#19 現代の天皇 ―象徴って何?

【ポイント】
①幕末から明治の日本は自国を従来とは完全に異なる近代国民国家に速やかに再構築する必要に迫られていた。その時に天皇は国家統合の象徴となった。
②象徴は「そこにいるだけでうわっ!ってなる雰囲気」をまとい、「一見して何も意味はなさそうだけれども、それでなかったら違和感が半端ない」ものかもしれない。
③今の天皇陛下も皇太子殿下も、象徴天皇の在り方についておそらくご自身でずっと模索されている。


樋口:それでは次に参りましょう、続いてのキーワードは「現代の天皇 象徴って何?」っていうテーマですね。ついにもう現代ですよ。


深井:そうですね。


樋口:歴史を紐解いてきましたけど。


深井:江戸時代以降の話をしましょうかね。前回喋ったように江戸時代までは、江戸時代にバーンって落ちてたんだけど(天皇の)権威が、明治維新の時に近代国家にしないといけなかったんですね、日本が。だからなんていうの、権威が戻ったっていうのもちょっと違ってて、完全に違う国に作り替えないといけないってなった。その時に束ねるキーとして天皇にいて貰おうってことになって、それで近代国家を作り直して、それまであった官職名とか右大臣とか左大臣とかあったじゃないですか。それはもう全部変えたんですよ、近代国家風に。変えるっていうのがあって、大日本帝国憲法を作るよね。大日本帝国憲法の中では、天皇は立憲君主制って言って権力があるようでないんですよ、、一応。憲法の中で一番権力あるよみたいなことが書いてあるんだけど、ざっくり言うとただそれは全部、国会に輔弼。国務大臣による輔弼が必要だと。要はサポートして貰って単独では動けないよってことが書いてあるんですね。結果的に明治も大正も昭和天皇も、単独で色々決めてガンガン動くみたいなことは当然出来ない体制だったんで、これを立憲君主制って言うんですど、立憲君主制。。


ヤンヤン:ただ色んな意見はあったみたいですよ、天皇機関説とか聞いたことないですか?要は天皇というのは国を統治するための一機関であるという立憲君主制に似た考え方があって、でもう一方天皇主体説っていうのがあって、それは天皇に主権があるっていう考え方が、政治家とか学者の中に実は分かれてたんですよ。


樋口:考え方があるというのは、システムじゃなくてどういうことなんですか。


深井:どっちとも取り用があるんですよ、実際。解釈として。


樋口:へぇ〜。


深井:戦争責任があるないっていうのも未だに分かれてるし。


樋口:えっ、そうなんです!?


深井:分かれてる分かれてる。昭和天皇に戦争の責任はあったって人もいれば、さっきの立憲君主制的なシステムの話からしたら普通に考えたらないよねっていう。


樋口:うーん。


深井:話もあれば。


ヤンヤン:むしろ戦争を止めた方の。


深井:実際ずっと反対したりされてるんで。


樋口:ふーん。


深井:なるべくやらない方向でやってくれやって話は、やっぱり仰ってるからさ。


樋口:ほえ〜。


ヤンヤン:最終的にポツダム宣言っていう降伏を受託する時に内閣が全然結論が出なくて、そこで昭和天皇がご聖断っていって受け入れましょうということで。


深井:それもあれですからね、あんだけ原爆二回落とされてもやっぱり降伏したくない人たちいたんですよ。その人たちがクーデターを起こすかもしんないみたいな時に昭和天皇が、絶対やめるって言ってやめる。


樋口:へ〜。


ヤンヤン:あの時ってあれですよ、アメリカが降伏の提案を作るじゃなですか。あん中に最初は天皇を残すっていう提案を作ったんですよ。後になって天皇は残さないっていう風な条文を入れたんですよ。それで日本側が、これは受け入れれないって言って跳ね返して。アメリカはそれをいいことに原爆を落としたっていう説もあります。


樋口:うわ〜、もうそこまでいったら怖いな〜、なんか。


(笑)


ヤンヤン:昭和天皇がポツダム宣言を受託した時に、ポツダム宣言っていうのは天皇はもう残さないっていう風な条文が入ってたんですよね。だから天皇は自分がどうなってもいいっていう風にその時点で思ってたんですよ。


