#20 キングダムSP 秦の始皇帝 ―「キングダム」を10倍楽しむ為の予備知識

【ポイント】
①春秋・戦国時代とは、人類史上でもトップクラスに入る天才、変態、化け物たちが知力と武力の総当たり戦を繰り広げていた500年間
②大陸を起源とする東洋思想の8割方はこの時代で生まれた。以後の学問、思想、ハウツーの殆どはこれらの焼き直しと言ってもよい
③始皇帝の「中華統一」は今日のヨーロッパを統一するような難しさ。これを成し得たのは「法家思想」という「仕組みづくり」の戦略を最も上手に運用できたから


世界の歴史キュレーションプログラム、コテンラジオ〜♪


樋口:はい、始まりました。世界の歴史キュレーションプログラムコテンラジオ、パーソナリティの株式会社ブック代表樋口聖典です。そして。


深井:株式会社コテン代表の深井龍之介です。


樋口:そしてそして。


ヤンヤン:同じく株式会社コテンの楊睿之(ヤンヤン)です。


樋口:このラジオは歴史を愛し、歴史の面白さを知り過ぎてしまった深井さんを代表とする株式会社コテンのお二人と一緒に、学校の授業ではなかなか学べない国内外の歴史の面白さを学んじゃおうという番組です。よろしくお願いします。


深井・ヤンヤン:お願いします。


樋口:いやいやいや、ちょっと今日はカメラが入ってるんですね。


深井:そうですね、初めて。


樋口:Podcastでお聴きの方は全然意味がわからないと思いますけど、YouTubeでお聴き、観てる方はあそこにカメラが。ちょっと手振っときます?


(笑)


樋口:そうなんすよ、僕の醜い顔がね。


(笑)


樋口:歴史に刻まれるかもしんない。


(笑)


樋口:樋口の醜さがね。


ヤンヤン:そんなことないっすよ。


深井:そんなことない。


樋口:だから僕こうやって後ろ姿でやりますけども、えー、ということで前回は「天皇ってなんだっけ?」っていうテーマですよ〜。これどうでした反響?


深井:うん。


ヤンヤン:反響は大きかったですね。


樋口:でしょうね。


深井:今まででね一番大きかったですかね。


樋口:でしょうね、僕も言われましたもん。いや天皇の話してたねみたいな、ちょっと小声で。


(笑)


ヤンヤン:そんな変なことは喋ってないですけどね。


深井:うんうん、叩かれるようなこと言ってないんだけどね。


樋口:コメントってどういう感じのコメントが多かったんですか?


深井:色々なんか意味深なコメントもあったし。


(笑)


深井:そんなこと言うんですか?みたいなのもあったし。


樋口:へ〜。


深井:そうですよね、みたいな。楽しかったですってすごい言ってもらえました。


樋口:良かった良かった。僕なんか見てて、ちょっとこう天皇というか天皇について語ったりするようなやつを見てたんですね。フェイスブックで見てた時に、深井さんとかの。あれ見た時に、なんかアレですね、僕らが突破口を開いたから発言権を得たっていうのがあるような気がして。


深井:だったら良いですね。


(笑)


樋口:違うんかな?


(笑)


樋口:普段から言ってる人なんですかね。


深井:でも活発にね、そういう話もきっかけになったかなぁと思いますね。


ヤンヤン:そうですよね。単純に歴史として皆さん勉強したりとか考えたりすることはもう全然。だって天皇って日本の歴史ではもう避けて通れないものなんで。


樋口:そうですよね。


ヤンヤン:そこでなんかこう怒られたからといって喋らないっていうのはもったいないですよね。


樋口:元号も発表されたことですし。


深井・ヤンヤン:そうですよね。


樋口:色々とね、また新しい歴史が日本にね、天皇から始まった歴史がってことでございますけども、そんな日本からちょっと離れてですね、今回のテーマ発表しましょう。映画『キングダム』を10倍楽しむ為の予備知識、始皇帝中華統一への道〜♪さあさあ中国ですよ。今回ですね、累計発行部数3600万部超えを記録。すごいっすね、これ。


深井:すごい。


樋口:を記録した、原泰久先生の中華歴史漫画『キングダム』が4月19日に実写化映画化するということで、キングダムの愛読者はもちろん、この春からキングダムデビューしようと
思ってる方々により映画を楽しんでいただく為の情報を提供できればと思います。よろしくお願いします。


深井・ヤンヤン:よろしくお願いします。


樋口:これはね、楽しみなんですけども、ちなみにお二人はキングダムって読まれてるんですか?


