#93 留学費用で夜遊び三昧!?高杉晋作が上海で見た衝撃的な光景とは?

【ポイント】
①帰国した晋作に縁談が持ち上がり、萩一番の美女を嫁に貰う。
②航海術や剣道修行をするが、いずれも挫折し途中で投げ出す。
③上海視察で清の惨状を目にした後、晋作の「松陰化」が始まる。


樋口:ということでございまして、前回は吉田松陰先生の死っていう、ちょっと僕にとっても相当ショッキングなところで終わってしまいましたけども、

楊:(笑)

樋口:じゃあ今回は、

深井:松蔭の処刑を、あ、これ、帰国の途中で耳にしたんだね。帰国の途中で耳にして激怒します。それで、これをもう絶対復讐するみたいに多分一瞬なってるんですけど、そのあとやっぱり冷静になって、父のことであるとか、多分毛利家のこととか考えたんでしょうね。

楊:手紙の中に書いとるもんね。

深井:書いてる。すごく頭にきてるけど、父親もいるから、自分が思ったとおりに復讐するっていうことはやっぱりできないんだっていう手紙を、周布政之助に送ったんだったっけな、これ。送ってるんですよね。周布政之助っていう重鎮に、長州藩の重鎮に送ってたりとかする。で、家に帰ってきたら何が起こるかっていうと、結婚させられます、親に。

樋口:いきなりまた(笑)、

深井:(笑)

楊:おまえ、落ち着けと(笑)。

深井:落ち着けってなって(笑)。

樋口:いきなりそういうことか。

深井:そう。もう22歳だし、当時で言ったら全然結婚していい年齢なんで、雅(まさ)っていう方、雅子さんともいうんですけど、16歳のお嫁さんをもらって、子孫を残しなさいということで、お嫁さんをもらいます。晋作は、30歳になるまで絶対に嫁なんてもらわないとか言って豪語してたんだけど、雅が美人だったらしくて(笑)、

樋口:(笑)

楊:萩の一番の美人。

深井:萩一番の美人だったらしくて、

楊:ミス萩だったみたいですよ。

樋口:で、どうしたんですか。

深井:結婚しました。

樋口:何だ。
一同 (笑)

樋口:いいな。

深井:で、息子も生まれたりするんですけど、この時期、結婚させられて、萩に戻って、次、何が起こるかっていうと、晋作に航海術を学びなさいということが、藩の命令として下るんですよ。

樋口:航海術。

深井:はい。要は船を操縦する技術を学びなさいと。これも結局人材育成の一環だよね。彼をやっぱり将来的な藩のエリートじゃないですけど、藩を動かしていく中心人材として育てようという概念のもと、彼に航海術を学ばせたいと。で、晋作もすごく喜んで、このときに言ってるのが、またきざなんですけど、男としてこの宇宙に生まれたんだと。筆やすずりの家来になんかなれるかっつって(笑)。

樋口:おお(笑)。

楊:でかいことを吐いてるんですよね(笑)。

深井:要は事務仕事じゃなくて、もうでっかいことをしてやるぞっていうことで、もう非常に喜んで、意気込んでやるんだけど、

樋口:また言い方がおしゃれやな。

深井:そう。それで萩から、また江戸まで船に乗って行くんですよ。で、江戸に着いた途端に、やっぱりやめますっていって、

樋口:え?

深井:航海術の勉強やめます。これは俺には向いてないっつって(笑)。
一同 (笑)

樋口:早っ。

楊:受けるよね。最初めっちゃ張り切って行ったのに、いや、やっぱちょっとこれ違うよね、みたいな(笑)。

樋口:(笑)

深井:これはちょっと俺っぽくないねって(笑)。

樋口:船の家来にもなれなかったんですか(?)。

深井:なれなかった。
一同 (笑)

深井:2カ月間航海して、その間に学んだんだろうけど、やめてて。で、同時期に、ちなみに江戸では桜田門外の変っていうのが。今でも桜田門って、

樋口:ありますね。

深井:駅でもありますけど、水戸浪士、攘夷ですごい中心みたいなところの人たちが、井伊直弼から大弾圧されてたわけ。で、その復讐として、井伊直弼を白昼堂々と暗殺するんですよ。

