【ポイント】
①一番最初に秦を強国にのしあげた人物が百里奚(ひゃくりけい)という遅咲きの宰相
②世界史の中でも武力が神クラスの白起(はくき)将軍も登場する
③斉と秦が二大強国同士で睨み合っていた頃、小国・燕に楽毅(がくき)という武力レベルがシステムバグ並みの将軍が出現し、斉をほぼ滅亡寸前まで追い詰める。これが秦が一強となる遠因となった。
樋口:さあそれでは次に参りましょう。
前回に引き続き、秦がどのようにして強くなったのかってことなんですけども、
今回は個々の人物に焦点を当ててお聞きしていきたいなと。
つまり秦を盛り上げた男達っていうことなんですけど、
深井:そうですね。
前回、商鞅で、実はさっき言ったみたいなバトンを渡してきた人たちが他にもいるんですね。
一番最初に秦という国を結構デカいところにのし上げた人が百里渓って人。
樋口:百里奚
深井:これはね『キングダム』にね、1コマか2コマだけ出てる。
樋口:出るんすね。
深井:一瞬出てる。
みんな探してみて欲しいっす。
何巻に載ってたか僕忘れましたけど、五羖大夫とも呼ばれる人で。
樋口:五羖大夫。
深井:そっちの名前で出てたかな?
百里奚というですね、秦の宰相、要は総理大臣ですね、になった人がいて、この人ね、何やったかでいうと、楊端和とか出てくるじゃないですか。
樋口:楊端和、あの女の。
深井:異民族の。
樋口:異民族の。
深井:あの人たちを仲間に入れた人たちです。
それまで秦は一番西の果てにあったんで、さらに西にですね。
たくさん異民族がいたんですよ。
秦は東の中国の中心を攻めるんじゃなくて。
樋口:都会ですよねつまり。
深井:都会の方じゃなくて、さらに田舎の異民族達から攻められてみんな困ってた。
樋口:へぇ。
深井:そっちをね、平定するのに手一杯で東側を見れる余力がなかったんですよ。
樋口:なるほど。
深井:百里奚の出てくるまでの時代。
けど百里奚は、この人の人徳のみでですね、この7つくらいかな、
その族を全部百里奚さんが総理大臣してるんだったら僕たち下に入ります、と。
樋口:え〜!すげえなぁ。
深井:その人達が一気に秦に入ったんで、秦の領土がいきなりおっきくなるっていう。
この百里奚っていう人がやったこと。
樋口:人徳のみで!?
深井:人徳で。
この人ね、ちなみに100歳くらいまで生きてる。
樋口:え!
マジっすか!?
200歳とか300歳まで生きた歴史上の、アレとかじゃなくて?
深井:じゃなくて。
別にね、古代でも90代まで生きた人とかもいるんでおかしくはないんですよね。
200歳は嘘だろってなるけど、100歳とか確かにありえんことではないなって思っていて、
90後半から100歳くらいまではホントに生きてたんでしょうね。
樋口:へぇ~。
深井:この人の人生もすごく面白くて、
40歳くらいまでね、ろくに仕事ができないんですよ。
樋口:へぇ!スロースターター。
深井:相当超大器晩成この人。
40くらいまで全く全然違う国にいて、秦と全く全然違う国にいて、
必死で就活するんだけど、なかなか認められないんですよねこの人。
やっと40代で認められたのが、物凄い小さい国の戦国七雄に入ってない
物凄いちっちゃい国の官僚というか、から始まって、そこから始まるんだけどその国がね、
50代か60代くらいの時に滅びちゃうんですよ。
樋口:あら。
会社潰れる。
深井:会社倒産しちゃうんです。
極端だけど奴隷になっちゃうんですよこの人。
樋口:うわ、きっついな〜。そこでリストラされて。
深井:リストラされて、ホームレスになって。
樋口:うっわ〜。
深井:奴隷として売られていくんですよね。
もうなんなら当たり前だけど、自暴自棄になって、どうでもいいやってなったんですよ一回。
百里奚。
それ60ですよ、60くらいの時にそうなってんすよ、50から60代の時に。
その状態になった百里奚を秦の官僚が見つけるんですよ。
たまたま奴隷として雇ったら、この奴隷なんか、すげえ頭いいぞって
(笑)
深井:ちょっと普通の奴隷と全然違うけど、これなんだろう?ってなったんですよ。
喋ってみたんですよね奴隷と、そしたらヤバっ!ってなったんですよ。
すげえ頭いい!みたいな。
