【ポイント】
①電気通信によって広告業が発達、圧倒的な市場開拓により大量消費社会の一因となった
②情報の伝達スピードが人間の移動速度を超える
③情報伝達の速度と量が増えたことで、社会変化のスピードもアップした
※会話途中に出てくる「腕木通信」が表示できた語彙数はおよそ「8000語」です。
樋口:さあということで次に参りましょう。今回がコミュニケーション編ラストの回になるんですけども、今回のキーワード『電気通信』
深井:はい、電気通信。一番分かりやすいのモールス信号。
樋口:はいはいはい、ツツツツーツーツーツツツですよ。
深井:あと電話とか。
樋口:あ〜は〜は〜は〜。
深井:そもそもインターネットもそうですよね、テレビもそうですね。
ヤンヤン:ラジオとかもね。
深井:そうラジオもね。これはそもそもね、その電気通信が出る前ですよね、最初は有線による電気通信なんですよ。それが出来るようになる前までは、人間が全部情報伝えてた。だから飛脚とか。
樋口:飛脚ですよ。
深井:駅伝制の馬に乗って。駅って漢字にそもそも馬あるの、そういう意味なんですけど。
樋口:え?じゃあ駅、そうかそうか、馬ヘンですからね。
深井:馬ヘンですよね、元々駅っていうのが道路上に何km単位でみたいなのがあって。
樋口:まさに道の駅。
深井:そうそうそう。そこに馬がおって、乗ってる人が使者がこう馬を乗り継ぐか、若しくは使者自体がリレー形式でこう乗り継いでいく、みたいなやつをやってたのがその電気通信が出る前の前ぐらいな、コミュニケーションの伝え方。
樋口:それしかない。
ヤンヤン:伝書鳩とかあったけど、確実性は全くないもんね。
深井:めっちゃ早くて実は。馬なり徒歩なのに、オレらの想像を超える速さなんですよ。
樋口:そうなんすか。
深井:そうなんすよ。ちなみにインカ帝国も飛脚でやってたんですけど、情報通信っていうかその情報の伝達を、一日何km進むと思います?
樋口:え?ちょっと待って下さい。えーと、だからマラソンだと42.195kmが2時間ぐらいですけど、あれ2時間でヘトヘトなりますから。
深井:そうですね、人間だから。
樋口:えー。
深井:しかも結構山がちなんで、インカ帝国とか。
樋口:まあ80キロぐらいですか?
深井:いい線ですね、280キロです。
樋口:全然違う。
(笑)
樋口:え?
深井:人間が一日に280km。
樋口:一日でですよ!ちょっと待って下さい。あのちょっと紙で計算していいですか?
(笑)
樋口:いま紙があるんで。え?280kmってことは、42.195kmのペースで行ったとしても、えーと7…
深井:そうですね。
樋口:え?
深井:7倍ぐらいですよね。
樋口:7倍っすよね。は?
深井:一日280km進むんですよ。なんでかっつったら中距離走のリレーしてるから。
樋口:あ、リレーか!一人で行く訳じゃ無いから!
深井:そうそうそう。
樋口:あーびっくりした。これ一人で行ってたら、もう化け物やなと思ったんすよ。
深井:でもそこで足が速い人たちは、なんかこう表彰されてて、ちなみに。お前は足速いっつって。足速い奴らが、その地域に住んでる足速い奴らがその駅に就職して、リレーするっていう仕事ですよ。
(笑)
樋口:いやいやいや。それはいますでしょうけど。
深井:途中で足踏み外して死んだりするんですよ、普通に。
樋口:ですよね。山道とかそんで、今ほど舗装されてないから。
深井:みたいな事をやってた時期が、ずーっと続いて、そもそも。
樋口:凄いな。
深井:大帝国のその情報通信も、基本的にこれだったんすよね。馬か人。ずーっとですよ。その後まあ郵便とかが出てきても、郵便もまあ基本的にこのやり方で伝えてるから。その次にフランス革命の時ぐらいに腕木通信ていうの始めて。
樋口:はい。
ヤンヤン:そうですよね。
深井:あれなんて説明しようか。
樋口:腕木?
深井:腕木。腕ってあの手の腕。
樋口:腕木。
深井:と、あの木の木。
ヤンヤン:ちょっとした木の機械で、要は木のこう棒の傾きによって、色んなこうメッセージを伝えるっていう仕組みが出てきたんですよ。それを何km毎に一基、何km毎に一基置いて、そこにそれぞれに通信士がおって、今この傾きを示してるじゃあこの傾きをまた次に伝えようっていうのが出てきた。
樋口:リレーが目視でやるみたいな感じですよね。
深井:望遠鏡でね。腕木の形をこうやって覗くっていうのでやって、それでめっちゃ速くなるんですよ、ちなみに。
樋口:狼煙もそうですかね?