楊:テロだよね、ある種。

深井:テロです。これはだから、すごくでかいことなんです。幕府の威厳が地に落ちてるってことなんです。幕府で、だって将軍の次に偉い人か、何なら将軍よりも権限持ってる人が、昼間に殺されてしまう。

楊:でかいですよね。だって今の日本で考えたら、首相暗殺、ただごとじゃないでしょ。

樋口:ただごとじゃないですね。

深井:そういうことがやっぱり起こってしまうと。こういう激動の時代の中、船に乗って、いや、船の勉強しないって晋作は言ってるっていう(笑)。

樋口:(笑)

深井:この頃、だいぶ自信失ってるらしいですね、彼は。どうしていいかわかんない。

楊:プライドが高いだけにね。

深井:師の松蔭も死んだし、どうしていいかわかんないっていう中で、彼って剣術が得意だから、今度、剣術修行をしながら、江戸に一回行ったじゃん。船に江戸に行って、また江戸から戻ろうとしてるんですよね、萩に。この道中に、ずっと剣術修行をしていこうと。日記書いてるんですよ、彼は。で、途中で途絶えるんだよね、その日記が。何か負けたらしい。勝てなかったらしくて、そこでまた自信喪失して、もう日記も書けなくなったらしい、彼は。

樋口:メンタル弱いんですかね。

深井:繊細だよね。

楊:でも自分の身に置き換えて考えると、そういうふうに必要な挫折だったかもしんないですよ、成長のために。

深井:ですね。必要な挫折だと思います。で、このときに彼が、また勉強に振りくるんですよ。それで勉強したのが陽明学なんですよね。

樋口:きたきた。

深井:あと国学っていうやつも勉強したんだけど、ここでもう一回陽明学を勉強することで、松蔭の死んだ魂を彼がさらに培養し始めるんだよね、ここら辺から。で、戻ったら、やっぱりこれ、エリートの特権だなと思うんだけど、世子小姓役っていう結構いいものに選ばれるんです。これは何かっていうと、殿様の息子のお世話役みたいな、一番側役みたいな役職で、めっちゃエリートスタートですよね。

樋口:長州藩の中で。

楊:そうですね。

深井:長州藩のエリートスタートですよ。仕事自体はすごい簡単な事務仕事だったらしいんだけど、もうこれでエリートスタートなんで、またもや江戸に行くんです。この役になったから江戸に行って、江戸で、また久坂玄瑞とか桂小五郎たちと交流し始めるんだけれども、ちょっと目まぐるしく状況が変遷していくから、わかんなかったら聞いてほしいんですけど、当時、長井雅楽という人がいまして、思想家的な政治家なんですけど、

楊:萩のね。

深井:萩にいるんですよ。長州藩に、その人が。この長井雅楽っていう人は、すごく開明的な考え方を持った人で、単純に外国人排斥なんかしたって意味がないだろうと。だから、ちゃんと世界と交流をして、ちゃんと国力を養成していきましょうと。それによって富国強兵していくし、殖産興業していきましょうというすごくまっとうな考え方を持った人。

樋口:バランス型やな。

深井:とてもまっとうな考え方をした人がいて、この人が藩主たちを説得して、藩主も確かにそうだねってなって、これが藩論として採用されるわけ。

楊:藩の方針として。

深井:そう。藩の方針として採用されるし、この長井雅楽っていう人は、晋作のお父さんの友人でもあるわけ。だから近しい存在でもあるんですよね。で、この長井雅楽が言ってることに、攘夷派である久坂玄瑞とかがめちゃくちゃ反抗するんですよ。まあ、ちゃんとファクト認識多分できてないんだと思うけど、開国するとは何事だって思ってるわけ、久坂玄瑞も。で、とにかく反対してるわけ、めちゃくちゃ。で、この反対活動が功を奏していくんですよ。この久坂玄瑞たちの反対活動が、また藩論を攘夷に振り切らせていくんですよ。