超国のこと考えられるじゃんこの人ってなって、その時にちょうど秦の王様が優秀なやつだったら全員面接するから、全員会わせろって言ってたんですよ。
樋口:は〜、じゃあ人材に。
深井:そうそう。
ホントに会えたんですよ、王様に。
そこでやっぱり、この人優秀だから採用されて。
樋口:すげえな〜。
深井:60代で奴隷になって、60代からまた秦ていう辺境の国の役人になって、60から順当に出世して、90歳くらいでやっと宰相になるんですよ。
樋口:はっはっはっは。
深井:30年くらいかけて出世して。
だからいきなり出世したわけではないんですよね。
徐々に徐々に出世していって。
樋口:定年ないんすね(笑)
深井:ないんすよ。
ヤンヤン:勇気を与えてくれますよね。
樋口:すげえな〜。
深井:その時五羖大夫って呼ばれてるんだけど、五羖っていうのは羊の皮5枚って意味なんですね。
樋口:羊の皮。
深井:これはこの人が奴隷だった時に、羊の皮5枚で買われたからそう言われているんですよ。
だからこの人頭いいってなった時に、羊の皮5枚で買いたいってなって、
買えたから、こんだけ優秀な人材をたった羊の皮5枚で買えたなんて、すげえ!みたいになって。
それがみんなエピソードとして、生きてる最中に広まって。
樋口:なるほど。
深井:五羖大夫って呼ばれる。
樋口:生きるビットコインじゃないですか。
(笑)
深井:そうですね。
ヤンヤン:確かにね。
深井:ホントにすごい安い買い物だったね、みたいな。
樋口:爆上げっすね、価値。
深井:そうなんですよ。
樋口:ばり爆上げやな。
深井:この人のお陰で、領土が2倍くらいになったんじゃないかなぁ。
樋口:は〜。
深井:一気に、秦は。
っていう人がまずいて、この人がいたから、
さっき言ったみたいに西じゃなくて、東に向けて目を向けることが出来るようになっていくんですね。
その次にガッツリキングダムに出てきますけど、ガッツリでもないけど。
回想シーンで白起将軍出てきますよね。
樋口:白起。
深井:目がやばいやつ。
樋口:はいはいはい。
検索して画像検索結果みたらびっくりします。
ヤンヤン:ホラーみたいなキャラしてますよね。
深井:この時代というか、中国の歴史なんなら世界史を通じて、
天才的な将軍の代表格に数えてもいいくらいの、激烈強い将軍です。
白起将軍超強いです。
ヤンヤン:戦闘力神クラスです。
深井:神クラスですホントに。
これと並ぶ戦闘力の将軍がもう一人、実は同時代にですね、出てくるという歴史のロマンがあって。
これもね1コマか2コマが出てくる、キングダムに。
これが楽毅将軍。
樋口:楽毅?
深井:ガッキとも呼ばれるけど。
楽しいに犬養毅の毅、楽毅将軍っていうのが出てきます。
この2人はね、ホントに強いです。
樋口:えっと、違う国ですか?
深井:違う国です。
白起は秦ですよね。
楽毅は燕です。
樋口:燕。
ヤンヤン:つばめ。
深井:つばめの燕です。
出てきますね、キングダムにも燕という国が。
あの国のキングダムの時代の前の前の世代くらいの将軍で、ホントに強いです。
樋口:ライバル。
深井:ちょっとこの後、楽毅も喋りますけど、白起将軍がね、めちゃくちゃ強かったんですよ。
商鞅が首級さえあげれば、どんどん出世するよ!っていうの作ってたじゃないですか。
この人首級あげまくるんで、ホントにどんどん出世していく。
樋口:結果残しまくる。
深井:結果残しまくります。
楚とか、楚の首都とか陥落させてるんでこの人。
楚ってね、漫画でもめちゃくちゃ強い軍勢で出てくるでしょ?
ヤンヤン:領土が広い一番。
白起将軍の時代には、もう商鞅のお陰で秦はだいぶ強い国になってるんですよ国力が。
兵士の数も多いし、食糧の数も多いしっていう風になってる。
だから秦 斉 楚っていうのが三大強国みたいになってて、そのちょっと下くらいで魏とかがあって、めっちゃ下に韓とかがある、みたいな時代に突入している。
楚を、同じく強い楚をメッタメタに倒していく、みたいな。
とにかく全戦全勝みたいな将軍ですよね。
その軍勢で勝てるの?みたいな軍勢でバンバン敵を倒していくんですよ。
こっちのが少ないけど余裕で勝つみたいな、圧勝みたいな。
樋口:あのオレ、分かんないんですけど、武将が強いってなんなんすか?
