#36 美女500人との宴会より自己との対話・仏陀

【ポイント】
①仏陀は何一つ不自由ない貴族の王子として生まれ、文武両道のスーパーエリートであったが、繊細で物思いに耽けがちな青年でもあった
②宮殿の外の世の中の現実(病人、老人、貧者、死者)を目の当たりにし、自分もいずれあのようになるのかと悩みルートに突入する
③美女たちのどんちゃん騒ぎが虚しくなって出家した

 

樋口:世界三大宗教を作ったレジェンドたち。今回、われわれ日本人にはおそらく最も馴染み深い「仏教」です。

深井:そうですね。仏陀。

樋口:はいはい。

深井:仏陀は「お釈迦様」って言われる。釈迦っていうのは彼が「サーキャ族の王子」だから。「サーキャが釈迦」っていうんですけど、サーキャ族の王子様なんで、生まれの最初のスタートがとっても高い人です。だからキリスト、ムハンマドに比べては全然違いますよね

樋口:スタートが違いますね。

深井:貴族ですねこの人は。細かい話する前に、めっちゃざっくりいうと。この人は僕から見ると宗教者っぽくなくて、哲学者っぽい。

樋口:ヘ〜。

深井:さっきの前の二人と違う。もっと哲学寄り。

樋口:哲学と宗教家の違いを…

深井:そもそも神様があんまり出てこない、この人の話の中で。

樋口:そういうことか。

深井:「神が」とか。

樋口:一回も概念的なものに置き換えずに。

深井:単純に「自分との向き合い」みたいなのをずっとやってる感じ。

樋口:は〜。もうちょっとすでにゾクゾクするんですけど。

深井:ずーっと自分と向き合って「精神をいかに安定させるか」みたいなところについて悟った。そして、それをみんなに広めて、みんなで悟っていくみたいな。

樋口:なるほど、なるほど。

深井:そんな感じですね。仏陀はホントにこの方も特徴的で、当たり前だけど「貴族」なんですよね。29歳まで普通に王子様として生活してるわけです。何不自由のない生活をしてるわけですこの人は。侍女もたくさんいて、三大欲求を全部すごく満たしてるんですよ。

樋口:あら羨ましい。(笑)

深井:美味しいものも食べて。

ヤンヤン:お坊ちゃんです。

深井:お坊ちゃんなんで、ホントに。英才教育も受けて、才能もあって、武芸と勉強どっちも才能があって。

樋口:あらっ。

深井:「期待のホープで」みたいな。何も不自由なく育ってきた「ゴータマシッダールタ」さんは…「仏陀」って呼びますね、めんどくさいんで。仏陀は29になったら、いきなり王宮から出て行って…

樋口:ほら。

深井:出家する。

樋口:なんでヘンテコなことをするんですか。(笑)なんでそんなヘンテコなこと。

深井:意味がわかんないよね。三大宗教の創始者って、オレも「なんでそれをした?」ってなるんだけど、一応、語られてる内容からするとですね、彼は王子という生活をしながら城壁の外に出るわけですよ。城壁の外に出ると全く違う世界が広がっていると。病人がいる、老人がいる、物乞いがいる。いろんな目も当てられないような世界が広がっていると。

インドですよ、この人が生まれたの。インドでそういうのが紀元前600年だから、2600年前のインドね。さらに、イエスより600年前だから、そこでそういうのがあるというのを見て…頭が良かったんでしょうね。もともと、哲学タイプだったんでしょう。この人も、ムハンマドっぽく考え始めます。いろんなことを。

ヤンヤン:物思いにふけます。

深井:物思いにふけちゃう。

ヤンヤン:考えなかったら幸せだったのに。

深井:たぶん、「自分とこの人たちの差異は何なんだろう」とかですね。「生きるって何なんだろう」って思っちゃったんだと思う。病人を見ながら、「いずれ自分も死ぬし、死ぬ前に病気になるだろう」と。

「今はこういう生活をしてるけど、彼らみたいな風に死んでいくって、どういうことなんだろう?」っていうことを考えて、悩んで悩んで悩み始めちゃうんですね。どんどん悩みルートに入っちゃって、出家したくなっちゃうんですよ。とにかくこれを解消したくなって、考え続けたいっていう風なルートに入っていく。