ヤンヤン:読んでます。


深井:読んでます。


樋口:さすが。やっぱ好きな時代なんですか?


深井:死ぬほど好きです。


樋口:マジっすか、あらら、へぇ。


深井:めっちゃ好きですね。


ヤンヤン:ですね。あの時代、だってねぇ、中国の歴史っていうかアジアの歴史の中でも一番盛り上がった時代ですよ。


深井:アレほど面白い時代って他にあるの?くらいの感じ。


樋口:そうなんすね。それだけだから歴史マニアの二人が一番っていうくらい。


深井:いやぁヤバイですよ。


樋口:へぇ〜。


深井:僕だって50時間くらい喋れるもん、多分。


樋口:50時間!?


(笑)


樋口:一回やりたいっすけどね、耐久時間。


深井:耐久のやつね。


樋口:四千年。四千年の歴史ですか?中国って言われてますけど、よくラーメンマンでよく。


(笑)


深井:三千何百年くらいかな、あの実際には。


樋口:へ〜、なるほどっすね。ちなみに歴史のプロフェッショナルのお二人から見て、この作品の魅力っていうのは実際どういうところが面白いんですか?


ヤンヤン:そうですよね。でも漫画なんで、もちろん歴史の史実とかじゃないところもあるのを差し引いても、まずそもそも春秋戦国時代を漫画のテーマにしたっていうセンスが素晴らしいですよね。


樋口:今までってあんまないんですか?


深井:ないっすよね。


ヤンヤン:三国志は結構ありますけどね。


樋口:三国志はね、よく聞きますけど。


深井:春秋戦国はあんまなかったよね。


樋口:へ〜、そうなんすね。面白いのに今まで意外となかったと。


深井:なんでかが僕もよくわかんないんですけど。


樋口:へぇ。


深井:あんまり題材になんないよね。小説とかゲームとかもですし、漫画なんて。本当にコーエーさんに春秋戦国時代の武将出して欲しいですもん。


樋口:へぇ〜。


ヤンヤン:三国志で出てくる奴らよりも数倍バケモンですからね。


深井:そうですね。


樋口:なるほどちょっと不思議ですね、ちなみにヤンヤンさんて僕すっかり忘れてましたけど、中国人じゃないですか。


(笑)


ヤンヤン:そうなんですよ。


樋口:マジで毎回日本語うますぎて忘れるんですけど。


ヤンヤン:最近田川弁も。


樋口:田川弁(笑)
そうですね、ここ田川で収録してるんで田川弁もうつってきてるんですけど。やき、えーっと。


(笑)


樋口:実際やっぱ中国の歴史が広まるっていう、コンテンツによって広まるっていうの嬉しいもの?


ヤンヤン:そうですよね。なんていうか僕の感じ方としては、中国の歴史が日本人の手で漫画になってまた映画になっていくっていう。


深井:日本人が描いてるのが面白い。


ヤンヤン:流れがやっぱ美しい。


深井:美しい!?


樋口:美しいですよね〜。


深井:美しさを見出してる。


樋口:ちなみにどうでも良いんですけど、原先生、僕の大学の先輩なんですよ。


深井・ヤンヤン:えーっ、マジですか。


樋口:芸工大で。


深井:そうなんですか。


樋口:こないだトークイベントで学園祭で僕、お会いして。


深井:そうなんですか。


ヤンヤン:えー、トークしたいです。


(笑)


深井:してみたい、オレもしてみたい。


樋口:ガチでファンですよね。らしいですよ。そうそうそう、そんな感じでございますけども、時代背景からちょっと僕分からないんで。


深井:そうですよね〜。


樋口:そこからちょっとお願いしたいんですよ。ほんとだから、僕よりも分かんないほんと
なんやったら女子高生の方とかも、観に行く可能性があるんすよ。


深井:そっかそっか。


樋口:そのレベルで話を聞きたいです。


深井:そうですね。いいやホントに僕が全世界史を通して一番好きな時代なんですね。


樋口:はいはいはい。


深井:めちゃくちゃ面白くて、なんていうか一言で言ったらもうホントに凄まじく尖った天才。変態たちが凌ぎを削り合うみたいな。


樋口:ほーん。


深井:もっと変態残るみたいな時代の、なんつーんだろうね。ホントにすっごい尖った人たちがたくさん出てくるんですよ。


樋口:カオスティック。


深井:もう、ちょっと常識では考えられないような人たちがたくさん出てきた時代。諸子百家って聞いたことあります?