楊:久坂玄瑞たちの攘夷思想って結構過激だったから、必ずしも当時では、萩の中でも、それが一番受け入れられたわけじゃないんですよね。というのも何でかというと、倒幕を目指してたからなんですよ。当時、普通の一般的な藩っていうのは、倒幕まではいいんですよね。攘夷にしても何にしても、江戸幕府っていう既存のシステムを生かしながら天皇という存在を強調して、それで国をまとめて外国に対抗していこう。でも久坂玄瑞とかあのあたりとかは、いや、もう江戸幕府を倒しちゃおうよみたいな(笑)。

深井:だから松蔭も、最後は倒すってなってたじゃん。

楊:だから日本の中で最強右翼みたいな(笑)、最右翼みたいなそんな感じだったんで、

深井:そうね。右翼なのか左翼なのかわかんないけど(笑)。

楊:まあちょっとわかんないけど。

深井:どっちかの極端に振り切ったほうです。だから、その振り切ったほうとして、また殿様が結構優柔不断なんで、そのとき一番声のでかいやつを採用するんですよ。それで、その長井雅楽、結構妥当なこと言ってたんだけど、そこを押し切って藩論が変わっていくっていうのが、この時期にまずありますと。そんな中で江戸に行った晋作に、今度は、やっぱ本当教育熱心なんだけど、ヨーロッパ行きの内命が下るんです。で、これは、晋作は、実は江戸に行っている最中、江戸の遊学してたときに、翼があるんだったらいろんな国見てみてえなって言ってるんですよ。

樋口:またおしゃれ。J-POP。

深井:(笑)。それぐらい、やっぱり新しい文化にふれて、いろんなものを見ることが大切だと思ったんでしょうね。で、その機会をずっと伺ってたら、本当にそういうチャンスが巡ってきたんです。これは幕府がヨーロッパに対して使節を送るっていうのを考えていると。そこに雄藩の何人か若者を、従者として連れていくことが可能だっていう話をしていた。それを、周布政之助っていう長州藩の政府の重要な人が、ぜひここに優秀な長州の若者を随行させて世界を見せたいと思ったと。そこに白羽の矢が立ったのが晋作。

樋口:気に入られてますね。

深井:そう。晋作で、晋作、めちゃくちゃ喜んだんですよ、これで。ああ、これで、ヨーロッパで世界が見れるぞと。先進的な国を見ることができる。松蔭は黒船に行ってまで世界を見ようとしたけどできなかった。それを自分は見れるんだと思って、うっきうきなんですよ。

樋口:いいですね。

深井:で、父親からも賛同を受けて、殿様たちがそう言ってるんだったら、おまえも行ってきなさいと話が進んでいくかと思いきや、最終的な選考に漏れるんですよ。本当は2名連れていく予定だったのが1名枠になっちゃったらしくて、その1名のやつに入れなかって、うっきうきで日記書いてたんだけど、これがまた途中で止まるんだよね。

樋口:もう、すぐ止める。

楊:(笑)

深井:この人、日記途中ですぐ止める。

樋口:すぐブログやめるやん。

深井:そう。すぐブログやめる。
一同 (笑)

深井:それでめっちゃ落ち込むんですよ、またここで。だってずっと、一つも成功してないじゃん、この人。

樋口:そうか。ちゅうか、確かに今までの話って、一個も、

深井:そう。もう全部空回り。ただ一人、松蔭のみが、おまえはすごいってずっと言ってくれてただけ(笑)。

樋口:あれ?本当やん。

深井:そう。一つも何も成功してない。全部失敗して、全部途中で投げ出すか、途中でだめになって、日記を途中で書かなくなってるだけ。

樋口:本当やな。確かに。

楊:結局彼はいろいろ頑張ってたけど、全然自分を見つけきれなかったんですよ。

深井:そう。全然見つけれてない、ここまで。

樋口:今んとこ何もしてないですね。

深井:そう。久坂とかは藩論を動かすほど動いてるけど、この人は父親からストッパーかかってるんで、そこまで動かせないんですよ。

楊:久坂玄瑞とかは、もうそのときは京都にいて、もう天皇の周辺でばりばり動いてるんですよ。

深井:ばりばり動いてんの。超ライジングしてんの。だけど、二大巨頭といわれてた自分は、俺は何なんだろうって多分ずっと思ってんだよね、この時期。知らんよ。知らんけど、多分思ってると思う。で、そのヨーロッパ行きさえもなくなって落ち込んだのね。やっぱり長州藩優しいなと思うんだけど、人材に。かわいそうに思って、上海なら行けるよって言うんですよ(笑)。

