#96 長州オワタ\(^o^)/ そして、その時歴史が動いた

【ポイント】
①禁門の変で久坂玄瑞はじめ長州の人材が死んでいく一方、野山獄にいた高杉晋作は生き残った
②晋作は藩代表として四か国艦隊との敗戦交渉を担い、責任を幕府になすりつけるという破天荒な交渉を見せた
③長州で再び実権を握った幕府恭順派に対し晋作はクーデターを決行、藩論を倒幕へと一気に傾けさせることに成功した


樋口:ということでございまして、長州藩が何と四面楚歌の状態に陥ってしまった中で、高杉晋作は牢獄の中にいると。

深井:そうですね。牢獄の中にいます。

樋口:さあ、いったいどうなってしまうんでしょうか。

深井:長州藩は、さっき言ったみたいに、京都に攻め上ってやろうっていう人たちが、もういっぱいますと。その人たちがメインで国を動かしてる状態になってます。で、そのときに、追い打ちで池田屋事件っていうのが起こるんですよ。これは新選組が、尊王攘夷志士たちが集まってる池田屋のところに討ち入りして、いっぱい殺すやつね。あれが起こるわけ。

楊:松蔭の弟子とかも、友達とかもそこで殺されてますね。

深井:そう。で、あれは幕府の下位組織なんだよね、立ち位置で言ったら。

樋口:新選組がですね。

深井:新選組が。だから長州からすると、幕府がそこまで強硬手段に出たかってなるわけですよ。一時的に幕府って、めちゃくちゃ、ほら、誰にも、言うことを聞いてくれないところまでいったじゃん。けど、そういうことをしてくるようんなったと。で、ついにこの池田屋事件によって、歯止めが利かなくなるんです。進発派っていうんですけど、この人たちのことを。攻め上ろうとする人たちのことを。この進発派を止めらんなくなっちゃう。それで、ついに本当に行っちゃうんです。京都まで攻め上って、薩摩、会津と戦うんですよ。

樋口:晋作は止めてたのに。

深井:そう。負けるんですよ。

楊:全然兵力違うもんね。兵力差が。

深井:そう。ここで久坂玄瑞は自殺します。

樋口:ついにいなくなるんですね。

深井:はい。桂小五郎は逃走します(笑)。

樋口:うわー、いなくなる。

深井:はい。だけど、晋作は野山獄にいるから生き残るんです。獄中にいるんで、まだ。

楊:行かなくてよかったね。

深井:行ったら死んでたと思う。

楊:行ってたら、多分もう長州は、あんまりぱっとせんかったと思いますよね。

樋口:終わってたんですね。

深井:歴史の、何というか、運命のあれだよね。

樋口:守ってくれたんですね、牢獄が。

深井:はい。でも、これで朝敵認定されて、幕府からの征長軍が朝廷経由の命令で出てくるんですよ。それで征長軍が出てくるし、その京都で負けたぞっていうのと同時に、ほぼ同時に、イギリス、フランス、アメリカ、オランダの4カ国連合艦隊が下関攻撃に向かっている報が入るんです。

樋口:最悪やん。

深井:(笑)

楊:大ピンチですよ。

深井:そう。奇兵隊が作られて1年後ぐらい、やっと。で、もう慌てて伊藤博文と井上聞多が、ほら、ロンドン留学してたじゃん。あの人たちを呼び戻して、あの人たち呼び戻すというか、自分たちも、やばい、帰んなきゃってなるよね。もう祖国の危機だっつって。

楊:現地で新聞で読んで、

深井:そう。読んで。このままだと絶対死ぬってなって戻ってくるんですよ。応戦しようとしてるわけ、長州としては。で、応戦しようとしてるんだけど、禁門の変の敗報を聞いて、そのさっきの京都での戦いね、すげえ弱気になるんですよ、今度また長州が。ただ、4カ国連合艦隊には当然のように勝てないです。これも負けます。