一応、当時の貴族の間でそこそこ出家がはやっていたんですよね。

樋口:そうなんですね。

深井:別に彼だけじゃないんですよ、たくさん出家してる人たちがいる中で「自分も出家したい」ってなったんだけど、当たり前だけど王子様なんで、全員から反対されます。特にお父さん…王様から。

樋口:後継が。

深井:「ホントにやめて」っていって。しかもすっごい美人な奥さんもいて、愛人もたくさんいるし、愛人て言ったらあれだけど、いろんな人がいて。息子もいるんですよ。なんなら息子の名前がひどくて「ラーフラ」って名前なんですけど「束縛者」って意味なんですよ。

樋口:え?束縛される人?

深井:出家したいのに生まれたから「こいつはオレを束縛するやつだ」って。

樋口:うーわ。

深井:名前をね「束縛者」っていう名前をつけた。

樋口:悪りぃ。(笑) マジでかわいそう。

深井:オレも「かわいそうだな」って思ってるんだけど、彼からしたら束縛してくる人だったんでしょうね。「束縛者」っていう名前をつけて…ちなみにあとで弟子になるけどね。

樋口:ふーん。

深井:後々。この人は29歳の時に、一応言われてるのがあれだよね。これちょっと言っていいかな…たぶん乱交パーティじゃないかなと思う。(笑)

樋口:なになに?(笑)

深井:たぶん乱交パーティの後に、すっごい虚しくなって家出します。「何これ?」ってなって。

ヤンヤン:お父さんが出家を止めようとしてて、さっきも言ったけど、インドで一番の美女と結婚させるんですよ。それが一つとハーレムを作るんですよね。500人くらいの美女が踊り狂う、24時間、踊り狂うハーレム。

深井:だから、踊ってるだけじゃないと思うんだよね。

樋口:はいはい。

ヤンヤン:そこに作らせて、それで虚しくなって。

深井:宴会が終わった後、一人だけ起きたんですって、みんなが寝てる間に。そこで、みんなが寝てる風景を見て、半裸とかで裸とかで。

ヤンヤン:ゲロも吐いてたんでしょう。(笑)

深井:すげぇ虚しくなったみたいで、勝手に出ます。(笑)全員に黙って。

樋口:ゲロ吐いてとか、どうか分かんない。(笑)なんでそこだけなんか…そこだけちょっとグロいんですか?へ〜、なるほど〜。

深井:それで嫌になって出て。出て頭を剃って、着てる服とかも脱いで、きったない布に着替えて。その後修行に入るんですよ。その時29歳で、35歳くらいまで修行するんですね、5、6年の間くらい。

当時インドの修行って大きく二つあるんですよね。一つが「瞑想」。今でもあるよね。もう一つが「苦行」。

樋口:苦行。

深井:肉体をいじめまくることにより、普段では達せない境地に達そうという発想があります。仏陀は「苦行界のエリート」みたいになっていきます。

樋口:痛めつけまくる。

深井:そう、痛めつけまくる。ホントね、どっちもできるんだけど、瞑想も苦行もやるんだけど、まずは瞑想の師匠みたいな人たち…その時の瞑想の権威みたいな人がいるんですよ。その人のところに弟子入りしたら、一週間とか数カ月とかで師匠を超えるんですよ。(笑)

師匠が「ホント、教えることはないし、後を継いで、もしくは自分の先生になってください」みたいになるんです。「これは悟りじゃないな…」みたいな感じで。「違うな」とか言って、それを二回くらいやって、瞑想の師匠二回ともそんな風になって。