樋口:(笑)。何か、おお(笑)。

深井:ヨーロッパはだめだったけど、上海ならまだチャンスあるよって言うんですよ。で、それを聞いた晋作は、でも上海って行く意味あるんだっけ、みたいな。上海なあ、みたいになってるんですよ。でもヨーロッパ行きたかったなっつって。

樋口:微妙な感じやな。

深井:で、それもお父さんに相談したら、おまえばかだけど、殿様が言ってんだったら行きなさいよっつって行くことになるんですよね。

楊:愚かだけど、君命だからしょうがないよねみたいな、

樋口:(笑)

楊:ほめてんだか、けなしたいのかわかんない(笑)。

深井:そう。しょうがないよねっていって、

楊:行かしたくなかったろうね、本心では。

深井:そう。これで上海に行くことになって、めっちゃ人生変わるんですよ。

樋口:あ、行ってよかったんや。

深井:めちゃくちゃ人生変わります。

楊:たった2カ月の視察だったんですけどね。

深井:この頃、中国と日本って国交が全くないので、鎖国してたので。しかも政情不安なわけ、中国って、アヘン戦争以後。

樋口:そうか。アヘン戦争後か、中国は。

深井:そう。なので、どうするってなったんだけど、オランダを通じて、

楊:貿易をね。

深井:貿易のふりして行くことにして、そこで、それも幕府の従者として行くことになったんですけど、いろんな藩からも、ほかにも従者がいたんだけど、長崎にまず行くのね。長崎に行って、その長崎で、すごい、2カ月間ぐらい待たされるんだよね。

楊:出港できなくてね。

深井:そうそう。で、このときに、長州藩からすっごいお金もらってるんだよね、確か。留学というか、

楊:そうそう。費用をね。

深井:上海行き用のお金すっげえもらってんのに、数百万円分、そのお金、全部で風俗で使いますから。

樋口:ばかたれ、この。

深井:(笑)

楊:最高(笑)。

樋口:ばかたれ。

深井:最高だよね、本当。

樋口:うそ?

深井:まじ(笑)。

樋口:使い込み?

深井:そう。

楊:税金をね(笑)。

樋口:うそやろ。

深井:だからさ、本当もう、どんなやつが歴史変えるかわかんねえから。
一同 (笑)

深井:本当に(笑)。本当、こういう人が変えたから。ここまでの人生見てみて、彼の。とても世界史を動かす人間に見えませんよ(笑)。

楊:特にいいことないよね。ちょっとガンディーっぽよね。ガンディーの前半みたいにさ。

深井:ガンディーよりたち悪いよ。
一同 (笑)

深井:ちょっとプライドが高いぶんさ。

楊:すぐ周囲の人ばかにするしね。

深井:そう。すぐ人をばかにするんですよ、この人、晋作は。

樋口:しかも、いいとこの出で。

深井:そう。このときが、確か入江杉蔵から怒られて逆ギレしたときだったはず。2回目か1回目のときに言った、

樋口:言いましたね。国の金使って。

深井:そう。五百何万円分ぐらいだったのかな。

楊:今の値段で言うと。

深井:700万円分ぐらいだったかな、もらってるんですよ、留学費用として。それで、湯水のように使って毎日派手に遊ぶっていう。

楊:どういうこと(笑)。

深井:多分精神的に、もう保てなかったんだと思う。僕の予想はね。もう焦燥感とか焦りとかが、もう何かしないと、刺激のある何かをしてないと、もうじっとしてらんないのかなと。これ、本当わかんないですけどね。

樋口:ちょっとした、今で言う精神病みたいな、あったかもしれないですね。

深井:そう。かもしれない。

楊:焦りかもね。やっぱ焦りだろうな。

樋口:焦りとかね。

深井:焦りがあると思う。やっぱり久坂とかはどんどんライジングしてるから。で、その中で、その中でというか、上海行くんですよ。2カ月間遊んだあとに上海ちゃんと行けた。で、上海で彼が何を見たかっていうのは、やっぱり西洋の圧倒的な技術力を見せつけられてしまうんですよ。