樋口:負けますね。

深井:はい。これも負けますし、

樋口:やばいぞ、長州。

深井:で、今度は征長軍が来てます。

楊:そこで戦うのか、ちゃんと自分らの負けを認めて折り合いをつけるのかっていう激論が、また萩の中で戦わされるんですよね。

深井:すごい危機に立たされるんです。

樋口:これはやばいよ。

深井:ちょっとびっくりするぐらい危機だよね。

樋口:もう終わりですよ、普通に考えたら。

深井:普通に考えたら終わりですよね。このときに、藩政府が晋作に頼らざるを得なくなるんです。進発派で行った優秀だった人材たちも、みんな死んだか逃げたりしてて、桂小五郎逃走中だし、もう晋作に、また白羽の矢が立つんです。で、獄中の囚人から一気に重臣まで、また昇進するんですよ、晋作が。

樋口:きたきたきたー。きたよ。

深井:(笑)。で、晋作がまず一番最初にやったのが、4カ国連合艦隊に負けたじゃん。そこの講和条約をしないといけない。負けたんだと。負けたから、どういう負け方にするかっていうことを決めないといけないじゃん。あそこに使者として行かせる人がいなかったんですよ、まともな人材が。晋作ならいけるんじゃね?ってなったの。それで晋作を呼び戻して、晋作に、その敗戦講和条約をさせるんですよ。

楊:敗戦交渉(笑)。

深井:敗戦交渉をさせるんですけど、これ、3回交渉するんですけど、まず1回目は晋作が逆ギレしてます。

樋口:おい(笑)。
一同 (笑)

深井:自ら急にアメリカ商船を攻撃して、攻撃の意思のない相手を。それで仕返しされて負けたやつが逆ギレでくるみたいなので、ちょっと向こうがびっくりしてます。

樋口:いや、それびっくりするわ(笑)。
一同 (笑)

深井:アーネスト・サトウっていう人が、サトウって、たまたま日本の佐藤さんと一緒ですけど、全くイギリスの名前なんですけど、その人が手記で書いてるんですけど、手記というか書物の中で、

樋口:記録でね。

深井:はい。書いてる中で、悪魔のような傲然とした態度だったって書いてる(笑)。

樋口:(笑)。大丈夫か、晋作。

深井:っていうので書いてあって、通訳は井上聞多と伊藤博文がやってて、3回の中で、そうやっていろいろ何かやってんだけど、一番ネックというかポイントなのは、やっぱ賠償金なんだよね。300万ドルの賠償金を課せられるわけ。

樋口:300万ドル。

深井:そう。ここで晋作たちが何を言ったかっつったら、俺らは賠償金を払わないと、賠償金を払うのは幕府だって言うんです(笑)。

樋口:むちゃくちゃやん。

深井:なぜならば、幕府の将軍は攘夷決行を朝廷に約束したんだと。その攘夷決行の日がきたから、僕たちはそれを守っただけですと。守っただけなのに、何で僕たちが責められるんですかと。約束した将軍にちゃんと請求してくださいって言うんです。

楊:ここのロジックの攻め方、最高だよね。

深井:すごい。最高。

樋口:言われればそうやけど。

深井:幕府も反論できんやん。

樋口:そうですね。

深井:それで本当に幕府にいくんです、その賠償金。

樋口:え?

深井:で、本当に幕府、払わないといけなくなっちゃうんです。なすりつけたんですよ、幕府のほうに、長州はまず。

樋口:すごいし、ロジックもなるほどですけど、むちゃくちゃしますね(笑)。

深井:むちゃくちゃしました(笑)。

楊:すごい。でも確かに、この仕事は晋作しかできなかったと思う。

深井:で、晋作は、この領内、要は毛利、この長州藩には、主君のために命を投げ出せるやつが、あと何人もいるよって言ってるんです、イギリス人に対して、そのときに。相手がイギリス人だったんですけど。

楊:はったりを利かしてね。

深井:はったり利かせて。だから俺らとこれ以上やったらめんどくさいぞと、幕府に言ったほうが楽だよって言ってるんです。

樋口:めっちゃ頭いいやん。

深井:うん。

楊:もしかして、逆に、もし300万ドルを俺らに払わせるんだったら、俺らを独立国として認めるんじゃない?みたいなことを言ったのかもわかんないですけどね。

樋口:なるほどね。でもニュアンスとしてはそういうことか。

楊:そうそう。

深井:そう。で、イギリスはこのあと、長州は、すごく交渉するに足る国だっていうことを認めてくれるんです。

楊:認めてくれたよね。

樋口:やばい、しびれる。

深井:そのあと仲よくなっていくんですよ、長州とイギリスって。だから、このあと近代兵器を一気に導入するんだけど、長州藩は。それによって征長軍を追い返したりするんだけど、それの武器はイギリスから買ってます。