苦行ルートに入って、苦行もやっぱりエリートなんですよね。

苦行もいじめ抜いて。例えば「断食」ご飯の量を徐々に徐々に減らしていって、最終的に一日米一粒とごま一粒で生きるみたいな。(笑)絶対死ぬだろと。

樋口:絶対死ぬやろ。

深井:後、一つの場所からずーっと動かない。風呂も入らないし、トイレもいかないんだと思う。ずーっと動かない。後、直射日光にわざと当たる。

樋口:うーわ。

深井:息を止める。限界まで息を止めるみたいな。後は、寝ない(笑)とかね。

樋口:一個ずつめっちゃシンプルですね。

深井:そうっす。

樋口:直射日光に当たるとかまじでシンプルやけど。

深井:肌艶はめちゃくちゃ良かったらしいです。もともと、王子様の生活してたんで。めっちゃ顔色が悪くなったらしいですよ。

樋口:でしょうね。(笑)

深井:それで、仏陀はどっちも修行をして、特に「苦行は違う」ってなったんですよ。

樋口:それを詳しく聞きたいです。

深井:「苦行を誰よりもやった」っていう自信があるくらい彼はやるんですね。やった結果、「苦行をどんだけやったっても自分が悟りを開くことはできない」ということを悟ったみたい。

樋口:ふーん。

深井:「これじゃねえぞ」と。「これじゃないぞ」ということを悟って、普通の瞑想に入ります。普通の瞑想の中で悟ります。「悟る」ってそもそも何なのか?って話ですけど。

樋口:そこなんですよ。

深井:「悟る」っていうのは、僕の解釈でお話ししますね。もっとみんな勉強した人がいたら違う解釈かもしんないけど、僕が勉強した限りだと、人間って、いろんな苦しみがあるじゃないですか。その「苦しみを超えて精神を安定させることが、どういう時でもできるようになった状態」。

樋口:は〜。

深井:しかもそれを体系的に理解してる状態。これがたぶん悟るだと思われる。

樋口:へ〜。

深井:だからそれが分かったっぽい。

樋口:ちょっと待ってください、どんなことがあっても安定した状態になる。

深井:そう。

樋口:精神状態になるっていうことですね。

深井:彼は実際死ぬ直前に、死ぬほどの腹痛に襲われるんですけど、瞑想で克服しますよ。(笑)

樋口:まじドラクエの世界ですね。(笑)

深井:痛みを超越する。

樋口:は〜。そもそも「苦行が無駄だ」って分かったっていう、ということなんですけど、その前ってなんで苦行がいいって言われてたんですか?超えるみたいなイメージだったんですかね?苦行の痛みを。

深井:たぶんその、気持ちよかったんじゃないですか、苦行したら。

樋口:そういうのもあるのかもしれないですね。

深井:あると思うよ。僕からみて、苦行をやり切るストイックさの悦楽感みたいなのがあるタイプの人間が、この世の20%くらいのがそれを持ってるんですよ。

樋口:なるほど。

深井:これ、僕は人間のタイプだと思ってるんだけど。

樋口:これはわかるわ。

深井:その人たちが開発したんだと思うよ。

樋口:なるほど。

深井:いじめるの好きな人がいるじゃないですか。あとは筋トレ、ボディビルダーとかたぶんそっちに近いかもしれない。鍛え抜くのが好きとか。

樋口:サディズム、マゾヒズム。

ヤンヤン:それもあるかもしんないですね。

深井:それに宗教を混ぜた感じですよね。肉体がかせになってるっていう概念があったから、肉体を超越させるっていう意味で苦行をし続けるみたいな。

ヤンヤン:限界に挑むっていう感覚でしょうね。

樋口:限界に挑むっていう感覚。いろんな何かあるんでしょうね、複合的な。なるほどな。

深井:当時、インドの古代宗教があったんですけど、それをベースにして彼はそこの古代宗教を否定していきます。

樋口:はいはい。

深井:みんなと一緒だよね。イエスとムハンマドと一緒ですよね。

樋口:その時のもともとあった宗教って何教?

深井:バラモン教。

樋口:バラモン教だ。バラモン教なんですね。バラモン教の特徴って?