深井:狼煙の、なんかもっと圧倒的に情報量多い版。
樋口:クソ多いってことですね。
ヤンヤン:微妙な傾きとか。
深井:90何種類ぐらいの情報をそれで伝えれる。
樋口:あ〜、それは凄い。
深井:しかもその情報の、優先度であるとかのタグづけとかもされてる。
ヤンヤン:もう今のHTMLと一緒ですよ。最初は今からこの情報を伝えるから、ていう風に全部サインが決まってるんですよ。コード通信者はコードブックを持って、それイチイチそれめくったりしてやってました。
深井:だから暗号的な側面も、暗号なんすね。
樋口:ヘッダーがあってボディーがあって、フッダーがあったりとか。なるほどなるほど。
深井:っていうやつが出て、フランスとかはそれでゴリゴリやってたんですけど、遅れたイギリスとかアメリカとかが、今度は電気通信を発明していく。
樋口:なんかそれもちょっと面白いですね、今。
深井:モールス信号はアメリカだね。それが今度有線だったのが無線になっていく。
樋口:なんか遅れたところが先行者を超えていくっていう。
深井:良くありますよね、でもね。
樋口:あれもそうですもんね、全然話変わりますけど、日本より中国の方がキャッシュレス進んでるのは、日本の現金が。
深井:そうそうそう。
樋口:(信用が)進んでたからっていう。だからこう後ろから追いかけて来る人間の方が新しいよね。なるほど、なるほど。ちょっと話逸れましたけども。
深井:モールス信号もすごい画期的で、やっぱりその合理的に情報を伝える、そのルールの設定が上手いんですよね。モールス信号とかもツーツーとかいって。
ヤンヤン:そうですよね。
深井:あれもね、良く使うアルファベットは簡単にツツとかで出来るし、あんまり使わないやつはツーツーツツツとかじゃないと出来ないみたいな、そういうルール作って広めて無線が出来るようになったから。船とかにも送れるようになって。
樋口:うんうんうん。
ヤンヤン:そうですね、船とかもそうですね。ちょっとコアな話をすると、タイタニックが沈んだ原因もやっぱり無線通信が原因なんですよね。
樋口:あれ、ちょっと面白い!
ヤンヤン:あれも色々経緯はあるんですけど、出発途中で通信機がやっぱり故障して。
樋口:ええ。
ヤンヤン:最終的に海の上で直したんですけれど、来たそのメッセージの処理にすげぇ時間がかかって、他の船からの氷山の警告を見落としたんですよね。
樋口:あ〜え〜〜〜。
ヤンヤン:実はそれが沈んだ原因です。
樋口:は〜〜〜〜。タイタニックは電気通信に殺されたすね。
深井:本来、だからちゃんと機能してればああいうぶつかり方をしなくて良い技術をタイタニックは持ってたし、タイタニックはね、それこそ無線でSOS出した一番最初の。
ヤンヤン:そう一番最初の。
深井:事例らしいですよね。
樋口:ふ〜ん、面白い。
深井:もうトリビアですけど、これ。
樋口:ほー、でもモールス信号って電気通信ではないですよね?
深井:電気通信。
ヤンヤン:電気。
深井:使ってるから。
樋口:電気使ってる。
深井:電波に乗せて出してるし、最初有線だけどその後電話とかが出てきて声が伝えれるみたいな。最初なんかみんな信じなかったらしいですけど、そんな訳ねぇやんってなったらしい。
樋口:うんうん。
深井:声遠くに届く訳ねぇじゃんみたいな。
樋口:はいはいはい。
ヤンヤン:確かなんか、万国博覧会でなんかデモンストレーションしたんだよね?