樋口:すばらしい(拍手)。

深井:で、ちなみに、そこの仲介とかしてんのが坂本龍馬とかね。あと、今、薩摩藩と死ぬほど仲悪くなってるでしょ。これも坂本龍馬とかが仲介したといわれたり、いわれてなかったりする。

楊:亀山社中かな。

樋口:めちゃくちゃわかりやすく、ピンチをチャンスに展開化してますね(?)。

深井:そう。ただ、まだ征長軍が来てるじゃないですか。

樋口:そうだ。まだ敵はおったよ。

深井:そう。征長軍が来てるし、朝敵になったから、藩主って基本的に朝廷の役職持ってるんですけど、それも奪われてるんですよ。それも奪われて、もうぼろっぼろの状態のときに、政治が今度揺れるわけ、長州藩の中が。長州藩の中がどうなるかっていうと、がっちがちの過激派になったって言ってたじゃん。その過激派のせいでこうなったって、やっぱなるわけですよ。朝敵までなっちゃったぞって。なので、一気に反動がきちゃうんですよね。

樋口:えー、守ったのに。

深井:そう。で、周布政之助も自殺するし、井上聞多は刺客に襲撃されて瀕死の重傷を負うし、晋作も結局任を解かれちゃうしっていうことで、征長軍をどうするかっていうときに反動がきてしまう。

楊:彼らは攘夷派として見られてるから、排除すべき対象で、粛清すべき対象だったんでしょうね。

深井:で、そうやって恭順な態度を幕府に対して取らないと、征長軍が来たら負けちゃうかもしんないじゃん。そしたら、もう本当に滅びちゃうかもしれないと。滅びたらたまらんので、幕府に対して恭順な態度を取ろうという派閥がおっきくなっていくんですよ。それによって晋作も、実は逃亡します。逃亡してなかったら多分処刑されてますね。で、ここで逃亡したのは、松蔭が言ってたじゃないですか。再三出しますけど、生きて大業の見込みがあるんだったらいつまでも生きろと。

楊:死にこだわるな。

深井:そう。プライドが高い晋作がここで逃げれたのは、多分それがあったからだと思う。

樋口:残してたんですね、ちゃんと。

深井:そう。

楊:師匠によって助けられたっていえますよね。

深井:そうです。で、彼は九州に行くわけ。九州に行って、佐賀藩とか福岡藩の藩主に軍事的援助を持ちかけるんだけど、普通に断られるんです。それで平尾の山荘とかに潜伏したりしてるんですよね。そんときに野村望東尼っていう人と交流が、

楊:尼さんとね。

深井:はい。交流があったときですね。で、晋作のそばにいた政治家たちがどんどん処刑されるわけ、故郷でね。それは幕府に謝罪するためね。処刑して、幕府に、こいつらがやりました、すいません、それは長州藩ではなくてこいつらがやりましたって言うために。

樋口:示しをね。

深井:そう。藩主の親子も謝罪文を書いて出したりとか、あと山口城を破壊しなさいとか言われてたりだとか。

樋口:お城をね。最大の屈辱だよね。

深井:そう。最大の屈辱なんだけど、征長軍が来るからには、もうそういうことをしないといけないってなってる。ここで、もし長州が幕府にこのまんま恭順してたら明治維新がどうなってたか、俺はやっぱわかんないなって思う。薩摩藩単独でどこまでいけたかなと思うんですけど、この絶望的状況をひっくり返したのが高杉晋作です。

樋口:何をやったんや。

深井:クーデター起こすんです、彼が。

樋口:きたよ。

深井:(笑)。彼がたった一人でクーデター起こします。

樋口:一人?