樋口:上海で見たんですね。

深井:上海に、だっていっぱいいるから、イギリス人とかが。で、そこで蒸気船の実物も初めて見たし、アームストロング砲とかも見たし、

樋口:武器、兵器ですね。

深井:兵器も見たし、

楊:スケッチも描いとるもんね。

深井:そう。スケッチを書いてたりする、日記にね。で、一番この人が衝撃だったのが、奴隷のように扱われる中国人を見てしまったこと。へりくだる中国人、西洋人に対して。

楊:負けたからね、戦争に。

深井:そう。それを見て、彼は許せなくなるんですよ、そういう状況を。

樋口:想像したんですね。

深井:そう。ことごとく中国人が使役されてて、まるでイギリス、フランスの奴隷のようだと。で、イギリス人とかフランス人が道を通るときは、中国人は道をあけないといけない。でも、ここは中国だと、何で中国なのに道をあけないといけないんだと、っていうことを彼は言ってる。しかも、上海に橋が今でも架かってるんだけど、イギリス人が造った橋があるんだって。その橋を中国人が通るときは、通行料を中国人は取られるんだと。そんなことがあってたまるかって言ってる。

楊:自分たちの領土なのにね。

深井:自分の国の自分の橋を渡るのに、何で外国人に金を払わないといけないんだと。あとは孔子廟。俺も行ったんだけど、上海行ったときに。孔子廟っていう孔子が祀られてるとこ。彼は儒教をとても大切にしているじゃん。儒教って、当時の侍にとってめちゃくちゃ大切な、

楊:聖人、もう。

深井:聖人なんですよ。その聖人君子の孔子廟。何せ本場の孔子廟よ、本場の国の。そこがイギリス人の軍隊に占拠されてるわけ。

楊:寝床にされている。

深井:寝床にされている。踏み荒らされてると彼は思った。儒教のことを知りもしないやつらがそこにいるんだと、こういうのを見て、すさまじい危機感を抱くんですよ、彼は。俺ら日本がこんなふうになってしまったらどうしようって思うわけ。これはずーっと思ってたよ。彼は松蔭とかからずっと話も聞いてたし、アヘン戦争の話も松蔭としてた。で、ずっとその議論もしてたし、みんな、そういう話をしてる人たちの中でコミュニティ作って、ずっとその話をしてた。だけど実物を見てしまったんですよ。

楊:百聞は一見にしかずやね。

深井:そう。この実物を見てしまったことが、彼の父親のストッパーをはずすんですよね。このあと晋作が振り切れるんですよ(笑)、この経験のあとに。で、蒸気船とかも、いろんな話聞くわけ。蒸気船があったらどんなすごいことができるか。薩摩藩は既に蒸気船を買って、いろんなところと貿易をしようと、密貿易をしようとしていると。蒸気船って1隻あればそんなことができるんだみたいな、こんなに遠いところまで行って貿易したりできるんだとか、どれだけ蒸気船があるだけで世界が広がるかとか、あとは、そのアームストロング砲とか近代兵器が、どれだけ中国人がそれにおびえてて、人数と関係ないのかっていうことをここでわかっていくわけ。で、ここで彼は、そういう近代的なものを取り入れることの大切さも強く認識していく。これは留学したやつ全員そうなんです、この当時。で、してないやつらはファクト認識せずに、ずっとわかんないんですよね。

楊:西洋列強の圧倒的な力を、もう目の前で見てしまったもんね。で、それにつぶされかかる昔の大国である中国。だって中国って、ずっと日本にとっては先生だったわけですよ。それがもう、あんなふうに荒らされて、領土にされて。

深井:悔しかったんですよ。

樋口:いや、皮肉というか何というか、これ、ヨーロッパに行ってたら気づけなかったことなんですね、多分。上海に行ったから、それを目の当たりできたっていうことですよね。

楊:それかもしんないですね、確かに。

深井:それで長崎に帰国した直後に、晋作が勝手に蒸気船買うんですよ、藩に無断で。

樋口:(笑)