樋口:分かんないっす。


深井:分かんないすか、諸子百家って。孔子とか、孔子。老子とか孟子とか。なんか聞いたことある論語とか。


樋口:そういう思想家みたいな。


ヤンヤン:孫子の兵法とかね。


深井:孫子の兵法とか、あそこらへんが全部出来たのも、全部この時代なんですよ。


樋口:そうなんすね。


深井:今の東洋思想の8割とかはこの時代に形成されてる。


ヤンヤン:そうですよね。


樋口:じゃこの時代って何年くらい?のこと指してますか?


深井:そうですね、2700年くらい前から2200年くらい前。だから紀元前。


樋口:500年くらい。


深井:の500年間くらい、550年間くらいかな、春秋戦国時代っていうんですけど。


樋口:江戸時代で100年で長いって言われてますけども。


深井:江戸時代が1600年から1868年ですよね。だからそれよりも倍、倍くらいか。めちゃくちゃ長い間、全員が凌ぎを削り合い続けるという。だから戦国時代って結構偉人出るじゃないですか。日本でも戦国時代偉人たくさん、織田信長とか色んな立派な人出てますよね。伊達政宗とか。幕末も数十年だけど色んな有名な人出てるじゃないですか。550年間あったんで、ヤバイんすよ。


樋口:そりゃそうか。


深井:スケールがでかいんですよ。


樋口:広いしいっぱいいますからね。


深井 :いちいち戦争の規模がでかいんですよ。この世界、世界史の中で一番デカいくらいの規模(の戦争)をみんなでバンバンやってるから、出てくる人たちの思考回路のスケールのデカさとか言ってることの極端さとか、尖っぷりとかが笑えてくるレベル。


樋口:国っていう言葉の意味が日本の何十倍とか。


深井:そうそう、ホントに。


樋口:は〜。


深井:そんな中で、そんな中でですよ。だから始皇帝ってやっぱすごくて、秦が統一したって一言言うじゃないですか。相当ヤバイことなんですよ、秦が統一したって。今中国の、この時代の中国って今のヨーロッパみたいな感じでいっぱい国があって、それがそれぞれ言葉も違うし文化も違うし、文字も違うし貨幣も違うんですよ。


樋口:全部違うんだ。


深井:今のヨーロッパもそうじゃないですか。イタリア、フランス、ドイツみたいな感じで
それぞれ全然違うっていうのが同じ感じで、この当時の中国ってみんな違ってて、それを統一して同じ中国人としてまとめていったのがこの秦て言う国が一番最初にやったこと。だから秦がなかったら中国人ていう概念はないし、当然中国っていう広大なおっきい国もなかったかもしれない。


樋口:もっとちっちゃい国がバーってあるだけの大陸だったかもしれない。


深井:ヨーロッパみたいになってても全然おかしくないんですよ。


樋口:そっかそっか。


深井:それを一つにまとめあげるということをやったのが、秦の凄さですよね。


樋口:僕ら、だってもう生まれた時から中国って国があるからピンと来てないですね、凄さが。


深井:当たり前だと思ってるじゃないですか。


樋口 :なるほど。


深井:全然当たり前じゃないという。


樋口:言われてみればな〜。


深井:で、諸子百家っていう人たちが出てきた背景としてやっぱり、ずーっと戦国時代だったので、実力社会になっていったんですね。普通に貴族政治とかして、貴族が上にいて平民が下にいてみたいな状態だったんだけど、あまりにも競争が激しすぎてやっぱり強いものが勝っていくんですよね。


樋口:革命とかが起こりやすいんですか?