深井:苦行とか。あとはカースト制度。

樋口:はいはい、カースト。

深井:カースト制度も否定する仏陀は。

樋口:なるほど。

深井:「人間は平等」って言ってる、2600年前に。当時バラモン、バラモンていうのは神官のことなんですけど、いわゆる聖職者のことですよね。バラモン、クシャトリヤ、バイシャ、シュードラってあるね。カーストがあってトップなんですよ、バラモンが。バラモンが世界を牛耳ってて、結構汚職とか横行してる状態だったみたい。

ヤンヤン:既得権益。

深井:それに対して、すごくよくないよねって言ってる。見せかけの階級とかすごくどうでもいいから、その人本人の精神がどこまで高まってるかどうか、これが最も大切であり、これしか大切ではないっていう話をしてる。

仏陀がですね。

ヤンヤン:ムハンマドもイエスも。

樋口:アプローチが「身の回りの物にある精度とかなんやかんやじゃなくて、本質をみろとか、自分で決めろ」とか。

深井:そうですね、ただ仏陀は一神教じゃないんで。創造主である神が出てこないですよね話の中で。

樋口:そうだそうだ。今のところは出てないですね。

深井:これは明確な違いですね。

樋口:はいはい。

深井:彼は35歳で悟るんですよ。悟った瞬間に彼が思ったのは、「オレ、悟ったけど、これ他の人理解できないだろうな」って思ったんですよ彼は。教えるかどうかで迷ったんですよ。

樋口:はいはい。

深井:でも最終的に「伝えよう」ってなったんですよね、伝える決意をするんです。

樋口:シェアの精神ですよね。

深井:伝える決意をして伝えてみたら、意外と伝わったんですよ。

樋口:ヘ〜。

深井:彼の想像よりは伝わったわけ。

樋口:はいはい。

深井:だから彼の弟子の中で悟った人って何人かはいるんです。

樋口:へ〜。

深井:弟子もたくさんできて、10人だったかな、有名な弟子がいて。その中に息子もいますけど。

樋口:は〜。なんでしたっけさっき息子の…

深井:ラーフラです。

樋口:ラーフラってどういう意味でしたっけ?

深井:束縛者です。

樋口:束縛者(笑)

深井:最後までラーフラっていう名前だもんねこの人。

樋口:なるほど、なるほど。

深井:それから80歳まで生きるんで、45年間ずーっと説法していきます。

樋口:ちゅうか結構長生きですよねまた、80まで生きるっていうのも。

深井:長いですね。この人には、王様とかも聞きにくるんですよ、その説法を。王様とか聞きに来て、めっちゃ感銘を受けます。そして王様は、出家はできないけど「在家」っていって、今でもありますよね。出家せずに帰依すること。そういう状態になっていくんですよね。

後は、金持ちとかもすごい尊敬されて、それで祇園精舎とか建ててもらうんですよ。「祇園精舎の鐘の声」ってあるじゃないですか。平家物語で。あれって要は宿舎ですよね。僧のための宿舎を金持ちの人たちが寄付した。

樋口:そういう意味なんですね、祇園精舎。

深井:祇園精舎っていうのは宿泊施設のこと。

樋口:はいはい。なんかあれですね、ホントに哲学者というかメンターというか。

深井:まぁでも読んでたら完全に哲学。すげえちゃんと書いてある。ものすごく分かりやすいかな。

樋口:へ〜。その中身にはどういうことが書いてるんですか?

深井:えーとね、全部はしゃべれないけど、さっきも言ったみたいに「人間を苦しめてるものはなんなのか」っていう話を考えていくわけですね彼は。それは一言でいうと「執着だ」って言ってるわけです。

ヤンヤン:物ですね。

深井:「物事に対して執着があるっていうことが、人間を苦しめる全ての根源になっているんだ」と。

例えば僕が「パソコンが欲しいです」とか、それはしょぼいな。「車が欲しいです」とか、「家が欲しいです」とかいうのも執着で、「それが手に入らないから辛いとかしんどい」、「お金が欲しい」「もっといい暮らしがしたい」とか、「美人と結婚したい」とかさ。そういうのも全部が「執着」から生まれてくる欲望で。

「執着さえなければ、そういう欲望もないから、心やすらかに入れるはずだ」っていう考え方がまずあるんですね。

樋口:いいっすね。

深井:そうですね。「執着しない」しなさすぎるというか、「執着しないのはいいんだけど、極端にどっかに振るのもよくない」って言ってるんですよ。

それ、僕はすごく素晴らしいことだなって思っていて、僕も仕事の中で同じ感覚を持ってるんで。「中道」っていうんですけど、彼は苦行の中でたぶんそれを見つけたんだけど、「極端にいじめるのもよくない」かと言って、「いじめないというか、全くそういうことをしないのもダメ」だから、「どっちもしてる状態、どっちもしていない状態みたいな精神状態を保ちなさい」って言ってる。

