうだなと思ったんですけど、サリヴァン先生が来てから初めてのクリスマスのときだったんですよ。来て9カ月後ぐらいか。

 そのときに今までのクリスマスは、ヘレンの7歳になるまでのクリスマスはヘレンにクリスマスを伝えられなかったわけ。みんなはクリスマスを祝っているんだよ。だけどヘレンは分からない。クリスマスであることが。

楊 そうだよね。

深井 今日が何の日かも分からないし、特別な日であることは何となく感じていたかもしれないけど楽しみにもしてないし、ヘレンは。普段と同じように過ごしていたわけです。だけどサリヴァン先生が来た年のクリスマスからはヘレンがクリスマスにプレゼントをもらうとかあげることをすごく楽しみに過ごして、きゃっきゃっ言っていたらしいです。クリスマスに。それに両親が超感動するんです。

楊 本当、子供らしさを初めて目にしたという感じですもんね。子供がちゃんと子供しているみたいな。

深井 クリスマスを一緒に祝えるとか、クリスマスを楽しみにしているわが子を見られるということにすごく感動してサリヴァン先生にあらためて感謝の気持ちを伝えるんですよ、ここで。

樋口 何かちょっと待って。やばいね。クリスマスを子供が喜ぶという当たり前のことが逆になかったということですね。

楊 なかったんですよ。

樋口 ちょっと待って。なるほどね。いや、ちょっと僕も子供がいるのでめちゃめちゃいろいろ考えています。

深井 子供がいたら、俺やばいと思うよ。俺、子供はまだいないからさ。ぎりぎり耐えられているけど、子供がいたら泣いていると思うもん。

楊 俺も読んだときに結構何遍か泣いてしまった。

深井 俺は本当に感動しましたね。クリスマスは本当にそうだなと思いますね。今までクリスマスを楽しめてなかったわが子を見たときの罪悪感じゃないけど、悲しみとか。世間はクリスマスなわけじゃん。だけどこの子にはやっぱり分からないんだなと思っていたわけだよ。

楊 あったろうね。このとき何歳だったっけ。

深井 7歳、8歳ぐらいだね。

楊 だからそれまでずっと要するに、家族であって、家族じゃない感じだったんでしょうね。同じ時空間を共有全然できてなかったから。

深井 強い愛情は持っているから、ヘレンに対して。それを一緒に祝いたい気持ちであるとか、分かってクリスマスを楽しんでほしい気持ちとかもすごく持っていただろうし、サンタクロースという概念を伝えたかったと思うよね。伝えられないわけよ。サンタクロースという概念。サンタクロースがプレゼントを持ってくるから靴下を飾っておかなきゃねみたいなことが言えないから。

楊 そうだよな。

深井 それが初めて伝わって、その通りに喜んで、楽しげにプレゼントを開けているんですよ。やっぱりみんなでプレゼントをあげたわけ、ヘレンに。プレゼントの概念が伝わるからさ。みんなでプレゼントをあげて、すごく楽しんでいるところを見て、めちゃくちゃ、お父さんなんか言葉にできなかったらしいです、このとき。

樋口 ちょっとね。さすがに僕はそのお父さんの気持ちは分からないですけど、何か僕も息子にトーマスのおもちゃをやったりとか家で遊べるちっちゃい滑り台をやったりしたときにすごく喜ぶんですよ。それがすごくうれしいんですけど、それが何をやっても分からなかった状態がずっと続いて、いきなりそれが分かるってちょっと。

楊 そうだと思うな。そうだよね。

樋口 まずあれがなかったのかというのでうわっとなって。分かった瞬間のことを想像するとちょっとやばいかもしれないですね。

深井 食べ物をあげたら喜ぶとか、人形をあげたら喜ぶというのはありましたけど、やっぱりそこのさらに抽象的な概念のプレゼントみたいな概念とか。

樋口 クリスマスというのはね。

深井 特別な日とかね。誕生日とかそういうのが分からないわけよね。

楊 そうね。喜びとか楽しみを共有できるようになったとか、感傷、感覚だったりとかさ。

深井 共有ができないよね、だから。喜んだりはするかもしれないけど。ヘレン自体が。一緒に喜んだりとか、そういうのもたぶん難しかったと思いますよ。そういうのができるようになっていったこの感動があったということが手紙の中に書いてありますね。これは奇跡ですよね。

楊 サリヴァン先生も本当にすごい先生だよな。

深井 すごいよね。

楊 手紙の中にも書いてあって、何かサリヴァン先生の手紙の中に毎日、毎日仕事が面白くなってきて、私は夢中になっていますみたいな。

深井 書いてあったね。書いてある。世の中でこれほど自分の仕事を楽しんでいる人はたぶんいないと思うと書いてある。

楊 書いていた。

樋口 美しい。

深井 あともう1つ顕著な特徴として思ったのは、ヘレンがかわいいとめっちゃ手紙に書いてある。

楊 自分がめっちゃ愛情を持つようになったんだよな。

深井 ヘレンのかわいさについてめちゃくちゃたくさん書いてあるわけ。すごくそれはほほ笑ましかったね。

楊 いや、もしかして自分が愛情を注ぐべきだった、弟に注ぐべき愛情を。

深井 そうだね。弟が早めに亡くなっているからね。

楊 そう。ヘレン・ケラーに注いでいるのもかもしれないもんな。

深井 ヘレン・ケラーが同じぐらいの年齢なんですよ。弟が死んだときと。1〜2歳ぐらいしか違わないんです。だから。

樋口 それもあるんや。

深井 そう。ヘレンがこんなかわいいことをしていたんですよみたいなことを手紙にめっちゃ書いているんですよ、サリヴァン先生。

楊 本当に書いているもんな。

樋口 いい関係やな。

深井 いい関係だよね。そして、ヘレンはめちゃくちゃ幸せだよね。

楊 そうそう。

深井 もちろん大変な人生ですけどね。はい。ということで、次回からはここからヘレンが育っていって、大学に入学するところまでいくんですよ。そこについて次回は伝えていきたいなと思います。

樋口 なるほどね。いや、何かあとちょっと僕、途中で思ったのが、絶対難しい言葉を使って話してくれという話があったじゃないですか。簡単な言葉を使うなみたいな。あれって結構僕、今子供と付き合うときにやっちゃっているなと思っていて。

深井 そう。僕もそう思います。子供に普通にしゃべってもいいんじゃないかなと思いますよ。実は。そこから勉強しますので、分からなくても。

樋口 そう。例えばうどんとかも、最初うどんと言ったら分からないんですよ。だからうどんもちゃんぽんもそばもちゅるちゅると言っているんですよ。ちゅるちゅる食べると言っているんですけど、でもやっぱりずっとそう言っていたらうどんという言葉が分からないんですね。

深井 そうですね。

樋口 とか、あと僕保育園の先生に言われたのがはしを子供が持てると思ってなくて、子供が。でも、とにかく難しいと思うことでもやらせろと言われて、はしを持たせてみたら、意外と持てるんですよ。だから吉田松陰のときも言っていましたけど、やっぱりなめちゃいけないなという。

深井 ですね。なめちゃいけないですよね。

樋口 できなくてもできると信じてやる根気があれば必ずそれに対応してくれるんだなという。子供もそうだし、弟子だったり、生徒ですよね。とか何かいろいろがつんとやられました。今回。いろいろなことを考えされられたという回でございました。ということで、続きは次回以降ですかね。

深井 はい。次回いきます。

樋口 はい。ありがとうございました。

楊 ありがとうございます。

(録音終了)

 

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