#23 キングダムSP 秦の始皇帝 ― 暴君?名君?始皇帝ってどんな人

【ポイント】
①始皇帝は頭のキレる現実主義者で、中華統一の最終ゴールを決めた人
②本人があまりに優秀だったので、決裁権をあまり人に渡さず全部自分でやっていた。暗殺されまくったので人もあまり信用しなかった
③中華統一前も後も酒色に耽けたりせず勤勉でストイックなハードワーカーだった


樋口:キングダムの時代背景について、色々と聞いていきましたけども、続いては始皇帝という。


深井:やっとね。


樋口:人そのもの。


この人について聞いていきたいんですけども、どんな人ですか?


深井:非常に優秀な人だと思います。


樋口:優秀でしょうね。


深井:めちゃくちゃ頭のキレる、優秀な現実主義者。っていう印象がありますね。


漫画でも描かれてますけど、出自。


樋口:出自?


深井:出自、要は生まれ方と育ち方が非常に特殊ですよねこの人は。


生まれた時から人質だった。


樋口:そんな生まれ方なんすか?


深井:趙の人質だったんですね、お父さんが。


自分のお父さんが趙の人質に出されてましたと。


お父さんは王位からとてもとても遠い人だったんですよ。


とてもじゃないけど、この人は次の君主にはなれません。みたいな立ち位置にいた人だったんだけど。


漫画にも出てきます呂不韋、呂不韋が、あの人が商人だったんですけど、


呂不韋は始皇帝のお父さんに自分の全財産フルベットするわけです。


こいつを王様にして成り上がっていこう!っていうことに対して全額投資するんですこの人が。呂不韋が。


普通にビジネスで成功してたんですよ呂不韋って。


めっちゃ金持ちだったんですその時点で。


趙にいた。


趙という国にいて、そこに始皇帝のお父さんが人質でいた。


人質でいたお父さんを、これ以上自分がどうやって成り上がるかでいったら、


普通のビジネス界隈は極めたから、ある意味政界に進出していこう!みたいなステージの時に、この人にフルベッドして、お父さんにフルベッドして、それが当たったっていうのが


実際の、ホントに王様になっちゃうんで。


樋口:なんでそんなに分かったんですかね?


こいつ才能があるぞっていう…


深井:才能なんてないです。


樋口:えっ?


深井:ないんだけど、この人を王様にするっていうところに対して、賄賂を使いまくって王様にするんですよ。


樋口:すご!


(笑)