樋口:は〜。ちょうどいいのがいいって言ってるんですね。

深井:ちょうどいい、うん。どれにも囚われてない状態。

樋口:ちょうどいいっていうか、フラットとかナチュラルの方がいい。

深井:ナチュラルが近いでしょうね。「どちらとも偏執をしていない状態の精神状態を作ることが大切だよ」って。

ヤンヤン:ちょうどいいが大切って感じですよね。

樋口:なるほどな。

深井:高いとか低いとか、そういう価値観の尺度じゃなくて、「自分にとってちょうどいいっていうところ」を言ってるんじゃないかなって思うんですよ。だから執着っていうのが、ちょうどよくないものを目指すような精神状態ですね。執着っていうのは、どっかに寄ってる状態ですよね。「どこかに偏執をしてる状態を執着と呼んで、それが苦しみを生み出してる」と。

樋口:これは僕とかも、今極限のダイエットしてるんでめちゃくちゃわかるんですよ。

ヤンヤン:苦行をしていますね。

樋口:超苦行をしていますよね。

深井:完全に苦行ですね。

樋口:でもなんか、それによってわかることっていうのが近いなって思ってるんですよ。

僕ごときがすみませんけど。なんか、今までは食いたいものがめちゃくちゃあったんですけど、極限まで制限すればするほど欲もなくなってくる感覚がちょっとある。

深井:それをたどってるでしょうね本人は。

あともう一つ仏陀には「無常」って考え方がありますね。さっきの執着の話とリンクしますけど。

樋口:「無常」っていうのは「常ならず」。

深井:常が無いと書いて「無常」。諸行無常の無常ですよね。あれも仏教用語なんで。無常っていうのは、ホントにそのまんまなんだけど、「永遠に続くものなんて一つもないんだ」っていう考え方ですね。

例えばさっきの話で例えると、「家が欲しい、もしくは財産をすでに持ってます、

財産を失うというのが怖いです」というのは、仏陀からすると「財産を持ってるっていうとこがそもそも勘違いだよ」っていう感覚。

ヤンヤン:なるほどね。

深井:そうなんですよね。

「持つ」なんていうことは「常ならず」だから、「今、この瞬間がそうなのだけであって、それが永遠に続くと思ってるかもしんないけど、どうせ君は死ぬし、持つことなんてできない、ずっと。なのに、そこに執着するっていうのは、実態がないものに対して執着してる状態だよね」と。それは「意味がないというか、無駄に心を痛みつけるというか、苦しみを生むものだから、本当に世界がどうなっているか、要はホントは全部が永遠ではないので全部が流れてる状態だ」と。「その流れてる状態の中で、何にも執着しないという状態を保てば、基本的に苦しいことっていうのが、だいぶなくなるよ」って話をしてる。

本人は全てがなくなったわけですそれで。

樋口:僕のイメージとしては、過去とか状況から自分を切り離すみたいなイメージだと思ってるんですよ。要は、例えば、「生まれがどうとか」って、過去のことだし、状況じゃないですか。

でも、本来、自分という人間は、それとは関係ないものである、分断するみたいな。

深井:そうですね。うん、そうですね。それで、彼がそういうことを言って、ただバラモン教の考え方もだいぶ踏襲しています。例えば「輪廻転生である」とか、そういうのはちゃんと踏襲してる。

樋口:それさっきも聞いたんですけど、死生観、死後の世界っていうのが、どう捉えられてるのか。

深井:実はね、すごく僕はびっくりしましたけど、仏陀は「死後なんて比較的どうでもいい」って言ってる。

樋口:は〜。

深井:「んなことはどうでもいいよ」って。

樋口:いわゆる、極楽浄土っていうのは…?