深井:最初は一人で動かします。

楊:クーデター起こしたのも、実は奇兵隊じゃないんですよ。

深井:そう。彼は奇兵隊は作ったけど、あんまり自分で動かしてなくて、逃亡してたって言ったじゃん。逃亡して、いろんな仲間を集めるわけ。全然誰も賛同してくれないんだよ。

樋口:(笑)

深井:誰がどう見ても長州は、もう終わってるんですよ。終わった国なんですよ、もう。

楊:天皇の敵として認定されたら、もう既にアウトなんだよ。

深井:そう。アウトなんです。日本で天皇の敵になったら、もうアウトなんですよ。しかも幕府から攻められてるんですよ。で、雄藩である薩摩とも仲間が悪いわけです。何ならアメリカ、イギリスとかとの戦争にも負けてるわけです。もうこんな本当にどうしようもない国に、誰も味方なんてしない、怖くて。だけど高杉晋作は決起しようとしてるわけ。ここからでも何とかして状況を打開しようとするわけ。打開しようとしていろんな人たちを説得しに行くわけ。説得しに行くんだけど誰も聞いてくんない。誰も聞いてくんない中で、ただ一人だけ晋作に賛同した人、

樋口:誰?

深井:伊藤博文。

樋口:きたー。きたよ。

深井:(笑)。この人が何で総理大臣までいったか。このときの選択だったと思うよ。

楊:もう将来総理大臣の歴史(?)ですよ。

樋口:きたー。

深井:伊藤博文は、多分死んだと思ったと思う。もう俺、死んだ、と思ってると思う(笑)。

樋口:(笑)。もうついていく時点でね。

深井:そう(笑)。けど、やっぱり晋作と仲よかったのと、断りきれんかったのか、彼もどっかで覚悟したんだと思うんだけど、伊藤博文は力士隊っていう隊を持ってたんだよね、80人ぐらいの。

樋口:力士?

深井:力士隊っていう、まあ本当の力士だったかどうかは別なんだけど、力士隊っていう隊を持ってて、唯一伊藤博文だけが賛同して、80人味方つけるんですよ。

楊:兄貴、ついていきますみたいな。

樋口:すげえ。

深井:そう。命懸けてやるぞってなったときに。で、そのときに、敵の、敵っていうか長州藩は2000人の兵を持ってるわけ。

樋口:全然レベルが違う。

深井:そう。80人対2000人でクーデターを起こすんですよ。これを成功させるんですよ、晋作が。

樋口:えー?

深井:ここからがすごかったんです、この人が。めちゃくちゃすごい。

楊:人生の、もうクライマックスになるよね。

深井:そう。このあとの晋作の人生は本当にクライマックス。征長軍追い返すまでのクライマックス。

樋口:え?これ、どうやって80人の、

深井:そうですね。先が見えない中で、まず一人の状態で、貶斥された7人の公家がいたじゃん。あの人たち、1人死んで1人逃走して5人になってたんだけど、その公家のところに行くわけ。九州に逃げてたんだけど、彼ら。その人たちのところに行って、彼がまず言ったのが、これよりは長州男児の腕前、お目にかけ申すべしって言って(笑)、

樋口:どういうことですか。

深井:だから、これから長州男児の腕前を見せてやるから見とけって言ったんです。

樋口:でも、ぼろぼろの状態ですよね。

深井:ぼろぼろですよ。一人で行ったんよ。一人で行って、その5人の公家の前で、

楊:たんかを切ったんです(笑)。

深井:そう。その公家は尊王攘夷派だから、要は晋作と同じ考え方のほうね。その公家に向かって、今、超絶望的な状況だけど、俺が何とかしてやるから見とけって言ったんです。

樋口:かーっ。たんか切ったよ。

深井:ウマに乗って、見とけって言って、力士隊とともに下関の藩の施設を襲撃するんですよ。で、一番最初に軍艦を奪取するんです。軍艦さえあれば何とかなるっつって、守りの薄い軍艦を取りにいって、軍艦を本当に取っちゃうんですよ。で、その軍艦でクーデターを起こして成功させるみたいな。で、当然ですけど、ここでもう晋作は死を決してるんで遺書を書いてます。その遺書の中に自分の自己紹介みたいなの書いてあって、そこに二つ書いてあるんですよね。毛利家温故の臣、あとは奇兵隊創設者、二つの言葉が入ってる。これはすごいよくいわれるんだけど、毛利家温故の臣っていうのは封建社会中の封建社会的表現。奇兵隊創設者っていうのは、すごく封建社会からはずれた表現。この二つの矛盾したものを持ってる。まあ本当は彼の中で全然矛盾してないんだけど。