深井:多額なる賄賂を使って。


樋口:は〜、じゃあもう生まれた時からラッキーゴールへの道が始まってんすね。


深井:そうですね。


でも趙で、人質時代はたぶん大変だったと思いますよ。


普通に7歳か8歳くらいまで人質だったはずなんで、始皇帝自身が。


始皇帝って漫画にも出てくる通り政っていう名前で、政治の政。


嬴政っていう人なんですけどこの人。


嬴政がそういう風に人質だったところから、いきなり自分のお父さんが君主になって、いきなり太子かみたいな、になりますよね。


ここからがすごいんですよ。


ここから、お父さんがね、すぐ死んじゃう。


樋口:あら。


深井:すぐ死ぬんす。


始皇帝は13歳で即位します。


樋口:は〜、これもなんか運命感じますね〜。


深井:13歳という若さで、君主として即位することになる。


即位した時にまだ若いんで呂不韋が、


その時ナンバー2だったんで国の、呂不韋が代わりに政治を行うのが漫画の始まりですよね。


これが漫画が始まった時がこの状況でしたよね。


樋口:なんか、うっすら覚えてます。


僕も一回読んだだけなんで分かんないんですけど。


深井:っていう状況。


樋口:なるほど、なるほど。


ヤンヤン:実際、呂不韋も相当力を持ってたのも史実。


深井:史実ですね。


ヤンヤン:あらゆる産業だとか、全部彼の息がかかってて。


実際漫画の中では呂不韋と嬴政がバトルしてたじゃないですか。


嬴政の方が勝つんですけど、史実はそうなんですよね。


全部国の全ての財力とか物流とかを呂不韋が支配してたので。


深井:だから嬴政は非常に苦労した人だなと。


人質スタートからの。


ヤンヤン:傀儡に近いかもしれない。


深井:傀儡に近いところから王様を始め、


そして、そこから王権を奪取していきますよね。


奪いに行かないといけない呂不韋から。


成人したらある程度、そもそも自動的に任せられるっていう立場ではあったんだけど。


あと漫画でも描かれてますけど、弟が反乱を起こしますよね。


合従軍が攻めてきますよね、始皇帝が王様になった瞬間くらいに。


他の国が全部連合組んで秦に攻めてくるわけですよ。


とかいうこともあったりとか、暗殺もされまくるとか。


これによってね、始皇帝ってあんま人を信頼しない人になっていくんですよ。


樋口:なるほどな〜。


深井:人に任せるとか、信頼するということはあまりしない人になっていくんですよねこの人は。


全部自分でやっちゃうんですよね、優秀なんで。


ある程度他の人より上手く出来ちゃったりするので、全部巻き取って全部自分が仕事します、みたいな人になっていく。


決裁権もあんま人に渡さない。


中央集権を実現してるじゃないですか、商鞅の時代に。


だから実際に決裁が全部回ってくるんですよこっちに、皇帝に。


皇帝というか王様に。


なのでその決裁をどんどんやっていって、伝説で残ってるのが、毎日書類30kg分捌いてたらしいですよ。


樋口:30kg!?


深井:30kg分。


ヤンヤン:竹だから。


深井:紙じゃないから当時。


紙じゃないから今の30kgと全然違うんだけど。


とはいえ、30kg分の書類を毎回読んで、決裁をし続けるというのをノルマだったらしいです彼自身の。


ヤンヤン:ちゃんと忙しかったんです。


深井:ちゃんと忙しかった。


ヤンヤン:遊ばずに、ちゃんとしてるんですよ。


深井:中華統一した後も別に女遊びに走るわけでもなく、酒食に耽るわけでもなく、


ちゃんと働き続けて、ストイックな人です。


勤勉なハードワーカーって感じ。


樋口:これ統一した後の話ですよね。


深井:前も勤勉。


勤勉勤勉。


ヤンヤン:真面目な王様ですよホントに。


樋口:なんかイメージとしては、


伸びるスタートアップって、あまり自分でボールを持たないというか、現場に決裁権渡す方がいいって。


今そういう感じになってる。


深井:でも僕はそうだと思いますよ。


本来はそうすべきだったけど、始皇帝はそれをするメンタリティと素地はなかったと思う。


樋口:でもそれで、ワンマンでやれるくらい能力が高かったこともある。


深井:高かったけど結果、彼が死んだ瞬間に秦て崩壊しますから。


15年しかもたないんでこの国の統一は。


だから結局彼が生きてる間しか、それが出来ないって分かり切ったやり方だった。


樋口:属人的だったんですね。


深井:とても属人的だったと思います。


彼だから、彼が創始者であるから、なんとかもった感じですよね。


前回言いましたけど、彼の本当の功績って、統一ももちろんそうなんだけど


その後のシステムをラーニングさせてるところが相当素晴らしいなって思っていて、統一後のですね。


それまで中国に統一国家ってないんですよ。


初めて出来たわけだから。


一番最初の回でも言ったように、イタリアとドイツとフランスを初めてまとめ上げて、


言葉が違う、文化が違う、風習が違う。


この国をどうやって一つの国として運営していくのかという課題が出てきますよね。


なのでこの人がやったのがですね、


まず道を作る。


高速道路を作ります。


樋口:道。


深井:高速道路を作って。


コミュニケーション史のところでもちょっと触れましたけど、


馬車の、車輪の幅を全部揃えるでしょ道の、


それまでいちいち国ごとに乗り換えてたんだけど、電車乗り換えみたいなの発生してたんだけど、全部のレールの幅統一して同じ電車で最後までいきますみたいな。


樋口:規格化。最適化。


JIS規格みたいなのつくったんですね。


深井:あとは重さの、値じゃないね。


度量衡統一っていうんですけど、重さの単位を全部統一します。


同じ単位で測るようにすることによって、違ったら困るじゃないですか、重さなり長さなり。


例えば僕がメートル使ってるけど、向こうがインチ使ってたら困りますよね。


樋口:ピンとこない。


深井:田川だけインチ使われてたら困るじゃないですか。


樋口:あり得るな。


(笑)


深井:そういうのを全部使ってたから、全部メートル法に統一します。みたいなことをまずしますよね。


樋口:はいはい。


深井:あと使ってるお金も違うから、お金も。


当時は重さでお金を測ってたんで、重さを統一することによって、お金も統一していきます。っていうのをやっていくと。


あとは造船所作ったりね。


万里の長城を作り始めたのも始皇帝ですから。


今のちょっと語弊があるんだけど、中国のね、世界遺産でありますね万里の長城。


あれは明という時代に作られた万里の長城なんですけど、あれとまた別にですね、


秦の時代に作られた万里の長城があるんですよ。


そういう万里の長城を作ったりだとかですね。


34kmの大運河作ったりとかね。


樋口:運河?


