【ポイント】
今回のテーマは、「スパルタとアテネ」についてです。
ギリシャポリス2強のスパルタとアテネ。
軍事特化のスパルタと学問・経済で優秀なアテネ。
対照的な2つのポリスを比較しながら、スパルタの特徴を語っていきます。
樋口:じゃあちょっと次行きましょうか。
深井:はい。
樋口:え〜スパルタ基礎知識、スパルタとアテネ。
深井:これはやっぱり、スパルタを知る上でアテネの対比が凄い分かり易くて。
樋口:はいはいはい、まあギリシャの有名な二つの国。
深井:まぁ東京と大阪みたいになるんですかね。
樋口:なるほどイメージし易い。
深井:実際めちゃくちゃ真逆なんですよ、スパルタは脳筋でしょ?アテネは賢いんです。
樋口:なんかこの対比がまたいいですね。
深井:いや楽しくてこれが。
ヤンヤン:ジャイアンと出来杉くんですよね。
(笑)
樋口:良いすね。
深井:アテネは学術都市だから、アリストテレスとかソクラテスとか、プラトンとか有名な。
樋口:僕でも知ってる。
深井:みんななんか聞いたことある、めちゃくちゃ有名な学者を大量に輩出しているし経済大国でもあるんで、ものすごく経済とかを上手くこう活用して色んな収入を得てるんですよ、貿易もやってるし。
ヤンヤン:商売上手だよね。
深井:商売上手ですよね、海軍国だし。一方でスパルタってのは陸軍国で鎖国してるから、貿易とかせず自給自足生活でストイックで。アテネはもう少し享楽的なもっとなんか楽しもうぜみたいな、訓練もしていないアテネ人の幸せって暇な事なんですよ。
樋口:ふ〜ん、なるほど。
深井:アテネも凄い経済大国だし奴隷とかもいるんで、普通の人一人のアテネ市民が大体2、3人位の奴隷をもってるんですね。
樋口:ほ〜、はいはいはい。
深井:当時の働くって、別に今でいう会社の企業活動とかないから、単純に農作物育てるとかそういうやつじゃないですか。そういうの全部奴隷にさせてるんで、働いてないわけ全員ニートなんですよ。
樋口:ニートというか経営者。
深井:経営者なのかな?
樋口:奴隷を使ってる訳ですよね?
深井:使ってるけど、何ていうか経営するほどのこともない訳ですよ。ホントに家事やっといてみたいな感じ。アテネにとっては暇であることが凄く大事で、だから学術都市になっていくんですけど暇だからやることない訳ですよ。みんな議論とかし始めちゃうわけ、暇だから。暇だから人生の意味とか考えるじゃないですか。
樋口:はいはいはい。
(笑)
樋口:そうっすね。
深井:暇であることって結構そういう思想活動に対して凄いダイレクトなんですけど、アテネはそうなっていくんすね。一方でスパルタはさっき言ったみたいな7歳から、共同生活で戦士として育てられてみたいな。
樋口:暇がないんすね。
深井:トレーニングしてなかったらダメだから、ずーっとトレーニングしてる。
ヤンヤン:なんなら散歩もしちゃダメです。
樋口:散歩しちゃダメ。
ヤンヤン:散歩はダメらしいっす。あれがもう緩んでるってことですから。ー
深井:散歩する時間があるなら鍛えろって言って、スパルタ人がスパルタ人の偉い人に怒られるっていう。
樋口:だから2つの意味で、ホントに遊びがないですよね。
深井:遊びがない。
樋口:余裕って意味でもなんていうんですか、娯楽って意味でも遊びっていうものがあるないによって、国の発展の仕方が全然違う。
深井:そうですね。
深井:学術都市、経済都市として発展していったアテネと、軍事国家として発展していったスパルタっていうのが二大巨頭として、ギリシャ世界を牽引していく二つの潮流になっていくんですね。全くの真逆のこの二つが。ちょっと話飛びますけど、ごめんなさい、長くなるかもしれないけど当時ね、ギリシャ世界以外にどんな世界があったかっていう話をすると、大きくエジブトとペルシャってのがあったんですよ。
樋口:ペルシャ絨毯のペルシャ。
深井:そうです、ペルシャ帝国っていうめっちゃ強えやつがいるんすよ。ギリシャって大体ですね、ポリスってさっき言ったやつが800ぐらい同時に存在していて、600〜800ぐらい。
樋口:そんなにあったん。
深井:そうめちゃくちゃいっぱいある。今で言うと国っていうよりは街って感じなんですよね。
樋口:へ〜。
深井:城壁に囲まれた。
樋口:はいはいはい。