深井:革命というか国同士の争いが半端ないんですよ。だから春秋戦国時代がスタートした時の国の数が、200ナンボくらいだったかな?あったって言われてるんですけど、最後選ばれた国たちっていうのは7つ。戦国七雄って言うんですけどね。


樋口:トーナメント戦に勝ち上がった。


深井:最後決勝まで残った人たちは7つ。200中の7つなんで、逆に言ったら193以上なくなってるわけなんで。


樋口:まさにスタートアップ界隈。


(笑)


深井:勝つ負ける、負けるって単純に負けるじゃなくてホントに死ぬとか奴隷とかを意味するから、ホントにみんな必死にですね。戦っていくんだけど、必死に戦う中で実力社会になっていって、身分をあまり問わずに実力さえあれば、自分の思想であるとか政策であるとかそういうものを国に反映させていくっていう時代になっていく。


樋口:なるほど 、なるほど。


深井:そこの思想もすごい発達して人間の在り方まで考える人も出てくるし、一方で国の統治の仕方を考える人も出てくるし、生産力ですよね。富国強兵をどうやったらできるかっていうことを考える人も出てくるし、戦争の勝ち方を考える人も出てくるし、王様の説得の仕方を考える人も出てくるしみたいな感じで、あらゆる思想とHow toがここの中で出てきたという、このね。


ヤンヤン:500年間ずっとそれを考えてるんですよ。


深井:ずーっと考えてるんですよ。


樋口:しかも人数が多いからホントにこれをやるだけの人みたいな、ベルトコンベアーじゃないですけど、適材適所で。


深井:外交の戦略を考える人とか。


ヤンヤン:あらゆる課題は全部その時代である種ほとんど出尽くして、答えも全部出し尽くしたから、今の後の中国の時代の学問とか知見とかは焼き直しです。


樋口:へ〜。


深井:そうなんすよね。そんな中、秦、要はキングダムの主人公の国である秦は実はすごい後進国なんですよ、元々。


樋口:へ〜。


深井:さっきあった200の中でもすごい中堅くらいの大して全然強くない国で、キングダムの中に出てきます。斉とか魏とか。


樋口:はいはい。


深井:あそこらへんがいわゆる本物の中国なんですよ。本物の中国って言ったらアレだけど、中原て呼ばれる。


樋口:メインストリームですね。


深井:文化の中心地みたいな。これが中国みたいなところがそこで、秦て西の果ての方にあるんで、ちょっと外れた中心の人から見たら野蛮な国みたいな見られ方をしてる後進国。


樋口:田舎っすね。


深井:田舎なんすよ。めっちゃ田舎なんだけどこの田舎が最後勝つっていう。これも面白いんですよね。


ヤンヤン:ベンチャーですよ、ベンチャー。


樋口:やっぱ僕は田川を盛り上げるものとしてはゾクっとしますね。


深井:田川が勝つみたいなもんですよ。


樋口:ヤベェ。


ヤンヤン:別に田川が田舎と言ってるわけじゃないですけどね。


樋口:ヤンヤンさん、田川田舎です。


(笑)


深井:都会ではないよね。


樋口:田川は田舎です。でも夢がありますね、それを聞くと。そういう側面で見るとめっちゃ夢があるな。


深井:キンダムの中にも7カ国出てきてます。あの7カ国実はそれぞれすごい特徴があって、それもすごく面白くてですね。例えば斉は学術都市なんですよね。だから学問がすごい進んでたりとか、魏は経済都市みたいな感じ。趙は軍事都市みたいな感じで。


樋口:キャラ付けが。


深井:キャラ付けしてあるんですよ。ホントね、最初っから漫画みたいなことになってるんですよ。


樋口:へ〜。


深井:面白くて。


樋口:はいはいはい。


深井:その中で諸子百家の中で、法家っていう法律に家って書いて法家っていう人たち。色んな諸子百家が活躍するんだけども、実力社会の中でその中でも法家っていう人たちが実はすごく国を強くすることに、実は貢献していくんですね。


樋口:法律を作る人。


深井:そうですね。法律を作るというか、法律を持って国を治めることを第一としなさいって言った人たちがいててですね。


樋口:思想家ではあるんですね。


深井:思想家です。今だったら当たり前ですよ。今もう法治国家ばっかりなんでそりゃそうだろってなるんだけど、当時貴族とか王様がいて、その人たちの裁量で色んなことが決まってた。


樋口:そっか、それも当たり前じゃない。


深井:当たり前じゃない。そんな中で、裁量でフワッフワして決まってたことをガッツリルール決めて全員ルールに従うようにさせるべきだっていうことを言ったのが法家。で、この法家、法家の採用に成功していった国たちがどんどん強くなっていくっていうのが、実は戦国時代の後期に起こっていくてこと。それに最も成功したのが秦。だから秦は統一ができたという風に言われてる。