深井:まず戦略ですよね。
状況判断。
まず状況判断能力が非常に高いと。
あとはその戦略性。
この戦略でいけば強いということが分かっているとか、あとこのレベルの将軍になると
相手の将軍の、その組織における政治的立ち位置とかまで全部諜報活動してて。
調略して落とすとか孫子の兵法にありますけど、戦う前に勝てってあるじゃないですか。
樋口:聞いたことある。
深井:ここの周りの相手方の将軍の周りの人間は、全員この将軍の言うことを聞かない状態とかにさせるとかも、余裕で出来るわけじゃないけど、普通に策略として打ってくるレベル。
ヤンヤン:離反させて、自分の軍隊に引き入れるとか。
深井:っていうくらい全部情報収集して。
そういう戦略立てて、戦う前には、これだったら勝てるよねっていう状態に持ってきて。
モチベーションの上げ方とかめちゃくちゃ上手くて、兵士の。
樋口:なんかやっぱキングダムとか見てると、強い将軍って一人でめっちゃ倒すじゃないですか。
あーいうイメージではないんですか?
深井:あのね、色んなタイプ実はいるんですよ。
樋口:そういうタイプもいるんですか?
深井:いるんです。
ちょっと時代下りますけど、漢の時代に項羽っていう将軍がいるんですけど、
項羽とかは漫画っぽいですよね。
自分が強い。
樋口:自分が強い。
深井:自分が強え。
だからもう、先頭に立ってバンバン殺していくみたいな。
バンバン殺していくから、兵士も、
将軍が強いって兵士からしたら、すげえ嬉しいんですよ。
オレらの将軍超強え!みたいな。
樋口:かっけえんすよ。
深井:かっけえ。
オレも死のう、みたいな。
樋口:そうかそうか。
士気上がるんですね。
深井:士気超上がるんで、そういう将軍もいるし。
例えば孫臏っていう孫子なんですけどこれ、
孫子とかは足の腱切られてるんで、馬に乗れない、戦車にも乗れない。
だから立つことが出来ないから、
樋口:腱切られてる。
深井:戦争の最前線にはいけないけど、この人めちゃくちゃ頭いいんで、全部戦略で。
相手の諸葛亮みたいな感じで。
裏かいて裏かいて、全員術中にどんどんハマって全滅、みたいな倒し方をする将軍もいるし。
樋口:タイプによって違うんですね。
深井:色々いるから面白いんですよ。
白起とか楽毅とかは、どっちもあります、強いし頭もいい。
知将で猛将って感じです。
だから強いんですけどね。
どっちもあるから超強いみたいな、この白起がだいぶね。
周りの国の隣接してる国のね、アレを削いでいきます、力を。
っていうことをしていくのと、その後にラッキーなんですけど、当時ね、
秦のライバルは斉だったんですよ。
もうすでにこの時代の時点で、キングダムのちょっと前の前世代の時点で、斉と秦の二大強国になってるんですね。
樋口:ほぼ一騎討ち状態。
深井:この斉と秦の二大強国で一騎討ち状態になっていくっていう情勢の中、
燕に天才将軍楽毅が出てきてしまうんで。
樋口:あら。
深井:この楽毅がですね、斉をほぼ滅ぼすんですよ。
樋口:えぇぇ〜!!!
深井:燕ていう超弱小国家の将軍でありながら、
その当時の超巨大国斉の、72城中70城全部落とすんですよ。
樋口:ちょっと待って。
城っていうのは、、
深井:城です。
72個城があったんです斉に。
したら、楽毅が70個全部ぶっ壊すんですよ。
樋口:第三の手強すぎでしょ。
深井:超強えんすよ。
樋口:は〜。
深井:燕弱いんよ。
燕弱いんですよ。
燕弱いのに。
斉のね、王様が嫌われてて、
当時ちょっと頭悪い王様で色んな国に嫌われてたんですね。
それで燕が合従軍作るんですよ。
秦にも合従軍来ましたよね。
斉にも合従軍来るんですよ。
その合従軍来た時に斉はほぼ、滅ぼされちゃうんですよ。
70城まで落として後2つだね、と。
この2つ落としたら勝てるよってなってた時に、楽毅は不幸なことに、
王様とめちゃくちゃ人間関係作ってたんだけど、王様が死んじゃうんですよねその時に。
樋口:燕の王様が?
深井:燕の王様が死んじゃう。
燕の王様が死んじゃって、太子が王様になる。
この王様がね、楽毅があまりにも功を挙げてしまうものだから怖くなるんですよ。
楽毅将軍がこのまま凱旋将軍として戻って来たら、王様入れ替わられるんじゃないか?みたいな。
人気ありすぎだろこいつ!みたいな。
ちょっともう貶せきしよう!みたいになって、それで楽毅将軍が更迭されるんですよ。
70城落としたのに更迭された瞬間に、70城全部取り戻されるんです。
樋口:全部!?