深井:街みたいなのが沢山ある、みたいなのがギリシャ世界の風景。一方でエジプト。有名なエジプト。ホントあのエジプト、ピラミッドのあるエジプトっていう文化圏を築いていて、もう一つねペルシャ帝国ってのがあるんすよ。このペルシャ帝国って凄くて、人類初の多民族国家なんですよね。色んな民族を統治してるんですよ。今でも県知事とかいるじゃないですか。日本にもこの県知事みたいな存在を初めて作ったのがペルシャ帝国。サトラペって言うんですけど、そういう要は行政として中央集権国家を作るときに、どういう風にそれを構築していくかってのを考えたのが、一番最初に考えたのがペルシャ帝国。で、自分と違う民族を治めていかないといけないから、この人達に知事みたいな人を中央から派遣して配置して、そういう人達に治めさせるって方法をとってた。他にも色んな方法あるんですよ。例えばその現地の王様に権限を移譲するみたいな。例えば幕府とかそうなんですよ。日本の江戸幕府とかってのはそれぞれ殿様がいて、その殿様達が自分で徴税権を持ってて、どんな税金を徴税してどういう風に治めるかは比較的自由にしてもらってて。その藩の中ではその人が王様ですみたいな、まあ殿様です。
樋口:現場監督は現場に、現場のことは現場監督に。
深井:その殿様の中の殿様が徳川家です。
樋口:はいはい。
深井:けどペルシャ帝国というのは、全部中央から派遣してるんです。
樋口:はーーーー。
深井:ていう統治方法を初めて確立したのがペルシャ帝国で、ものすげぇ広大な地域を世界史上最大ですその当時。ものすげぇ広大な地域を治めてたペルシャ帝国が、遂にギリシャに攻めてくるみたいな時があって、その時に実はスパルタとアテネは結構手を取り合って一緒に戦って撃退するんですよ。
樋口:あららら、スラムダンクの流川と桜木みたいな。
深井:結構マジでガチでそんな感じでずっと仲悪かったんすよ。だって悪いですよね、軍事国家と学術経済都市ですよ、全然違うじゃん。だからアテネからみたらめちゃくちゃ野蛮だし、この人達からみたらめちゃくちゃスパルタから見たら、アテネってめちゃくちゃ貧弱な奴なんですよ。
樋口:はいはい。
深井:この二つ仲悪かったんだけど、外敵が来たら一致団結して追い返すみたいなのがあって。
樋口:おお、格好良い。
深井:これなんの話しようとしてるのかな?
(笑)
深井:とりあえず追い返してそれが二回あったんだけど、それをどっちとも追い返していった後に、仲良かったのにその時仲良くなったの凄く。一緒に追い返してるから。その後まためちゃくちゃ仲悪くなってくんすよ、外敵いなくなって。
樋口:内紛みたいな。
深井:そう今度はスパルタとアテネが、どっちがギリシャ世界の覇権を握るかみたいなのを
争い始めるんです。
樋口:共通な敵がいなくなるとね、そうなるんすね。
深井:共通の敵いなくなちゃったから争い始めた時に、さっきも言ったんですけど、こっちは経済大国だからアテネは貿易とかで他の国にも経済的に寄与してたんですよ。だけどスパルタって鎖国してるからほんとにこの一国だけで完結してるんすね。こういう力関係だったこの二国のスパルタの方が、この戦争に勝っちゃうんですよ。
樋口:あら意外ですね。
深井:そうなんです。
樋口:今の社会でいうとスパルタの方が古い。
深井:古いんです、古い感じするでしょう?これでねアテネが負けちゃうんですよ。
樋口:あらら、そこで一個正解出しちゃうんですねスパルタが。ー
深井:これには色んな要因があって、当時、これもまた長くなるけどギリシャって民主制なんですよ、ギリシャ諸都市は。
樋口:民主制ってのは要は、国民が全員で決めるって政治を。
深井:それって凄いことじゃないですか。
樋口:今の日本とか。
深井:だって2700年とか2500年位、大体2500年位前に民主制が確立されてるんだけど、ギリシャの世界で2500年前ですよ、民主制なんですよ、凄くない?
樋口:凄いですよね、まぁ王様がやってそうなイメージですけど。ー
深井:2500年前に民主制を確立して、スパルタも王様はいるんだけど議会があるからその議会で決めれるし、立法も議会でするし。アテネはもっと民主制が進んでて王様いないんですね。それで議会で決めていくんだけども、アテネ、アテネとスパルタがどっちとも民主制でやってて、スパルタは議会があるんだけどさっき言ったみたいに脳筋だから、議論出来ないから。
(笑)
深井:馬鹿なんすよ、はっきり言って。
樋口:馬鹿なんすね。
ヤンヤン:どうやって決めるんだったっけ?