深井:めちゃくちゃその一つの国、帝国としての土木工事とかシステム設計を
めちゃくちゃしていくんですよこの人が。


そういう運河があるから流通できるようになったよね、みたいなことはとてもいっぱいある。


道があるから流通できるよねとか、その基礎を。


ヤンヤン:インフラですよね。


深井:インフラ整備した。


ホントにインフラ整備をして。


樋口:しかも相当な規模で相当な件数というか、そりゃ30kg分になるわなそれは。


深井:皇帝という概念を作り。


樋口:皇帝っていう概念ってここからなんですか?


深井:ここからですよ。


皇帝って言葉ないですから。


樋口:え〜。


深井:王っていう言葉しかないから。


樋口:キング、キンダムってなんですか?


深井:キングダムって王国かな。


だからホントは違うんだよね。


キングダムっていうと王国だから、いわゆる王国ってことは、統一される前の国々が王国ですよね。


統一されたあとは帝国と呼んでいいので。


皇帝だから、皇帝。


皇帝っていう概念なかった、自分が統一したじゃないですか、王様いたじゃないですか。


さっきまでみんな王様だったわけじゃないですか。


そのまんま王様だったら変わらないじゃないですか。


何も変わってないじゃないですか。


その上位概念作んないといけないんですよ。


オレ王様の上だからっていうことを言わないといけないから。


樋口:そっか、ないものを勝手に上に作ったんですね。


スーパーサイヤ人みたいな。


深井:それで皇帝を作る。


そうです。


サイヤ人の上で、サイヤ人より上のスーパーサイヤ人をサイヤ人て呼んじゃうと(笑)


深井:ちょっとよく分かんないでしょ?


ちゃんとスーパーサイヤ人て呼んでねっていう風にするんですけど、


それをやったのが、それも考えたし。


彼の面白いのは、指示をね、まず部下に出すんですよ。


ちょっと考えてって。


考えて出てきたやつをちょっと変えて、自分の案として出すみたいな。


案というか最終決定するみたいな。


皇帝の時もちょっと忘れたけど、皇帝じゃない案が出てきてるんだけど


それちょっともじって皇帝に変えて、皇帝でいくわって皇帝にしてる。


樋口:へ〜。


深井:そういう決裁の仕方が、始皇帝のスタイル。


自分の意見をちょっと入れるみたいな、だけど人の意見ちゃんと聞くみたいな。


樋口:いいとこ取り込んで、最終的に自分の手柄にする。


バキューミングっすね(笑)


樋口:吸い込んで吸い込んで、全部自分の手柄にして。


深井:そうなんですよね。


文字も統一してね、これはすごく大きいよね。


文字が統一されたっていうのは、この後中国が中国として機能するためにとても大事だったと思う。


樋口:文字と交通はやりましたからね。


深井:めちゃくちゃ大事。


樋口:前のラジオでも。


深井:これをやってですね。


一つの初めてここで中国という国が出てきますよね。


ヤンヤン:そうやね。


深井:このシステムはその後の漢帝国ですね。


濃厚に受け継がれるんですよ。


ヤンヤン:それがまた400年続くんですよね。


深井:漢帝国は、400何十年続くんです。


ヤンヤン:今の中国のメンタリティというか、アイデンティティになってます。


深井:アイデンティティの出発点だよね。


樋口:それでいうと、バトンを渡されて渡されて、始皇帝になった、漢にバトンを渡した。


深井:そういうことなんですよ。


そういうことなんすよ。


始皇帝はね、自分の帝国を未来永劫続けていくつもりだった。


でもそれは出来なかったんだけど、結果的に漢帝国という次の世代の帝国がそのシステムを濃厚に受け継いだ状態で、15年で潰れてしまった反省を活かしてですね、反省してそれを。


樋口:反省したんすね。


深井:ダメだった部分だけ変えて、その後400何十年続くという安泰の国を作っていくという。


なんだろうね、ちょっと織田信長 秀吉 家康にも似てる感じの。


ヤンヤン:フロンティアを作って、すぐ死んだ。


深井:先駆者はすぐ死ぬみたいな。


それを引き継いだ人が長い治世を実現するというような、ロマンがありますね。


樋口:そうなんでしょうね。


切り拓く人とそれを引き継いで守っていく人って、


スキルも能力も性質も全部違うんでしょうね。


深井:そうですね。


樋口:必要とされるね。


次回なんですけども、そんな始皇帝が不老不死を求めていたっていう…


深井:そうなんです。


樋口:らしいんですけども、なんなんすかねそれっていう…


(笑)


深井:次回しましょう。


樋口:次回聞いていきたいと思います。


ありがとうございました。


深井・ヤンヤン:ありがとうございます。

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