樋口:なんかすごいですね。単純に力とか筋肉だけじゃなくて、知力というかシステムを作った。


深井:だからそうなんです。実は始皇帝がすごいだけで統一をしたんじゃなくて、始皇帝にずっとバトンを渡してきた先人たちがいるんですよ。


樋口:うわ、ちょっといいですね、バトンを渡してきたっていう。


深井:100年くらい前、始皇帝が出る100年くらい前から秦はどんどん確変していって、一番最初に商鞅っていう法家が国のシステムをガラッと変えて、そこからキングダムでも出ますけど白起将軍とかいう。


樋口:白起。


深井:神レベルの将軍が出てきてみたいなものを、どんどん秦の統一までのバトンをどんどん渡していって、それでもずーっと7カ国の情勢は変わらずに7カ国のままなんだけど、最後一気に7カ国を、始皇帝の代で一気に滅ぼすんですよ。


樋口:すげー(笑)


深井: 一気に滅ぼせるのが何でかっていうと、さっき言った商鞅とか白起とかいう人たちがバトン渡してたから。サッカーでいうと、マラソンで例えてるからリレーでそのまま例えようか。ゴール直前までバトン渡してるんですよね。


樋口:サッカーで例えてみてもらってもいいですか?


(笑)


深井:一緒ですけどね。サッカーで例えると、ゴール直前までずーっとパス回してる人がいて、始皇帝はゴール直前に立っててそこでシュートをちゃんとしてくれた人。


樋口:あれボールきたっつって、足だして足だしてっつって。


深井:そうそうそう、それで空振りはしなかったんですよ。


樋口:へ〜。


深井:空振りしてたらもうそれでどうしようもなかったんだけど、ちゃんとゴールさせた人。


樋口:なんかそこも生まれべくして生まれて、その時代その土地にきっちり決めるところがなんかカリスマ性があるというか、なるほどな〜。


深井:そんな感じ。


樋口:なんかやっぱ頭じゃないですか。え〜っと、始皇帝ってどの人材を使うかの決裁権はあったわけですか。


深井:もちろんです、もちろんありましたよ。


樋口:じゃ人材合戦みたいになってきてたっていう。


深井:もうめちゃくちゃなってました。めちゃくちゃ採用合戦になってますよ。今の人材市場とほんとに同じかそれ以上の。とにかく王様は自分がへりくだってでも人を採用しないといけない。優秀なやつだったら王様でも頭は下げんけど、ホントになんか先生扱いして是非アドバイスいただきたいですみたいなこと言わないと、優秀な人が来てくんないっていう時代がこれ。


樋口:は〜。


深井:だからめっちゃ偉そうなんですよ、みんな。


樋口:なるほど、なるほど。


深井:諸子百家が。


樋口:売り手市場なんですね。それも考えさせられるっすね。例えばなんか伸びる会社伸びない会社って、やっぱ社長より伸びる人材を押さえつける社長だったら絶対伸びないって言われてる。


深井:全く同じこと孟子が言ってるんですよ、孟子が。王様に、この人全然空気読まずめちゃくちゃ偉そうなこと言って、ディスりまくるんすよ、王様を。


樋口:こえ〜。


深井:そしたら王様が落ち込むんですよね。落ち込んでんのに、またさらにそこから上から乗せてディスる、みたいな。お前全然ダメだぞ、お前。みたいなことを言うみたいなことをして、家臣から注意されるんですよね。ちょっと偉そうすぎませんか?って言われた時に孟子が同じこと言ってて、王様が自分より偉いと思う人がいない国の方がやべえって言って。だからオレは偉そうなままでいい、みたいな感じ。


深井:あれ?みたいな。オレはあれ?ってちょっと思ったけど、確かに、みたいな。


樋口:まぁ頭いいけど。


(笑)


深井:おおう…ってみんななったでしょうね。おぉ?ってなったんだと思います。


ヤンヤン:ぶっ飛んでますよね。


樋口:なるほどな〜。いやいやいや、もうそんな感じでだいたい時代背景というか何となく理解したところで、次回はですね、なぜ秦という国がずば抜けて強くなったのかっていうのをもっともっと、掘り下げて聞いていきたいなと思います。ありがとうございました。


深井:・ヤンヤン:ありがとうございます。

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