深井:戦争にいくかどうかみたいなのとかも全部議会で決めるんだけど、王様が決めるんじゃなくて議会で決めるんですけど、議会で決める時に質問する訳です。議会の皆にこれどう思うか?みたいな事聞いたら、声が、戦争行くやるかどうか?みたいな事を聞いた時にスパルタの市民がワ〜〜ってなったら行く。
(笑)
ヤンヤン:声の大きさです、シーーンってなったら行かない。
(笑)
樋口:すげぇなあ、デシベルなんすね、音の大きさというか。
◦ 〇〇:アテネはちゃんと議論して決める
ヤンヤン:こっちは議論しても。
深井:出来ない。
ヤンヤン:物理的な声のデカさで意見が決まる。
樋口:でも多数決に近いんですね。
深井:多数決に近いです。だから民主制。なんならスパルタとかは戦争に行かないと臆病だから行く、大体。
樋口:まあそうっすね。
深井:同じ民主制なんだけれどもそういう違いがあったりだとかして、なんで戦争にアテネの方が負けちゃったのかですけど、アテネは衆愚政治に陥るんすよ。
樋口:また新たな。
深井:衆愚政治、大衆の衆に愚かなの愚っていう字で。
樋口:大衆が愚かになるような?
深井:大衆が愚かになってしまう政治っていう意味なんですけど、アテネは一時栄華を極めるんですね。まずペルシャ軍が攻めてくる、来た直後ですよね。追い返した直後にアテネって全盛期を迎えるんですよ。
樋口:だからちょっと待って下さい。ペルシャと戦った時はアテネとスパルタが仲良くて同列というか。
深井:同列。
樋口:一回アテネの方が上にいくってことですか?
深井:そうなんです。一回アテネは全盛期を迎えて、戦ってないからまだどっちが上かとか分かってないんだけど、いわゆるアテネの中で全盛期を迎えるんすよ。色んな文化が発達するしあと特に経済的に凄く満たされていくんですね。貿易とかこれも難しい話すると、当時アテネがペルシャと戦う為に海軍を整えたんですよ。海軍を整えると何が出来るようになるかっていうと貿易を安全に行う事が出来る様になるんですね。そこで貿易が最盛期を迎えた結果、アテネで作った特産品とか他の国の特産品とかを交換する貿易が凄く発達して、しかもエーゲ海があるから海を使って、海軍で守られながら貿易出来ますみたいな。めちゃくちゃ栄華を極めて超金持ちになるし文化も発達するんですけど、その結果ですね、国民のメンタリティーがこれを維持したいになるんですよ。
樋口:これはなんかキーワードが出ましたよ。
深井:あのね、これ歴史上全部そうなんですけど、一回栄華を極めるとチャレンジ精神がなくなって。
樋口:でた。
深井:保守的になっていくんすよね。
樋口:これですよ。
深井:保守的になった時にどんな政治家が尊ばれるかっていうと、不安を煽るヤツなんですよ。
樋口:え?ちょっと待って下さい。
深井:なんでかっつうと、いま僕達こんなに栄華を極めてるけどいまここにこんな国が出て来て、そいつらって俺らにとって脅威だよねみたいな。
樋口:はいはいはい。
深井:早めに潰そうぜとか、そういう事を言い出すわけ。そういう事を言う人達が尊ばれるというか確かにみたいに思って、その人達によっていくみたいな事が起こって。でもその人達がやってる事って新しい物を作ったりとか、何かを積み上げて価値を出すというよりは
ただ恐怖を煽ってるだけなんですよ。
樋口:なるほど。
深井:ただ恐怖を煽ってるだけのような人達が沢山政治家で出てくるんすよ。デマゴーグって言うんですけど。
樋口:え?なんですか
深井:衆愚政治の事、デマゴーグって言うんですけど。
樋口:デマゴーグ?
深井:この衆愚政治家の事をデマゴーゴスって言うんですけど、この人達がばーって出てきてアテネはそっちにガーって吸い寄せられていっちゃった結果、本質的にアテネにとって良い決断ってのが出来なくなっていくんですよ。頭良い人達が沢山集まって経済大国になって
、民主制もスパルタよりも確立しているのにも関わらず。
樋口:良いところばかり。
深井:みんな正しい決断が出来なくなっていくわけ。だから全くアテネの海軍とかがスパルタと戦った時は機能しなかったんですよ。
樋口:は〜〜〜。
深井:もう内紛ばっかり。アテネの中で内紛とか政治の足の引っ張り合いとかばっかりしちゃって、もう全然対外的に力を発揮出来ないって状態がアテネで起こってしまうと。
樋口:めちゃくちゃ面白いな。
深井:一方でスパルタはずっと脳筋なんで、衆愚政治。言ってみれば最初からみんなバカなんですけど、正しい決断も行えないんだけど、すっげぇダメにもなんないんすよ。
樋口:シンプルなんですね。
深井:シンプルだから。ここにしかもギリシャに負けたペルシャが、なんとスパルタに資金援助してるんですよ、実は。裏で。
樋口:え〜〜!?また!?もう複雑〜。
深井:複雑でしょ?