楊:多分この二つのアイデンティティーを自分の中でうまく統合できた瞬間だと思います。

樋口:うわ、やべー。なるほど。

深井:そう。で、晋作は奇兵隊の総督からはずれてるんで、自分が。奇兵隊にも決起を呼びかけてるんだけど、奇兵隊から断られてるんですよ。そのときの奇兵隊の大将が山縣有朋っていう人なんですけど、この人は明治期にも、

楊:そう。のちのち陸軍の元帥になる人ですよ。

深井:元帥になる人ですね。で、この山縣有朋さんは普通に断るんです。松下村塾にもいってる人なんですけど、兄貴分である晋作の要請を、伊藤博文はOKしたけど山縣有朋はNG出すんですよ。

樋口:まあまあ、でもそっちが普通やもんな(笑)。

深井:そう。

楊:守りのタイプだったかもしれんね。

深井:そう。けど、軍艦を奪取してばんばん攻めてる晋作を見て、勝機ありと判断した瞬間、こっちに参加するんです。形勢が移り変わっていくにつれて、晋作にみんながどんどん参加していって、こっちがでかくなっていくんですよ。

樋口:まあね。でも、それが普通ですからね、人間はね。

楊:まあ、そういう人は多いよね。そういう人がほとんど。

樋口:人間は、もうそれが普通ですからね。

深井:で、その山縣有朋が参加してきたときに、またこの人が都々逸を歌うんだよね。都々逸なのか歌なのか、ただの、ちょっとわかんないですけど、これがまたかっこいいっすね。

樋口:何ですか。

深井:「わしとおまえは焼山葛、うらは切れても根は切れぬ」って言ってるんです。これはどういう意味かっつうと、植物が二つあって、その上のほうが燃えてなくなったとしても、下の根でつながってるんだと。だから、おまえは奇兵隊の決起に参加しないって言っちゃったけど、裏では、心では僕たちはつながってるから、そんなこと俺は気にしないよって言ってるってこと。

樋口:あらら、抱きしめた。

深井:それを歌で言ってるんだよ。

樋口:かっこいい。

深井:かっこいいよね。直接言うんじゃないんだよ、そういうことを。

楊:まあ本気で思ってるのか、やっぱりいらつく気持ちを抑えながら読んでるのかわかんないんですけどね(笑)。
一同 (笑)

樋口:でもおしゃれやな、やっぱ。ここでおしゃれさ出てくるな。

深井:そう。それで、ついに藩主父子を担ぐところまでいくんですよ、クーデターが。それで本当にまた、もう誰が考えても絶望的な状態で、俗論派と呼ばれる晋作たちと反対側の意見の人たちね、彼らが征長軍に対して恭順を示すために作った政権が入れ替わっちゃうんです、また過激派に。

樋口:取るんですね、晋作。

深井:また過激派に入れ替わるんです、長州。だから長州って、ころころ変わってるんですよ。劇的な政権交代を果たすんです。

楊:そのきっかけを作ったのが高杉晋作。彼のおかげで、また藩論が変わって統一されたっていう。

深井:そう。彼が一人で始めたんです。誰もが、全員があきらめたときに、彼は一人だけアクション起こしたんです。本当に全員あきらめてるからね、あのとき。そのときに本当一人だけ、急にアクション起こして、俺は伊藤博文さんも多分あきらめてたんじゃないかと思う。成功するとは思ってないと思うんですよ。死んだと思っただけだと思う。一緒に死のうって思っただけだと思うんだけど、そこから盛り返すっていうね。これが日本史を変えていくんですよ。すごいよね(笑)。

楊:別に何かちゃんと計画とかも立てたわけじゃないんですよ。

深井:そう。無計画なんだよ、この人たち。だから、まさか成功すると、

楊:普通に死んでもおかしくないよね。

深井:そう。全然死んでおかしくない。けど、この人が持ってたエネルギーがほかの人たちに伝わったときに、やっぱこっちに参加したほうがいいんかなってみんなを思わせたんだと思う。ちょっとずつちょっとずつ仲間が増えていくわけ。で、ついには政権を打倒して、幕府に恭順姿勢は見せるんだけど、裏で軍備増強するっていう政策にするんですよ。だから征長軍が一回来るんだけど、帰るんですよね、征長軍は一回。