深井:将軍が違う人に変わった瞬間に全部取り戻されるんです。
樋口:全部。
深井:だから楽毅ホントに強かったんです。
(笑 )
樋口:70個勝って70個取り戻される。
深井:楽毅が強かったから70城落としたやっぱり。
それがね、分かりやすく分かる例ですよこれ。
樋口:めちゃくちゃかっこいいな。
深井:楽毅超強え。
それによって斉の力が削がれるんですよね。
回復するのに時間がかかるじゃないですか、70個も落とされてて。
国力減退して。
秦が一強の時代に突入していくんですよ。
秦一強の時代がキングダムが始まる時です。
樋口:お〜、イエーイ。
(笑)
深井:一巻、これが一巻です。
樋口:やっと一巻まで来たんですね。
(笑)
深井:これが一巻。
樋口:は〜。
その歴史を知っとくのと知らないのだったら、全然違いますね。
深井:全然違うでしょ。
樋口:秦て元々あった強いとこじゃなくて、成り上がって成り上がって、バーンてやっとあそこの。
深井:その前には白起とか楽毅とか百里奚とかいう、バトンを持ってる人達がいて、
その前の先代の王様の頭の良さとかもあってっていうね。
こういうね、連綿と続くね、ストーリーが。
樋口:ストーリーが。
深井:あるのが面白いんだよね〜。
樋口:統一をしたんですね、秦というか始皇帝。
深井:始皇帝はね、統一します。
漫画この後いくと思いますけど、
最後に斉が滅ぼされますね。斉は無血開城みたいな感じで。
戦わずに負けるんですけど。
樋口:ネタバレっつったって歴史ですからね。
深井:歴史だから。
(笑)
樋口:ネタバレも何も。
深井:秦が統一したの全員知ってるから。
樋口:だから始皇帝ですからね。
深井:順番にね、やっぱり倒されていくんですよ。
今の漫画に出てくる六大将軍達がどんどん倒していく、史実では。
蒙恬将軍とか王翦将軍が一番強いんです。
王翦と蒙恬出てくるよね。
樋口:ちょっと記憶が曖昧ですけどね。
ヤンヤン:マスク被ってるやつです。
深井:信が。信て信じるの、主人公の信ねキングダムの漫画の。
李信ね。
李信はなんならあの中で、一番そんな強くないかな将軍の中では。
樋口:へ〜。
深井:王翦将軍と蒙恬将軍がやっぱりすごくて、信のライバルに蒙恬がいますよね。
名家の生まれの王賁と蒙恬っていって、蒙恬がこの後やっぱり有名な将軍になるし、王翦もすごい。
史記にすごい王翦伝つって、なんかあるんですけど、特出して書いてもらってる人達。
みたいな人達がいて、統一しますね。
徐々に徐々に倒していって統一して、外交戦略もちなみに秦の外交戦略支えてる范雎っていう人がその前の時代に、白起と同じ時代に出てきていて、
この人が斉の無血開城に繋がってるのは、実はこの人の外交戦略。
漫画ではなんか、秦の始皇帝がやってるみたいな書かれ方してるんだけど、
ホントは范雎っていう人が外交戦略で斉となんか結んでて。
樋口:ブレーンが。
深井:いたんですよ。
前の世代にね、しかも。
樋口:へ〜、なるほど。
深井:っていう繋がり方。
樋口:始皇帝が皇帝になるまでのバトンの繋ぎ方が、
深井:面白いです。
樋口:たまんないですよね。
なんかこうどういう感じなんですか?
なんか要は、今でいうと、どういう状態なんですか?
深井:どういう状態なんだろうね?
あんまりね、6カ国で争うってないっす。
6カ国っていうか7カ国とかで争うってあんまないけど、
なんですかね〜。
だから一番弱かった国が構造改革によって、結果的にどんどん一番強くなっちゃって、
元々いた既存勢達を全部、やっぱり滅ぼしちゃうっていう。
ビジネスの中でよくある話じゃないですか。
樋口:成り上がりの話。
深井:途中から出てきた人が全市場席巻してしまう。みたいな話って。
よくあるじゃないですか。
ホントそんな感じですよね。
ヤンヤン:中国のベースを作って、その後に続く。
深井:そうですね。
このあとやっと始皇帝の話始まりますけど、始皇帝の話に入った後にやっぱり
始皇帝の凄さは、統一したこともすごいんだけど、その後がすごいんですよ彼は。
樋口:ふ〜ん、なるほど。
深井:今まで存在しなかった中国統一国家の運営方法を考えて、運用してんのがすごいんですよ。
だからそこを。
樋口:なるほど。
深井:次話しますけど。
樋口:なるほど、なるほど。
楽しみですけど。
そんな始皇帝の、特にパーソナルな部分みたいなところについて、より深く聞いていきたいと思います。
ありがとうございました。
深井・ヤンヤン:ありがとうございます。