樋口:なんすかこれは。
深井:複雑だけどシンプル。えっとね、ペルシャはお金沢山持ってるんです。このお金を沢山持ってるペルシャはギリシャに負けちゃったんですね。ギリシャなんて自分達に比べたらめちゃくちゃちっちゃいんですよ、死ぬほどデカイからペルシャって。屈辱な訳ですよ。だからいつかリベンジしてやろうって思ってるんだけど、負けちゃったからしばらく攻め入る事が出来ない。その状態でペルシャは、要はアテネとスパルタが結託してこの2つが二大巨頭で栄華を極めてるでしょ?仲間割れさせたかったんですよ。
樋口:うーわ、意地汚い!
ヤンヤン:金の力を使って政治です。
深井:スパルタは軍事国家だからお金持って無いから。そのスパルタに資金援助してアテネと戦わせようとする訳ですよ。
樋口:なるほど。
深井:その通りになるんです。それでスパルタに資金援助した結果、スパルタはお金を稼ぐ力はないんだけど軍事力はあるから、お金さえあれば何とかなるでしょ?(アテネ)は一方でお金があるんだけど、この中で全然意見が一致しないからどんどんグチャグチャになっていくんですよ。この状態のスパルタとアテネが戦って、スパルタが勝ってしまうんですね。
樋口:は〜、資金援助の力も結構ある。
深井:めちゃくちゃデカいんです。衆愚政治にアテネがなったのと、資金援助でスパルタが底上げされたっていうのでスパルタが勝っちゃうんだけど。これほんとペルシャ帝国の思い通りになるんですけど、スパルタが勝つって事はスパルタが覇権を握るって事ですよね。
樋口:はいはい。
深井:けどスパルタって軍事国家だから、軍隊の事しか考えてない。
樋口:ですよね。
深井:外交も出来ないし、経済についても何も考えてない訳ですよね。
ヤンヤン:会社経営が出来ない。
深井:この後何が起こるかっていうと、アテネが今まで貿易でこうやって栄えさせてたギリシャ世界全体の収入を、下げちゃうんですよ。
樋口:あららら。
深井:だから全員ね、生活が苦しくなっていくんすよ。ギリシャ全体が。その結果ね、何が起こるかっていうとこれも酷いんだけど、皆傭兵になっていくんです。要は出稼ぎの軍人になっていくんです。
樋口:なるほどなるほど。
深井:ギリシャ人ってさっき言った様に重装歩兵として強いんで、誰が雇ったかっつったらペルシャが雇ったんですよ。
樋口:怖〜い。は〜〜〜。
深井:それをペルシャがお金持ってるから。一番近くにいるギリシャじゃないお金持ってる国ってペルシャなんで、ペルシャが雇って。
樋口:うっわ〜〜、だから植民地に近い考え方ですよね。潰して頼らせて飼い慣らすみたいな。
深井:だからスパルタが覇権を握った結果、ギリシャ全体がガーンと落ちて。そのままちなみにギリシャはダメになっていきます。
樋口:は〜〜〜、だからトップ潰して権力の犬にさせて。権力で飼い慣らすみたいなことなんすね~。いや面白!
深井:本題からズレましたけど。
ヤンヤン:いやでも全然アレだよね。その組織とか会社もそうでやっぱり最初の方は皆ちっちゃいから一所懸命まとまって頑張るけど、だんだんと企業がデカくなって上手くいくと。
深井:売り上げ上がったりとか利益がいって上がってしまうと、それを守ろうとするわけです。矢印が外に向いてたのが全部ベクトルが中に向いてしまって。
ヤンヤン:社内政治ですよ。
深井:社内政治をし始めたりだとか、意思決定が出来なくなっていくんですね。本質的意思決定が。
ヤンヤン:出る杭が打たれたりとか。
深井:そうそう、これはやっぱり人間の組織の構造的な習性ですよね。構造的欠陥であり 習性ですよね。
樋口:だって同じような事が、現代社会でも色んなとこで起こってるような気がする。
深井:どこでも起こるんで、別に人間が悪い訳じゃないんだけど、なるようになってるんですよねやっぱ。
樋口:ちょっとこれ、答えあるかどうか分かんないんですけど、ギリシャという国がじゃあどうすりゃ良かったんですか?っていう。