楊:首とか切らしたから。

深井:切らしたし、実は将軍が、

楊:あ、そうか。亡くなったのかな。

深井:亡くなるんですよ。徳川将軍が死んじゃうんです、途中で。それもあって帰ってる、解散したんですけど、そういう運がいいところもあるんですけど、幕府、朝廷相手に戦う覚悟を決めて、幕府を無視をして下関を開港しようとするんです。だけど、イギリス側にそれを持ちかけるんですけど、イギリスはそれを渋るんですよね。幕府と約束したと。幕府がそれを全管轄していいよという約束をしたから、長州が勝手にすることを容認できないといって断られてしまう。

楊:イギリスも、もう幕府と条約を結んでますんで。

深井:で、ここでまたひともんちゃくあるんだけど、こうやって政権をついに奪取して、最後、表舞台で派手に散っていく感じです、晋作。このすぐあとに彼は結核になって病死するんですよ、戦死じゃなくて。っていうのが、次がその最期(最後?)のとこ。

樋口:いやー、ちょっとお見事というか何というか、

深井:すごいよね。

樋口:お見事っていう言葉でもないな。何なんですかね。

深井:何ですかね。

樋口:だって、別に頭よく何かやったとかじゃなくて、もう、やるっつってやっただけですよね(笑)。

深井:スキルもないし、戦略性もないし、

楊:もう時代が用意したヒーローじゃないですか。

樋口:もうそうとしか言えないですよね。

深井:あの全員があきらめたときに、一人だけあきらめてないのが、僕、一番好きです。

樋口:たまらないですよね。

深井:(笑)

樋口:で、俺は結構好きなのが、やっぱ伊藤博文の、もう兄貴がやるんやったらやるかっていう(笑)、
一同 (笑)

樋口:いや、どういうニュアンスか知らないですけど。

楊:確かにね。伊藤博文に断られたら、多分本当、打つ手、ちょっとなかったかもしんない。

深井:もうどうにもなんなかったと思う。やっぱさすがに一人ではどうにもならなかったけど、伊藤博文は英国大使館一緒に焼き打ちとかしてる仲だし、多分晋作に対しての人間関係がそうさせたんだと思うんですけど、死のっかって一瞬なったんだと思う。一緒に死んで、久坂玄瑞たちも死んだしさ。

樋口:いやー、ちょっとこれ、涙腺にくるな。

深井:それが成功するんだよね。かっこいいよね、本当。

樋口:かっこいいな。すばらしい。

楊:あとは、先に死んだ久坂とかに対する申し訳なさもかなりあったよね、本当に。

深井:あったと思う。彼らが先に散っていったから、俺が何かしなきゃってすっげえ思ってたと思う。

楊:俺、今、何でここにいるんだろうみたいなね。

深井:そう。だから半分死ぬ気だし、半分ちゃんと成功させるつもりで彼は決起してますよね。だからやっぱ勇気出ますよね。全員あきらめたときにあきらめてないって、すげえ勇気出る。で、あきらめないと、こういうこと起こるんだっていう。

樋口:起こるんやと思いますよね。

深井:そう。これは本当に、客観的に言ったら絶望的状況中の絶望だと思うよ。だって論理的には、これが成功した理由を僕は説明できないもん。

楊:運としか言いようがないですよね。

深井:ロジックで伊藤博文は説得できないよ。メリットないもん。ゼロだよ(笑)。勝てる算段もゼロだよ、80人で。けど歴史を見ていくと、こういうことが起こってるんですよね。それはファクトとして僕たちは認識したほうがいいよね。すげえ勇気出るくね?(笑)。

楊:そうだよね。この葛藤を抱えた青年武士がさ、

深井:そうだよ。何にもしてないんだよ、別に大したこと、ここまで(笑)。スキルも関係なかったと思うよ。戦争も別にそんなうまくないと思いますよ。

樋口:いや、ちょっともう僕は結構感情にきてます、今(笑)。

楊:(笑)

樋口:いろんなことと重なったりとかしてですね。

深井:そう。その基になってるのが、やっぱ吉田松陰なんですよ、そして。

樋口:ですね。

深井:彼の魂がそうさせてるなっていうのは思いますね。

楊:そうだよね、本当に。

樋口:ですね。いや、これはすごい。すばらしいストーリーをありがとうございました。

深井:次、ラストです。

樋口:次は、そんな高杉晋作がどんなラストを迎えるのかっていうことですよね。

深井:はい。

樋口:いやー、さみしいですけど楽しみです。ありがとうございました。

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