樋口:ふ〜ん。


深井:実際ほんとにどうなるか分かんないもんね。普通に考えてさっきのね、第一次世界大戦とみんないなくなってるわけですから、王様は。


樋口:でもなんかそこは自分で受け入れるって言ったってことですよね。


深井:だからその明治維新があった後に、天皇がまた国家元首的な立ち位置に戻ったとはいえ、立憲君主制的なシステムなので単独での権力行使ってのは出来ないし、何ならほんとにたまーに意見言うくらいしか出来てないっていう状態が続き、すごいターニングポイントは敗戦ですよね。太平洋戦争で負けましたってなって、アメリカ主導で憲法が作られるじゃないですか、 今の憲法が。今の憲法は皆さんご存知だと思いますけど、憲法の中に象徴だと書いてあると。


樋口:象徴っていう言葉、キーワードですね、これは。


深井:日本国の象徴って書いてあるかな。それが何かっていうのがすごく難しいですよね、解釈が。


樋口:難しいんですよ。


深井:だからたぶん天皇陛下ご自身が考えられてると思いますけど、今の天皇陛下ご自身が今だにたぶん考えてらっしゃると思いますし、今の皇太子殿下も考えてらっしゃると思いますけど、次天皇がなられるんでですね、何かって言ったらむずい。


樋口:だから僕らも三十何年生きてきてやっと雰囲気で分かってますけど、説明がなかなか難しいんですよね。


深井:説明難しい。ただ今の天皇陛下になってからすごい変わったのが、災害の時に膝をついて被災者のところに行くみたいなのは、ほんとに今の天皇陛下から。


ヤンヤン:そうですよね。


樋口:それまでってなかった。


深井:膝をつくっていう行為があり得なかったんです、天皇陛下だから。天皇陛下が膝ついて被災地の国民に話をするみたいな。


樋口:ふ〜ん。


深井:今の象徴のなんかこう定義というか、フワッとした定義的なのがあるんじゃないかって思うのは、国民が楽しい時も悲しい時も寄り添ってくれる存在みたいな。


樋口:ふ〜ん。


深井:感じで、そういう形で形成されつつあるんだろうなってのはなんかこう思いますけどね。


樋口:確かにその何かがあった時って絶対いらっしゃいますもんね。


深井:災害があった時もそうですし。


樋口:普段は常にニコニコして手を振ってるイメージがありますもんね。


ヤンヤン:でもめっちゃ忙しいですけどね。


深井:そうなんですよ、実はめちゃくちゃ忙しいんです。


樋口:そうなんですか!?


深井:めちゃくちゃいっぱい仕事あります。


樋口:へ〜。


深井:今の天皇陛下も。


ヤンヤン:公務とあとは祭祀ですよね、皇室祭祀という神道のお祀り事。あと公務ですよね、署名とか判子を押す書類ってもう、確か年間2万。


樋口:2万!?


ヤンヤン:2万件くらい署名とか。


樋口:2万!?


ヤンヤン:判子を押さないといけないんですよね。


深井:2万!?


(笑)


深井:そんなあるんだ。


樋口:すげえ、ずーっと押してるわけっすね、判子(笑)


深井:1000件。


ヤンヤン:1000件だったっけ?


(笑)


深井:内閣から届く書類を全部ちゃんと読んでらっしゃる。


樋口:へ〜、見てるんですね。


深井:あとはイベント系も出てらっしゃいますよね。


樋口:ふ〜ん。いやなんかこう象徴ってなんかっていうと、判子押すだけじゃないと思うんす。


深井:もちろんそうですよね。


樋口:ピンとくることってないですか?例えて。


深井:だからその、東日本大震災の時のメッセージいただいたじゃないですか。あぁいうのがまさになんか。


樋口:あ〜、なるほど。


深井:天皇陛下だなって感じ。


樋口:なんかオレちょっと思ったのが、僕ずっと吉本にいたんですよ。これ例えていうのもほんといいのかどうか分かんないですけど、あえて言わせてもらうと吉本にいた時に松本人志さん、象徴なんすよ。


深井:あー、お笑いの?


樋口:お笑い界の象徴って言っていいと思います、なんか。僕お会いしたことないんですけど、友達が吉本の本社とかでたまたますれ違った時あると。もうそこにいるだけでブワァってなるらしいんすよ。ピリって空気がなるっていう。それは自分の中でも思うし、松本さんの周りに黒服の人っていうかスーツを着たすごく忙しそうにしてる人がバーっといらっしゃると、それだけでもそういう雰囲気が出てると。とか後はお墨付きって言葉がありますよね。あの松本さんが面白いって認めた芸人らしいっていう噂だけで、あの芸人一目置かれるみたいな。