深井:それでホントに出来るんだ!みたいになって、すげぇみたいな。
ヤンヤン:すげぇっつって。
樋口:確かに電話はたぶん想像出来るっすね、なんとなく。
深井:電話で一対一があった後に次ラジオが出てきて。
樋口:はいはいはい。
深井:ラジオで一対N。だから大量の人間に同時に、何かの情報を出せる様になっていくんですよ。これでさっき言ってたマスメディアが更に発達するし。
樋口:はいはいはい。
深井:ここで初めて、一つの商品を物凄い大量の人に宣伝するとかいう事が出来る様になる。
樋口:はいはいはい。
深井:これで。
ヤンヤン:広告業だよね。
深井:そう、広告も発達するし大量消費時代みたいなのに突入していく。同じ物をみんなが買うみたいな。それこそ前回も言ったような、国民としての意識もそこで醸成されていくし。
樋口:ふ〜ん。
深井:一体感が出る、同じ文化圏として。
樋口:そうか、後あれですよね、製造技術も上がってきて同じものを。
深井:そうそうそう、大量に生産出来るから。
樋口:生産できるから。
深井:そうそうそう。
樋口:届けれるんですね、ちゃんと製品を。
深井:他の技術との条件的な合致もあるんですよね。だから大量生産出来ないのに、大量の人間に広告打とうと思う人はいないわけ。
樋口:確かに。
深井:じゃないですか。
樋口:ウチの畑で取れた野菜、全国の人どうですか?っつって、今日10本しか取れねぇんだっつって。
(笑)
樋口:それ無理っすからね。一日10本だっつって。
深井:本当にそうなんです。別々の技術の積み重ねが今の社会を実はやっぱり形成していて。
ヤンヤン:蓄積の掛け算だよね。
深井:蓄積された掛け算の先に、今のこうあれがあって、ラジオの後にテレビとか出てきますけど文字の出現とか印刷の出現に比べると、テレビとかによる変化って大した事ないと思う。個人的には。
樋口:ふ〜〜ん。
深井:インターネットは相当デカいと思う。
樋口:そこの違いって何なんですか?テレビ、ラジオ、インターネットで。
深井:テレビとかラジオとかデカいですよ。めちゃくちゃデカいんだけど、比べるとちっちゃいみたいな話で。
ヤンヤン:延長線上って感じだよね。テレビとかラジオとかっていうのは、従来のやつのパワーアップ版みたいな感じなんですけど。
樋口:音が付いて映像がついて。
深井:そうそうそう。テレビをやる前から演劇とかで伝えて、それもテレビで色んな人が観れるみたいな。何かそういうのがあったと思うんですけど、インターネットの登場って第一回目で喋ったみたいな、発信者が変わるとか。
樋口:そうそうそう、その話しましたね
深井:それによって意識変動があるんですよね。人間個人個人にとっての。社会の変容もあるんだけど個人の意識が変わっていくじゃないですか。勿論テレビでも意識変わってるんだけど、その変わり方がね程度が甚だしいんじゃないかなと、個人的に。
ヤンヤン:簡単に言うと、いま普通にケータイでメール送ったりとかSNSで書き込んだりしてる。これは発信行為ですよね。
樋口:発信してますね。いつでもどこでも好きなように好きなだけ出来るじゃないですか。これは普通は昔はないですから。
深井:あり得ない。もっとコストが圧倒的に高いから、そんな気軽にしようとさえ思わない。
ヤンヤン:なんならラジオ聴く時は、皆街のラジオのあるところに皆集まって聴いてるぐらいだから。要は自分がメディアの発信に合わせて自分のスケジュールを合わせていったんすけど、今のはもう関係ないですからね。
樋口:だってこのコテンラジオもそうですもんね。
深井:ホントそうですよ。
樋口:YouTubeがなかったら。
深井:出来ない。
樋口:Podcastがなかったらやってないですから。
ヤンヤン:そうです、そうです。
深井:ホントそう。
樋口:だからそうか、人間の発信しようていう気持ちの底上げをした…
深井:どっちが先かって結構本当にあって。
樋口:あら、なんすか? それは。
深井:テクノロジーってそのシンギュラリティの時とかもそうだけど、AIの出現によって社会は変わるんだ、って話をされるじゃないですか?
樋口:僕もそう思ってますけど。
深井:実はこれ逆なんじゃないかって説があって、僕も実はそうかなって思ってる。
樋口:え?