深井:あれは後世の産物でした。

樋口:は〜いいっすね〜、ゾクゾクするっすね。

深井:オレは仏陀に賛成だね、個人的に。彼は「現世の中で解脱できる」って言ってるから、「現世の今、この瞬間の方を大事にして。死後のことなんてわかんないから。だって、考えたってわかんないでしょ?」って。「想像してもそれが正しいかどうか、分からないでしょ、じゃあ考えるやめなさい」って言ってる。

樋口:いや〜、全然そこのイメージは違いますよね。

深井:全然違いますよね。だから、宗教っぽいじゃなくて哲学っぽいんですよ。

樋口:はいはい。だから、要は、「魔法のようなことを言わない」ってことですよね。

深井:伝説ではめっちゃ魔法使ってますけどね。

樋口:なんすか(笑)

深井:生まれた瞬間に7歩歩いたりしています。(笑)

ヤンヤン:「天上天下唯我独尊」って叫んでる。(笑)

樋口:絶対に生まれ変わってるじゃないですか。(笑)

深井:ホントはしてないだろうから、そんなことは。哲学者っぽい人だったんだろうなと思いますね。

樋口:だからすごいリアリストですよね。

深井:リアリストだと思う。

ヤンヤン:逆に言うとあれだと思いますよ。

後世の人たちは、仏陀ほどの悟りのレベルに至らなかったから、「死後の世界なんちゃら〜」っていうロジックをつけて、心の安定を図ったんじゃないかなと思いますよ。

深井:大衆の心の安定には天国がある方がいいでしょうね。

ヤンヤン:何かと都合がいいじゃないですか。

深井:僕たちの家の宗教である浄土真宗は、まさにそっち寄りですよね。

樋口:そうですよね浄土。

深井:大乗仏教っていいますけど。

ヤンヤン:人間の骨についてですが、確か、仏陀は「人間の骨がそのまま土に溶けたら、それでいいじゃん」っていう感じなんですけど、普通の人はやっぱり「骨は土に帰ったけど、その人はどこにいったの?」っていう風に、どうしてもそこの考え方から抜け出せないですよね?

樋口:わかります、わかります。

シンボルというか。要は普通のボタンと第二ボタンの価値が違うっていうことですよね(笑)

ヤンヤン:いや、わかんないっす。(笑)

樋口:だから、なんていうんですかね、この物は物でしかないはずなのに、そこに過去のストーリーがあったりとか。

深井:「第二ボタンに意味がある」っていうことですね。

樋口:本来はただの物質であるはずで、リアリストからするとただの、ただのプラスチックのあれで…

ヤンヤン:そうですよね。

樋口:あるものっていう。

ヤンヤン:死後の世界を生み出した後世の人たちも、一つの欲だったんじゃないですか、執着だったんじゃないですか。どうしても自分たちが解釈できるような物が欲しかったのかもしれないですね。

深井:明確に、イスラム教とキリスト教と救いの意味が違ってて、そっちは「神様」が絡んでるけど、初期仏教に関しては、仏陀が言ってることに関しては、そこに「神秘的な力」とか

「霊力」とかは働かないんです。自分が「悟るか悟らないか」っていう話になる。

樋口:仏陀って実際何かをしたんですか?

深井:ずーっとスピーチしています。45年間。誰に対してずっとスピーチしてる。いろんな人がくるんですよ彼のもとに。見たら違うらしいです。(笑)見た瞬間に、「この人は相当やばい人だ」ってみんなが分かって「ホント、話を聞かせて!」みたいな。「僕の先生になってください!」みたいな感じになる。

樋口:へ〜。

深井:仏陀もまんざらじゃないんですよね。謙遜とかしないんですよ。「オレ、悟ってるよ」みたいな感じで、ずっとコミュニケーションしてる。「悟ってるから、教えるね」みたいな。