深井:勝手に契約だけ結んでくるんです。もう絶対蒸気船が必要って確信した晋作が、オランダに蒸気船くれっつって、長州藩が買うって言って買うんですよ。

樋口:500万使い込んだくせに、またそこで勝手に金使うんすね。

楊:(笑)

深井:買うんです。勝手に使うんです。勝手に買って、持って帰ったらみんなびっくりするんですよ。

樋口:そりゃそうや。

深井:おまえ、何勝手に買っとんだってなってる。勝手に会社の金使うのと一緒だよね。勝手に、

樋口:税金(笑)、

深井:勝手に会社の契約書を巻いてきたのと一緒だよね。

樋口:(笑)

楊:稟議とおせよみたいな(笑)。

深井:本当そう。稟議とおせやってなって、すごい問題になるんだけど、結局買えなかったんですよね、問題になって(笑)。

樋口:(笑)

深井:破談になっちゃうんです。

樋口:そりゃそうだ。

深井:周布政之助っていう人だけが擁護してくれたんです。そう思うよねっつって、そんな気持ちになってもおかしくはないね。

樋口:でもそうさせるぐらい、やっぱ衝撃だったんですね。

深井:そうなんです。で、この上海に行ってる間に、また久坂玄瑞たちが京都でいろんなことを、もう周旋、あっせんして回りまくった結果、思いっきり政治が動いてるんですよ。何が起こったかっていうと、まず長井雅楽。藩論に採用された、公武合体論っていって、さっき言った、幕府も残して朝廷も残して、

樋口:バランス型。

深井:そう。一緒に頑張ろうねっていうやつ。あの長井雅楽を切腹させとるんですよね、まず。

樋口:え?誰がですか。

深井:久坂玄瑞たちが藩の中の意見を固めていって排斥して、そいつを、もう切腹までさせてる。

樋口:過激やね。

楊:政治闘争ですよ。

深井:これによって公武合体論は鳴りを潜めることになるわけよ。で、その代わりに長州が尊王攘夷論に思いっきり振り切れていくわけです。で、このあと長州が、日本の尊王攘夷を思いっきり推し進めていきますっていうステージに突入していく。これで長州が日本の中央政界の表舞台に立っていくことになる。

楊:今の日本も見ても、歴代総理大臣8人も山口県から出てますから、一番多いですよ。それもここが影響してると思いますよ。

深井:そう。でも晋作は、その尊王攘夷論はいいんだけど、やっぱり兵器を見てきてしまったから、軍備の増強をしないとどうにもなんないってことがわかってる。だから彼は軍備増強っていう話を、もうとにかく訴え続けるわけ。訴え続けるんだけど、やっぱ見てないじゃん、みんな。見てないからわかんないんだよね。わかんないから、晋作は、やる気が失せていくんですよ(笑)。やる気失せるというか、ちょっとまたここで失望するんだよね。彼の実力が、まだ藩を動かすとかほかの人を動かすまでに到達してないんですよね。で、上海に行って帰ってきて、すっごい彼もボルテージが上がってる中で、口だけで勤王、勤王とか言って、結局何も考えてないやつばっかなわけ、晋作からしたら。本当は軍備増強しないといけないのに、今のままでも日本は勝てるとかわけわからんこと言って、とにかく外国人殺せばいいとか言ってるやつら、やべえ、みたいに思ってるわけよ。で、その中で晋作がそうやって言ってんだけど、晋作が軍備増強言ってるんだけど聞き入れられないってなったときに、晋作が何をしようとしたかっつったら脱藩するんですよ。

樋口:飛び出す?

深井:はい。それが次回の話ですね。そこからが、また次回の話。

樋口:ここから、

楊:ちょっと師匠に一歩近づいたね(笑)。脱藩。

深井:はい。松蔭っぽくなっていくんです、このあと(笑)。

樋口:脱藩。離れるんですね、長州を。

深井:離れます。

楊:重罪ですよ、脱藩は。

樋口:ちょっと、なぜそこから脱藩にいくかっていうところが、まだ僕の中ではいまいちつながってないので、そこをちょっと来週、

深井:はい。ちょっと次回、そこ、また詳しく、脱藩以降で話しましょう。

樋口:はい。次回聞いてきたいと思います。ありがとうございます。

楊:ありがとうございます。

関連エピソード