ヤンヤン:あー、日本らしいですね。


樋口:象徴って、そういうお墨付きっていうイメージもあるのかなと思ってますよね。


深井:権威があるって状態でしょうねだから、まさに。


樋口:っていうの思ったっすね〜。


ヤンヤン:目に見えないのもとか人の心とか精神に対して、。影響を及ぼすものなんでしょうね。


樋口:文化というかね。


ヤンヤン:キリスト教のあの十字架と一緒ですよ。


樋口:あー。


ヤンヤン:あれだって単なるマークじゃないですか。


樋口:ただのバツですもんね。


ヤンヤン:でもあれが他のマークにとかシンボルに変えられたら、クリスチャンとしてはアレは違うよねって思いますもんね。


樋口:確かに。だからさっきっていうか前々回かなんかで言った、違和感になるってことですもんね。何も意味がないけど違ったら、ん?なるっていう。


ヤンヤン:違うと思いますよ。それはやっぱりその民族とかその文化の深層心理?深層意識のところにもしかして、形としてあるものなんじゃないかなと思いますね。


樋口:だからえーと、ごめんなさいもう一個人の例で言わせてもらうと、松本人志さんってこうアレですけど、矢沢永吉。あえて永ちゃんて僕、言わせてもらいますけど。


深井:音楽界の。


樋口:僕は松本人志さんってリアルタイムに知ってんすよ、ごっつええ感じとか。矢沢永吉さんってこうリアルタイムに音楽を聴いてるわけじゃないんですけど、なんか永ちゃんがもし音楽やめるってなったらビク!ってなるんすね。だから例えとしたらめちゃくちゃですけど、十字架が違うものになるっていうのと、永ちゃんがやめるってなのは僕ん中でうっ!っていう。大きく松本さんと違うのは、リアルタイムで体験してないのにっていう。ってうのもあるな〜って思いましたね。


深井:そうですね。歴史ある権威がそんな感じになるんでしょうね、デビットボウイとか僕ん中で。


樋口:体験してないのにってことですよね。


深井:全然リアルタイムで聴いてないんですけど。


ヤンヤン:偉大。


深井:偉大だよね、なんかね。


樋口:分かります、分かります。なんかすごいものとしてなってるって感じですよね。これが例えとしてね、適切かどうかはホントに知らないですよ。


(笑)


深井:ギリギリ大丈夫なんじゃないですかね。


樋口:無責任で言ってるだけですよ、分かりやすくするために。近い例えをあえて分からないなりに一所懸命言ってるだけですからね。


ヤンヤン:めっちゃ防衛線張ってる。


(笑)


樋口:そうなんすよ、っていうことでございますね。


深井:はい。


樋口:はい、これからどうなるかっていうのは、ざっくりどうなんすか?


深井:いやそれがね、難しいんですよね。


ヤンヤン:女系天皇の話もあるし。


深井:女性天皇と女系天皇がまた違うからね。その話すると長くなるので今日は省きますけど、えーと、そうですよね。これからどうなるかって結構難しいんだけど一つ言えるのはだから、すごい長い天皇の歴史の中で象徴天皇になってのはつい最近だから、今なんかすごい転換点というか。新しい天皇の時代に一緒に生きてるのは間違いない、僕たちが。象徴天皇になってから2代目で、今が次が3代目だからホントに初期ですよね。象徴天皇のステージの初期だから、これからどうなるかってホント僕も分からないし。


樋口:なるほどっすね〜。いや、ちょっとだから楽しみと言って不謹慎と捉えるかどうか分かんないですけど、僕は興味深い。


深井:興味深いっすね。


樋口:そろそろエンディングのお時間なんでアレなんですけど、あのーなんかやっぱ僕ずっと話ててすごい思ったのが、別にディスってるわけでもなく普通に話してるだけじゃないですか。でも、あれ?これマイク通していっていいんだったっけ?っていうのでずっとなんていうんですかね。


深井:メンタルブロック入ってましたね。


樋口:メンタルブロック入ってるんですよ。なんかこうこれってなんなのかなって。僕が日本人だからとしかいえないんですけど。


深井:それが権威なんじゃないんですか。


樋口:あー、だから4本撮りしてるじゃないですか。1時間くらい話してるんですけど、ちょっと後頭部がボーっとしてんすよ。


深井:確かにボーッとした顔してらっしゃる。


樋口:いやこれ不思議やなって思って。


ヤンヤン:もう神罰が下るんじゃないですか。


(笑)


樋口:ちょっと待ってくださいよ、今までのスパルタとかね、コミュニケーションとかって多分脳味噌100%動いてんすよ。でもちょっと、言っていいよ!言っていいよ!言っちゃダメなの?いや言っていいよ!っていう本能と、本能と理性との戦いが。