深井:要は社会のその諸条件が整っていった結果、AIが作れるっていう土壌がまずこの社会にあると。その土壌の中でそういうものがあったら良いなって社会が、目茶苦茶こう思ってる人がいて、一定。その状況でそういう発明が出てくる、必然的にそういうふうに出てくるっていう考え方。だから、いきなりAIがバンって出てきたから社会がそれによって変革させられるっていう考え方じゃなくて、元々そういうふうに社会は変容を始めていて、その過程としてその然るべき発明が出てくるという考え方。
樋口:え?じゃあ必ず需要が先で。
深井:そう。
樋口:発明が後から付いてくる。
深井:その需要はあの人間がその望んでるかどうかはまたちょっと違うんですけど、難しい話すると。
ヤンヤン:偶発的なところもある。
深井:偶発的な面が凄く大きいんですよね。例えばこのラジオもそうですけど、僕たちみたいな一般国民が自分の考えを喋ろうって思ってるのはこの技術、YouTubeの技術と全く関係なく、まず僕らはそう思ってる。関係ないことはないんだけどそういう社会に変容してきてる訳ですよね。
樋口:うんうんうん。
深井:色んな理由で一人一人が発信者として喋りたいという欲求を持つという土壌が出てきてる。そこにインターネットがあるからそうなってる。そしてそこにインターネットがあるからそういうサービスが出来上がっていく、みたいな話。
樋口:ウッヒョ〜〜。これだからうわちょっとすごいな〜。なんか出来るからやってると思ってるんすけど、複雑にこう絡みあってる絡み合ってるんですよね。
ヤンヤン:キャッシュレスにしてもそうで、使ってみてあぁめっちゃ使い易い、じゃあ使おうじゃないですか。という人も結構いらっしゃると思いますよ。
樋口:スティーブ・ジョブズの話じゃないですけど、人間は本当に望んでいる事を頭では理解していないみたいな。そういうとことも繋がってくるなと思いました。
深井:そうっすね。
樋口:なるほど〜、いや、ありがとうございました。『電気通信』なかなか興味深いお話聞けました。ありがとうございました。
深井・ヤンヤン:ありがとうございます。
樋口:さて4週にわたってテクノロジーの歴史について学んできました、と。
深井:はい。
樋口:これ今回もちょっと頭がプスプスいってますね。
深井:今回はちょっと難しめでしたね。
樋口:これは前回だってほらあの、どんな飯食ってたかとかスパルタの時っすよね。
(笑)
深井:分かりやすかったですよね。
樋口:どんな性事情があったかとか、一生はどうでしたかとか言ってたけど、今回って結構こう概念的な話を。
深井:そうですね、具体例じゃなくて。
樋口:やってたので僕、正直頭プスプスしてます。
(笑)
樋口:ただ相当面白かったすね〜。
深井:良かったです。
ヤンヤン:良かったです。
樋口:こう最後のさっきのその何ですか、電気通信の話じゃ無いですけども、やっぱりこう発信するっていう事が結構キーワードになってきてて。
深井:いや、だと思いますね。
樋口:前回かな?前々回かな?忘れましたけど、そのスタートアップが増えてきてるっていうのも個人が個人として自立して、何か出来る時代になってきてると。その中のやっぱり一環なんだと思うんですよ。その個人が発信出来るっていう社会っていうのが。
深井:ホントに今僕はそういう時代だなと思っていて、やっぱりそのマスメディアの登場によって全員が同じ、例えばその知識的教養が底上げされるみたいな前段階がある、みたいなのがあって、みんな同じ様な事考えてる時代から今度はその同じ様な事を考えない時代に突入していって。それぞれがそのこっちの方が良いんじゃないか?こっちの方が良いんじゃないか?みたいなのが、それぞれちょっとずつ考えていく時代にまた突入していて。更にそれを発信するコストが物凄く低いので発信するのが当たり前みたいになってきている。その後にどうなるかってのは、僕は凄い見てみたいですけど。
ヤンヤン:社会の変化のスピードがさ。
深井:インターネットの登場とかその電気通信の時も印刷の時もそうだけど、伝わる速度早くなるとか伝えれる情報が増えると当たり前なんですけど、歴史回転早くなるんですよそれで。
樋口:うんうんうん。
深井:だから今もう超高速回転してますよね。
樋口:僕らが生きてる間に何か起こりますね。
深井:起こるし、過去の歴史を学んでそれを活かすみたいなのが良くも悪くもし辛いよね、回転速すぎて。
樋口:だから対応が出来なくなる。50年前の世界生きてた人の話を聞いても参考になんない、みたいな事が多い。
樋口:ヒヤ〜〜。じゃあそういう時のために何が出来るかって、やっぱこう何でもやっといて、何でも出来るように対応力を付けとくっていう。
深井:色んな経験をするとか、何でもやってみるってのは大事ですね。
ヤンヤン:楽しい事をやったら良いと思います。
深井:自分が楽しいと思う。
樋口:じゃあ次回以降もこのラジオ続けて良いですか?
(笑)
深井:お願いします。
ヤンヤン:お願いします。
樋口:さあさあ、という事でございまして、今回も楽しかったです〜。楽しいだけじゃなくて勉強にもなりました。という事で世界の歴史キュレーションプログラム、コテンラジオは
毎週木曜日にお送りしております。というわけで以上、コテンラジオでした。
樋口・深井・ヤンヤン:ありがとうございました〜。