樋口:別に、これはわからないと思うんですけど、何のために悟って何のために伝えていったんですかね。そういうのって残されてるんですかね。

深井:残ってないです。残されてるけど、レジェンドすぎて信じてないです。

実際には、仏陀が伝えるかどうか迷った時に「ブラフマン」っていう神様が出てきて「お願いします伝えてくだい」っていってくる。

樋口:もうオファーを受ける、依頼されるっていう。

深井:一応、ブラフマンは創造神なんですけど。そこから言われて「じゃあ、そうしよう」ってなるんです。

樋口:僕は勝手に、そもそも、出てった時って、幸福度を感じられなかったから出てったんじゃないかなって思うんですよね。

深井:でも、そうでしょうね。

ヤンヤン:そうですよね。

樋口:満ち足りた、飽き足りたっていう状態。

深井:そこに真実の世界がないと思ったんでしょうね。

樋口:うんうん。僕ごときがまた、あれですけど、例えばお金についても、「これ以上いらない」って思った瞬間が僕はあって、僕ごときでもあるんですよ。一回、東京に出ていて、音楽の仕事をした時に、これで自分の会社がボーンって行って、広告業界で主にやってたんですけど、お金をもらってっていうので。満足できなくなったんですね。逆にいうと満ち足りたんですよ。満足できたんですよ、できちゃったんですよ。だから、「この現状では、次の満ち足りる物はなくなったから」ということで、次のステップにいったっていうのがあるんですけど。

さっきのアレですか。ハーレムパーティで。完璧にもう溢れ出たんじゃないかっていう。

ヤンヤン:そうでしょうね。

樋口:満ち足りたっていう(笑)。卒業したんじゃないかっていう、想像もあるんすね。

深井:そんな感じしますよね、仏陀は特に。全部できちゃってるからね、生まれた時から。

樋口:「モチベーションがどこなのか」っていうところを考えると、自分に向いてたんじゃないかなって。

深井:すげえ、自分に向いてますよ。仏陀は完全に自己。

彼は社会的活動をホントにしていない、スピーチしか。それって、そもそも外に意識向いてないじゃないですか。悟る過程をみてても社会活動してないんですよ。いろんな人とチームワークを組んで失敗するとかの一切の経験をせず、瞑想したら悟ってるんですよ(笑)

樋口:すごいっすよね。

深井:その概念って、今の世界であるようで ないですもんね。だって、今の世界では、家にこもって瞑想するくらいだったら、外に出ていろんなことを経験した方がいいって、みんな思ってるわけでしょ。

仏陀そんなこと全然考えてないから、全然考えてない。それが面白いです。

樋口:そうなんですよね。たまたま、自分の満足のためにやったら、たまたま悟っちゃった。悟ってせっかくなんで。

例えば、人間て食べて、うまいもんがあったら「一口食う?」って言うじゃないですか。

それくらいの感じで「悟ったけど聞く?」っていう。感じなんじゃないかなって、話を聞いて思ったんですよね。まぁまぁ、全部想像の世界なので、あれなんですけど。

ヤンヤン:インプットが極端にほとんどない状況で、それだけ言語化できたのはバケモンですよね。

深井:だから、思うところがあるよね。ホントは必要がないのかも。だって、この人の方が過去の社会活動的なことをめっちゃしてる人たちよりも圧倒的に影響がデカいもん。

樋口:ですね。影響度っていう尺度からみた時に「社会活動って実は必要なかった」みたいな。

樋口:でも一応苦行は一回通ってますもんね。

深井:苦行もでも一人でやってますからね。

樋口:あーそうかそうか。

深井:一応チームでやってるんだけど、自分との闘いでしかないんで、苦行も。この人はずーっとそうですよ。僕たちが仕事でやってる経験は一切せず、人とのコミュニケーションでものすごく悩んだ経験も、そこまでせず悟りの境地を。

樋口:なるほどな。やってみてえ一回。

ヤンヤン:深掘りのレベルがやっぱり。人類の中でも相当なところですもんね。最高レベルなんで。そこまで行ったら、樋口さんここにいないと思いますよ。

樋口:ホントに。だから、僕いつかやりたいんですよ。いつか、山の中にこもりたいんですけど、最後の最後で僕ハーレム経験して行きます。

ヤンヤン:一回経験して。

深井:先にハーレムから。

樋口:ということで「仏陀」は、なんか思い入れあるんで、すごい楽しかったです。今回は以上です。ありがとうございました。

深井・ヤンヤン:ありがとうございます。

次回へつづく…

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