深井:リアルタイムだからね、これは。


樋口:自分の中で戦ってる感じがして、いま頭が。


深井:現存してますからね、これは。


樋口:っていうのもあって、これ面白いなと思って。


深井:その心理状態自体が自分で感じて面白いってことですよね。


樋口:そうです、そうです。


ヤンヤン:やっぱ日本の歴史って、これをいうとまた右翼って誤解されそうですけど、でも日本の歴史を語る上で天皇を避けては。


深井:絶対避けらんない。


樋口:避けられないですよ。


深井:ほぼ同一くらいのレベル。


ヤンヤン:歴史の事実としてあるから、なんかもっと色々と皆さんで話たりとかされるといいかもしれないですね。


樋口:そうですよね。なんか客観的にもっと話せられればいいですよね。やっぱり今こう僕がね、いい例ですけど、なんかこう意見すらしちゃいけないというか、良い悪い以前に語っちゃいけない雰囲気ってすごいあると思うんすね。


深井:そうっすよね。まあなんかホントにヒステリックになることが多いですよね。


樋口:そうなんですよ。


深井:この話題に関して。


ヤンヤン:キレる。


深井:ホントにどっちにも触れますよね。


深井:批判的にも尊崇するほうにも、両極端に触れるよね。日本。


ヤンヤン:なんでだろうね。なんで日本人は天皇を語るとそんなに感情が整理できないんですかね。


樋口:そうですよね。中国から見たら異常ですよね。


深井:ホントそうですよね。だからこれも個人的見解だけど、韓国から結構色々言われるじゃないですか、天皇謝れ的なこと。アレやっぱり日本人としてはすごいやっぱり、うぁ!ってなるもんね。


樋口:なるんすよ。


深井:なに言っとんねん!ってなっちゃうから。


樋口:なるんですよ〜。


深井:僕びっくりしましたもん。一番最初に個人的経験の視野ですけど、一番最初に李明博大統領がさ、言ったじゃん。天皇陛下土下座しろだったっけ?謝れみたいなことを言ったんですよ。あの時に、他の世論を一切聞く前ですよ。聞く前になに言っとんねん!って僕なったんですよ。


樋口:感情的にうっ!って。


深井:そうなったんですよ。それまで別にそんななんか特段、特段別にそんなこと考えてない別に普段。


樋口:普通にね。


深井:そうそうそう。普通の日本人の平均くらいの感じで生きてたのに、それ聞いた時にちょっとやっぱピキってきたっていうことが、あぁやっぱ来るんだと思って。すごい日本人って、周りの人もそうだったんですよ、その時。若い人とかも。あぁやっぱそうなんだと思って、それはホント面白かった。


樋口:これも聞いた話ですけど、なんかの時に陛下があのー、どうしてもトイレかなんかに行きたくなってしまったと、移動中に。どうしても普通の施設のトイレに入らないといけないことがあったらしいんですよ。そこでぶら〜っと施設ん中入ってトイレに行ったら、みんなパッと見ただけで座ってる人とか立ってる人とか、全員がバーン!て起立して。


深井:普通のトイレに来られたってことですね。


樋口:普通のトイレに来られた。普通に施設の中にふら〜っと入ってきて、普通の公衆トイレに行くしかなくて、我慢できなくて。なったら全員がバーンて立って敬礼したっていう。もうそうなってんすよね。


樋口:そうですよね。


ヤンヤン:そのトイレ神社になるんじゃないですか。


(笑)


樋口:っていうのがあったんで、だからまぁまぁまぁまとめみたいなこと言いますけども、もっと客観的にね、話せる場がもっといっぱいできたら良いなって思うのと、それに対してこうやってね、客観的に話してる僕らってやっぱこう良いことしてるなっていう。


(笑)


深井:そうです。


樋口:そうですね。改めて思いましたっていうことでございまして、大丈夫ですかもう言い残したことないですか?大丈夫ですか。


ヤンヤン:遺言みたい。


(笑)


樋口:いやいやいやいや、遺言じゃない。


深井:いっぱいあるわ。


(笑)


樋口:それは一旦マイクを切った後にあの(笑)
RECボタンをOFFった後に、いっぱい続きやりましょう。ということでございまして、今日も楽しく喋らせていただきました。世界の歴史キュレーションプログラム、コテンラジオは毎週木曜日にお送りしております。というわけで以上、コテンラジオでした。ありがとうございました。


深井・ヤンヤン:ありがとうございます。

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